アクアリウム 水槽用ろ過フィルター ろ過・水質管理

底面フィルターの使い方とおすすめ製品!ソイルや砂利との相性まとめ

2015/02/08

底面フィルター ボトムインフィルター コトブキ工芸

当サイト「AquaTurtlium」では、「ろ過の原理・仕組みと利用方法」という連載でアクアリウムで重要な役割を果たす濾過について、その原理や仕組みを解説しています。この連載の前回の記事では、以下の通りろ過フィルターに使用するろ材について解説しました。

エーハイムのリングろ材
水槽用ろ材まとめ!種類・選び方やろ過フィルターとの相性

ろ過フィルターを使用する上で欠かせないろ材について解説します。セラミックろ材、スポンジろ材、バイオボール、活性炭、ウールマットなど、物理ろ過・生物ろ過・吸着ろ過のそれぞれに適した濾材やメンテナンス方法を紹介しています。

この記事の中でも、底面フィルターについては簡単に触れました。底砂をそのまま濾材として使用してしまうという、他のフィルターとは一味違うろ過フィルターです。そんな底面フィルターには、他のろ過フィルターにはないメリットもデメリットも有ります。

今回の記事では、安価かつ高性能なために初心者から上級者まで幅広く利用されている底面フィルターについて、これまでの記事では説明しきれなかったような深い部分にまで掘り下げた解説をしていきます。底面ろ過の仕組みや種類から、底面フィルターの使い方、掃除のしかたやソイルなどの底床別の相性まで、幅広い内容を取り上げます。

底面フィルターとは

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底面フィルターとは、その名の通り水槽の底面に敷いて使うタイプのろ過フィルターです。底面フィルターの上に底床を敷き、エアーポンプや水中ポンプなどを使って底面フィルターの上の底砂に水を通します。それによって底砂にろ過バクテリアを住み着かせ、底砂を濾材のように使用してろ過を行います。

アクアリウムにおける水槽内の有機物サイクル
生物濾過と硝化バクテリアの働きまとめ!アクアリウム水槽管理の基礎

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底砂全体をろ材として使うため、他のろ過方式よりも多くのろ材を使用することになり、ろ過能力は高くなる傾向にあります。例えば60cm規格水槽(5mm厚ガラス)で底砂を3cm敷いたとすると、底砂の量はおよそ5リットルです。60cm水槽によく使用される外部フィルターの中でも評判の良い、エーハイム クラシックフィルター2213のろ材容量はカタログスペックで3リットル、実際にはもう少し少ないと言われていますから、ろ材容量という面では底面フィルターはかなり有利だと分かりますね。

また底床に水を回すため底床内に止水域ができにくく、硫化水素などを発生させる嫌気性バクテリアの活動も抑えられます。

しかし水槽の底には糞やエサの食べ残し、デトリタスなどが溜まっていくため、長期的な使用では汚れが蓄積するので定期的なリセットが必要だったり、底床内に水を回すため栄養分を保持しにくく水草の育成に向かないなどの短所も有ります。底面フィルターの特徴をまとめると、以下の様なレーダーチャートで表せます。

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以下でこのようなレーダーチャートになる理由を含め、底面フィルターを使うメリット・デメリットと、水槽環境ごとに底面フィルターとの相性の善し悪しを解説します。

メリット

底面ろ過には様々なメリットがあります。その中でも代表的なものを紹介していきます。

ろ過能力が高い

上にも書きましたが、底面フィルターでは底床を濾材にしてしまうため、濾材を大量に使用するのと同じになりろ過能力が高くなります。また水の循環をエアーポンプによって行うことも多く、その場合にはたくさんの酸素が供給されるためろ過バクテリアの働きが活性化し、ろ過能力がさらに高くなります。

低コストで使用できる

底面フィルター自体は底床に水を通すための「すのこ」のような役割をするだけの単純なものなので、他のフィルターと比べてかなり安価に入手できます。基本的に底面フィルターとして販売されているのはプラスチックのすのこのようなもの単体で、使用するためにはそれ以外にも底砂やエアーポンプなどを揃える必要がありますが、それを含めても十分に安価と言えます。

前回の記事でも書いたように、外部フィルター等では濾材としてセラミック製のリングろ材なんかを使用するとなると濾材だけでも結構なお金がかかってしまします。底面フィルターで用いる底床は、ものにもよりますが例えば大磯砂なら10kg1000円程度で手に入るので、ろ材の面でも格安と言えます。

