こんにちはー!ニホンイシガメが好きなK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。
当サイト・AquaTrutliumでは、連載「オーバーフロー水槽の自作方法」でオーバーフロー水槽を一から作る方法を紹介してきました。この水槽ではニホンイシガメを飼育するため、紹介してきた内容は大きくアクアリウムに関わる内容と爬虫類飼育に関わる内容の2つに分類されますが、今回は爬虫類飼育関連の内容になります。
連載「オーバーフロー水槽の自作方法」
- オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説
- オーバーフロー水槽自作!塩ビパイプを配管するための台座を接着する
- 水槽用バックスクリーンの効果・役割と貼り方を画像と動画で解説!
- 自作オーバーフロー水槽配管(設計編)―ポンプやろ過槽の選び方
- 自作オーバーフロー水槽配管(加工編)―給排水管・シャワーパイプ
- 自作オーバーフロー水槽配管(組立編)―ろ過槽と塩ビ管接続~通水
- 擬岩コーナーカバーの作り方(骨組み編)爬虫類・アクアリウム水槽に
- 擬岩コーナーカバーの作り方(モルタル造形編)爬虫類・アクアリウムに!
- 爬虫類・アクアリウム水槽用擬岩バックボードの作り方まとめ
- アクアリウム水槽レイアウト用・流木の作り方!複数本を固定しよう
- 水棲亀の照明・保温-紫外線ライト・ヒーターの選び方とおすすめ製品
- 中国製ライトスタンド+ワイヤーで作る水槽用照明システム
- 亀も棲むアクアテラリウムの作り方!流木と配水チューブで水槽に渓流を
なお、自作オーバーフロー水槽に関連する記事は、こちらのとおりまとめています。オーバーフロー水槽の自作に挑戦しようと思っている人は、ぜひ最初から読んでみてくださいね!
さて、今回のテーマはライトとヒーター、すなわち爬虫類の飼育ケージ内の光環境と温度環境をどう整えるか、というお話です。当サイトでも過去に似たテーマの記事を何回か書いていますが、今回は実際に水槽をセッティングする上で必要になる知識や水槽の照明システムをどう設計するか、という観点から話を進めていきます。
爬虫類にライトやヒーターが必要な理由
まず、一番重要なポイントを確認しておきます。なぜ、爬虫類を飼育するためにはライトやヒーターが必要になるのでしょうか。
爬虫類に限らず、生き物の生理機能に影響を与える大きな要素に「光」があります。人間でも、ずっと暗い場所にいたり、長期間日光に当たらなかったりすると、体調を崩してしまいますよね。飼育下にある爬虫類は、意図的に光環境を整えてやらないとこうした体調不良を起こしやすいため、ライトやヒーターを使って環境を整える必要があるのです。
なお、ライトもヒーターも「光」をコントロールする飼育用品です。光とは電磁波のうち「可視光」「紫外線」「赤外線」の総称であり、波長によって下図のように分類されています。
光が生き物に与える影響は、「可視光」「紫外線」「赤外線」といった波長帯による区分に応じて少しずつ異なります。以下で、ライトやヒーターを使って光環境を整える具体的な目的を、特に波長帯に注目しながら紹介しておきます。
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爬虫類と光/温度-バスキング・紫外線ライトと亀/トカゲの生理機能
亀・トカゲ・ヘビ・ヤモリ等の爬虫類の飼育では、紫外線照射のような光の管理と、赤外線ヒーター等による温度管理が重要ですが、理屈が難しく理解していない飼育者が多いです。爬虫類飼育で重要な光・温度管理の方法を詳細に解説します。
なお、さらに詳しい話が知りたい人はこちらのページも参考にしてください。爬虫類の体内にはどのような器官があって、どんな働きをしているのか、というレベルから解説しています。
概日リズムの調整・生理機能の調節
可視光や紫外線の中でもUVAと呼ばれる波長帯の光は、24時間周期の生活リズム(概日リズム)や1年周期の生活リズム(概年リズム)の調整、光の強さに応じた活動レベルや生理機能の調節などの役に立ちます。
体温調節
赤外線を中心とした物質を温める作用のある光は、変温動物である爬虫類が体温を調節する役に立ちます。昼間など活発に活動したいときは、爬虫類は光を浴びて体温を上げ、代謝を上げています。十分に体温が上がっていないと、食べたエサを上手く消化できないなどの問題が発生します。
カルシウム代謝
紫外線の中の特にUVBと呼ばれる波長帯の光は、爬虫類の骨、歯、爪、甲羅などの形成に必要なカルシウムを体内に吸収するために必要な「ビタミンD3」を体内で合成する際に必要になります。UVBを十分に浴びることができない場合、爬虫類はカルシウムを吸収できず、骨や甲羅を上手く形成できず病気になってしまいます。
