ミナミヌマエビの特徴と飼い方-繁殖が容易なアクアリウムの人気者

ミナミヌマエビ:Neocaridina denticulata

ミナミヌマエビはアクアリウムにおいてよく飼育されるエビの一種です。「ミナミヌマエビ」という名前は種の一つ下の亜種という区分に対して与えられた名前で、種としてはNeocaridina denticulataとされます。

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ミナミヌマエビは日本固有の亜種で、アクアリウムでは主にコケ取り生体として利用され、多くの人が飼育したことがあると思います。繁殖も容易で愛着がわきやすいエビです。

ミナミヌマエビとは

和名・流通名 ミナミヌマエビ
学名 Neocaridina denticulata denticulata
英名 Freshwater shrimp
分類 十脚目(エビ目)ヌマエビ科カワリヌマエビ属
原産地 日本
飼い易さ ★★★★★
値段(1匹) 100円程度
最大体長 2~3cm程度
寿命 1年程度
遊泳層 底層
生息環境 流れが緩やかで水草の生い茂った川や池
適合する水質 水温:5~32℃程度
pH5~8.5
特徴 体色は色合いや透明度、模様も様々で多様だが、若い個体やオスは体色が薄く、成熟したメスは濃い体色のものが多い傾向にある。

ミナミヌマエビはNeocaridina denticulataの基亜種で日本固有亜種です。静岡県焼津市(または沼津市)~琵琶湖以南の本州・九州に生息しています。京都府には生息し、福井県には生息していないとの情報もあります。

他の亜種には中国南部原産のシナヌマエビなどがいます。近年国内で外来亜種が定着し、遺伝子汚染が危惧されています。

形態

体長はおよそ20~30mm程度。オスよりもメスのほうが大型ですが、大きなメスでも30mm程度と、アクアリウムで同じような用途で利用されるヤマトヌマエビと比較すると小型です。

体色はかなり透明度が高い個体から黒ずんだ個体、赤・青・黄などの色味が掛かった個体など幅広いですが、若い個体やオスは体色が薄く、成熟したメスは濃い体色のものが多い傾向にあります。背部に太い線が入ったり、全身に斑模様・縞模様が入ったりする個体もいて、多様な姿をみせてくれます。このような体色の傾向を固定化した改良品種も多数存在しています。

シナヌマエビとの見分け方

ミナミヌマエビは中国南部原産の亜種シナヌマエビとよく似ていて、アクアリウムではシナヌマエビがミナミヌマエビという名称で販売されることもあり、混同されている場合が多々あります。これら2つの亜種は、頭部の先端・目と目の間にある額角(下の画像参照)という部分の長さで見分けるのが一般的です。

シナヌマエビとミナミヌマエビの見分け方
Neocaridina heteropoda var. Red / Joel Carnat

上の写真はミナミヌマエビやシナヌマエビと同属のチェリーシュリンプですが、これを例に見分け方を説明します。ミナミヌマエビはシナヌマエビに比べ額角が大きいのが特徴で、上の図の第一触覚柄部の線よりも額角が長いです。それに対しシナヌマエビは額角が小さく、上の図の第一触覚柄部の線よりも短くなります。

実際のところ日本でミナミヌマエビとして販売されているものは、ほぼ全てシナヌマエビだとも言われています。

生態

流れのゆるい川や池の水草が多い場所に生息し、一生を淡水域で過ごす陸封型のエビです。食性は雑食性で生き物の死骸、藻類、デトリタスなど何でも食べるため、アクアリウムでは水槽の掃除屋としての役割を与えられることが多いです。

自然下では春から夏にかけて繁殖し、メスが1mmほどの卵を50~100個ほど産卵、孵化するまで腹部の下に抱えて守ります。メスが身の危険を感じ、脱皮をするなどで卵がメスの体から離れてしまうと孵化しなくなります。これはメスが新鮮な水を卵に送るなど、手厚く世話をしているからこそ孵化できるということでしょう。

