アベニーパファーを飼ってみよう!淡水で飼育と繁殖が可能なフグの仲間

アベニーパファー
Carinotetraodon travancoricus (dwarf puffer) / Linxie

アクアリウムでは様々な種類の熱帯魚を飼育できます。今回紹介するアベニーパファーは、淡水性のフグの仲間です。フグは海水中で生活している種類が多いですが、本種のように淡水域に生息している種類も少ないながら存在します。

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フグに対しては、おいしいとか、丸くて可愛い、トロそう、といったイメージを持っている人が多いと思いますが、実は比較的獰猛で肉食傾向の強い魚です。人工飼料を食べず活き餌が必要になることも多いですし、混泳魚を執拗に追い回す個体もいます。一方で、水槽内に発生すると不快なスネールをよく食べるため、スネールイーターとして水槽の美観を向上させてくれる種類でもあります。

見た目とは裏腹に少しクセのある熱帯魚のアベニーパファーですが、やはり他の熱帯魚にはない独特の可愛らしさも持っています。飼育前にアベニーパファーの性質をよく理解し、トラブルなく飼えるようにしておきましょう。

アベニーパファーとは

和名・流通名 アベニーパファー
学名 Carinotetraodon travancoricus
英名 Dwarf pufferfish
Malabar pufferfish
Pea pufferfish
Pygmy pufferfish
分類 フグ目フグ科カリノテトラオドン属
原産地 インド
飼い易さ ★★★☆☆
値段(1匹) 300円程度~
最大体長 3cm程度
寿命 2~3年程度
遊泳層 中層
生息環境 インド西部の河川・河口の淡水域に生息し、野生では集団で行動する。原産地では乱獲や環境破壊による生息数の減少が指摘されている。
適合する水質 水温:22~28℃
pH:6.0~7.5
特徴 フグらしい丸みを帯びた体型に、斑点のような模様がある。淡水フグの中では世界最小とされる小型種。

アベニーパファーはフグ目フグ科カリノテトラオドン属に属する、インド南西部を原産とする淡水魚です。世界最小の淡水フグとして知られています。

形態

体の上半分は黄色、腹部は白色で、背中側に深緑色から黒色をした大きな斑点が見られます。幼少期は大きな斑点の他に、オス・メスともに小さなドット模様が背中や側面にかけて入ります。成魚になると、模様はオス・メスによって多少異なってきます。

最大体長は2cmから3.5cmほどと小柄な熱帯魚です。アベニーパファーの平均的な寿命は2~3年程度ですが、頻繁に餌をやる必要があるため、給餌を忘れたり長期間留守にしたりした際に、死んでしまう場合があります。また、年をとった成魚は食が細くなって痩せやすくなる傾向にあり、これが原因で死んでしまうこともあるようです。

生態

アベニーパファーは人工飼料を食べず、活き餌を好む個体が多いです。また、野生個体はフグの仲間の多くが持っている「テトロドトキシン」というフグ毒を持っている可能性がありますが、飼育下で繁殖した個体には基本的に毒性はありません。

フグのもつ毒については分かっていない部分も多いですが、近年は、海洋細菌がテトロドトキシンを生成し、その海洋細菌を食べたフグが体内に蓄積しているという説が有力になっています。このように他の生物が生成した毒を体内に溜め込む生き物は色々と知られており、身近な存在ではアカハライモリやヤマカガシが該当します。

特にアカハライモリはフグと同じテトロドトキシンを溜め込む習性があるため、毒の獲得経路も近いのかもしれませんね。フグが獲得するテトロドトキシンは海洋細菌由来とも言われますが、淡水性のアカハライモリもテトロドトキシンを蓄積できることを考慮すると、淡水性のアベニーパファーが毒を持っている可能性は十分にあります。

アベニーパファーのオス・メスの見分け方

アベニーパファーのオス・メスの見分け方は幼魚・成魚によって難易度が異なります。以下で時期別の雌雄判別法を紹介します。

性成熟のスピードに差がある

まず、アベニーパファーの性成熟には雌雄で差があります。このような特徴は多くの生物で見られるもので、特に珍しくはありません。オスの場合は12~14ヶ月くらい、メスの場合は8~9ヶ月くらいで性成熟すると言われています。従って、以下で紹介する幼魚・成魚別の雌雄判別法も、生後12~14ヶ月(または8~9ヶ月)の前か後かで、適用する基準を変えて判断してください。

