アクアリウム 爬虫類飼育 立ち上げ・リセット

亀も棲むアクアテラリウムの作り方!流木と配水チューブで水槽に渓流を

2020/08/22

亀も飼えるアクアテラリウムの作り方

こんにちはー!ニホンイシガメ飼育者のK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。

ここ最近はずっとオーバーフロー水槽の自作関連の記事を中心に書いてきましたが、ついに今回は水槽の立ち上げ作業を行います。連載「オーバーフロー水槽の自作方法」としては、13回目の記事でようやくここまでこぎつけました。なんやかんや実際に水槽を立ち上げてからは半年以上経過してます。長かった…。

ここまでの自作作業や水槽システムの設計は、こちらの連載リストにまとめています。ぜひぜひ、これまでの記事も合わせて読んでみてください。

今回は水槽の立ち上げ作業を行うわけですが、タイトルにもある通り「アクアテラリウム」として立ち上げていきます。メイン生体である亀を健康に飼育できる環境を整えることは当然として、その上で水槽のレイアウトにもこだわりたいと思います。

今回の水槽での飼育生体・植物

まず最初に、今回のオーバーフロー水槽で飼育する生体を紹介しておきましょう。レイアウトに使用する植物も併せて紹介します。

ニホンイシガメ

ニホンイシガメ

このアクアテラリウムのメイン生体はニホンイシガメです。水槽レイアウトや温度、光環境などの設定は、全てニホンイシガメの飼育ができるように決めています。

ちなみに、今回の水槽で飼育する個体は「シカク」という名前で、このサイトの立ち上げ当初(2012年頃)からずっと飼育しています。TwitterFacebookInstagramなどSNSではちょいちょい登場してるんですが、ブログに登場するのは久しぶりかも。よかったら名前を覚えてあげてください!

カワバタモロコ

カワバタモロコ

今回はニホンイシガメを飼うためのアクアテラリウムを作るので、タンクメイトも日本在来種に限定します。

亀水槽のタンクメイトは、ある程度泳ぎが上手くないと亀に食べられる可能性が高いです。特に、メダカとかは泳ぎが下手なので向きません。また、60cmワイド水槽なので、大きすぎる魚は存在感がありすぎてあまり好ましくないです。

日本産淡水魚(日淡)には魅力的な魚がたくさんいますが、こういったポイントを踏まえて、体長3~4cm程度で、繁殖期の金色の婚姻色がきれいな「カワバタモロコ」を選びました。

注意

この水槽を立ち上げた時点では問題なかったのですが、現在はカワバタモロコは「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定されており、販売は禁止されています。

ヤマトヌマエビ

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モスばかりではありますが、この水槽には多少水草も入れるので、コケ取り生体の定番であるヤマトヌマエビもタンクメイトに採用します。

サムライモス

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アクアリウムに使用できる国産モス(苔類)の中でも、南米ウィローモスのような美しい三角葉を展開する、水槽でのレイアウトに適した種類である「サムライモス(シマフクロハイゴケ)」も採用します。個人的に昔から好きなモスで、流木をびっしり覆い尽くすほど増やしてやりたい野望があります。

国産美コケ「サムライモス」
国産美種「サムライモス」の育て方!ポイントはCO2の添加

日本原産のモスであるサムライモスの育て方を紹介します。サムライモスは南米ウィローモスのような綺麗な三角葉を展開する小型のモスで、水槽の水草レイアウトでも存在感を出せます。二酸化炭素(CO2)を添加すると育成しやすいです。

サムライモスを詳しく解説したページもあるので、よければ読んでくださいね。

ウィローモス

アクアリウムで使用するモスの中でも定番のウィローモスも採用します。亀の手足の爪で引っかかれても枯れない稀有な水草で、流木に活着して育つため扱いやすいウィローモスは、亀のレイアウト水槽ではほぼ必須です。

ハイゴケ

(観葉植物/苔) ハイゴケ 1パック分
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今回のアクアテラリウムの水上部分は、亀がバスキング(日光浴)できるようにする必要がある都合上、陸上部分は高温・乾燥した環境になり植物の育成が難しいです。そこで、まずはアクアテラリウムでよく使われる苔類の中でも、幅広い環境に適応できるハイゴケを選びます。