ミナミヌマエビの卵は「大型卵」というタイプで、幼生期を卵の中で過ごし生まれるときには既にエビの形をして生まれます。エビの中にはこのようにエビの形で生まれずに、「ゾエア」と呼ばれる幼生の状態で生まれ脱皮を繰り返してエビの形に変化するタイプも多くいます。

生まれた稚エビは海へと移動せず淡水中で成長するのですが、これが陸封型と呼ばれるミナミヌマエビの特徴です。この特徴により飼育下での繁殖が容易で、アクアリウムで親しまれる一因となっています。寿命はおよそ1年程度とされています。

分布

ミナミヌマエビの属する種であるNeocaridina denticulataは、日本・台湾・朝鮮半島・中国に多くの亜種が分布しています。

ミナミヌマエビは日本固有亜種なので、日本国内にしか生息していません。国内でも分布しているのは静岡県焼津市(または沼津市)~琵琶湖以南の本州・九州のみです(京都府には生息し、福井県には生息していないらしいです)。ですが近年は、釣り餌として利用されたものの一部が捨てられてそのまま定着し、日本各地で分布を広げています。

飼育

ミナミヌマエビは日本原産ということもあり、日本の気候によく適応していて飼いやすいエビと言えます。多少のコケ取り能力もあり、水槽内で簡単に増えて愛着も湧きやすいことからアクアリウムで飼育されることも多いです。以下で具体的な飼育方法を紹介していきます。

入手

ミナミヌマエビは観賞魚を扱っているようなペットショップで購入することができます。インターネット通販での購入も可能です。

飼育するため以外にも、ペットショップで活き餌として販売されていたり、釣具店で釣り餌として販売されていたりします。しかしこれらの販売方法では、ミナミヌマエビとは見た目も性質もかなり異なるスジエビなどが混ざっていることがあるので注意が必要です。

また飼育用の生体として販売されている場合でも、「ミナミヌマエビ」という名称で「シナヌマエビ」などの大陸産の亜種が販売されている場合がほとんどで、日本固有亜種のミナミヌマエビを入手するのは意外に難しいです。ミナミヌマエビ本来の生息地で捕獲するのが一番確実な方法とされています。

飼い方

ミナミヌマエビは様々な環境に適応することができ、アクアリウムやビオトープなどで飼育されます。

水質

ミナミヌマエビは水質にうるさくなく、水温は5℃~32℃程度、pH5~8.5程度で生存可能です。しかしあまり極端な環境下では状態が悪くなり、水温22〜27℃、pH7.0付近が適切な水質と言えます。また、多少硬度のある水(中程度の硬水)だとさらに良いです。

水質の適応範囲は広いですが急激な水質変化には弱いため、水換えや導入時の水合わせには注意して下さい。

エサ

ミナミヌマエビに餌を与えなくても、他の魚等のエサの余りや水槽に生えた藻類を食べるので問題ありません。ミナミヌマエビのためにエサを与えるのであれば、市販のエビ用の人工飼料やゆでたほうれん草などを与えるとよく食べます。

混泳

多くの生物との混泳が可能です。ミナミヌマエビが他の生物に危害を与えることはほとんどありません。しかしミナミヌマエビが小型なので捕食されやすく、ミナミヌマエビを口の中に入れることができるサイズの生物には捕食される可能性が高いです。

繁殖スピードがそこそこ早いので、多少食べられても増える数のほうが多いという状況を作り出せば多く生き物と混泳できます。ウィローモスなど隠れ家になる場所があればさらに生存率が上がります。

メダカなどの小型魚やドジョウなど肉食性の低い魚との混泳が一番安心な組み合わせです。

水草水槽での役割

水草水槽では、コケ取りなどの役目を期待されたタンクメイトとして利用されることが多いです。コケだけではなく、水草の枯れ葉や切れ端、魚の死骸なども食べるので、汚れの分解に貢献してくれます。同じくコケとり生体として利用されるヤマトヌマエビに比べると、小型なためにコケとりの能力は劣ります。

水槽内での繁殖が容易なため、数を増やすことでコケ取り能力の向上が期待できますが、それ考慮してもヤマトヌマエビの方がコケ取り生体としては能力が高いと言えます。ただしヤマトヌマエビは大食漢で、コケがなくなると水草を食害することも多いため、そのようなリスクが少ない点ではミナミヌマエビにも価値があります。

