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自作オーバーフロー水槽配管(組立編)―ろ過槽と塩ビ管接続~通水

2020/05/30

オーバーフロー水槽DIY 配管組み立て編

こんにちはー!昨年末からずっとオーバーフロー水槽のDIY記事を連投中のK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。今回も引き続きオーバーフロー水槽DIYの模様をお届けします。ようやく今回でオーバーフロー水槽の配管が一段落し、水を回す通水テストまでたどり着くことができます!長かった…。

なお前回は、オーバーフロー水槽の配管を組む際に使用する各種パーツ類の自作を行いました。

オーバーフロー水槽配管(加工編1)―給排水管・シャワーパイプ自作
自作オーバーフロー水槽配管(加工編)―給排水管・シャワーパイプ

オーバーフロー水槽の配管に必要な部品(シャワーパイプ・ピストル管・給排水管)の自作方法を、60cmワイド水槽を例に解説します。寸法と接着箇所の指示を図面を交えてわかりやすく紹介します。必要な工具もリストアップしています。

これ以外にも、オーバーフロー水槽の設計や穴あけ、バックスクリーンの貼り付けなどの関連作業は以下の連載としてまとめています。

オーバーフロー水槽の自作に挑戦してみようという方は、ぜひこれらの過去記事も参考にしてくださいね。

オーバーフロー水槽の仕様を再確認

まずはおさらいですが、前回までに設計し、寸法を決定した60cmワイドオーバーフロー水槽の仕様を再度確認しておきます。今回の配管作業では、この仕様に基づいて水槽システムを組み上げて行くことになります。

60cmワイドオーバーフロー水槽の仕様

60cmワイドオーバーフロー水槽の仕様
水槽 ADA キューブガーデン6045
水位 25cm
給排水管タイプ 2重管+コーナーボックス
給水管呼び径 40A
排水管呼び径 13A
水槽台 Cube a Stump wood
ろ過槽
ウールボックス
アクロ スーパークリア 3層式濾過槽 60cm用フルセット
ポンプ エーハイム コンパクトオン 2100
ピストル ストレートピストル
その他 自作シャワーパイプ

前回も書きましたが、キャビネット内の配管は、必要性が薄いこと&加工・メンテナンスを簡単にするために、極力シンプルなものとしました。水中ポンプを使用することもあり、ドレンバルブやモーションチャンバー、クーラーや殺菌灯などを考慮したオプション的な配管は採用していません。 また、各所の寸法と接着要否は以下の画像のとおりです。

60cmワイドオーバーフロー水槽 配管寸法と接着箇所

前回の加工編で、配管に使用する給水管、排水管、ピストル、シャワーパイプを作りました。今回の作業はこれらのパーツを水槽・水槽台に組み付けることと、前回ノータッチだったろ過槽周りのDIYです。

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用意するもの

具体的な作業を紹介する前に、今回の作業で使用する工具・材料をまとめておきます。

塩ビ板

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今回の主な作業の一つに、ろ過槽・ウールボックスのフタ作りがあります。その材料として、塩ビ板を使用します。

塩ビ板は何でもいいといえば何でもいいんですが、多少厚みがあったほうが強度が出ること、厚すぎると加工しにくいこと、透明な方が中を覗きやすくメンテナンスのタイミングを逃しにくいことから、3mmの透明塩ビ板を使用します。

塩ビ角棒

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今回使用するウールボックスには、フタ受けがついていません。自作したフタがずり落ちたりしないように、ガイドレールをつけておくのが無難と言えます。ガイドレールとして、塩ビの角棒を使用します。

蝶番

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ろ過槽用のフタは、足し水やメンテナンスがやりやすく、夏場はファンを取り付けられるように可動式にします。2枚の塩ビ板を蝶番を介して接続することで可動式のフタにするので、蝶番を用意する必要があります。錆びにくいステンレス製のものを選びましょう。

プラスチックカッター

塩ビ板をカットするために使用します。基本的に塩ビ板は購入時に寸法指定してカット済みのものを送ってもらうのが手間が少なく良いのですが、一部現物合わせで寸法を測ってからカットしたい部分があり、その際は塩ビ板に対応するプラスチックカッターを使用してカットします。