成魚の雌雄判別法

アベニーパファーの成魚は、比較的雌雄の判別が付きやすいです。オスは成熟すると幼魚の時にあった黒い細かなドット模様が消え、体全体が黄色みを帯びてくるようになります。また、しばらくすると胸ビレの後ろ辺りにある黒い模様が尾びれの先まで伸びてつながり、黒いまっすぐなライン模様になります。

さらに、腹側にも、顎のあたりから尾びれに向かってうっすらと黒いラインが入ります。この腹側に入るライン模様は「婚姻線」と呼ばれ、繁殖期になると特に色が濃くなります。また、個体差はありますが、目の後ろに青いシワのような模様が入ることもあります。

アベニーパファーのオス。目の後ろの青いシワと、尾びれまで続くライン上の模様がよく現れている。
オスの特徴である目の後ろの青いシワと、尾びれの先まで繋がるライン模様(Dwarf puffer, Carinotetraodon travancoricus / AJC1)

一方メスは、幼魚の時のドット模様が成魚になっても消えません。また、大きな斑点模様は濃く、ヒョウ柄のようになっていきます。腹側は白っぽい色をしていて、卵巣が発達して産卵可能になると、背びれの付け根付近が膨らんで丸みを帯びてきます。

幼魚の雌雄判別法

幼魚の際はオス・メスともにメスの成魚と似たような特徴を持っているため判別が難しいです。しかし、注意深く見るとオスの幼魚には、成魚の特徴である黒いまっすぐな体側のラインと、目の後ろのシワ模様がうっすらと見られることがあります。

アベニーパファーの分布・生息地・生息環境

アベニーパファーはインド西部の西ガーツにあるケーララ州とカルナータカ州南部を原産地としており、パンバ川を含む13の河川・河口の淡水域に生息すると言われています。野生では集団で行動し、身を守りながら生活しています。自然では小さな貝類や、昆虫、コケ類などを主食としています。

アクアリウムで飼育される熱帯魚として乱獲されており、また、生息地の環境が破壊せれていることもあって、生息数が減少してきています。2011年版のIUCNレッドリストでは、野生絶滅の高い危険性がある、危急種に指定されています。

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アベニーパファーの飼育方法

アベニーパファーは小型の魚であるため、水槽も小型のもので飼育することができます。また、淡水での飼育が可能なため、フグの仲間では比較的飼いやすい種類です。

基本的な飼い方

アベニーパファーは、単独であればかなり小型の水槽である30cm水槽(30×18×24cm水槽)から飼育が可能です。複数のアベニーパファーを混泳させて飼育する場合は、泳ぐスペースとともに、隠れることのできるスペースを十分に確保しましょう。

2匹で混泳させると、弱い個体が一方的に攻撃されて弱ってしまうことが多いので、混泳させる場合は、ある程度の広さを確保した水槽で3~4匹以上を同時に飼育してください。30cmキューブ水槽でアベニーパファーの単種飼育をするなら、5匹程度までは飼えると思います。

小型の熱帯魚であるため、あまり強い水流を好みません。水流が弱めになるフィルターを使用するか、排水溝を水槽の側面に向けるなど、水流が弱くなる工夫をすると、アベニーパファーにとって好ましい環境になります。

水質

水温は22~28℃程度が好ましく、pHは6.0~7.5程度の弱酸性から弱アルカリ性、硬度は中硬水が適切です。高温には強く低温には弱い種類なので、水温の管理には注意が必要です。また活き餌を好む性質から、水が汚れやすくなります。水質を保つためにも、水替えは頻繁に行うようにしましょう。

エサ

アベニーパファーは人工飼料に慣れにくく、冷凍赤虫やイトミミズ、イトメ、ブラインシュリンプなどといった活き餌を好んで食べます。これはフグの仲間全般に見られる傾向です。乾燥赤虫やクリル、フグ向けの人工飼料に慣れる個体もいますが、やはり活き餌よりは食べてくれる個体の数が少ないです。

しかしその中でも、「ジュン クリルグラニュール パッファ」や「セラ FD クリル」あたりの餌は、比較的人気があり食べてくれる個体も多いようです。人工飼料での飼育を検討しているのなら、まずはこの2つの餌から試してみると良いでしょう。

ただし、よく食べると言われているこれらの餌でも、どうしても食べない個体もいます。そもそもアベニーパファーは活き餌でも好き嫌いをする場合があるため、人工飼料を食べたり食べなかったりするのは仕方ない部分もあります。どうしても人工飼料に餌付かせたい場合は、色々な種類のエサを試して、個体ごとに食べてくれる餌を探すしかありません。