拡張性が高い

底面フィルターは外部フィルター・上部フィルター・外掛けフィルターなどと組み合わせての使用も可能です。ただし「底面直結」と呼ばれるような、外部フィルターや上部フィルターの排水を直接底面フィルターに流し込む方法は、フィルターに流れ込む水の溶存酸素量が少なくなったり、目詰まりの影響を受けやすくなったりとろ過効率という面ではあまり優れた方法ではありません。

また、水槽の上部が開放されるので、そこに照明をたくさん載せられるなど、他のアクアリウム用品とも組み合わせて使用できる拡張性の高いフィルターです。

デメリット

底面フィルターのメリットを紹介しましたが、もちろんメリットだけでなくデメリットも有ります。デメリットまでしっかり把握した上で、使用するかどうかを決めてください。

メンテナンス性が低い

底面フィルターでは水槽の底部にフィルターとろ材が敷き詰めてあることになります。これはつまり、何もしなくてもフィルターとろ材の部分にゴミがどんどん溜まっていき、汚れが蓄積することを意味します。

さらに底面フィルターではエアーポンプや水中ポンプの力を使って、底砂に積極的に水を通しています。通常よりも底砂への通水があるため、ゴミが水流に乗って底床を通ることも多くなり、より一層ゴミが溜まりやすくなります。

そして他のフィルターのように濾材を取り出して洗って戻す、という作業も容易では無い(底床を出して入れなおしたらもはや水槽のリセットです)ので、メンテナンスという点では数ある水槽用の濾過フィルターの中でもピカイチの面倒さです。そして仮にこまめに掃除をしていたとしても完全とは行かないので、定期的にリセットが必要になってくるのも難点です。

水草育成に不利

多くの水草は根から養分を吸収します。そのため水草を育成するときには、水草が植えてある底床がしっかりと肥料を保持している必要があります。

しかし底面フィルターを使用する場合には底床に積極的に水を回すため、肥料分も水流に乗ってどんどんと流出していってしまいます。すると、どうしても水草を育成するのには肥料不足になりやすいです。また、肥料分が水中に溶け出しすぎると、水が富栄養化してコケ発生の原因にもなりえます。

もし水草が上手く育ったとしても、根が底面フィルターに絡みついてしまうので抜いたり差し戻したりがやりにくいです。これらの理由から、底面フィルターと水草は相性が悪いです。

ただし、底床に植えずに流木などに活着させる陰性水草などについてはこの問題は発生しないため、問題なく育てられます。底面フィルターを使用した水槽で水草を育てたいのなら、陰性水草レイアウトを目指すと良いでしょう。

底面フィルターと相性の良い水槽環境

底面フィルターはろ過能力の高さやコストの低さを活かせ、メンテナンスの大変さがあまり気にならないような水槽との相性が良いです。以下で具体的なアクアリウムのタイプ例を紹介します。

アクアリウムの種類まとめ-水草水槽からアロワナやビオトープまで

アクアリウムには実は様々な種類があります。ネイチャーアクアリウムのようなレイアウトに拘る水草水槽、アロワナなど大型魚の飼育水槽、淡水水槽や海水水槽、大型水槽、小型水槽など様々です。そんなアクアリウムの種類をまとめます。

アクアリウムには他にも様々な種類があるので、興味のある方はこちらのページも読んでみてくださいね。

稚魚飼育水槽

底面フィルターはろ過能力が高いため、稚魚のように水質に敏感な生体の飼育に適しています。また底面フィルターではフィルター内部に稚魚が吸い込まれる心配がない点も相性が良いポイントです。

エビ(シュリンプ)水槽

ビーシュリンプのようなエビの仲間も、水質に敏感なためろ過能力の高い底面フィルターとの相性が良いです。この場合底床には吸着系のソイルを使用し、さらに水質を安定させた環境を目指す場合が多いです。

60cm以下の水槽

底面フィルターはメンテナンスが大変なので、掃除がさらに大変になる大型の水槽には向きません。60cm程度の水槽までならプロホースなどを使っての掃除もなんとかやる気になりますが、90cm以上だと結構大変でメンテナンスが嫌になりさぼりがちになってしまう可能性があります。

アクアリウムでは長期維持を実現するために、日常のメンテナンスがしやすい環境を作るのがとても重要ですから、メンテナンス性まで考えて水槽サイズと使用する濾過装置を選ぶのが良いと思います。