塩ビ接着剤

前回は塩ビ管用の接着剤を使用しましたが、今回は塩ビ板用の接着剤を使用します。注射器が付属しており、表面張力で板の間に接着剤を伝わせて接着します。

電動ドリルドライバー

ろ過槽・ウールボックスのフタの制作過程で穴をあけるので、電動ドリルドライバーが必要です。K-kiはこれまでと同様、マキタの10.8V 充電式ドライバドリルを使用します。ガラス水槽のオーバーフロー穴をあける作業にも使用したドリルなので、塩ビ板への穴あけ用としてはオーバースペックです。もっと安いドリルでも穴をあけられるはずです。

ホールソー

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ウールボックスのフタを作る際に、塩ビ管が通る太さの穴をあけるために、ドリルドライバーの先端に取り付けて使用します。

ドリルビット

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ろ過槽のフタを作る際に蝶番を固定するネジを通す穴をあけるため、ドリルドライバーの先端に取り付けて使用します。

オーバーフロー水槽

ADA キューブガーデン 6045

毎度のことですが水槽が必要です。ADAのキューブガーデン6045にダイヤモンドコアドリルで穴をあけオーバーフロー水槽用の台座を接着したものを使用します。

オーバーフロー水槽用の配管パーツ

S型ソケットと給水用の塩ビ接続パーツを接着したピストル管、排水管、シャワーパイプ

こちらは前回の記事で塩ビパイプをカット・接着して制作したオーバーフロー水槽用の配管パーツです。左から順にストレートピストル+S型ソケット、排水管、シャワーパイプです。この写真には写っていませんが、VP13の給水パイプも使用します。

水槽台

森の贈り物 Cube a Stump Wood(クリ材)

無垢オーダー家具の「森の贈り物」さんでオーダーメイドしたCube a Stump Woodという水槽台を使用します。この水槽台の仕様やレビューだけで十分1記事書けてしまうので、詳細は以下のページに分けました。ぜひ読んでみてください。

オーダーメイド水槽台Cube a Stump(wood)レビュー!
オーダーメイド水槽台Cube a Stump(wood)レビュー!

福岡県久留米市の工房「Morino Okurimono(森の贈り物)」が手掛けるオーダーメイド水槽台「Cube a Stump」シリーズを紹介します。無垢材を活かしたCube a Stump(wood)を購入し1年以上使用した上でのレビューもお届けします。

とりあえずごく簡単にスペックを紹介しておくと、横幅60cm×奥行き45cm×高さ70cmの60ワイド水槽用としてはスタンダードなサイズの水槽台で、素材には耐水性の高いクリ材を使用しています。オーバーフロー水槽を設置するため、オプションで天板に2箇所穴あけ加工をしてもらいました。

ろ過槽+ウールボックス

チャームのオリジナルブランド アクロシリーズのろ過槽である「アクロ スーパークリア 3層式濾過槽」を使用します。ウールボックスも付属するフルセットを選びました。ろ過槽は一般的な水槽よりも加工の手間がかかるため、市販品は高価なものが多いです。その中でこのろ過槽は、大量生産しているアクロシリーズの水槽を流用することで価格を抑えているようです。

ガラス製なので割れにくい塩ビ製のろ過槽に比べるとやや使い勝手は劣りますが、気をつけて使用すればそうそう割れることはないですし、クリアガラスを使用しているのでろ過槽の見栄えはかなり良いと思います。


自作した引き出し式ウールボックス
自作オーバーフロー濾過システム!引き出し式ウールボックス

前回の濾過槽の自作に引き続き、ウールボックスの自作方法を解説します。ウールボックスは物理濾過によって水が汚れるのを防ぐオーバーフロー濾過システムでも重要なものです。メンテナンス性向上のため引き出しタイプを自作しました。

今回はチャームのろ過槽とウールボックスのコストパフォーマンスが高そうなので市販品を購入しましたが、もちろんこれらを自作することも可能です。過去に60cm規格水槽を濾過槽に改造する方法を解説したページと、引き出し式のウールボックスの作り方を解説したがあるので、濾過層も自分で作りたいという人はぜひこちらのページを読んでみてください。

水槽マット(本水槽用)

水槽台の上に水槽を置く際には、滑り止めやガラスに衝撃が伝わらないようにするクッション材として、水槽マットを敷きます。本水槽には横幅60cm×奥行き45cmの60ワイド水槽を使用するため、大きさの合う水槽マットを使用します。

コンパスカッター

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オーバーフロー水槽の下に水槽マットを敷く場合、当然ですが配管が通る部分には穴を開けなければなりません。水槽マットを丸くくり抜くのには、コンパスの鉛筆部分がカッターになった「コンパスカッター」という道具を使用します。

