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擬岩コーナーカバーの作り方(モルタル造形編)爬虫類・アクアリウムに!

2020/06/27

オーバーフロー水槽DIY 擬岩コーナーカバー制作(モルタル造形編)

こんにちはー!水槽は立ち上げてるときが一番楽しいK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。

オーバーフロー水槽の自作方法を紹介している連載「オーバーフロー水槽の自作方法」では、前回はオーバーフローパイプを保護するコーナーカバーを擬岩で作ることにし、その目的や役割の整理と、スタイロフォームを使った骨組み部分の作成までを行いました。

オーバーフロー水槽DIY 擬岩コーナーカバー制作(骨組み編)
擬岩コーナーカバーの作り方(骨組み編)爬虫類・アクアリウム水槽に

オーバーフロー水槽自作の一環として、コーナーカバーを擬岩で制作する方法を紹介します。メインはモルタル造形ですが、まずは骨組みをスタイロフォーム等で作ります。水槽のレイアウトに映えメンテンナンスもしやすいものを目指します。

今回はその続きとして、スタイロフォームの骨組みにモルタルを盛って岩の形に造形し、アク抜き、塗装を行って擬岩を完成させるところまでを解説します。

擬岩コーナーカバーを自作する理由の一つには、市販の擬岩は作り物感があって水槽の美観を損ねるので、レイアウトに使いたくないという事情があります。裏を返せば、自作するからにはレイアウト素材としても使える見栄えの良い擬岩を作らなければならないわけです。プレッシャーがデカい!

まあ、見栄えの良し悪しは主観によるところも大きいので、楽しんで作ればOKです。よほど下手でなければ、市販のプラスチック擬岩よりはうまくできると思います。

なお、連載「オーバーフロー水槽の自作方法」では、以下の通りオーバーフロー水槽を自作する方法を、複数のページで順を追って紹介しています。既に水槽に穴をあけて台座を接着し、ポンプや配管を組み上げて水を回すところまでは完了しています。

オーバーフロー水槽の自作に興味のある人は、ぜひこれらの過去記事を参考に、自分の飼育環境に合ったオリジナルのオーバーフロー水槽作りに挑戦してみましょう!

この記事の目次

擬岩コーナーカバー(コーナーボックス)の目的

まずは前回のおさらいです。そもそも、コーナーカバーを擬岩で作る目的は何なのか、もう一度整理しておきましょう。

擬岩コーナーカバーの目的

  • オーバーフローパイプの保護
  • オーバーフローパイプを隠すレイアウト素材
  • 亀のバスキングスポット

現在自作方法を紹介しているオーバーフロー水槽で飼育する生体は、亀(ニホンイシガメ)を予定しています。そのため今回の擬岩コーナーカバーは、アクアリウムにも爬虫類飼育にも使用できる活用の幅が広いものになっています。

特に、「亀のバスキングスポット」という目的は、アクアリウムでは必要ない、爬虫類を飼うからこそのポイントです。バスキングスポットとは爬虫類が体温調整やカルシウム吸収のために日光浴(バスキング)を行う場所のことで、一般論としては以下のような条件を満足する場所が望ましいです。

  • 35℃程度の温度に保たれている
  • 紫外線ライトからの距離が適切である
  • 足場が安定している
  • 表面が乾燥しやすい
  • 爬虫類の体全体が収まる広さがある
  • 爬虫類が怪我をしない形状である

また、個人的な経験からは、バスキングスポットの地面はある程度熱を保てる(保温性がある)ほうが、亀が好んでバスキングをする傾向にあります。モルタルで自作する擬岩は、上記の特徴すべてを満足することが可能であり、さらにコーナーカバーを兼ねることでスペースの節約にもなる便利な飼育用品になるはずです!