底面フィルターと相性の悪い水槽環境

メンテナンスが大変な環境や、水草との相性は悪いため、そのような環境には底面フィルターは向きません。

水草水槽

上にも書いたように、底面フィルターは底床中の肥料分を流出させてしまうため水草水槽との相性は悪いです。底床内にフィルターが敷設されていると、根張りや水草を増やすための挿し直しなどの邪魔になる点もマイナスです。

ウィローモス、アヌビアス、ミクロソリウムといった活着性の陰性水草を主体としたレイアウトなら、水草の肥料要求量が少なく、底床にも根を張らないため、相性は悪くありません。実際にビーシュリンプの飼育水槽などでは、「底面フィルター+吸着系ソイル+流木+南米ウィローモス」みたいな組み合わせが王道の水槽となっています。

大型水槽

底面フィルターを使用しているとどうしても底砂内部にゴミが溜まっていくので、定期的に底砂内の汚れを取り除くために掃除をする必要があります。その作業は水槽の底面積に比例して大変になっていきます。

あまり苦労なく掃除できるのは60cm水槽くらいまでで、90cm以上の水槽になると恐らく結構骨が折れる作業に鳴ってしまいます。日常のメンテンナンスが大変だとアクアリウムに対するモチベーションも下がりやすいので、大型の水槽では底面フィルターを使用しない方が良いと思います。

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底面ろ過の仕組みと種類

底面フィルターのように、底床材を濾材として利用して行うろ過方法を「底面ろ過」と呼びます。底面ろ過は水の循環のさせ方により、いくつかの種類に分けられます。種類によって得意・不得意もあるので、実際に使用する環境に合わせたろ過方法を選んでください。以下で底面ろ過の種類を紹介していきます。

吸い込み式

底面フィルター吸い込み式

吸い込み式とは、上の画像のように底面フィルター全体から水を吸い込み、パイプ部分から排出していくタイプの濾過方法です。底面ろ過の中ではスタンダードな方法で、普通はこの吸い込み式でろ過を行います。

これとは反対の方法に、「吹き上げ式」があります。水を循環させる動力源により、さらに「エアリフト式(エアーポンプ式)」と「水中ポンプ式」に分類されます。

エアリフト式(エアーポンプ式)

エアリフト式は、エアーポンプによって底面フィルターから伸びているパイプ部分に空気を送り込み、その上昇圧によって水を循環させます。パイプの中を空気が上へと登っていくわけですが、その時に水も巻き込んで一緒にパイプ上部から排出するので、その分の水が底面プレートから吸い込まれるという仕組みです。

適度に水が循環するためにはある、程度の出力(吐出量)を持ったエアーポンプが必要になります。エアーポンプには「○○cm水槽用」等と書いてあるので、それも参考にして購入してください。また、エアーポンプを使って底面フィルターを駆動する場合は、吸込み式しか利用できません(エアーポンプでは水を吐き出すことはできないため)。

水中ポンプ式

水中ポンプ式はその名の通り、水中ポンプによって底面フィルターを駆動させる方法です。エアリフト式と比べて水流を強くしやすく音も静かというメリットが有りますが、酸素の供給量では劣ります。また、底砂がインペラー部に噛み込まれる事故が起きる場合があるため、使用する際にはウールマット等を使ってポンプに底砂が吸い込まれるのを防止するフィルターのようなものを作り、底砂もなるべく粒の粗いものを使用します。

吹き上げ式

底面フィルター吹き上げ式

吸い込み式とは逆に、パイプ部分から水を送り込んで底面プレートから排出していくタイプのろ過方法です。このタイプの底面ろ過を行うとためには、水中ポンプを使って底面フィルターを駆動する必要があります。

この方法を使おうと思う動機は、十中八九「底面から水を吹き上げれば底砂にゴミが溜まらないんじゃないか」という発想に基づいたものだと思います。しかし、私のように実際にやってみると分かりますが、そのような効果はかなり弱いです。

底面に敷き詰められた底砂の間からゴミを吹き飛ばすためには、かなり強めの水流が必要になります。アクアリウム用の水中ポンプでその水流を作ろうと思うと、水槽サイズに対してかなり強力なポンプを使用しないといけません。というわけで、吹き上げ式ならゴミがたまらないっていうのはちょっと現実的ではないイメージだと思います。

以前吹き上げ式の底面フィルターを使用していた私としては、あまりこの方法で底面フィルターを利用する意味って無いんじゃないかなーと思っています。まあ別にデメリットも大してないので、好みといえばそれまでなんですがね(笑)。