水槽マット(濾過層用)

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今回はガラス製の濾過槽を使用するため、水槽台内部にろ過槽を設置する際に、ろ過槽の下にも水槽マットを敷きます。ガラス製の水槽等を設置する際には、水槽マットは必ず敷いておきましょう。

水中ポンプ

今回のオーバーフロー水槽は比較的小型のため、マグネットポンプではなく扱いやすい水中ポンプを使用します。水中ポンプにもいろいろな製品がありますが、今回はエーハイム コンパクトオン 2100を使用します。以前このポンプの旧モデルを使っており、使い慣れていることと、以前使っていた旧モデルがそのままバックアップとして使用できるためこのポンプを選択しています。

12mm/16mmホース

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エーハイム
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水中ポンプから、ピストルに接着したホースの接続口(カミハタの塩ビ接続パーツ)までを繋ぎます。今回はエーハイム製のホースを使用しますが、別に他のメーカーのホースでも問題ありません。

前回の記事に書いたとおり、ストレートピストルへのホース接続にはカミハタの塩ビ接続パーツを使用します。塩ビ接続パーツは、ホースジョイントに差し込んだホースを外からナットで締め込む作りになっているので、外径と内径の組み合わせが指定通りである必要があります。

内径12mm、外径16mmという組み合わせは、ホームセンターで測り売りされているような園芸用ホースにはなく、アクアリウム界隈独自の規格のようなので、おとなしくアクアリウム用のホースを使用したほうが安心です。

エーハイム コネクター 12/16mm⇔19/27mm

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今回のオーバーフロー水槽では水中ポンプとしてエーハイム コンパクトオン2100を使います。コンパクトオン2100は内径19mm/外径27mmのホースに対応していますが、先ほど紹介したVP13塩ビ管用の塩ビ接続パーツは、内径12mm/外径16mmのホース用です。そのため、太さの違うホースを接続するためのコネクタが必要です。

前身モデルであるエーハイム コンパクトポンプ2000では、このコネクタが付属していましたが、コンパクトオン2100には付属していません。手持ちがない場合は別途購入しておく必要があります。

内径18mmホース

エーハイムの水中ポンプから異径コネクタの間は内径19mmのホースで接続する必要がありますが、アクア用のホースは1mからしか売ってないし割高なのでホームセンターで似たようなサイズのホースを買って使用します。内径19mmのホースはなかったので、少しきつめにはなりますが内径18mmのホースを使用します。長さは10cmもあれば十分ですね。

ウールマット

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ウールボックスの内部に敷き詰めて大きなゴミを濾し取ります。丈夫で長持ちの、昔から使い慣れているファインマットを使用します。

用意する道具や材料の紹介はここまでです。次の項目から、具体的な作業手順を紹介していきます。

水槽マットに穴をあける

オーバーフロー水槽用の水槽マットにコンパスカッターで穴をあける

まずはコンパスカッターを使って水槽マットにオーバーフロー配管を通すための穴を開けます。水槽マットのサイズはオーバーフロー水槽の底面サイズと一致しているので、ダイヤモンドコアドリルで水槽に穴を開けたときと同様、水槽の奥側の端から80mm、右端から80mmのところにφ60mmの穴をあけます。

実際には、ガラス水槽にあけたφ60mmの穴にオーバーフロー台座をはめ込んで接着し、そこにVU40の塩ビ管(外径48mm)を差し込むので、穴の大きさは一回りほど余裕をもたせていることになります。

水槽を水槽台に設置し排水管を配管

水槽台の上に水槽を設置する

次に水槽台の上に水槽マットを敷いて、その上にオーバーフロー水槽を置きます。さらに、この水槽に前回制作した配管パイプを組み付けていきます。

隙間がなくなるまで排水管を台座に差し込む

最初は排水管をオーバーフロー水槽に接着した台座に差し込みます。オーバーフロー水槽の仕様のところにも書いたように、今回は排水管を台座に接着しません。そのため、ここの差し込みが甘いと水漏れに直結します。台座は透明になっているので差し込み具合をよく確認しながら、隙間が完全になくなるまでしっかりと差し込みます。

オーバーフロー水槽の台座にピストル管とシャワーパイプを接続

次に水槽の裏側、つまり水槽台の内部から水槽台の底面に向かって、ピストル管を差し込みます。この部分も接着しませんが、差し込みが緩いと水槽から排水された水が上手くウールボックスに流れ込まず水槽台内に撒き散らされる可能性があります。くれぐれもしっかり奥までパイプを差し込んでください。