また、冒頭でも宣言したとおり今回はレイアウトにもこだわります。このサイトの目標である「水棲爬虫類のレイアウト飼育方法の確立」を目指し、ノウハウの蓄積を狙います。

ポイント

このコーナーカバーと同じ要領で、爬虫類飼育に使用できる擬岩バックパネルも作ることができます。爬虫類を飼っている人、特にレイアウト飼育にこだわりがある人はぜひ参考にしてください。

擬岩コーナーカバーの大まかな設計・機能要求

もう一点、擬岩コーナーカバーの大まかな設計と、搭載する機能についても復習がてらまとめておきます。

自作擬岩コーナーカバーの機能

  • 擬岩の裂け目から水が吹き出す
  • 岩の隙間から水を吸い込み油膜を取る
  • メンテナンスを容易にする分離する
  • 浅瀬の休憩場になる
  • シェルターになる

以下で、それぞれの機能を簡単に説明しておきます。

擬岩の裂け目から水が吹き出す

コーナーカバー内には、ろ過槽から汲み上げた水を水槽に戻す給水管があります。今回はコーナーカバーが擬岩となり給水管を覆ってしまうので、どうやって水を水槽に戻すか考える必要がありました。

結論としては、水槽内のレイアウトを損ねないことを重視して、擬岩内に塩ビ管を埋め込み、汲み上げた水が擬岩の隙間から吹き出すようなギミックを作ることにしました。

岩の隙間から水を吸い込む油膜取り機能

オーバーフロー水槽では、水面の水が濾過槽に流れ落ちるため油膜が発生しにくいという長所があります。今回の擬岩コーナーカバーでもこの長所を維持するために、水面付近部分には岩の隙間や割れ目に見えるようにスリットを入れておくことにしました。これで水面部分の水がスリットを通ってオーバーフローパイプから濾過槽へ流れ落ち、油膜取りの機能が発揮されます。

メンテナンスを容易にする分離機能

擬岩でコーナーパイプの上部を完全に覆ってしまうと、コーナーカバー内部をメンテンナンスすることができません。一方、コーナーカバーの上が擬岩で覆われていないと、見栄えが悪いですし亀が落ちて怪我をする可能性もあります。

そこで今回は、コーナーカバー上部の擬岩は別パーツとし、メンテンナンス時に取り外せるようにします。

水深が浅くなる部分を作る

亀は水際でじっとしていることも多いため、水際付近で身体を休めることができれば便利と考えました。首を伸ばせば息ができる程度の浅い水深で、身体を伸ばせるだけのスペースを確保するための突起岩を作ります。

体を隠せるシェルターを作る

浅瀬と同様に、亀が身を隠しストレスを軽減するためのシェルターも必要です。水槽のサイズ的に亀がすっぽり収まるだけのシェルターを作るのは難しいですが、レイアウト用に流木をあとから追加するため隠れ場所は増えることを加味して、身体の一部を隠せる程度のシェルターも用意することとします。

擬岩自作の流れ

今回の擬岩作りは、おおまかに以下の流れで作業を進めています。

擬岩自作の流れ

  • スタイロフォームで擬岩の骨組みを作る。
  • 擬岩を水槽に固定するためのアタッチメントを作る。
  • スタイロフォームにモルタルを盛って岩の形に整形する。
  • 水中で有害物質が溶け出さないようにアク抜きをする。
  • 塗装前にシーラーを塗る。
  • 耐水塗料で色を塗る。
  • トップコートで表面を保護する。

前回は、①~②までの作業を実施しました。その結果、以下の写真のような擬岩の骨組みが完成しています。

擬岩コーナーカバーの骨組み(上面)
擬岩コーナーカバーの骨組み(上)
擬岩コーナーカバーの骨組み(底面)
擬岩コーナーカバーの骨組み(下)

この骨組みは5cm厚のスタイロフォームを積層して作った立方体から削り出して作っており、ガラスに接する面は黒の1mm厚塩ビ板で覆っています。また、キスゴムを備えており、水槽のガラス面に固定することが可能です。内部にはVP13塩ビ管が埋め込まれていて、給水管を接続すると擬岩の内部を通った水が岩の裂け目から吹き出してくる予定です。