爬虫類飼育にライト・ヒーターを使用する上で知っておきたい知識
具体的な飼育用品を考える前に、もう一つ確認しておきたいのが「バスキングスポット」や「ホットスポット」という言葉の意味です。以降の文章でも登場する用語なので、先に意味を確認しておきましょう。
バスキング
バスキングという言葉は、【暖まる・ひなたっぼっこをする】という意味の英語「bask」の現在分詞形「basking」から来ています。爬虫類の飼育においては、「可視光による生理機能の調整」「赤外線による体温調節」「紫外線によるビタミンD3合成」を達成するために、日光浴をすることを指します。
バスキングスポット
バスキングスポットは、飼っている爬虫類がバスキングをできるように、環境を整えた場所を指します。なお、バスキングスポットは以下のような条件を満足する場所として用意してやる必要があります。
- 35℃程度の温度に保たれている。
- 紫外線ライトからの距離が適切である。
- 足場が安定している。
- 爬虫類が怪我をしない形状である。
- 表面が乾燥しやすい。
- 爬虫類の体全体が収まる広さがある。
これらの条件は、言い換えれば、温度・紫外線量が適切で、爬虫類が安全にバスキングを行うことができ、水棲爬虫類が皮膚を乾燥させることで皮膚病や寄生虫を防ぐ効果も得られ、身体全体をまんべんなく暖めることができる場所を作る必要がある、ということになります。
ライトやヒーターを用意することばかりに注意が向きがちですが、爬虫類がバスキングできる場所を整えることも非常に重要です。
ホットスポット
ホットスポットは、爬虫類の飼育ケージの中で特に温度が高く(状況によりますが概ね35℃程度)キープされている場所のことを指します。基本的にはバスキングスポットと同じ場所になることが多いですが、特に温度にフォーカスして話をする際にホットスポットという言葉を使うことが多いです。
ただし、飼育ケージ内の温度環境は「体温を上げる」ためではなく、「体温を調節する」ことができるように整える必要があります。そのため、ホットスポットだけでなく、涼しい場所も飼育ケージ内に用意する、すなわち飼育ケージ内に温度勾配を作る必要があります。
温度勾配を作ってやることで、飼育している爬虫類が、自分で適切な温度の場所を選び移動できるようになります。温度の範囲は種類によるので一概には言えませんが、26~35℃程度の範囲で温度勾配を付けるような環境が推奨されている種類が多いです。
水棲亀の照明・保温システム構築のために用意すべきもの
少し長くなりましたが、一通りの基礎知識を確認したところで、具体的に水棲亀飼育における照明・保温システムを構築するためには、どのような飼育用品が必要になるかをリストアップします。それぞれの飼育用品については、後ほどおすすめの商品や、今回の飼育環境で使用することにした商品を紹介します。
ライトスタンド
ライトやヒーターを設置するためには、多くの場合ライトスタンドが必要です。例外的に必要ないのは、水槽の上に直置き又は直付けするタイプの灯具(蛍光灯を使用するもの・クリップライト等)を使用するか、天井から直接ワイヤーなどを使って照明器具を吊り下げられる場合です。
紫外線ライト
紫外線ライトは、ビタミンD3の合成に必要となるUVBを照射するために必要です。ただし、UVBは目に見えないため、必要な量のUVBを放出できる製品であるかを判断するのは難しいです。中にはUVBの放出量が非常に少ない紫外線ライトも存在するため、使用する製品を選ぶ際は細心の注意が必要です。
可視光ライト
紫外線ライトはUVBだけでなく可視光も放出するため、可視光を放出するライトは必ず必要というわけではありません。ただし、紫外線ライトの種類によっては可視光の量が不十分だったり、波長帯に偏りがあったりするため、必要に応じて紫外線ライトと組み合わせて使用しましょう。
ヒーター
ヒーターは、飼育生体が体温調節するための赤外線を放出する飼育器具として必要です。紫外線ライトとなかには、かなり熱を放出するものもありますが、紫外線ライトの放出する熱に依存すると飼育ケージ内の温度調整がしにくくなるので、別途ヒーターを使用するほうが良いでしょう。
むしろ、紫外線ライトから放出される熱のみでホットスポットとしても十分な高温を作れてしまうような飼育環境は、ケージの広さに対して紫外線ライトの能力が過剰である可能性が高く、下手をすると飼育ケージ内が異常な高音になってしまう可能性もあります。飼育ケージを広くするか、又は紫外線ライトの能力を下げるなどの対策が必要です。
