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コリドラスピグミーの飼育と混泳:繁殖容易なチビコリの一種

2017/10/08

コリドラスピグミー(コリドラス・ピグマエウス) Corydoras pygmaeus

コリドラスピグミーは、アクアリウムでの人気が高い「コリドラス」と呼ばれるグループに属する熱帯魚です。その中でも本種は、小型であること、コリドラスの中では例外的に遊泳力が高いことが大きな特徴です。

少し神経質で水槽の奥に隠れてしまいやすい面もありますが、飼育数を増やすなど工夫すれば、よく群れる姿も見せてくれ、飽きにくく見ていて楽しい魚です。今回は、このコリドラスピグミーを飼育するに際して注意するポイントや、繁殖の方法、おすすめの混泳魚などを解説します。

コリドラスピグミーとは

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和名・流通名 コリドラス・ピグミー
学名 Corydoras pygmaeus
英名 Pygmy corydoras
Pygmy catfish
分類 ナマズ目カリクティス科コリドラス属
原産地 ブラジル、ペルー、エクアドル
飼い易さ ★★★★☆
値段(1匹) 200円程度~
最大体長 3~4cm程度
寿命 2~3年程度
遊泳層 底層
生息環境 沼地や池などの流れが遅く透明度の高い浅瀬。特に、砂や小石、有機物が堆積した水底。
適合する水質 水温:22~26℃
pH:6.4~7.4
特徴 最大体長3cm程度と非常に小型のコリドラスの一種。遊泳力が高くコリドラスにしてはよく泳ぎ回る。

コリドラスピグミーとは、その名の通りコリドラスの一種である、ナマズ目カリクティス科コリドラス属に分類される熱帯魚です。別名コリドラス・ピグマエウスとも呼ばれます。また、コリドラス・ピグミーはコリドラスの中でも小型の種類で、コリドラス・ハステータス、コリドラス・ハブローススとともに「チビコリ」と呼ばれることもあります。

もともとぼーっとした顔つきとおっとりした仕草が可愛らしいコリドラスの仲間ですが、本種はそれに加えて小型であることが、さらに可愛らしさを際立たせています。また、コリドラスの中では遊泳力が高く観賞していても楽しいため、幅広い人から支持されている人気の高い魚です。

形態

体長は最大で約3~4cm程度ですが、2~2.5cm程度の個体が一般的です。口元から尾ビレにかけて伸びる黒い筋を境に、上側はうっすらと黒く、下側は白くなっています。また、この体側の黒い筋の下側(腹側)に、腹ビレの後ろから尾にかけて、細い黒線模様が入ります。個体によっては背の部分に縦の縞模様が入ることがあります。同属である他のコリドラスの仲間と比べると、小型種であること、横幅がなく比較的スマートな体型をしていることが特徴です。

生態

コリドラスピグミーはよく群れる魚で、水槽でもかなり密着して集まっている姿を見かけます。この特徴をアクアリウム水槽で存分に楽しむのなら、ある程度まとまった数を飼育するのがおすすめです。最低でも5匹、できれば10匹以上くらいは一緒に飼ったほうが、群れる姿が見やすいです。

コリドラスピグミー(Corydoras pygmaeus)は水槽内でも群れて集まっていることが多い
水槽内で集まって群れているコリドラスピグミー(コリドラス・ピグマエウス)

野生下では、ブラックウォーターの環境に生息しているため、水槽内でもピート、ヤシャブシ、マジックリーフなどを使ってブラックウォーターを再現した環境で飼育すると、原産地であるアマゾン川流域のような雰囲気が出て楽しめます。もちろん、ブラックウォーターではない通常の透明な水で飼育することも出来ます。

オス・メスの見分け方

他のコリドラスの仲間と同様に、メスのほうがオスよりも丸みを帯びた体型をしています。この特徴は、特に産卵期でメスの体内に卵がある場合に顕著になります。また、メスのほうがオスよりも体長が一回り大きいです。