今回はこの骨組みに対して、モルタルを盛って岩の形になるよう造形し、さらに水槽内で使用するために必須のアク抜き、そして塗装を行います。

擬岩自作のために用意するもの(工具・材料)

具体的な作業方法を紹介する前に、今回の擬岩自作に必要な工具・材料を紹介していきます。

スタイロフォーム製の擬岩骨組み

当然ですが、前回作ったスタイロフォーム製の擬岩の骨組みを使用します。この骨組みの作成に使用した材料は以下のとおりです。

  • スタイロフォーム
  • 塩ビ板(黒 1mm厚)
  • キスゴム
  • シリコンシーラント

詳しい作り方は、前回の記事(骨組み編)を参考にしてください。

スチロールカッター

今回は上記の骨組みにモルタルを盛って造形する作業がメインですが、必要に応じて骨組み側の微調整も行います。この際は、スタイロフォームを簡単にカットできるスチロールカッターを使用します。

スチロールカッターには、細かな造形がやりやすいペンタイプと、分厚いスタイロフォームを簡単にカットできる弓タイプがあります。状況に応じて使い分けられるように、上記のようなセット商品を利用します。

スーパー家庭セメント

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スタイロフォームにモルタルを盛り付けて擬岩を作る作業が今回のメインですが、普通のモルタルはそのままだと上手くスタイロフォームにくっついてくれません。まずは下地として、接着力の高い「カチオン系」のセメントをスタイロフォームに塗りつけます。

カチオン系のセメントにもいろいろな種類がありますが、正直どれが良いのか分からなかったため、パッケージで「カチオン」という部分をやたら強調していた「スーパー家庭セメント」を使用しました。割高なので他によい商品を知っている人がいたら教えてほしいです!

ギルトセメント

ギルトセメント

今回の主作業であるモルタル造形には、「ギルトセメント」というセメントを使用します。造形用に開発されたモルタルで、厚塗しやすく、硬化までの時間が長いので造形作業もやりやすいと、モルタル造形の界隈では人気のあるセメントです。

ただしギルトセメントは入手にやや難があり、25kg単位でしか販売がない上に、楽天やAmazonなどのメジャーな通販サイトでは取り扱いがありません。モルタル造形用品を扱っている専門の通販サイトで購入できますが、セメントの価格が2500円程度、そこに送料が2000円程度かかってきます。

参考ギルトセメント | ギルトバンク

少量であればメルカリでもたまに売っているんですが、今回はまとまった量が必要だったので25kg分購入しました。

左官鏝

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モルタルの塗りつけには左官鏝!と思って購入して使ってみたんですが、コテ自体が大きすぎて正直あまり使いやすくはありませんでした。最初にセメントを水で練る作業と、骨組みにどかっとセメントを盛る作業には役立ちますが、その後の細かい造形作業はダイソーで買ったスクレーパーのほうがやりやすかったです。

ダイソーのスクレイパー

ダイソーのスクレーパー

ちょっと正確な商品名を覚えてないんですが、ダイソーの工具コーナーで売っていた、多分スクレーパーだと思います。大きさがちょうどよく、また先端部分がナイフのようになっているので、細かな造形がやりやすくかなり活躍してくれました。

左官バケツ

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セメントを水で練るために使用します。今回使用する量を考えると、トロ舟までは必要なかったので左官用のバケツを使用しました。

ブルーシート

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部屋の中でセメントを使う作業をするときはブルーシートが必須です。ブルーシートなしで作業すると、床にセメントが撒き散って足の裏がずっとザラザラするハメになります…。

アクアマリンソフト

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モルタルは水に沈めると強アルカリ性を示すため、水槽内で使用するためには事前にアク抜きする必要があります。アク抜きには、主にコンクリート製の庭池のアク抜きで使用される「アクアマリンソフト」というアク抜き剤を使用します。

