オーバーフロー水槽配管(設計編)―ポンプやろ過槽等の用品の選び方

オーバーフロー水槽の配管(設計編)

こんにちは、K-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。今回も60cmワイド水槽オーバーフロー化の様子を紹介します。

スポンサーリンク

前回は穴を開けてオーバーフロー配管用の台座を接着した水槽に、バックスクリーンを貼り付けました。

水槽用バックスクリーンの効果・役割と貼り方を画像と動画で解説!
水槽の背面ガラスにバックスクリーンを貼るメリット・デメリットと、バックスクリーンを貼り付けるために必要な道具、具体的な貼り方を解説します。バックスクリーンを貼ると水槽の見栄えは格段に良くなるため、貼るのをおすすめします。

次はポンプやパイプを接続する配管作業を進めます、と言いたいところですが、配管作業は失敗が許されないのでどのような組み方にするか事前によく考えておかなければなりません。そこで今回は、実際に作業に入る前にこの水槽の配管をどうするかよく検討し、水槽の配管を決定するまでの設計作業の様子をまとめておきます。

オーバーフロー水槽の概要

まずはおさらいとして、オーバーフロー水槽がどのような仕組みであるか一応確認しておきます。

オーバーフロー水槽の大まかな仕組み

この図のように、オーバーフロー水槽システムでは、水槽の下にろ過槽(サンプ)を設置して水槽とろ過槽の間で水を循環させます。特徴をまとめると以下の通りです。

  • ろ過槽の容量が大きく水量が豊富で水質が安定する。
  • ろ過槽に大量のろ材を設置できるためろ過能力が高い。
  • 飼育槽に手を加えずろ過槽だけで水換え可能でメンテナンスしやすい。
  • 水を汲み上げるポンプと上段水槽からの落水音でうるさい。

音がうるさいという弱点はありますが、ろ過能力もメンテナンス性も高いシステムです。そのため、水を汚しやすい大型魚やからシビアな管理が要求されるサンゴまで、多種多様な生体を飼育することができ、アクアリストにとっては憧れのシステムでもあります。

今回この水槽で飼育するメイン生体は、ニホンイシガメです。このサイトを昔から読んでくれている人なら分かるかもしれませんが、以前から飼っている亀の「シカク」に新居を用意してやるのが目的です。また例に漏れず、タンクメイトとして魚やエビを入れた上でレイアウトにもこだわる水槽にする予定です。亀は大食いでかなり水を汚すため、オーバーフロー水槽くらいのろ過能力があったほうが安心して飼育できます。

飼育槽の水位を決める

オーバーフロー水槽配管設計の第一歩は、生体を飼育するための水槽、すなわち飼育槽(水槽台の上に置く水槽)の水位を決めることです。オーバーフロー水槽はその構造上、飼育槽の水位は変化しないので、よく考えて決めましょう。

飼育槽の給水管・排水管の仕様を決める

この項目は、自分で水槽に穴をあけて台座を接着するDIYを行う場合のみ必要です。既製品の場合は給水管・排水管は付属しているか指定されるので、適合するパイプを使用します。決めるのは以下の項目です。

  • 配管のタイプ(二重管、三重管など)
  • 給水管の径
  • 排水管の径
  • 給排水穴の位置

この仕様は、水槽にあける穴の位置・大きさや、接着する台座の種類にも影響します。詳細はそれぞれの作業について解説した以下の記事を参照してください。

オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説
オーバーフロー水槽自作のためにガラス水槽へ穴をあける方法を紹介します。オーバーフローはろ過能力が高くアクアリウムで人気のシステムです。ダイヤモンドコアドリルでの穴のあけ方はもちろん、穴のサイズや位置の決め方も解説します。
オーバーフロー水槽自作!塩ビパイプを配管するための台座を接着する
アクアリウム用オーバーフロー水槽自作のため、ガラス水槽へ給排水管の配管用台座をシリコンシーラントで接着する方法を紹介します。ろ過能力の高いオーバーフローシステムの構築には、水漏れしない台座の接着するが重要です。