水中ヒーター
上記のヒーターは、気温を調節するためのものを指しています。水棲亀の場合は、気温だけでなく水温も調節する必要があり、この目的には熱帯魚飼育用の水中ヒーターを使用します。
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熱帯魚水槽のヒーター・サーモスタットの選び方とおすすめ
アクアリウムで冬場に水槽水温を維持するため、ヒーターやサーモスタットを使用し水を加熱する際の注意点や、オススメの商品も紹介します。ヒーター・サーモスタットは正しく使わないと事故に繋がるので、安全上の注意点も紹介します。
水中ヒーターは光とは関係ないので、このページでは取り上げません。詳しくは、上のリンク先ページを読んでみてください。
プログラムタイマー(タイマーサーモ)
照明やヒーターの管理は、時間に連動して行うのが普通です。何時から何時まではライトを点ける、何時から何時までは気温を何度に保つ、といった目的には、プログラムタイマーが役に立ちます。そして、爬虫類飼育用のプログラムタイマーはGEXのタイマーサーモ一択です。名前の通り、タイマーとサーモスタットが一つになった非常に便利な飼育用品です。
この商品については代替商品も存在しないので、悩む必要はありません。黙ってタイマーサーモを買って説明書で使い方を勉強してください。
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爬虫類飼育の必需品!タイマーサーモで温度と照明を一元管理
爬虫類飼育では必要不可欠とも言える、照明と温度を連動して一元管理できる飼育用品「ジェックス タイマーサーモ」を紹介します。名前の通り、タイマーとサーモスタットが一体化した製品で、照明点灯時(昼)の目標温度と、照明消灯時(夜)の目標温度を別々に設定できます。
タイマーサーモなんて本当に必要か?という人や、あまり真面目に説明書を読みたくないという人は、タイマーサーモについて詳しく解説しているこちらのページを参考にしてください。
ライトスタンドが満足すべき要件
ではまずライトスタンドから、今回製作したオーバーフロー水槽で水棲亀を飼育するために適した製品を考えていきましょう。爬虫類飼育専用のライトスタンドはほとんど該当する製品が存在しないので、基本的にはアクアリウム用のライトスタンドから選ぶことになります。
デザイン
ライトスタンド選びで一番気になるポイントは「デザイン」です。ライトスタンドは意外と目立つので、デザインが気に入らないとどうしても満足度が低くなります。
実は今回のライトスタンド選びでも、一度買った製品のデザインが気に入らなくて、別の製品を買い直しています。たかがデザインと侮るなかれ。重要な要素です。
高さ調節の可否と調節範囲・段階
水棲亀を始めとする爬虫類の飼育に欠かせない紫外線ライトは、多くの製品で生体と30~40cm離して使用するのが適正とされています。紫外線ライトを設置する灯具の大きさまで考慮すると、ライトスタンドの高さは60cm程度必要になります(水位25cm・バスキングスポットが底面から約30cmの場合)。
また、ライトスタンドには、高さを調節できるようになっている製品も多いです。高さ調節の可否、調節できる高さの範囲、そして高さ調節の方法(無段階か何段階かから選ぶのか)をよく調べ、紫外線ライトを適切な距離で使用できるライトスタンドを選びましょう。
横幅を調節の可否と調節範囲・段階
高さと同様に、横幅を調節できるライトスタンドもあります。横幅を調節できるライトスタンドは、高さを調節できるライトスタンドに比べると少ないため、この機能にこだわるのなら多少選択肢が絞られます。
横幅が可変だと対応する水槽の幅が広がりますが、ライトスタンドを付け替えることはそう多くはないと思うので、個人的にはこの機能はあまり重視しません。
おすすめのライトスタンド
では、数あるライトスタンドの中から、おすすめの製品を紹介していきましょう。
ステンレスアーム SAAシリーズ
東大阪のアクアショップ「アクアテイラーズ」がオリジナル商品として販売している「ステンレスアーム」シリーズのライトスタンドは、シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴です。高さや横幅の調整機能は一切ついていませんが、デザイン面はかなり洗練されています。
高さは50cmであり、アクアリウム用のライトスタンドとしてはやや高めですが、水棲亀飼育に使うとなると少し低めです。それでも、なんとかならないこともない範囲なので、デザインが気に入れば候補になるでしょう。
コトブキ ライトアームスライド