混泳

アベニーパファーはフグの中では比較的大人しい種類ですが、混泳にはあまり向きません。縄張り意識が強く、頑丈な歯を持っているため、大人しい魚やヒレの大きな魚は攻撃されたりヒレをかじられたりしてしまうことがあります。そのため、基本的には単独飼育が望ましい種類といえるでしょう。

混泳させる場合は泳ぎが速くてすばしっこく、ヒレの短い種類の熱帯魚がよいですが、その際は動きがゆっくりとしているアベニーパファーが餌不足にならないように注意する必要があります。また、エビや貝類はアベニーパファーに食べられてしまうため、混泳には不向きです。

アクアリウム水槽ではスネールイーターとして活躍

アベニーパファーは貝類を積極的に捕食する性質を持っているため、水草などにくっついてきて水槽内で繁殖してしまった巻貝(スネール)を食べるスネールイーターとして活躍してくれます。スネール除去の役割を期待され、それを主要な目的として導入されることもあります。

フグの仲間は貝類のような硬い餌を食べるのに適した大きな歯を持っているのですが、貝類を食べる頻度が少ないと、逆に歯が伸びすぎて餌を食べづらくなったり、伸びた歯で自分自身を傷付けてしまったりする場合があります。そのため、スネールを食べることはアベニーパファー自身にとっても重要な意味を持つのです。

仮にアベニーパファーの歯が伸びすぎてしまった場合には、飼い主がニッパーなどを使って歯を切り落としてやる必要があります(歯切り)。ただし、アベニーパファーの場合は小型であることも手伝って、歯切りが必要なほど歯が伸びることは多くありません。

同じくスネールイーターとして利用されるることの多い熱帯魚にチェリーバルブがいます。アベニーパファーとは見た目、性格ともにかなり違う魚なので、スネールが発生した場合には、水槽の環境や好みに応じて適切なほうを選びましょう。

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アベニーパファーの繁殖方法

アベニーパファーの繁殖は容易で、成熟したオス・メスが水槽内にいれば繁殖するとされています。ただし、この魚の性格上、オスがメスを執拗に追い回してダメージを与えてしまうことも多いので、ペアリングを行う際には多少工夫したほうが良いでしょう。

オス1匹とメス複数匹のハーレムを作る

アベニーパファーを繁殖させる際には、1匹のオスと2~3匹の雌を同じ水槽で飼い、ハーレムを形成させます。この理由は主に以下の2つです。

  • オスが複数匹いると、メスを巡って死ぬまで争うため。
  • メスが1匹だと、発情したオスに執拗に追い回されて疲弊するため。

オス同士の争いは避け、メスの数を増やすことで狙いを分散させて負荷を減らすのがポイントです。

また、産卵前には体力をつけさせるため、アカムシや巻貝などアベニーの好む餌を少し多めに与えておきましょう。

産卵と隔離

アベニーパファーはかなり小型の魚なので、産卵水槽もさほど大きくする必要はありません。メスが底砂にばらまくように卵を産む「バラマキ型」の産卵方法を採るため、カボンバやウィローモスのような、密に葉をつける水草をたくさん植えておき、食卵を防止してください。

バラマキ型の熱帯魚は多くの卵を産むのが一般的ですが、アベニーパファーの場合は産卵数が少なく、1回に10個かそれ以下の卵しか産みません。数を増やしたい場合には、ある程度の数のメスが必要になります。

産卵後は成魚を隔離するか、ピペットなどを使って卵を別の水槽に隔離します。産卵時にはオスが雌を追いかけるような行動を見せるので、このような様子が見られたら水槽の底に卵が転がっていないか確認してみましょう。

卵を隔離する場合は、エアレーションをするか水流の弱いスポンジフィルターをつかって、水が痛まないように注意します。水温を27度前後に保つと、5日ほどで稚魚が孵化します。

稚魚の育て方

孵化から2~3日の間は、ヨークサックに含まれる栄養で育つため、餌を食べません。その後は、小さな稚魚でも食べられるブラインシュリンプ(アルテミア)を与え、成長に伴って徐々にアカムシや、人工飼料にも餌付かせていきましょう。

アベニーパファーの魅力・おすすめポイント

アベニーパファーは淡水で飼育することができる、めずらしいフグです。活き餌を好むなど通常の熱帯魚に比べると飼育に手がかかる側面もありますが、フグ特有の泳ぎや動き方など、他の熱帯魚では見られない愛らしさを楽しむことができるため、人気も高いです。

普通の熱帯魚とは一味違う、独特な魚を買ってみたい人には、アベニーパファーをおすすめします。

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