ストレートピストルにカミハタの塩ビ接続パーツを介してエーハイムホースを接続

このとき、ストレートピストルに接着したカミハタの塩ビ接続パーツに、エーハイムのホースを固定してから作業を行いました。水槽台内部の狭い場所でホースを取り付けるのは難しいので、先にホースを取り付けた方が楽だと思います。ポンプに接続する側は、現物合わせで長さを調整して後からカットします。

水槽台内部にろ過槽を設置

次に濾過槽を水槽台の中に設置します。ついでに、今回のオーバーフロー水槽システムで使用する水中ポンプ「エーハイム コンパクトオン 2100」も設置してしまいましょう。

エーハイム コンパクトオン 2100
今回使用する水中ポンプ「エーハイム コンパクトオン 2100」

水槽台内部にろ過槽を仮配置・ポンプ室に水中ポンプを仮設置

アクロ スーパークリア 3層式濾過槽はガラス製のため、水槽マットを敷いた上でろ過槽を設置します。左側のポンプ室にはエーハイムの水中ポンプも入れておきました。右側のろ材室には、付属の塩ビパンチングボードを忘れずに敷いておきます。

濾過槽と水中ポンプを設置

ちなみに、このエーハイムの水中ポンプは底面に吸盤がついていて、水槽の底面ガラスにくっつけて固定します。ただし、この吸盤が水中じゃないと上手く吸着してくれないので、最後に水を張った段階でもう一度固定し直す必要がありました。

ろ過槽の上にウールボックスを設置

上の画像では見えませんが、この後濾過槽の上にウールボックスも置いておきました。今回は右側にオーバーフローパイプを立ててストレートピストルで配管するため、ウールボックスは右側に配置します。

ピストルにシャワーパイプを接続して濾過槽の位置を調整

次に、ストレートピストルに接着したS型ソケットに、前回の作ったシャワーパイプを差し込みます。この接合部分は接着しませんが、もしも接続が緩くても水漏れ被害が出ないように、ウールボックスのフタよりも接続部が低い場所になるように計算しています。

一方、低すぎてウールボックスの壁よりも接続部が下になってしまうと、ウールボックスをスライドして取り出しにくくなるため、ウールボックスのフタの厚みの範囲に接続部分が来るように工作しました。ここまでこだわるとミリ単位の調整が必要になるため、工作の精度も求められます。

ウールボックスを設置しシャワーパイプを接続

ここまでの作業が終わった状態がこちらです。このとき、シャワーパイプやS型ソケットが上手くウールボックスの中に収まるように、濾過槽の位置を微調整しています。後で作るウールボックスのフタの穴あけ位置に強く影響するので、ここでしっかり位置決めをしておくのが重要です。

ポンプとピストル管を接続

ピストルに差し込んだホースのもう片方を、現物合わせでエーハイムの水中ポンプに届く長さにカットして、水中ポンプと接続します。

水中ポンプとピストル管をホースで接続

エーハイム コンパクトオン2100に対応するホースは、内径19mm/外径27mmのホースですが、VP13に対応する塩ビ接続パーツに接続できるホースは内径12mm/外径16mmです。そのため、エーハイムのホースコネクターを使い12/16mmのホースから一度内径18mmのホースを経由して水中ポンプに接続しています。

本当はアクアリウム用の19/27mmホースを使用したほうが良いですが、手持ちがなかったので測り売りで安く手に入るホームセンターのホースを使用しました。ただ、内径12mmのホースとコネクターの接続がきつくて非常に苦労しました…。あまりムキにならずお湯とかを使って温めながらやれば、ホースが伸びやすくなるのでもう少し簡単にはめられるはずです。

また、ホースが外れて水中ポンプが噴水状態にならないように、ホースバンドを使用してホースとポンプ及びコネクターはしっかりと固定しておきます。

給水管を接続

水槽から濾過槽へと水が流れる部分の配管はここまでで完成です。また、濾過槽から水槽に戻す配管のうち、ポンプからピストル管までの配管も完了しています。

最後に、ピストル管から水槽への戻し配管(給水管)を接続すれば、一通りの配管作業が完了です。前回、VP13の塩ビ管を301mmの長さにカットして、片側にエルボを仮差しして給水管を作りました。この給水管を水槽側から、ピストル管内部の水中ポンプからの戻し配管部分に差し込んでやればOKです。