アクアマリンソフトは500mlで水量1tのコンクリート池のアク抜きができるため、今回作る擬岩バックボードのアク抜きにおいては量の面で完全に過剰です。ただ、他に適当な商品もないため、アクアマリンソフトを使用します。

アトムハウスペイント 水性下塗剤エコ

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造形したモルタルには塗装を行います。色を塗る前に、塗料がよくのるように下塗り剤(シーラー)で下塗りを行うほうが良いでしょう。

シンロイヒ テクアートカラー

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モルタルの塗装には、今回は「テクアートカラー」を使用します。テーマパークや動物園の擬岩塗装にも使用されている水性アクリル樹脂を使用した塗料で、耐候性、耐水性に優れています。

テクアートカラーにはA色、B色、C色という区分があり、区分によって値段が違います(A色が安くC色が高い)。今回は、A色から「ホワイト」と「ブラック」、B色から「フタロブルー」を購入しました。テクアートカラーは受注生産なので、入手までに結構時間がかかる点に注意が必要です。本当はあとからもう1色足してもいいなと思ったんですが、待つのがめんどくさくて結局やめました。必要な色は最初によく考えて購入しておきましょう。

ターナー色彩 水性UVカットクリア(艶消し)

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テクアートカラーでの塗装後、塗膜を保護するためにトップコートを上塗りします。今回はバスキングスポットにも使用するため、紫外線による退色も防ぐ効果のある水性UVカットクリアを使用します。変なツヤがでて人工物感が出ると嫌なので、つや消しタイプを使用します。

刷毛

シーラー、塗料、トップコートなどの塗装には刷毛が必要です。近場のホームセンターで適当なものを3本くらい購入して使用しました。

使い捨て塗料カップ

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塗料の調色を行うためには、塗料皿が必要です。今回は安価で手軽に使える使い捨てタイプの塗料カップを使用しました。

モルタルを盛らない部分をマスキング

擬岩コーナーカバーの目的や機能、使用する工具・材料、そしてこれまでの作業の結果を紹介したので、ここからは今回のメインであるモルタル造形を中心に、具体的な作業方法を紹介していきます。

モルタル造形に入る前に、まずはモルタルを盛り付けない塩ビ板やキスゴム等をマスキングテープでマスキングしておきます。

擬岩の骨組みの塩ビ板部分をマスキング

これにより、意図せずモルタルがついてしまったためにガラス面保護の塩ビ板で逆にガラス面を傷つけてしまう、という事態を避けることができます。

下地用モルタルによる表面処理

スーパー家庭セメントを水で練る

次に、カチオン系セメントである「スーパー家庭セメント」を水で練り、下地としてスタイロフォームの上にまんべんなく薄く塗りつけます。

スーパー家庭セメントを手で塗りつける

最初は左官鏝で塗ろうとしましたが、カチオン系セメントであってもスタイロフォームにはくっつきづらくすぐに剥がれ落ちてしまうため、使い捨てのビニール手袋をつけて手で塗り込むように盛り付けました。スリット部分やシェルター部分など、手が入りにくいところだけ左官鏝を使って塗りました。

手で塗ったとしてもやはり剥がれやすく、盛り付けたセメントのうち何割かが表面に残る程度です。しかし、後に盛る造形用セメントの土台になるため、スタイロフォーム全体の表面を覆うように根気強くスーパー家庭セメントを塗っていきます。

カチオン系セメントで下地を作った擬岩

セメントを足し、水で練って骨組みに盛り付けて、という作業を繰り返し、骨組みの全体を下地セメントで覆った状態がこちらです。スーパー家庭セメントは1.3kg入りでしたが、結局全部使い切りました。

カチオン系セメントで下地を作った擬岩(細部)

細部を拡大して見てみると、多少スタイロフォームが見えているところがありますが、所詮は下地であり後から使うギルトセメントがしっかり定着できれば良いので、あまり細かく気にする必要はありません。