結論だけをまとめておくと、水槽サイズと配管及び穴の径は以下の表に従って決めると失敗する可能性を低くできるはずです。

水槽サイズとオーバーフロー配管の太さ・穴径の目安
水槽サイズ 排水管の呼び径 給水管の呼び径 穴径
60cm~90cm水槽 40A 13A 58~60mm
90cm~150cm水槽 50A 16A 70~72mm
150cm水槽~ 65A 16A 89~91mm

今回は横幅60cm×奥行き45cm×高さ45cmの60cmワイド水槽を使用します。表に従って、排水管には40A、給水管には13Aの塩ビ管を採用しました。

水槽台を決める

ろ過槽や配管が収まるか確認するために水槽台は早い段階で決定しておいたほうが良いです。現実的には、水槽台は早めに購入して手元に置いておき、配管が収まるかどうか適宜実寸を測りながら決めるのが手っ取り早いです。

水槽台の選び方・おすすめ製品!デザインの種類と強度計算法
水を入れた水槽はとても重くなるため、水槽を支える水槽台や床には十分な強度(耐荷重)が必要です。また、デザインや機能性、サイズも重要です。アクアリウムを安全に楽しむために大切な水槽台の選び方と、おすすめ製品を紹介します。

水槽台選びはこちらのページを参考にどうぞ。

ろ過槽(サンプ)の仕様を決める

水槽台を決めたら、ろ過槽の仕様を決めます。ろ過槽の仕様で決めなければならないのは主に次のポイントです。

  • 寸法
  • 素材・材質
  • 槽数
  • フタ

寸法

寸法は水槽台の中に置けるように水槽台の内寸よりも小さい(水槽台の中に収まる)ものを選びます。一般的には飼育槽よりも一回り小さいくらいのサイズを選びますね。60cm水槽のろ過槽は45cmサイズ、90cm水槽のろ過槽は60cmサイズといった感じです。自作する場合でも概ねこれくらいのサイズ感にすることが多いです。

素材・材質

地味に重要なのが素材で、塩ビ、アクリル、ガラスなど意外に選択肢が豊富です。割れや腐食に強く、加工性が高い上に素材として安価な塩ビが一般的ですが、既成のガラス水槽を流用した安価なガラス製のろ過槽も市販されていますし、既成のガラス水槽に仕切り板を追加してろ過槽に改造するDIY事例も多く見られます。

実は私もガラス水槽を改造したろ過槽の自作はやったことがありまして、以下のページでその方法を紹介しています。やってみると意外と簡単に作れますよ!

自作オーバーフロー濾過システム!60cm水槽改造濾過槽の自作
オーバーフロー濾過システムで必要になる濾過槽を自作する方法を紹介します。60cm規格水槽を塩ビ板で仕切った3層式濾過槽の作り方を濾過槽の仕組みや詳細な寸法、自作に必要な道具、画像・動画による手順の説明を交えて解説します。

槽数

槽数というのはろ過槽がいくつに仕切られているかという観点です。そもそもろ過槽を仕切る理由は、淡水のアクアリウムに関して言えば、「水の流路を長くしてより多くのろ材に水流(=酸素を多く含む水)が巡るようにするため」です。

オーバーフロー水槽 ろ過槽(サンプ)の仕組み

ろ過槽を仕切る場合、上図のように仕切りの下にすのこを敷いて通水性を確保した部分と、水槽の底まで仕切り板が設置して水が流れないようになっている部分が交互に設置され、結果として水は画像のようにろ過槽を上下に行ったり来たりしながら流れていきます。

こう聞くと仕切りの数は多ければ多いほど流路が長くなって良いように感じられますが、仕切りが細かいと手が入らなくてメンテナンスしにくいため、水流が下→上→下と流れる3槽式(ろ過槽が3つの部屋に仕切られている方式)が一般的です。ろ過槽のサイズが大きくなると、5槽式とかの仕切り数が多いタイプも存在します。