コトブキのライトスタンドは、アクアリウム用として販売しているライトスタンドの中でも、高さ調節の範囲が広い点が長所です。高さを462mm・612mmの2段階で調節できます。
高さを60cm以上に調節できるライトスタンドはほとんどないので、今回の水槽のように高さが必要な状況では有力な選択肢になります。
中国製品の輸入
ライトスタンドは構造が単純な商品なので、特に日本製に拘る必要はなく、中国製の安価な商品も候補になってきます。しかも、日本の大きなアクアメーカーが出しているライトスタンドは、はっきり言ってのデザインがいまいちな物が多く、その点では中国製の方がまだマシです。
紫外線ライトの種類と選び方
ライトスタンドの次は、紫外線ライトについて考えてみましょう。爬虫類飼育で使用される紫外線ライトには、大きく分けて以下の3種類が存在します。
- UVB蛍光灯
- 水銀灯
- メタルハライドランプ
それぞれの特徴について簡単にまとめてみます。
UVB蛍光灯
UVB蛍光灯はその名の通り、UVB波長帯の紫外線を放出できる特殊な蛍光灯です。直管形、T5直管形、スパイラル型の大きく3種類に分けられます。
普通の蛍光灯用の灯具で使用できるため、灯具を流用しやすい点で使用までのハードルは低いです。一方で、放出できる紫外線量が不十分な製品も多く、あの商品は良いとか、この商品はダメだという議論が起こりやすいです。目には見えない紫外線を扱う飼育用品なだけに、蛍光灯以外でも同様な議論は起こりますが、特にUVB蛍光灯には紫外線量が不足する商品が多い印象です。
一般的な蛍光灯よりも高効率の「T5管」を使用した商品の中には、紫外線放出量が多い製品もあるようですが、K-kiは使用経験がないので実際のところはわかりません。また、経験上も爬虫類界隈の口コミ状も、スパイラル型の蛍光灯には特にイマイチな製品が多く、避けるのが無難だと思います。
水銀灯
近年の爬虫類用紫外線ライトでは、水銀灯が最もメジャーと言えるでしょう。蛍光灯に比べると消費電力が大きいですが、その分紫外線の放出量も多く、信頼されている製品が多いです。
爬虫類飼育用の紫外線ライトとして利用される水銀灯の多くは、「セルフバラスト水銀灯」といって放電を安定させるための安定器を内蔵しているため、灯具側は比較的安価に購入できますが、電球自体がやや効果になっています。それでも後述するメタルハライドランプと比べると安価であり、性能もそこそこ高いため、ミドルレンジの製品として幅広く使用されています。
メタルハライドランプ(メタハラ)
爬虫類飼育要ライトの最高峰がメタルハライドランプ、通称メタハラです。水銀灯と似たライトですが、一般に水銀灯よりも演色性に優れ、太陽光に近い色の見え方に物を照らすことができます。その分価格が高く、一式揃えるためには最低でも3万円は必要でしょう。
メタハラはアクアリウム用の高級照明器具としても利用されていますが、アクアリウム用のものは基本的に紫外線をカットするフィルターが付いているため、爬虫類飼育専用の商品を飼うほうが良いでしょう。
おすすめの紫外線ライト
紫外線ライトは蛍光灯・水銀灯・メタハラと種類も多い上、放出される紫外線量を計測するためには高価な機材が必要になるので、どの製品を使用するか決めるのは難しいです。K-kiもUVBの計測機材は持っていないので、実測値に基づく比較もできません。
とは言え、爬虫類を飼うからには何らかの方法で使用する製品を選ばなければなりません。K-kiが紫外線ライト購入までの間に調べたことや過去の経験を踏まえ、おすすめできる紫外線ライトをいくつか紹介していきます。
パワーサンUV
紫外線ライトとして使用される水銀灯の中では、ZOOMEDの「パワーサンUV」の人気が高いです。同じく水銀灯で有名なハイパーサン等と比べると価格は多少高いですが、演色性に優れ自然な色味の光で飼育ケージ内を照らしてくれますし、紫外線の強度やスペクトル、照射範囲も申し分ないです。
80W・100W・160Wと3つののラインナップがあるため、水槽や飼育ケージの大きさに合わせて適切な消費電力のモデルを選べるもの使い勝手が良く便利です。
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ZOOMEDの爬虫類用紫外線ライト・パワーサンUVを徹底分析
カメやトカゲなど爬虫類を飼育する際は紫外線ライトが欠かせません。紫外線ライトの中でも水銀灯に分類されるZooMedのパワーサンUVについて、ラインナップや適合する灯具を始め、競合製品との性能\比較や使い方などを徹底的に解説します。
パワーサンUVについてはこちらのページで詳細に解説しているので、興味のある人はぜひ読んでみてください。