造形用モルタルによるディティールの作り込み

カチオン系セメントで下地を作ったら、次は造形用セメントである「ギルトセメント」を使い、擬岩としての形状を作り込んでいきます。擬岩の仕上がりはこの工程の出来栄え次第なところがある上、かなりセンスが問われるため、まずは見えないところ・目立たないところで練習した後、目立つ場所の作り込みへと移りましょう。

ギルトセメントを水で練る

スーパー家庭セメントと同じくギルトセメントを水で練りますが、ギルトセメントの説明書きには水量の明確な規定がありませんでした。ネット上にもあまり情報はありませんでしたが、どうやら細かく水量を決めなくてもセメントとしての役割は果たしてくれて、造形しやすいよう使う人の好みで水量を決めればよいようです。ただし、セメントが乾燥してしまうと硬化して造形できなくなるため、乾燥する前に使い切れる分量だけを水で練るようにしましょう。

今回作る擬岩は、風化した岩というよりも渓流等にある割とゴツゴツした感じの岩を目指しているので、表面はザラザラした感じよりも滑らかな感じにしたいです。そのため、水分をやや多めにして、柔らかめのセメントを左官鏝やスクレーパーを使って均していく感じで作っていきます。

もう少し風化した岩を目指す場合は、多少水を少なめにしてボソボソした状態のセメントで作ったほうが、岩肌が風化して砂っぽくなっている状態のザラザラした感じを出しやすいかもしれません。

ギルトセメントを擬岩の裏側に盛る

まずはコーナーカバー裏面の見えない場所からモルタルを盛っていきます。ここを擬岩風に作り込む必要はないので、左官鏝を使って平面に仕上げました。どうせ見えないところなので、モルタル造形の練習がてら亀裂を入れてみたり、表面を荒らしてみたりといろいろ試しています。

次は表の目に見える場所の岩肌を作り込んでいきます。

擬岩の平面を作り込む

まずはギルトセメントを少し厚めに盛り付け、スクレーパーや左官鏝を使って表面を均し、岩肌のベースを作ります。

擬岩の岩肌を作り込む

次に、スクレーパーの尖った部分を使って、岩肌の亀裂や凹凸を作ります。どうしてこの亀裂ができたのか、この岩はどの方向に割れやすいのか、どの部分は割れて、どの部分は削れたのか等、自分なりに岩の生い立ちみたいなものを考えながら造形すると、説得力のある作品に仕上がると思います。

ギルトセメントを使っての岩肌造形

K-kiは凝り性なので作業が遅く、乾燥するまでに造形できるモルタルの量には限りがあります。2~3時間で作業できるのが、大体上の画像で色が変わっている範囲くらいです。焦っても仕方ないので、作業を何日かに分けて、少しずつ作っていきました。

ギルトセメントで作った岩肌(乾燥前)

造形直後、まだ乾燥していない状態の表面です。セメントは砂を含むためどうしても滑らかな質感を作るのは難しいですが、できる範囲でこだわっていきます。亀裂を入れるとその両側にセメントの盛り上がりができますが、現実の岩ではそんな盛り上がりはないので、丁寧に取り除きます。凹凸感や亀裂の方向などに気を配り、できる限りリアリティを追求しましょう。

ギルトセメントで作った擬岩(乾燥)