フタ

ろ過槽のフタをどうするかも考えなければいけません。市販品であれば付属することも多いですが、フタが付いていない商品もあります。水の蒸発を押さえたり、水槽台内での水はね・飼育用品の水没を防いだりと、フタはあったほうが便利だと思います。

蒸発・異物混入・飛出し事故を防ぐ!開閉式の水槽フタを自作
熱帯魚・エビの飛び出し事故や飼育水の蒸発、ゴミ等の混入を防ぐ水槽のフタの作り方を紹介します。可動式にする事で、エサやりや掃除などの水槽メンテナンスの際にも邪魔になりません。塩ビ板や蝶番等で簡単に自作できるのでお試しあれ!

過去にろ過槽用のフタを自作したときの様子をまとめた記事です。こちらも参考にしてくださいね。

ウールボックスの仕様を決める

飼育槽から落ちてきた水はろ過槽へ流れ込む前にウールボックスを通過します。ウールボックスの役割は、ウールマットに水を流すことで大きなゴミを濾し取り、ろ過槽内に必要以上にゴミが沈殿するのを防ぐことです。ウールボックスだけを掃除していれば、手のかかるろ過槽の掃除頻度を落とすことができるのが長所です。

ウールボックスにもいくつか種類があります。代表的なものは以下の3つでしょう。

  • 一体型
  • 取り外し型
  • 引き出し型

一体型

一体型のウールボックスは、ろ過槽内にウールボックス部分が作られています。ろ過槽とウールボックスの間に隙間がなく、かつ基本的にはウールボックスをろ過槽内に落とし組む形になっているため、水はね・水漏れが起こりにくいです。海水アクアリウムでは水はねが塩ダレにつながり見た目の悪化・器具の故障を招くため、このタイプのウールボックスがよく採用されます。加工が難しいため価格は高い傾向にあります。

取り外し型

ろ過槽とウールボックスが別々に作られていて分離できるタイプです。ろ過槽にフランジ(縁)を付けておき、その上にウールボックスを置くという構造で、淡水アクアリウムではこちらが使われることが多いです。加工が簡単なので一体型と比べて安価に入手できます。

引き出し型

一体型と取り外し型は、ろ過槽に対してウールボックスをどのように設置するかでの分類でしたが、引き出し型はろ過槽単体の構造に関する分類になります。ウールボックス内のウールを敷く部分を引き出しに加工することで、ウールボックスのフタを取らなくても引き出しを開けるだけでウールを交換できるようにしたすぐれものです。

引き出しのおかげでメンテナンス性が高いですが、作りが複雑なので価格が高くなります。ちなみにK-kiは過去にこのタイプのウールボックスを自作したことがあるので、興味のある人は参考にしてくださいね。

自作オーバーフロー濾過システム!引き出し式ウールボックス
前回の濾過槽の自作に引き続き、ウールボックスの自作方法を解説します。ウールボックスは物理濾過によって水が汚れるのを防ぐオーバーフロー濾過システムでも重要なものです。メンテナンス性向上のため引き出しタイプを自作しました。
Ads by LiveBurst

使用するポンプを決める

ポンプを決める際に考えなければならないのは主に以下の2点です。

  • 水中ポンプ・陸上ポンプの選択
  • ポンプの流量
  • ポンプの揚程

オーバーフロー水槽で利用する揚水ポンプの種別

オーバーフロー水槽でろ過槽から飼育槽に水を汲み上げる際に使用するポンプは、大きく分けて「水中ポンプ」と「陸上ポンプ」の2種類あります。

水中ポンプ

水中ポンプの特徴は以下のとおりです。

  • 配管が簡単
  • 陸上ポンプに比べて安価
  • 流量が小さめのため150cm以上の水槽では使用しにくい

陸上ポンプに比べると小型で流量が小さいのが特徴で、主として120cmくらいまでの水槽で使用されます。ろ過槽のポンプ室に放り込んでしまえば、配管作業はポンプと給水の塩ビ管をホースで繋ぐ程度なので、とても簡単です。また、ポンプが水中にあるため水漏れのリスクが小さいのも長所です。