ビバリウムグロー パワーUVB
蛍光灯タイプの紫外線ライトを使用する場合は、ポゴナクラブの「ビバリウムグロー パワーUVB」がおすすめです。K-kiも過去に使用していたことがありますが、飼育している亀のバスキング頻度が増え、気持ち良さそうにバスキングするようになりました。
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紫外線ライトの選び方-ビバリウムグロー パワーUVBがオススメ
亀やトカゲ等の爬虫類の健康管理に必須の紫外線ライトの選び方を紹介します。紫外線量データや併用する蛍光灯、規格等についてまとめています。中でもポゴナ・クラブのビバリウムグロー パワーUVBがユーザー評価も高くオススメです。
詳細はこちらのページも参考にしてください。ラインナップの幅も広く、様々な環境で使用しやすいのもメリットの一つです。
ソーラーラプター
メタハラからは、ゼンスイの「ソーラーラプター」をおすすめしておきます。多くの爬虫類飼育者が使用しており、評判も良いことで有名です。使用者が多いこともあって爬虫類飼育者が個人的にUVBを測定したデータがネット上に割と多くあり、いずれの計測データでも比較的高い性能を出しているので、スペック面では安心できると言えるでしょう。
ヒーターの種類と選び方
温度管理のために使用するヒーターについても、具体的にどんな製品が良いかを考えてみます。ヒーターは、大きく以下の4種類に分けられます。
- 白熱電球
- セラミックヒーター
- パネルヒーター
- 暖突
ヒーターの保温効果は、赤外線によって得られるものであり、必ずしも可視光を出す必要はありません。そのため、赤外線と一緒に可視光も出すライトに近いものと、赤外線しか出さないタイプが存在しています。
白熱電球
白熱電球は、可視光も赤外線も出すライトに近いヒーターです。ただし、ヒーターという特性上夜間も使用することになり、あまりに明るいと爬虫類の睡眠を妨げるため、基本的に可視光は減らし、赤外線がメインとなるような工夫がされています。
可視光を出しているため、電源が入っているか入っていないかがひと目で分かるというメリットがあります。赤外線だけを出すヒーターだと電源が入っていることを見落として触ってしまい、火傷をしてしまう場合もあるため、意外とこれは重要なポイントです。
ただし、水棲亀飼育で使用する上では、水がかかると割れてしまう危険があるという点に注意が必要です。
セラミックヒーター
セラミックヒーターは、赤外線だけを出すヒーターです。その名の通りセラミック製であり、温まるのに時間がかかりますが、冷めるのも遅いという特徴があります。
白熱電球と比べると、可視光を出さない点以外にも、寿命が長い、水がかかっても割れにくい、というメリットもあります。特に水に強いことは水棲亀飼育においては大きなメリットで、白熱電球タイプのヒーターは水しぶきを防ぐためにカバーの付いたライトクリップで使用するのが普通ですが、セラミックヒーターであればカバー無しのものでも気兼ねなく使用でき、扱いやすさに優れます。
パネルヒーター
パネルヒーターは、シート状のヒーターで赤外線だけを放出します。基本的には水槽の下に敷いて使用しますが、中には水槽内でも使用できる防水性に優れた製品もあります。ただし、それでも多少濡れても大丈夫という程度で、水中で使用する目的で使用できるヒーターではありません。
パネルヒーターは電気代が比較的安く済むためおすすめされることも多いですが、それは単に保温能力が低いだけのことです。地表性あるいは地中に潜る性質のある爬虫類の飼育時に、床材付近やその内部が冷えてしまわないようにするためには重宝しますが、水棲亀のように水を張って飼育する場合にはあまり使用しません。
暖突
暖突は、飼育ケージの上部に設置し、飼育ケージ内を全体的に温めるヒーターです。中身はパネルヒーターであり、水槽の上部に取り付けられるような工夫がされたパネルヒーターだと思えばよいでしょう。
飼育方法にもよりますが、水場が主体で陸地が少ない水棲亀の飼育環境では、陸場の保温はスポット的に行うことが多いため、暖突もあまり使用しません。特に今回の飼育対象であるニホンイシガメは、日本産の亀であり冬場であっても飼育容器内の空気全てを加温する必要があるほど寒さに弱いわけではないので、必要性があまり高くありません。
おすすめのヒーター
水棲カメ飼育においては、パネルヒーターや暖突はどうしてもメリットが薄いため、水槽・飼育ケージ内の保温に使うヒーターは、基本的には白熱電球かセラミックヒーターから選ぶことになります。以下に、白熱電球とセラミックヒーターからおすすめのヒーターを少し紹介しておきます。