上の状態から乾燥すると、このようになります。乾燥するとかなり雰囲気が出てきますね。

さらに作り込みを進め、造形用セメントを使った擬岩のディティールの作り込みが完了した状態が以下の写真です。

ギルトセメントで作った擬岩コーナーカバー

個人的にはかなり満足できる仕上がりになっています。特に、左手前のあたりは岩肌の亀裂やゴツゴツした感じ、部分的に割れている雰囲気などをうまく表現できたと思います。

ギルトセメントで作った擬岩コーナーカバーの拡大写真

左手前部分の拡大写真がこちらです。左側の上の方に、少し穴が空いている場所がありますが、ここが擬岩の中に埋め込んだ塩ビ管から水が吹き出してくる場所に相当します。

ギルトセメントで作った擬岩コーナーカバーの裏面

横から見るとこんな感じです。塩ビ板はマスキングしていたので綺麗な状態をキープできています。裏面はどうせ見えないので適当に仕上げています。

アク抜き剤を利用してモルタルのアク抜き

セメントアク抜き液 アクアマリンソフト

モルタル造形が終わって2日ほど乾燥させたら、アクアマリンソフトを使ってアク抜きをします。擬岩がすっぽり収まる容器を使用するのが理想的ですが、この擬岩はなんだかんだ大きくてすっぽり入る容器がなかったので、大きめのコンテナボックスを使い、上下をひっくり返して2回アク抜きをすることにしました。

アクアマリンソフトの説明書きには、水100リットルに対して50mlを使用するように指示がありますが、今回は水が30リットル弱しか入らないため、15ml程度の使用に留めます。

アク抜き時に水に浮いてしまった擬岩コーナーカバー

水を張ったコンテナボックスに擬岩を入れてみたところで問題発生です。前回もちらっと書きましたが、擬岩が沈みません。特に、写真右側の浅瀬として出っ張らせた部分が、モルタルの量に対してスタイロフォームの量が多く、浮き上がってしまいます。

擬岩コーナーカバーを重くする

既にモルタル造形が完成しておりどうしようもないので、仕方なく側面の塩ビ板を切開して横から穴をあけ、中のスタイロフォームをえぐり取ることに…。見た目以上に大変な作業です。この後穴部分に重しとしてセメントを詰めました。

しかし、これでもまだ沈まなかったため、結局側面の塩ビ板は一度全部剥がしてスタイロフォームを削り、さらにコーナーカバーの裏側のモルタルも一度砕いて中のスタイロフォームを削り、再度モルタルでフタをする、ということまでやっています。ここまでやってなんとか水に沈むようになりました…。事前に重量を見積もるのは非常に難しいですが、水中で使用する擬岩を作る場合は、できる限りスタイロフォームは減らしておいたほうが良いでしょう。

さて、話をアク抜きに戻しましょう。無事水に沈むようになった擬岩は、アクアマリンソフトを溶かした水に3時間以上浸けておきます。K-kiの場合は一晩寝かしておきました。

アク抜き後には擬岩コーナーカバーを流水で洗う

アク抜き後には擬岩を流水で洗い、これを上部と底部で2回繰り返すことで擬岩コーナーカバーのアク抜きは完了です。

水性シーラーによる下塗り

アク抜きをした後に擬岩をよく乾かしたら、次は塗装作業に入ります。まずは、塗料のりを良くするために、シーラーを塗っておきます。

モルタルを盛るときと同様にマスキングをして(面倒だったので端だけにしましたが)、刷毛を使ってアトムハウスペイントの水性下塗剤エコを全体に塗っていきます。

水性下塗剤エコで擬岩コーナーカバーの下塗り

擬岩の表面には、亀裂や凹凸、スリットなど塗りにくい場所もありますが、塗り漏らし、塗り忘れのないように気をつけましょう。

テクアートカラーによる塗装

シンロイヒ テクアートカラー(ホワイト・ブラック・フタロブルー)

シーラーが乾燥したら、テクアートカラーを使用して着色を行います。水性下塗剤エコの説明書きによると、塗装後3時間(冬季は6時間)以上乾燥させてから塗装するように、とのことです。また、着色は基本的にその日中、遅くとも1週間以内に行う必要があるようです。

ベースカラーの塗装

まずはベースとなる色を擬岩コーナーカバーの全体に塗ります。ホワイト・ブラック・フタロブルーの3色を混ぜ、龍王石イメージした濃いめの色合いに塗装しました。

擬岩のベースカラー塗装

モルタルの細かい凹凸部分には塗料が入っていきにくかったため、細部はダイソーで買ってきた絵画用の筆で塗りました。それにしても色が濃い、と思うかもしれませんが、実はテクアートカラーは水中では空気中よりかなり明るい色合いに見えるため、あえて暗めの色調で塗装しています。このあたりは、裏面など完成時に見えない場所で確認しておくのが良いでしょう。