水中ポンプで能力的に不足がないのであれば、水中ポンプを選択するのが一般的です。

陸上ポンプ(マグネットポンプ)

created by Rinker
¥23,773 (2019/12/05 22:09:23時点 楽天市場調べ-詳細)

陸上ポンプの特徴は以下のとおりです。

  • 流量が大きく150cm以上・接続機器の多い水槽でも使用できる
  • 配管が難しい
  • 陸上ポンプに比べて高価

陸上ポンプは別名マグネットポンプとも呼ばれ、水中ポンプに比べると流量が大きくより大型の水槽に向いているのが特徴です。また、クーラーや殺菌灯などに水を循環させるためにはどうしてもパワーが必要なため、接続機器の多い水槽にも水中ポンプよりマグネットポンプのほうが向いています。

流量が高い、すなわちポンプとしての性能が良いため、価格的にはどうしても水中ポンプよりは高価になります。また、マグネットポンプを接続するためにはろ過槽に「ソケット」と呼ばれるポンプを接続するための配管パーツが接着ついている必要があります。

アクアリウムでのポンプ流量の決め方

オーバーフロー水槽のポンプ選びに限らず、ろ過フィルターを選ぶときは流量を目安にします。流量は、水槽全体の水が1時間に何回ろ過装置を通るか、つまり「濾過の回転数=流量 [L/h]÷水槽全体の水量 [L]」がどの程度になるか、という観点で決めます。一般的には、ろ過フィルターの流量は回転数が5~10回転程度、特に7回転あたりを目安に選んでおけば、ろ過バクテリアの働きで問題なくきれいな水を維持できるとされています。

例として、90cm規格水槽(水量約180L)を飼育槽に、60cm規格水槽(水量約60L)をろ過槽にする場合、全体の流量は約240Lです。このシステムで1時間あたり7回転させるための流量は、240×7=1680L/hという計算になります。このような計算に基づきポンプの流量を選択ししょう。

ポンプ揚程の考慮

ポンプはろ過槽の水を飼育槽に汲み上げるために使いますが、この際に組み上げる高さが高ければ高いほどパワーを必要とします。また、水を汲み上げるのにパワーを使うと流量は低下してしまいます。

前の項目で計算した流量は、厳密には水を汲み上げることによる流量低下を加味した上で実現する必要があります。揚程による流量の低下度合いは、ポンプの説明書や箱の裏に記載されていることが多いです。揚程による流量低下も考慮した上で、必要な流量を実現できるポンプを選びましょう。

ストレートピストル/エルボピストルを選択する

オーバーフロー水槽で「ピストル」というのは、水槽にあけた1つの穴で、水槽からの排水とろ過槽からの給水を同時に行えるようにするための配管パーツです。太い塩ビ管の中に細い塩ビ管を通せるようにしたもので、太い管が水槽からの排水、細い管がろ過槽からの給水を行います。

このピストルには大きく分けて以下の2種類があります。

  • ストレートピストル
  • エルボピストル

ストレートピストル

ストレートピストルは、真っ直ぐな排水管の中に給水管を通しているタイプのピストルです。以下のような特徴があります。

ストレートピストルでは排水側の配管を短くできるため、水槽台内にパイプを吊る等の加工が不要になる。

排水側のパイプは太くて重いため、長くなると自重で揺れるなどによって破損する可能性があります。それを防ぐため、配管が長くなるときは水槽台内部で金具を使ってパイプを固定する必要がありますが、ストレートピストルを使えば排水側の配管を短くできるのでこの手間をなくせます。