エキゾテラ ヒートグロー
エキゾテラのヒートグローは、赤系の光を出す白熱電球タイプのヒーターです。多くの爬虫類にとって赤系の光は見えづらく、爬虫類の睡眠を妨げづらいため、昼行性の爬虫類に対して夜間も含めた保温を行う目的におすすめです。
エキゾテラ ナイトグロー
ヒートグローと同じエキゾテラが販売しているナイトグローは、月の光をイメージした青系の光を出す白熱電球タイプのヒーターです。青系の光は爬虫類にとって特別見えづらいわけではなく、人間と同程度には見えているとされています。
ナイトグローは基本的に夜行性の爬虫類を飼育する場合に使用します。夜行性の生体であっても完全な暗闇だと活動しづらいため、月の光に近い薄明かりを供給しつつ保温も行えるナイトグローは非常に便利な飼育用品となります。
ビバリア エミートNEO CL
セラミックヒーターからは、ビバリアのエミートNEO CLをおすすめします。セラミックヒーターの弱点の一つである「点灯しているか消灯しているか分からない」という点を、点灯時のみセラミックの色が変わる加工によって克服した製品です(とは言え、色の差はあまり大きくはないので判別には慣れが必要です。)。
エミートNEO CLには、高さの制約が厳しい環境でも使用できる「FLAT」というラインナップもあり、セラミックヒーターの長所である扱い易さを活かす商品であるところもおすすめできるポイントです。
ライト・ヒーター用の灯具の選び方
ライトやヒーターを使用するためには、適切な灯具を用意する必要があります。灯具選びの際は、主に以下の2点に気をつける必要があります。
口金の規格が適合するか
1つ目の注意点は、灯具とライトやヒーターの口金が適合するかという点です。スパイラル型蛍光灯、水銀灯、セラミックヒーターなどは、「E26」と呼ばれる電球などと同じねじ込み式の口金を使用しています。
一方、直管形蛍光灯は、2箇所で固定するため口金だけでなく蛍光灯の長さも灯具と適合する必要があります。また、同じ直管形蛍光灯でもT5管を使用する場合は口金の企画が異なるので注意が必要です。
メタハラの場合は、基本的には灯具と交換球がセット販売されているので、対応する組み合わせのみで使用しましょう。
消費電力が適合するか
灯具には、使用できるライトの消費電力の範囲が規定されています。75Wまでとか、100Wまでという記載が商品説明のどこかにあるはずです。指定された範囲よりも消費電力の大きいライトを装着して使用すると、最悪の場合は火事に繋がり非常に危険なので、必ず指定された範囲内で使用しましょう。
爬虫類飼育におすすめの灯具
灯具の選び方を紹介したので、具体的なおすすめ商品も紹介しておきましょう。なお、メタハラは灯具と交換球の組み合わせはほぼ固定であること、蛍光灯は環境規制の高まりとともに人気が下火になりつつあることから、現状爬虫類飼育用に使用する紫外線ライトやヒーターの大多数はE26口金を持つため、それに対応する灯具を紹介します。
エキゾテラ ライトドーム
エキゾテラのライトドームは、75Wまでのライトを使用できる14cmと、150Wまでのライトを使用できる18cmの2種類のラインナップを持つ灯具です。特に18cmの方は適合する消費電力の幅が広く、爬虫類飼育で使用する大抵のライトやヒーターに適合します。ただし、ライトシェードが付いているタイプなので、基本的には水銀灯や白熱電球と組み合わせることが多いです。
デザイン面は、マットな質感でカラーはブラックとシンプルで、特別にカッコいいとは言いませんがどんな飼育環境にも合わせやすいです。
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エキゾテラ ライトドームをレビュー!長所・短所や類似製品との比較
カメやトカゲなど爬虫類の飼育にはライトやヒーターを使いますが、ライト等の使用には灯具が必要です。爬虫類飼育用の灯具からエキゾテラのライトドームシリーズを取り上げ、長所・短所や実際の使用感、類似製品との比較等をまとめます。
もっと詳しく知りたい人は、こちらのページを参考にしてください。
カミハタ クリップスタンド テラ
カミハタのクリップスタンド テラは、ライトシェードがないタイプの灯具です。水濡れに弱いライトを装着すると、水滴が付着して割れることがあるので、セラミックヒーターなどを装着して使用することが多いです。ライトシェードなしの灯具なので比較的安価に購入することができます。
この手のライトシェードなしの灯具にもいろいろな製品がありますが、クリップスタンド テラはメッシュを採用したデザインが割とカッコよくて気に入っています。逆に言えば、他の製品と差別化できるポイントはそこくらいなので、デザインが気に入った製品を使用すれば良いと思います。