残念ながらこの部分は写真が残っていないので少々わかりにくくなってしまっていますが、最後に通水テストをしている動画を紹介しているので、そこで給水管部分を確認してみてください。

ろ過槽のフタを作る

今回のオーバーフロー水槽DIY作業は、まずろ過槽のフタを作るところから始めます。順を追って手順を説明していきましょう。

寸法設計・切り出し

ろ過槽の蓋を作るにあたって、まずはフタの寸法を設計して塩ビ板を指定寸法で切り出します。今回、塩ビ板は「はざいや」で寸法を指定してカットしてもらったものを購入しているので、実際には切り出し作業はしていません。

塩ビ製のろ過槽用フタの寸法

寸法は上図のとおり指定しました。小さい板と大きい板を2箇所の蝶番で接続し、ちょっとしたメンテナンスの時は小さい板だけを動かしてフタを取ることなく作業できるように工夫しています。大きい板はろ過槽のフランジに十分な余裕を持って乗るサイズに、小さい板は水中ポンプから伸びるホースが引っかからないように隙間ができる大きさで、フタをあけた状態ではオープン部分に12cmサイズの冷却用PCファンが設置できるサイズを狙っています。

塩ビ板に穴をあける

塩ビ板に穴をあけるため蝶番を仮止め

蝶番をネジ止めするために、まずネジを通す穴をあけます。蝶番を固定する場所を決めたら、マスキングテープで蝶番を仮止めしておき、その状態で穴をあけてやると、穴位置がずれて蝶番がはまらない、というトラブルを防ぐことができます。

蝶番をネジで固定して完成

蝶番をネジで固定しろ過槽のフタ完成

ネジ穴をあけたら、六角ボルトで蝶番を固定してろ過槽のフタは完成です。なお、今回は25mmの蝶番とM6の六角ボルトを使用しました。小さい板のいい感じの場所に、角棒を短く切ったもので取っ手をつけています。5mmの角棒しか手に入らなかったのでそれを使っていますが、もう少し太い角棒のほうがつかみやすいと思います。

ちなみに、このタイプのフタは以前にも自作しています。以前のものとの違いは寸法と開き方の左右が逆になっているくらいで、根本的には同じ作りです。

蒸発・異物混入・飛出し事故を防ぐ!開閉式の水槽フタを自作

熱帯魚・エビの飛び出し事故や飼育水の蒸発、ゴミ等の混入を防ぐ水槽のフタの作り方を紹介します。可動式にする事で、エサやりや掃除などの水槽メンテナンスの際にも邪魔になりません。塩ビ板や蝶番等で簡単に自作できるのでお試しあれ!

以前にろ過槽のフタを作ったときの様子とDIYの手順はこちらのページにまとめていて、ここでの説明よりももう少し詳しく書いています。あわせて読んでみてくださいね。

ウールボックスのフタを作る

ろ過槽のフタの次は、ろ過槽の上に載せるウールボックスのフタを作っていきます。こちらは本水槽から排水管を通って流れ落ちてくる水が入ってくる場所なので、パイプとの接続があるため構造的に多少複雑になり、また水がもれないようにしっかり密閉できるようにする必要があるため、ろ過槽のフタよりは多少精度が必要な工作になります。

S型ソケットからの配管が通る穴をあける

ウールボックスには本水槽から水が流れ落ちてくるため、フタにはこの水を導くパイプを通す穴をあける必要があります。穴の位置は正確にあけないとパイプが通らなくなってしまうため注意が必要です。K-kiは、水槽台の中にろ過槽を置いて、現物合わせで穴の位置を決めました。

ウールボックスのフタ自作 穴位置のマーキング

ウールボックスのフタには前回ストレートピストルに接着したS型ソケットが突き刺さる形になるので、パイプの外径に対して多少ゆとりをもたせた直径の穴を開けます。今回はホールソーを使いφ57mmの穴をあけました。

ウールボックスのフタ自作 ホールソーで穴をあける

穴を開けたあとの様子がこちらです。もっと拡大すれば多少粗があるのはわかりますが、まあ及第点でしょう。ちなみに、塩ビ板へは木工用のホールソーで穴をあけることができます。

配管穴を中心に塩ビ板を2分割する

次に、あけた穴を中心に塩ビ板を2枚に分割します。分割しないほうが水漏れしなさそうに思いますが、分割しないとろくにフタの開け閉めができずウールボックスをまともに使えなくなってしまいます。

ウールボックスのフタ自作 穴を中心に塩ビ板を2分割

塩ビカッターを使用して自分でカットしたんですが、途中で手が滑って傷をつけてしまいました。傷があろうがなかろうがフタとして使う上では全く影響ないんですが、ちょっとテンション下がりますね…。塩ビのカットは慎重にやりましょう!