一方、給水側の配管が長くなるためポンプには多少負担がかかり、流量も低下しやすいです。流量よりも安心感を優先する場合はストレートピストルがおすすめと言えます。

エルボピストル

エルボピストルは、エルボジョイント(塩ビ管同士をつなぐための90度曲がった配管パーツ)に給水管を通しているタイプのピストルです。以下のような特徴があります。

エルボピストル給水側の配管を短くできるため、ポンプに負担がかかりにくく流量を最大化できる。

排水側の配管が短くなるストレートピストルに対し、エルボピストルは給水側の配管が短くなる作りです。そのためポンプに負荷がかかりづらく(配管が長いほど抵抗が増えるためポンプの流量は低下します)、流量を最大限に活かせるのがメリットです。

デメリットはストレートピストルの項目にも書いたとおり、太くて重い排水側のパイプが長くなるため、水槽台内部で金具を使ってパイプを固定する手間がかかることです。

ポンプからの戻り配管の仕様を決める

地味な部分なんですが、水中ポンプを使用する場合、水槽に接続するのは塩ビ管なのに対しポンプに接続するのはホースなので、どこかでホースを塩ビ管につないでやる必要があります。この部分をよく考えておかないと、ろ過槽上の中途半端な高さに塩ビ管を伸ばす羽目になってしまう可能性もあります。

個人的には、カミハタから販売されている塩ビ接続パーツなどを使用して、水中ポンプからピストル付近まではホースで繋いでしまうのが楽で良いと思っています。

なお、マグネットポンプを使用する場合はポンプに直接塩ビ管を接続できるのでホースと塩ビ管の切り替えで悩むことはないですが、塩ビ管が邪魔になるためどうやって水槽に戻すまでのパイプを組むかはやはり悩みどころになると思います。

オプション配管を決める

ここまでで紹介した配管は、オーバーフロー水槽なら大抵の水槽で必要になる配管でしたが、他にも必要に応じてあったほうが便利な配管がいくつかあります。この項目ではそういったオプション的な扱いの配管についてまとめて紹介しておきます。

マグネットポンプソケット

ポンプ選びの項目でも軽く触れましたが、マグネットポンプを使用する場合はろ過槽にマグネットポンプを接続するためのソケットがついている必要があります。ポンプとしてマグネットポンプを選んだ場合は、ソケットがあるかよく確認しておきましょう。

シャワーパイプ

飼育槽からの排水をウールボックスに通す際に、小さな穴やスリットを複数開けたパイプを使ってシャワーのように水を流す場合があります。このとき使用するのがシャワーパイプです。シャワーパイプを使うことで、水槽から落下した水がウールボックスに流れ込むときに発生する音を抑え消音効果を得ることができます。

ドレンバルブ(ろ過槽)

ろ過槽の底部分から排水するためのバルブです。ろ過槽の底にはデトリタスと呼ばれる懸濁物が沈殿します。このデトリタスにはろ過バクテリアも生息しており、有害な物質と断言するようなものではないのですが、害のあるバクテリアの住処にもなりえます。十分なろ材があればろ過能力は足りるはずなので、デトリタスはあまり溜めすぎず、たまに掃除して取り除くのが普通です。

この掃除の際は、当然ろ過槽の底部分から水を吸い上げなければならないのですが、ろ過槽の底に排水用のドレンバルブがついていると、バルブを開くだけで底から排水できるため非常に簡単です。コストは掛かりますがメンテナンス性を上げるためのオプションですね。

ドレンバルブ(飼育槽)

ろ過槽だけでなく飼育槽の底にもドレンバルブをつける場合があります。大型魚などを飼育する場合、飼育槽の底部に汚れが溜まりやすいので、底から水を抜くことで一気に汚れを流してしまうことが可能です。

一緒に底砂が流されてしまわないように、コーナーボックスの中にパイプを仕込むのが一般的です。

モーションチャンバー

ポンプからの水を分水させる「モーションチャンバー」という配管も存在します。太めの塩ビ管からたくさんのバルブが伸びている配管で、水槽台内の床や柱に固定して使用します。ポンプのパワーが必要になるため、ほぼマグネットポンプ採用時にしか利用されませんが、飼育槽へ戻す配管を分岐してクーラーや殺菌灯などへ水を回すことが可能になり、使用できる器具の幅が大幅に広がります。