コケ取り能力+ヤマトヌマエビにはない繁殖の楽しみなど込みで導入するのがよいでしょう。

楽しみ方

体色がバリエーションに富んでいて、環境などの要因によっても色彩が変化するため、お気に入りの色をしたミナミヌマエビを探したり、自分好みの色のミナミヌマエビが生まれる方法を考えたりといった楽しみ方があります。また、アクアリウムで飼育される生体の中でも繁殖がかなり容易な生物なので、親・子・孫と殖やしていく楽しみも体験することができます。

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繁殖

ミナミヌマエビの繁殖
Neocaridina cf. zhangjiajiensis sp. white / Joel Carnat

ミナミヌマエビは適切な水温と雌雄が揃っていれば季節を問わず容易に繁殖します。購入直後は体力が無かったり環境に慣れていないためになかなか抱卵しませんが、導入後1ヶ月もすると徐々にメスがお腹に卵を抱えるようになってきます。

十分に成熟したオスは、メスと交尾する前に水槽の中を慌ただしく動きまわることがあり、その様子は「抱卵の舞」などと呼ばれています。ミナミヌマエビの抱卵には新月のタイミングなどが関係していると主張している人もいますが、関連性は定かではありません。

メスが卵を産んでから稚エビが生まれるまでは25~30日程度と言われていますが、これには水温も関係しています。水温×日数の値がおおよそ620位になると稚エビが生まれるとも言われています(積算温度620℃)。例えば水温20℃なら、20×31=620 なので、31日程度で孵化すると考えられます。もちろんこれは大雑把な目安で、水温が10度なら62日で生まれるというわけではありません。あまりに低い水温では稚エビは生まれないでしょう。

生まれたばかりの稚エビは小さく他の生き物に捕食されやすいので、ウィローモスなどの水草や流木、石など隠れ家になる場所を多く作るようにします。フィルターに吸い込まれることもあるので、稚魚吸い込み防止のスポンジなども利用すると便利です。

ミナミヌマエビを産卵・繁殖させよう:爆殖のコツと必要・不要なもの
アクアリウム水槽のコケ取り生体として人気の高いミナミヌマエビに、高いコケ取り能力を発揮してもらうために産卵・繁殖させて数を殖やす方法を紹介します。K-kiの経験に基づき、ミナミヌマエビの繁殖に有利な環境、避けたほうが良いものをまとめます。ぜひ爆殖をめざしましょう。

なお、ミナミヌマエビの繁殖についてはこちらのページでさらに詳細な方法とコツなどを解説しています。あわせて読んでみてくださいね。

アクアリウム以外の利用

アクアリウムで飼育される印象の強いミナミヌマエビですが、それ以外の場面でも人間との関わりがあります。

釣り餌

ミナミヌマエビは「タエビ」、「ブツエビ」といった名前で釣り餌としても利用されます。その際にはスジエビなどの他の種類のエビとまとめて販売されていることが多いです。

このような釣り餌として購入されたミナミヌマエビが余った時に、川などに逃してしまうと本来の生息地ではない場所に定着してしまう恐れがあります。もともとミナミヌマエビが生息していた場所でも、地域によって遺伝的な差があり、別の地域のミナミヌマエビを放すことは遺伝子汚染につながります。釣り餌と購入したミナミヌマエビは逃さずに処分して下さい。

保全状況

外来亜種であるシナヌマエビやシナヌマエビとミナミヌマエビ交雑種の侵食により、純粋なミナミヌマエビは減少しています。各都道府県のレッドデータブックによると、滋賀県で絶滅危惧I類、愛媛県・鹿児島県で準絶滅危惧種に指定されています。

これらのレッドデータがどれほど現実に沿っているかは分かりませんが、ミナミヌマエビの生息数が減少していることは確実です。

参考サイト

参考ミナミヌマエビ – Wikipedia
参考ミナミヌマエビとシナヌマエビの見分け方
参考北海道ブルーリスト

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