カミハタ ヴォルテス
カミハタのヴォルテスは、爬虫類飼育用というよりは、アクアリウム用の灯具です。対応する消費電力は小さめ(30W以下まで)ですが、比較的シンプルでどんなレイアウトとも馴染みやすいデザインに人気があります。
消費電力的に水銀灯や白熱電球、セラミックヒーターの使用には耐えませんが、補助的に可視光を放射するライトを装着するなどの目的で使用するなど、持っていれば使い所は色々あります。
ライト・ヒーターのシステム構成の結論
さて、ここまでライトスタンド、紫外線ライト、ヒーター、灯具など、特に水棲亀に主眼を置きながらも、爬虫類飼育における照明・保温システムを構成する飼育用品について、選び方とおすすめ製品を紹介してきました。
最後に、今回製作しているオーバーフロー水槽において、どのようなシステム構成を採用したかをまとめていきましょう。もちろんこれはあくまで一例であり、この構成が最適というものではありませんが、少なくともK-ki(K-ki@AquaTurtlium)の考えうる範囲では最も良いと思える構成にしているので、参考にしてもらえれえば幸いです。
ライトスタンド:豪華型不銹鋼伸縮吊架
ライトスタンドは、最初はコトブキ工芸の「ライトアームスライド」を採用して使っていましたが、デザイン面がどうしても気に入らなかったため、AliExpressで中国から個人輸入した俊星光電気科技という企業の「豪華型不銹鋼伸縮吊架」というライトスタンドに買い替えました。
このライトスタンドは、高さは45cm~60cmまでの範囲で、横幅は60cm~100cmの範囲で無段階に調整でき、非常に調整の幅が広いのが特徴です。また、一般的なライトスタンドのように2箇所で水槽に固定する「アーチ型」の設置方法だけでなく、1箇所で水槽に固定する「アーム型」のライトスタンド2つに分離して使用することも可能であり、多様な使い方ができます。
今回は、国産のライトスタンドにはあまりないアーム型で使用するのがカッコよく見えたので、このスタンドの採用に至りました。
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コトブキのライトスタンド・ライトアームスライド30~60をレビュー!
コトブキ工芸のライトスタンド ライトアームスライド 30~60を購入して使用した上でレビューします。総評として、良いところは使い勝手と安全性、悪いところはデザインと言えます。メンテナンスしやすさを重視する人におすすめです。
ちなみに、ライトアームスライドはこちらでレビューしています。興味のある人は併せて読んでみてください。
紫外線ライト:ZOOMED パワーサンUV 100W
紫外線ライトには、ZOOMEDのパワーサンUVを採用します。今回の水槽は60cmワイド水槽であり160Wはオーバースペックなので、100Wの方を選択しました。
これまではずっとUVB蛍光灯を使っており、特に「ビバリウムグロー」にはある程度満足はしていたものの、飼育している亀があまりバスキングをしたがらない傾向があり、より飼育環境を充実させてやる目的で蛍光灯よりも高性能な紫外線ライトである水銀灯を採用しました。
メタハラを買うかもかなり迷いましたが、コスト面とデザイン的に気に入るものがなかったこと、そしてプログラムタイマーで管理する上でメタハラ特有の突入電力対策が難しそうだったことなどの理由で、採用には至りませんでした。
水銀灯ならハイパーサンかパワーサンUVのほぼ2択になりますが、ハイパーサンは色味が好きになれなかったため、パワーサンUVを選びました。
紫外線ライト用灯具:エキゾテラ ライトドーム 18cm
パワーサンUVを装着する灯具には、エキゾテラのライトドーム(18cm)を採用しています。ライトがZOOMEDなので、同じメーカーの「クランプソケット」あたりを考えましたが、光沢のある質感が好きになれず、落ち着いたマットブラックのエキゾテラのライトドームの採用に至りました。
ヒーター:ビバリア エミート NEO CL 60W
ヒーターには、以前から使っており使い慣れているエミートNEO CLを採用しました。まあ、以前から使っていたものをそのまま使っているだけなので、流用したといったほうが正確かもしれません。
ミズガメの飼育で使用することを考えると、やはり多少水滴が付いたくらいでは壊れないセラミックヒーターのほうが白熱電球よりも扱いやすい、というのがK-kiの考えです。
ヒーター用灯具:カミハタ クリップスタンド テラ