ろ過槽からウールボックスへの戻し配管

ろ過槽から飼育槽への配管をモーションチャンバーなどを利用して分岐し、ウールボックスへ繋ぐ場合があります。この配管のメリットは、水換え時に追加する水の水温が飼育槽と多少ずれていても、ろ過槽→ウールボックス→ろ過槽→ウールボックス→…と水を回している間にヒーター・クーラーで温度調整ができ、水換え時に飼育生体に影響を与えずに温度調整の手間を省けるという点です。

また、水換え時には沈殿した汚れが舞うことが多いと思いますが、この配管を利用すればウールボックスを通している間に舞った汚れも除去されます。

オーバーフロー水槽では、ポンプを止めてろ過槽の水を捨て、その後ろ過槽に水を足すことで飼育槽に手を加えずとも水換えができるので、その方法で水換えをする場合は手間を省きつつ生体への影響も抑えられる非常に有効な配管です。

クーラー

水槽用のクーラーは水を循環させる能力がないのでポンプやろ過フィルターと接続して使用する必要があります。オーバーフロー水槽でクーラーを使用する場合は、マグネットポンプ及びモーションチャンバーと組み合わせ、マグネットポンプの力でクーラーに水を回してやる場合が多く、そのための配管が必要になります。

殺菌灯

水槽の水に紫外線を当てて殺菌するのが殺菌灯です。殺菌灯もクーラーと同じく水を循環させる能力がないため、オーバーフロー水槽ではマグネットポンプ・モーションチャンバーと組み合わせて使用するのが基本です。

接着箇所を決める

ここまでに書いた内容で、オーバーフロー水槽の配管を設計する場合に考慮しなければならないポイントは一通り押さえられたはずです。配管の組み方を決めたら、最後に接着する部分としない部分を明確にしておきましょう。

水漏れに対する安全性を考えると、当然ながら塩ビ管同士の接合部は全て接着してしまうのが良いのですが、全てを接着してしまうと水槽台と水槽を二度と分離できないという問題もあり、水槽の再利用が非常に難しくなってしまいます。また、今回のように亀の飼育でオーバーフロー水槽を使用する場合、水位を変えたくなることもあるのですが、排水パイプを変更できないと不可能になります。

こういったメリットと水漏れリスクを天秤にかけ、接着する場所としない場所を決めましょう。

今回のオーバーフロー水槽の最終仕様

表及び図にまとめると以下の通りになります。配管作業をする際は、さらに各部の寸法が必要になります。寸法の詳細は実作業を行う次回の記事で紹介します。

60cmウィドオーバーフロー水槽の仕様
60cmワイドオーバーフロー水槽の仕様
水槽 ADA キューブガーデン6045
水位 25cm
給排水管タイプ 2重管+コーナーボックス
給水管呼び径 40A
排水管呼び径 13A
水槽台 Cube a Stump wood
ろ過槽
ウールボックス
アクロ スーパークリア 3層式濾過槽 60cm用フルセット
ポンプ エーハイム コンパクトオン 2100
ピストル ストレートピストル
マグネットポンプソケット ×
シャワーパイプ ○(自作)
ドレンバルブ(ろ過槽) ×
ドレンバルブ(飼育槽) ×
モーションチャンバー ×
ろ過槽からウールボックスへの戻し配管 ×
クーラー ×
殺菌灯 ×

水位

一般的には水槽の上端から3cmとか5cmとかだと思いますが、今回の水槽では半水棲亀を飼育するので、亀が陸地で日向ぼっこできるように水位を低めにしたアクアテラリウムにします。亀飼育の場合でも水位にはいろいろな意見があると思いますが、この水槽に入居予定の亀は今までずっと水位25cmの水槽で飼育してきたので、今回も水位は25cmにしました。