逆に、この擬岩の頭頂部は水上に位置するため、水中部と同じ色で塗ると暗すぎます。そのため、擬岩の上部は以下の写真のようにかなり明るめの色合いで塗装します。

擬岩のベースカラー塗装(上部)

しかし、このままだと境界線がはっきりしたツートンカラーになっていてかなり違和感があるため、2色の中間くらいの色合いの色を調色し、グラデーションになるように塗装しました。軽く塗料を乗せた後、指先でこするようにするといい感じのグラデーションになります。今回のオーバーフロー水槽は水深25cmにするため、底部から25cmより少し上辺りで色が切り替わるように調整しています。

擬岩のベースカラー塗装(グラデーション)

これでもまだ違和感があるかもしれませんが、そもそも自然石は水に濡れると色が濃くなるので、水中のほうが濃いほうが自然です。水に濡れてテクアートカラーが明るく見えることまで加味すると、これくらいの色合いがちょうど良いのです。

エイジング塗装

ベースカラーの塗装が終わったら一度乾燥させ、次は「エイジング塗装」という塗装を行います。これは、岩が時間を経て汚れた雰囲気を出すための塗装です。

…とは言っても今回は3色しか塗料を用意していないので、あんまり派手な汚しはできません。まあ、水槽内で時間が経てばどうせ汚れるので良しとしましょう。

擬岩のエイジング塗装

3色の調色具合を変え、汚れに見えるような色を作ってベースカラーの上に載せていきます。青系の色は岩石の色で汚れの色味ではないはずなので、白と黒の2色で、ベースよりも多少明るい色でエイジング塗装を行いました。筆や刷毛でベタッと塗るのではなく、スポンジやキッチンペーパーに塗料をのせて叩いたり、指で擦ったりしながら少しずつ色を重ねるのがポイントです。

シャドウ入れ(ウォッシング)

ベースカラーに汚しを入れただけでは、まだまだリアルさに欠けます。次は影になっている部分をはっきり見せるために、シャドウを入れていきます。

ベースカラーよりも暗い色を作り、水で薄めてシャバシャバの状態にします。この希釈した塗料を擬岩の凹んでいる部分に塗り、ティッシュやキッチンペーパーで拭き取ります。こうすると、凹んでいる部分だけに濃い色が残り、陰影がはっきりしてリアルさが増します。

ハイライト(ドライブラシ)

さらにリアルさを増すため、次は凸部に明るい色でハイライトを入れていきます。ハイライトは凸部に光があたって明るく見えることを塗装で表現する手法ですが、自然の岩でも凸部が擦れてやや明るい色合いになっていることがあり、そういう意味でもリアルさの演出に役立ちます。

今回は「ドライブラシ」という方法でハイライトを入れていきます。塗料を付けた筆をティッシュやキッチンペーパーでしっかり拭き取り、その後で残った塗料を凸部にこすりつけるという手法で、余計な場所に塗料がつきにくいメリットがあります。

石材の斑を模擬する塗装

ここまでの塗装でかなりリアル感は出ているのですが、今回の擬岩は龍王石をイメージしているため、龍王石の特徴的な斑模様を入れていきます。

龍王石をイメージして白いラインを入れる

斑部分の白をイメージした明るい色を作り、面相筆で余計なところに色がつかないよう慎重に塗っていきます。本物の龍王石の斑部分は、黄色っぽかったり緑っぽかったりするんですが、塗料の色が足りず白・青・黒のみで調色しました。

龍王石の斑模様は石の内部に別の鉱物が含まれることによって現れているため、この岩のどの部分がどんな鉱物でできているのか、その流れを意識しないと斑の入り方が不自然になってしまうため気をつけましょう。また、あんまりやりすぎるとわざとらしくなるので、斑模様は程々にしておきます。