エミートNEOの灯具には、カミハタのクリップスタンド テラを採用しました。正直これは消費電力さえ適合すれば何でもいいんですが、デザイン面が他の製品よりも魅力的に感じたので採用しています。
可視光ライト:カミハタ ヴォルテス→ボルクスジャパン Grassy LeDio RX122 Fresh
上記までのシステム構成だと、可視光線を出すライトはパワーサンUVのみです。決して暗くはないですが、どうしてもスポット的な明かりなので、水槽全体で見ると光が足りない部分が出てきます。この水槽では多少ですが植物も育てる予定なので、光量不足はよろしくありません。
そこで、可視光線を補う目的で、カミハタのヴォルテスを使用します。ライトにはスパイラル型の蛍光灯を使用します。
ただ、実際に使ってみると、エキゾテラのライトドームは黒、ヴォルテスは銀と、隣り合った灯具の色合いが全然違って統一感がないのが気になっています。ライトドームを他の製品に変えることはできないので、ヴォルテスをライトドームに交換する可能性が高いです。その際には、多分何かしら良さそうなLEDを購入して装着する可能性が高いです。
2020/12/02 追記
やっぱりヴォルテスは見た目に不統一で気になったのと、明るさ的にも足りていない感じがしたので、ボルクスジャパンの「Grassy LeDio RX122 Fresh」というスポット型LEDに変更しました。見た目の統一感を出すためだけに、灯具としてライトドームを採用しています。
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水槽用LEDライト「グラッシーレディオ RX122」レビュー!
ボルクスジャパンのアクアリウム用LEDライト「グラッシーレディオ RX122」シリーズについて、水草水槽用モデルであるフレッシュを中心にレビューします。高光量・高演色性でスペクトル分布にも優れ、爬虫類飼育にもおすすめできます。
グラッシーレディオについては、こちらのページで詳しく解説しました。実際に使ってみた感じでは、非常に明るく、色味的に観賞性も高いライトです。値段は少々高いですが、かなり満足しているのでおすすめです!
プログラムタイマー・サーモスタット:タイマーサーモ
また、最初の方にも書きましたが、爬虫類飼育における照明・ヒーターの管理には、GEXのタイマーサーモが欠かせません。タイマーとサーモスタットの両方を一つでこなせる上に、温度を時間に応じて変化させる、という設定も可能な非常に便利な道具です。少し高価ではありますが、K-kiの中ではタイマーサーモを使用しない選択肢はありません。それくらい便利なので、使ったことがない人はぜひ使ってみてください。
YouTubeでも爬虫類用ライト・ヒーターの選び方を配信中
今回紹介した水棲カメを始めとし、トカゲなど爬虫類全般に応用できるライトやヒーターの選び方は、YouTubeで動画の形でも配信しています。
このブログでは理屈のところも詳しく解説しましたが、YouTubeではもう少しライトに、要所だけを抑えてサクッと説明しています。爬虫類のライトやヒーターについて気軽に知識をインプットしたいという人は、ぜひYouTubeで動画を見てくださいね。また、このブログで紹介してきたオーバーフロー水槽の作り方も同様に動画にまとめているので、そちらに興味がある人もどうぞ!
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ミズガメ用紫外線ライト・ヒーターの選び方まとめ
今回は、特に水棲亀の飼育を念頭に置いて、爬虫類飼育におけるライト・ヒーターの選び方やおすすめ製品、具体的なシステム構成の例を紹介しました。ライトやヒーターの話は、割と幅広い知識が求められて難しいですが、しっかり理解して飼育生体に良い環境を整えてあげましょう。
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中国製ライトスタンド+ワイヤーで作る水槽用照明システム
中国から個人輸入したアクアリウム用のライトスタンドをレビューします。日本製品にはないデザインでおしゃれですが、多少使いにくいため改造します。ガラスを傷つけないDIY、ライトを吊り下げる高さの調節を可能にするDIYを紹介します。
次回は、今回紹介した照明システムを、実際に作り上げる様子を紹介します。この次も、ぜひ読んでくださいね!
オーバーフロー水槽という観点では多少脇道にそれた話題でしたが、爬虫類飼育において重要な役割を果たす、ライト・ヒーターを使ったシステムを作り上げるために必要となる知識をまとめてみました。K-kiは初心者の頃にこの手の分野で痛い目を見ているので、つい熱が入ってしまいます。何かの役に立てば幸いです。