塩ビ角棒でガイドレールを作る

このままウールボックスに載せるだけでもフタとして使えなくもないんですが、フタが滑り落ちやすく、その際にフタの裏についた水滴が水槽台内部で飛び散るのであまりおすすめしません。塩ビ角棒でガイドレールを作り、フタが落ちないようにしておきましょう。

ウールボックスのフタ自作 ガイドレールの仮止め

フタのサイズはウールボックスの外寸と合わせてあるので、上の画像のような感じでガイドレールを接着し、ウールボックスにフタのガイドレールを落とし込んで固定できるようにします。上手くはまらないと困るので、左右それぞれ1mmくらいは余裕を持った場所にガイドレールを接着するのが良いでしょう。

マスキングテープで角棒を仮止めしておき、塩ビ板用の接着剤を流し込んで接着します。

塩ビ接着剤で固定して完成

ガイドレールを接着したら完成です。ろ過槽のフタと同じく、取っ手もつけておきました。

ウールボックスのフタ自作 ガイドレールと取っ手を接着して完成

大きい方を手前、小さい方を奥側に設置し、穴部分に塩ビ管を通すような感じでウールボックスのフタとして使用します。

通水テスト

作成した濾過層のフタとウールボックスのフタを設置し、ウールマットを適当なサイズにカットしてウールボックスに詰めたら、オーバーフロー水槽システムで水を回すための準備は完了です。オーバーフローパイプの差し込みは緩くないか、各所の接着は上手くできているか、水ハネや水漏れはないかを確認するため、一度水を張ってポンプを動かし、正常に水を回すことができるか確認する「通水テスト」を行います。

通水テストの様子はInstagramに投稿しているので、そちらの動画を紹介しておきましょう。なお、ポンプの電源は水槽台の内側に電源タップを仮設置して、そこから取っています。電源タップの設置方法にはもう少し工夫を加える予定なので、そのあたりはまた後日紹介します。

ご覧の通り、無事に水を回せることを確認できました。これで今回の目的は達成です!

ちなみに、こんな感じでインスタにはブログで紹介する前の情報をさらっとアップしてたりもします。よければぜひフォローしてくださいね!

YouTubeでもオーバーフロー水槽の配管組立の様子を配信中

今回紹介したオーバーフロー水槽の配管を組み立てる方法の解説は、YouTubeで動画の形でも配信しています。前回公開したオーバーフロー水槽の配管用パーツを塩ビパイプで作る方法を解説する動画の続編です。

このページではオーバーフロー水槽の配管を行う方法を文章で細かく説明しましたが、手元の動きや作業の順序が見える点では、動画だとよりわかりやすい部分もあると思います。オーバーフロー水槽の配管DIYに挑戦しようと思っている人は、ぜひYouTubeの動画も見てみてくださいね。そして、チャンネル登録もぜひぜひお願いします!

YouTubeチャンネル

オーバーフロー水槽の自作:組み立て編のまとめ

今回は、前々回に決定したオーバーフロー水槽システムの仕様を受けて、前回制作した配管パーツを使い、オーバーフロー水槽を水を回せる状態まで組み上げる作業を紹介しました。

数多くの道具や飼育用品を使い、水槽システムとして組み上げていく流れを紹介したため長文になってしまいましたが、その分詳しく説明できたので、オーバーフロー水槽の自作に挑戦する人には役立つ内容になったんじゃないかと思います。ぜひ、自分だけのオーバーフロー水槽を作ってみてください!

さて、オーバーフロー水槽としては今回までで最低限機能するようにはなったわけですが、まだまだやらなければならない作業はたくさんあります。次回は、今回の水槽DIYの中でも一番凝ったポイントである「モルタルで作る擬岩コーナーボックス」について紹介します。ぜひ読んでくださいね!

K-ki

擬岩コーナーボックスはかなりK-kiのオリジナリティあふれるものに仕上がっています。オーバーフローパイプを隠しつつレイアウトとして見栄えがよく、さらにこの水槽で飼育予定の亀にとってバスキングスポットにもなる優れモノです。乞うご期待!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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