ここまでやれば着色作業は完了です。出来上がった状態がこちら。

塗装済みの擬岩コーナーカバー(正面)
塗装済みの擬岩コーナーカバー(側面)
塗装済みの擬岩コーナーカバー(俯瞰)

個人的にはかなり満足の行く出来栄えです。斑模様がわざとらしくならないか心配だったんですが、思ったよりもいい具合になりました。

トップコートによる表面保護

テクアートカラーでの着色が終わったら、塗膜を保護するためにトップコートを塗っておきます。

テクアートカラーには「MB-AGクリアー」という専用のトップコートがあるんですが、15kgで25000円という「そんなに要らんし高すぎるわ」状態で手が出ませんでした。代替品を探す過程で塗料専門店の「大橋塗料」さんに相談したところ、ターナー色彩の水性UVカットクリアという塗料を勧めてもらいました。

この塗料はトップコートとして使用できることはもちろん、紫外線による退色を防ぐ効果もあるため、紫外線ライトを照射するバスキングスポットも兼ねている今回の擬岩コーナーカバーにはまさにうってつけです。また、トップコートで変なツヤが出ると一気に作り物感が増してしまいますが、水性UVカットクリアにはつや消しタイプもあるので安心です。

ということで大橋塗料さんで水性UVカットクリアを購入しました。普通は1リットルからの販売しか無いんですが、大橋塗料さんでは0.5リットルの小分けでも販売しているため都合が良かったです。

水性UVカットクリアでトップコート

塗料カップに水性UVカットクリアを出した後、10~20%の水で薄め、刷毛を使ってシーラーと同様に、全体に行き渡るよう注意しながら塗っていきます。表面の保護を重視して、今回は2回塗りを行いました。重ね塗りする場合は、2時間以上乾燥させてから行う必要があります。

擬岩コーナーカバー(本体部分)の完成

以上の作業をもって、擬岩コーナーカバーの「本体部分」は完成です。水槽の中に入れて水を張ってみるとこんな感じ。

擬岩コーナーカバーの本体部分を水を張った水槽に入れる

水中部分の色を結構濃い目に塗ったので違和感があるんじゃないかと思う人もいたと思いますが、K-kiは割とよく馴染んだと思っています。

なお「本体部分」の完成としたのは、右奥部分にぽっかりあいている穴部分にのせる「フタ」の作成について今回は全く触れる余裕がなかったためです。この部分については基本的に作り方は本体部分と同じですが、多少の工夫があるので詳細は次回紹介することにさせてください。

擬岩コーナーカバーの作り方(モルタル造形編)のまとめ

今回は擬岩コーナーカバーの作り方の中編として、モルタル造形と塗装に関連する内容を解説しました。まさに「岩作り」という内容だったと思いますが、いかがだったでしょうか。K-kiと同じ、「岩を作りたい」という変わり者のお役に立てば幸いです。

なお、今回の擬岩作成に際しては以下のサイトを参考にしました。特に、Thunder Bird Hillsさんは昔からずっと参考にしてます。長らく更新は止まってますが、復活してくれないかな…。

参考作成 | モニターと暮らそう | Thunder Bird Hills

参考擬岩バックボードの作り方-上級者向け-

次回は、今回紹介できなかったフタ部分の作り方と、水槽に設置して水を回すところまでを紹介し、擬岩作り全体の総括を行う予定です。この次もぜひ読んでくださいね!


K-ki

前回はスタイロフォームの骨組みだけだったのでどんなものが出来上がるかイマイチ分かりづらいところがありましたが、今回の作業で擬岩コーナーカバーがだいぶ形になりました。モルタル造形にはかなり凝って時間がかかってしまいましたが、その分、初めてにしてはなかなか良い出来栄えと思います。根気が必要なDIYですが、自分好みの擬岩を作るのは結構楽しいです。ぜひ挑戦してみてくださいね!

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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