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コリドラスピグミーの分布・生息地・生息環境

コリドラスピグミーは、ブラジルを流れるアマゾン川最大の支流・マデイラ川流域、ペルーのナナイ川流域、エクアドルのアグアリコ川といった、南米地域に分布しており、中でも沼地や池などの流れが遅く透明度の高い浅瀬に生息しています。

砂や小石、有機物が堆積した水底を主な生息域とする底生魚で、水底で餌を探す姿は水槽内でもよく観察できます。

コリドラスピグミーの飼育方法

コリドラスピグミーの飼育は容易で、初心者でも飼育できるでしょう。ただし、非常に小型の魚なので、一度体調を崩すと回復させることは難しいです。コリドラスピグミーの調子が悪くならないよう、常に良い飼育環境を維持できるように心がけてください。

また、少し臆病な性格をしているため、水槽の奥の方に隠れてしまいあまり観賞できないことがあります。このような場合には、10匹などまとまった数で飼育するか、他の熱帯魚と混泳させない単種飼育がおすすめです。コリドラスピグミーが安心して、泳ぎ回る姿が見られるでしょう。

水質

水温は22~26℃付近が適切とされています。また水の硬度は軟水が適しており、pHは6.4~7.4程度の範囲にコントロールできるとよいでしょう。

エサ

飼育は容易で、エサは一般的な人工飼料や冷凍飼料で飼育できます。基本的には、栄養が偏りにくく水も汚しにくい、人工飼料での飼育がおすすめです。冷凍飼料や活き餌は、嗜好性の高い餌として、エサ食いが落ちたときなどに与えるようにしましょう。

ピグミーコリドラスは口が小さいため、タブレットなどの人工飼料を与える場合は細かく砕いて与えてやると、より食いつきが良くなります。ただし、エサを砕くと水を汚しやすくなるのと、砕かなくてもふやければ食べられるため、エサへの食いつきが悪い場合を除いて砕く必要はないと思います。

冷凍飼料や活き餌を与える場合には、赤虫よりもイトミミズのほうが適しています。アカムシでは大きすぎてコリドラス・ピグミーの口に入らずあまり食いつかないことがあります。

底層を主な活動領域とするコリドラス・ピグミーにとっては、餌の食べ残しが蓄積して発生する水質の悪化には、特に注意が必要です。致命的なダメージを与えることもあるので、餌の与え過ぎには注意しましょう。

混泳

コリドラスピグミーは非常に温和な熱帯魚ではありますが、サイズが小さいため混泳水槽では他の魚に怯えてしまい、十分にエサを食べられないこともあります。水草の密度を上げたり、隠れられる場所を作ることも有効ですが、最適な方法は、タンクメイトに小型のカラシン、コイの仲間やミナミヌマエビなど、おとなしい性格をした小型の生き物を選ぶことです。また、底層を中心に暮らすコリドラスピグミーとは遊泳層の違う、中~上層を中心に泳ぐ魚とも比較的混泳させやすいです。

コリドラスピグミーとミクロラスボラ・ハナビの混泳
コリドラスピグミーとミクロラスボラ・ハナビの混泳は超小型種同士で相性が良い

コリドラスピグミー自身は口が小さいため、他の熱帯魚を捕食してしまうことは、稚魚・稚エビなどの例外を除きほぼありません。混泳を狙う場合は、コリドラスピグミーが他種からの被害を受けないようにすることが重要です。

あえて混泳魚の例を挙げるとすれば、コリドラスピグミーと同じく超小型種のミクロラスボラ・ハナビ、中層を泳ぐ魚で気性の大人しいラスボラ・エスペイカージナルテトラ、上層を泳ぎコリドラスピグミーにあまり干渉しないアフリカンランプアイハチェットフィッシュの仲間は安心して混泳できるでしょう。もちろん、上記の条件を満たす熱帯魚はたくさんいるので、コリドラスピグミーと混泳できる魚は他にもいます。自分好みの混泳可能な熱帯魚を探すのも楽しみの一つです。