給排水管

今回は2重管+コーナーカバーのタイプを採用しました。亀水槽なので配管保護のためにコーナーカバーはほぼ必須です。

また、配管の呼び径は60cm水槽のセオリー通り、排水側は40A、給水側は13Aを採用しました。

水槽台

以前から憧れていたCube a Stumpシリーズの水槽台、中でも無垢材の木目を生かしたwoodシリーズの水槽台を選びました。今回のシステムでは単品の価格はこの水槽台が一番高かったです。

ろ過槽・ウールボックス

チャームのオリジナルブランド「アクロシリーズ」のろ過槽・ウールボックスセットを選びました。ろ過槽としては比較的珍しいガラス製(しかもクリアガラス製)です。アクロシリーズではかなりの種類・数の水槽を大量生産していると思われるので、その恩恵で安く販売できるという商品だと思います。塩ビ製のろ過槽が2~3万円はするのに対し、この商品はろ過槽とウールボックスのセットで13,000円台でした。

ガラス製ということで取り扱いに気を使う部分はありますが、やはり安いのは嬉しいですね。

ポンプ

今回の水槽は60cmワイド水槽のため、能力的には水中ポンプで十分です。メーカーも色々ありますが、これまでに使っていて慣れている・信頼できるエーハイムを選択しました。

エーハイムの水中ポンプで60ワイド水槽に適合するのは、コンパクトオン 1000か2100あたりです。今回の水槽の水量はだいたい80リットルくらいになると予想しているので、7回転なら560L/hの流量が必要になります。

水槽台の高さ70cmと水位25cmで揚程が約1mになるのを考慮すると、コンパクトオン1000だと約500L/hでやや足りず、2100だと約1000L/hでちょっと過剰です。

結局、ポンプの流量調整機能で多少流量を絞れるため、ややオーバースペックですがコンパクトオン 2100を選びました。

ピストル

水槽台をCube a Stumpにしたことで、高級水槽台の内側に穴をあける必要のある吊り加工をするのが嫌になったので、吊り加工の必要ないストレートピストルを選択。ポンプの能力はオーバースペック気味なので、流量に関しては心配していません。

オプション配管

このページで紹介したオプション配管からは、シャワーパイプのみ採用しました。シャワーパイプは大して複雑な配管でもないので、自作することにします。

今回は飼育槽もろ過槽もガラス水槽を採用しているため、穴あけが大変なのでドレンバルブは不採用です。ドレンバルブから排水する水の流し先が確保できないという問題もあります。ポンプには水中ポンプを採用したため、マグネットポンプ用のソケットも必要ありません。クーラーや殺菌灯は、淡水アクアリウムかつ亀がメインなので必要性が薄いため、やはり不採用です。

モーションチャンバーとろ過槽からウールボックスへの戻し配管は欲しい気持ちもありましたが、実際にこの水槽の水換えをするシーンを考えると、飼育槽の底に糞や餌の食べかすが残らないように、プロホースを使って底砂掃除をしながら水を抜くはずです。戻し配管はろ過槽だけで完結する水換え時は便利ですが、本水槽の水を抜く場合は結局本水槽に水を足すことになる(ろ過槽に水を足すと当然あふれる)ため、メリットを上手く活用できません。

管理面を考えると配管は極力シンプルな方が良いため、結局採用を見送ることにしました。ベアタンクで管理する場合や、海水水槽のように生体の数・サイズを絞る水槽のほうが、この配管は有効に利用できると思います。

次回はオーバーフロー水槽の配管作業の様子をまとめます!

今回はオーバーフロー水槽の配管設計でだいぶ長文になってしまったため、一旦ここで終わりにします。今回の設計を踏まえ、次回は実際に配管作業を行う様子を紹介する予定です。お楽しみに!

オーバーフロー水槽の配管設計の様子をまとめました。配管作業の様子を紹介しているサイトは結構ありますが、何を考えてその配管にしたのかを細かく書いているところはあまりないので、このページが参考になれば幸いです。

スポンサーリンク
オーバーフロー水槽配管(設計編)―ポンプやろ過槽等の用品の選び方
この記事をお届けした
AquaTurtliumの最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!