直結式

底面フィルターを外部フィルターや上部フィルター、外掛けフィルターなどと連結して使用する方法です。フィルターの駆動力は、連結するフィルターのポンプに頼ることになります。

水槽内の配管や電源コードなどの配線が多少少なくて住むというメリットは有りますが、ろ過能力という点ではあまり良い効果が得られるものではないと思います。もともと外部フィルターや上部フィルターを使用するために用意されていたポンプに底面フィルターまで稼働させるとなると、かなり負担がかかりますし水流も弱くなります。それなら底面フィルターと他のフィルターを独立で稼働させた方がまだろ過効率・能力共に高くなるんじゃないかと思います。

実際のところ、よほど過密に生体を飼育している水槽でもなければ複数のフィルターを使う必要なんて無くて、底面フィルターだけでも十分なろ過能力が得られるはずです。フィルターを連結させるのであれば、それが本当に必要かどうかもよく考えてみた方が良いかもしれません。

底面フィルターの使い方

次は底面フィルターの使い方を紹介していきます。と言っても基本的には水槽の底面にフィルターを敷き、その上に底砂をのせてエアーポンプや水中ポンプで水を循環させるだけです。ただし使用に際しては細かいコツのようなものが幾つかあるので、ここではそのコツを具体的に説明します。

設置方法

まずは設置方法です。こちらの過去記事で底面フィルターを設置している様子がまとめられているので、そちらも読んでみてください。この記事を書いた時には私もまだまだ経験不足だったので、あまり参考にはならないかもしれませんが…。

90cmカメ水槽を再立ち上げ(半リセット)
90cm水槽再立ち上げ!流木と風山石で引越し後の新レイアウト

以前引越しをしたのですが、その後の水槽再立ち上げ(リセット)の様子と、出来上がった水槽レイアウトの紹介をします。亀の飼育水槽なのでレイアウトに制限がありますが、流木と風山石を使いできるだけ美しい水景を目指し制作しました。

底面全体にフィルターを設置する必要はない

上のリンクでは底面のかなり広い範囲に底面フィルターを設置していますが、必ずしもそうする必要はありません。大体底面積の半分程度に敷き詰めておけば、底面フィルターが敷かれていない部分にも水流が発生して濾過としては機能すると言われています。普通の使用の範囲であれば、底面フィルターは底面積の半分程度を目安に敷けば十分だと私も思います。

詰まり防止に網戸用のネットがおすすめ

すのこのような形をしている底面フィルターの内部に底砂がどんどん入り込んでしまうと、水流を殺してしまいろ過能力にも影響が出てくると思われます。普通に使用しているのであればまあ問題は起こらないのですが、気になる人は念には念をということで底面フィルター内部に底砂が入らないようにウールマットであらかじめフィルターを覆っておく場合があります。

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このような場合には、個人的には水流を弱めやすいウールマットよりも、通水性の良いネット系の素材がおすすめです。ウールマットは繊維が細かいので、目が詰まって嫌気域を作るってしまいがちですし、リセットする際に取り除くのもちょっと面倒になりますから、そういた多面でもネット系素材の方が良いでしょう。中でも網戸用の防虫ネットが特に適しています。

底面フィルターの内部に底砂が入ってしまうのが気になる人は、是非試してみてください。

底砂の厚み

底面フィルターを利用する際に底砂をどのくらいの厚みで敷くかについて悩むこともあるかもしれません。あまり薄く敷くと濾材が少ないということになるのでろ過能力が不足しますし、厚く敷きすぎると底床内が嫌気的になって生体に有毒な物質が発生してしまうこともあります。

一般的には、底砂の厚さはおよそ5cm程度が良いと言われています。このくらいの厚さであれば、毒性のある物質を発生させる恐れのある嫌気性バクテリアもほとんど活動しないので、安心して底面ろ過を行うことができます。

底砂別の相性

底砂は濾材となるわけですから、底面フィルターにとっては欠かせないものです。とは言っても底砂にもいろいろな種類がありますし、どれを使えば良いか悩んでしまいますよね。ここでは底砂の種類別に底面ろ過との相性をまとめてみます。

アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!

アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。

なお、底砂についてはこちらのページに詳しくまとめられています。底砂の違いや特徴が分からないという人は、こちらにも目を通してみるとよりわかりやすいと思います。また、水槽環境ごとに適した底砂を紹介しているので、水槽の新規立ち上げを検討している人にも役立つはずです。

砂利系底床

砂利系底床とは、大磯砂や川砂利のような底砂のことです。底面フィルターに使用する底砂と言えば、まずこのタイプの底砂が候補になると思います。端的に言うと、底面フィルターとの相性はとても良いです。

大磯砂とミナミヌマエビ
大磯砂の活用:底面フィルター・水草水槽との相性や酸処理

アクアリウム水槽の底砂に利用される大磯砂について解説します。大磯砂は安価で半永久的に使用でき、通水性の良い底砂で、底面フィルターと相性が良いです。一方、貝殻を含むため水質をアルカリ性に傾けやすく、酸処理をしたほうが良い場合もあります。工夫すれば水草育成も可能です。

まず、粒の大きさがちょうどよいという点が砂利系底床のメリットです。粒が小さすぎても底面フィルター内部に底砂が入りこんで水流が落ちろ過能力が低下しますし、粒が大きすぎてもろ過バクテリアがあまりたくさん繁殖できません。大磯砂くらいの、いわゆる砂利サイズの底砂が底面フィルターには最適です。

また、砂利であり粒が固いため、メンテナンスなどで掻きまわしても潰れたり崩れたりしてしまわないので、半永久的に使用できるのも長所です。値段の安い底砂という点も良いところですね。

砂系底床

田砂や化粧砂のような細かな砂です。このタイプの底砂は、底面フィルターの通水用のスリットの間をすり抜けて底面フィルター内部に入り込んでしまいます。すると、上手く水を回すことができず、底面ろ過が働くなってしまいます。このため、通常底面フィルターでは使用しません。

水槽の底砂「田砂」-コリドラスなどの底物にオススメ!

涼しげな雰囲気を醸し出すアクアリウム用の底砂「田砂」を紹介します。ドジョウやコリドラス等の底物との相性が良く、陰性水草水槽等では頻繁に利用されます。田砂の掃除方法やレイアウトのコツ、底面フィルターとの相性等も紹介します。

設置方法の項目に書いたように、網戸用の防虫ネットを使って底砂の入り込みを防止した上で、目が詰まらないように他の底砂よりも浅めに敷けば底面ろ過にも使用できないこともないと思うのですが、やはり長期間の使用ではだんだんフィルター内部に入り込んでいってしまいそうです。結局、そこまでして使う必要はないという結論に至ってしまいますね。

ソイル

ソイルには、水草の育成を重視して栄養分を豊富に含んでいる「栄養系ソイル」と、栄養分はなるべく少なめにして水質調整能力を重視した「吸着系ソイル」の2種類があります。

底床内部に水流を作るという底面フィルターの特性上、栄養系ソイルはその栄養分が失われやすいため相性が悪いです。一方で吸着系ソイルは、水の通りがよくなるため、より一層水質調整能力・吸着力が増し相性が良いといえます。

底面フィルターで吸着系ソイルが使用される場合は、主にエビなどの水質に敏感な生体を飼育する場合です。特にビーシュリンプの飼育では、「底面フィルター+吸着系ソイル」というのはある種定番の構成となっています。

溶岩石・セラミック系底床など

アクアリウム用の底床には上に挙げたもの以外にも、溶岩石系の底砂(溶岩砂)やセラミック系の底砂等があります。これらの底砂は、粒の大きささえ適切であれば基本的には砂利系の底砂と同じように底面フィルターでも上手く使用できる底砂です。

ただし砂利などよりはややもろく、メンテナンスの際に擦れたりすると少しずつ崩れていってしまうという弱点もあります。

掃除・メンテナンスの方法

底面フィルターを使用していると、だんだん底砂の内部に汚れが溜まっていきます。これは底面ろ過以外のろ過方式でもたまっていくものですが、底面フィルターでは底砂を厚く敷くためより一層汚れが溜まりやすくなります。

この汚れはデトリタスというもので、ろ過バクテリアの住処となってろ過に貢献したり、ドジョウなどのエサになったりするので完全な悪者というわけではないのですが、病原菌の温床となる場合もあるのでやはりあまりにも溜まりすぎるのは良くありません。

チャネル現象

また汚れがたまってくると、「チャネル現象」といって、汚れによって目が詰まった部分を避けるように水の通り道が形成され、その経路部分でだけろ過が有効に機能し、それ以外の部分ではろ過が機能しなくなる、という現象が起こります。