アクアリウム水槽での役割

コリドラスピグミーは、コリドラスらしい可愛らしさを持ちながら、遊泳力もある熱帯魚です。本種独特の雰囲気を楽しみたいのであれば、混泳を避け、10匹以上の群れで飼うのがおすすめです。臆病な性格であり、数が少なかったり、他の熱帯魚と混泳させたりすると、警戒して水槽の奥の方に隠れてしてしまうことがあるためです。

また、底層の掃除を期待して導入する場合には、しっかりと隠れ家をつくってストレスが溜まらないようにしましょう。水替えの際には、底層を重点的に掃除するなど、コリドラスピグミーの生活領域周辺の水質管理に工夫をするとなお良いです。

コリドラスピグミーの繁殖方法

コリドラスピグミーは、コリドラスの中では最も繁殖の容易な種です。ある程度まとまった数(20匹程度~)を飼育していれば十分に繁殖が期待できます。稚魚は非常に小型で体力がないため、餌付くまで根気よく餌を与えましょう。

産卵

コリドラスピグミーの繁殖を狙う際は、水温をやや低め(22~23℃)にし、pHも低め(6.5程度)を維持します。コリドラスピグミーは原産地では雨季である冬頃に産卵するため、日本でも冬のほうが繁殖がうまくいきやすいと考えられます。また、溶存酸素量や水流もやや高めの状態のほうが産卵しやすいと言われているので、エアレーションを積極的に行うと良いでしょう。

繁殖モードに入ると、オスが執拗にメスを追いかけるようになります。メスがオスを受け入れると、メスの口元にオスの腹部をあてがう、いわゆる「Tポジション」の状態になります。この状態で、メスの口内にオスが精子を入れ、メスの体内を通過した精子が、メスの腹ビレ付近に卵とともに排泄されることによって受精します。

卵の隔離から孵化まで

オスから精子を受け取ったメスは、水槽のガラス面や水草などに卵を産み付けます。卵を確認したら他の魚に食べられてしまう前に隔離しましょう。卵は時間が経つとくっついて取れにくくなってしまうので、生まれてすぐ隔離してしまうのがベストです。

卵・稚魚用の隔離水槽では、産卵水槽と同じ水を使い、軽めにエアレーションをして、カビが生えている無精卵があれば取り除きましょう。チェリーシュリンプなどのエビと卵を一緒に入れておくと、カビの着いた卵だけを食べてくれるとも言われていますが、健康な卵を食害しないという補償はないので、自己責任でお願いします。

稚魚の育て方

産卵後、3~5日程度で稚魚が孵化し、その後2~3日はヨークサックに含まれる栄養を利用して成長します。5日ほど経っても孵化しない卵は無精卵なのでカビが生える前に取りだしましょう。

泳ぎ回るようになった稚魚は口が非常に小さいので、まずはインフゾリアや冷凍ワムシなどを与え、徐々にブラインシュリンプに切り替えていきます。生存率をあげるためには、餌の量を多めにして、1日数回に分けて与えるのが良いでしょう。この場合は、水質悪化を防ぐため、こまめな掃除や水替えを怠らないようにしてください。

さらに成長してきたら、徐々に人工飼料に慣れさせましょう。繁殖できる程度まで成熟するには、年単位の時間がかかる場合もあるので、焦らずじっくりと育てていきましょう。

コリドラスピグミーの魅力・おすすめポイント

コリドラスピグミーは、コリドラスらしいぼーっとした顔つきながら、遊泳力が高く、見ていて飽きない観賞性の高い熱帯魚です。小型で臆病なため混泳にはやや気を遣う面もありますが、小型種に絞った水槽であれば底層~中層を賑わせてくれる良い種類と言えます。

そして、繁殖が容易であるという点も大きな魅力です。コリドラスの仲間には繁殖の難しい種類も多い中で、コリドラスピグミーの繁殖はかなり容易といえます。群泳を楽しむという目的とあわせ、多数のコリドラスピグミーを飼育して繁殖まで狙うのが、コリドラスピグミーの飼育を最も楽しむ方法ではないでしょうか。

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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