このチャネル現象が起こると、嫌気性バクテリアによって硫化水素などの生体に害のある物質が発生したり、何かの拍子で底砂が巻きあがったときに底床ないにたまった汚れが舞い上がって生体に悪影響を与えたりする場合があります。

これらを防ぐため、底面ろ過では特に日ごろのこまめな掃除が重要になってきます。

掃除の方法

底面フィルターの掃除方法は、基本的にはプロホースなどの底床掃除用の排水ホースを利用して水換えと一緒に行います。底床部分にホースを突き刺しながら水槽の水を排水すると、底砂の中にたまった汚れを水と一緒に排出することができます。

比重の差から底砂は水槽内に残ったままになるため、いちいち水槽から底砂を取り出して洗うというような手間が省けてとても便利です。捨てた水の分だけ水槽に水を足せば、底床掃除兼水換えの完了です。

このような底床掃除用の排水ホースにはいくつかの商品がありますが、水作から販売されている「プロホース」が最もメジャーな製品です。

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水作
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底床掃除の頻度は人によってまちまちで、3ヶ月に1回程度と言う人から半年から1年に1回という人まで幅広いです。水槽の様子を見ながら、底床掃除が必要かどうか判断していくのがよいでしょう。

基本的には大型水槽で水を汚しやすい生体を飼育している場合には、掃除の頻度が高くなる傾向にあります。

おすすめの底面フィルター

底面フィルターにもいろいろな種類があるので、購入時にはどれを買おうかと迷うこともあると思います。製品ごとにどれくらい性能の差があるのかについては定かではありませんが、やはり人気の底面フィルターというものはあります。ここでは比較的評価の高い底面フィルターを3つ紹介します。

コトブキ ボトムボックス

底面フィルターの多くは底側の面が開口されているのに対して、コトブキのボトムボックスは完全な箱型で底面も閉じられています。そのため、底側から底砂がフィルター内に入ってくるのも防げます。このボトムボックスは、以前あった「ボトムインフィルター」のバージョンアップ版です。

ボトムボックスではエアリフトのためのエアーチューブは底面パネルに直接接続できるのでエアストーンが必要ありません。エアストーンを介さないため空気の泡が大きく水流も強めですが、反面ちょっと音がうるさいという短所もあります。

私は以前、旧型のボトムインフィルターを使っていましたが、特に問題を起こすことなく使用できていました。やはり完全な箱型で底砂がフィルター内に入らないところが使いやすかったです。この箱型の構造は特許取得済みなので、フィルター内部に砂が入ってしまって通水性が下がることを避けたいのであれば、ボトムボックスが最良の選択肢と言えるでしょう。

アクアシステム プロジェクトフィルター

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アクアシステムのプロジェクトフィルターは、商品の画像を見ればわかるようにフィルター側が積極的に水の通り道を作ってくれるタイプの底面フィルターです。またこの水の経路はユーザー側がある程度調整することもできます。

水の通る経路が長い分駆動にパワーが必要なので、エアーポンプではなく水中ポンプで使用します(商品にセットになっています)。高性能ですが底面フィルターにしては値段が高いのがネックです。

GEX ハイドロフィルター

底面フィルター内の水の通り道が、葉脈のようになっているフィルターです。底床内の水の通りが良いといわれ人気がありましたが、現在では製造が中止されていて廃番となっています。在庫の残っているお店を探してみると、まだ購入できるところがあるかもしれません。

底面フィルター以外にも様々なろ過フィルターがある!

今回は底面フィルターにスポットを当てて解説しました。しかしアクアリウムに使用されるろ過フィルターには、底面フィルター以外にも様々な種類があります。以下のページを参考に、自分の水槽環境に適したろ過器は何か、もう一度考えてみるのも良いと思いますよ。

水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品

熱帯魚、金魚、亀等を飼育するアクアリウムで必要になる水槽用のろ過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルター等のろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽や、ろ過の原理、ろ過フィルターの種類、ろ材についてもまとめます。

こちらのページでも、底面フィルターの特徴や長所短所、どんな水槽に向いているかなどの情報を紹介しているので、気になる人は合わせて読んでみてくださいね。

K-ki

底面フィルターと底面ろ過について、仕組みや種類から使い方、底床別の相性、掃除・メンテナンスの方法やおすすめ商品などを紹介しました。私はこのフィルターを以前大型水槽で使っていたので、どうしても掃除が大変という部分を強調した紹介になってしまいましたが、小型水槽ではその点もかなりマシになるはずです。生体メインの水槽にはおすすめのろ過フィルターですよ!

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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