スナゴケ

(観葉植物/苔) スナゴケ 1パック分
CHARM

次に、乾燥した環境に強いスナゴケも採用します。

シノブゴケ

(観葉植物)シノブゴケ 1パック分
charm(チャーム)

また、湿度の高い環境を好むシノブゴケも採用します。陸上部分の植物は、ハイゴケ・スナゴケ・シノブゴケの3種のうち上手く適応できたものを後から足そう、という目論見です。

アコルス(アリスガワセキショウ)

陸上部分の植物が苔だけだと寂しいので、根が水に使っていても育つ「抽水性植物」の中から、渓流などに生えているアコルスを植えてみることにしました。今回は、アコルスの仲間の中でも小型で、ピグミーアコルスやアリスガワセキショウの名前で呼ばれる種類を使用します。

飼育データ管理・共有サービス「RIUM」を今すぐ使ってみよう!

アクアテラリウム用オーバーフロー水槽の構成

飼育生体を紹介したところで、今回のアクアテラリウム立ち上げに使用する水槽システムを紹介しておきます。この水槽システムは、連載「オーバーフロー水槽の自作方法」として作り方や飼育用品の選定方法などを紹介してきたものであり、使用する製品の選定理由は主に以下の記事で解説しています。


水棲亀の照明・保温 紫外線ライト・ヒーターの選び方・おすすめ
水棲亀の照明・保温-紫外線ライト・ヒーターの選び方とおすすめ製品

水棲亀の飼育環境立ち上げ時に、照明や保温システムをどのように構築すべきかまとめます。ライトスタンド、紫外線ライト、可視光ライト、ヒーター、プログラムタイマー、サーモスタット等について、選び方・おすすめ製品を紹介します。

ここではどんなものを使っているかを簡単に列挙するに留めるので、それぞれの製品を選んだ細かい理由はリンク先のページで確認してください。

水槽及び濾過システム

まず、水槽やろ過槽等の水回り関連のスペックを紹介します。

水槽:ADA キューブガーデン6045

ADA キューブガーデン 6045

水槽は見栄えに直結するので、あまりお金を惜しまず良いものを選びます。

水槽台:Cube a Stump wood

森の贈り物 Cube a Stump Wood(クリ材)

同じく水槽台も良いものが欲しくなり、オーダーメイドしました。久しぶりの水槽立ち上げなのもあって財布の紐が緩んでます。

参考無垢オーダーアクアキャビネット/水槽台 Cube a Stump (wood)

オーダーメイド水槽台Cube a Stump(wood)レビュー!
オーダーメイド水槽台Cube a Stump(wood)レビュー!

福岡県久留米市の工房「Morino Okurimono(森の贈り物)」が手掛けるオーダーメイド水槽台「Cube a Stump」シリーズを紹介します。無垢材を活かしたCube a Stump(wood)を購入し1年以上使用した上でのレビューもお届けします。

水槽台のオーダー仕様の詳細やレビューはこちらのページにまとめてあります。

バックスクリーン:ARTI サンド

バックスクリーンは背景が半透明になるミスト風のタイプを選びました。

ろ過槽:アクロ スーパークリア 3層式濾過槽

アクロ スーパークリア 3層式濾過槽 60cm用フルセット

濾過槽は自作しようかとも思いましたが、チャームオリジナルブランドのアクロの濾過槽が、濾過槽とウールボックスがセットになって1万円ちょっとと非常にお買い得だったので、手間を省くため市販品を購入しています。

ポンプ:エーハイム コンパクトオン 2100

ややオーバースペックですが、能力不足になるよりはマシなので、流量調節機能がついているものから以前も使っっていたエーハイム製品を選択しています。

水槽マット:プロテクションマット他

60×45の飼育水槽と、45×30のろ過槽用に、それぞれ以下の水槽マットを使用しています。

配管:ストレートピストル他

ストレートピストルにカミハタの塩ビ接続パーツを介してエーハイムホースを接続

オーバーフロー台座とストレートピストルは「すいそうやさん」の製品を使用しています。その他に以下の製品と、適宜ホームセンター等で塩ビパイプを購入して配管を組みました。

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照明・保温・冷却システム

照明や保温関連の製品は、アクアリウム用のものと、亀を飼育するための爬虫類用のものを併用しています。

ライトスタンド:豪華型不銹鋼伸縮吊架

中国製ライトスタンドとワイヤーで作る水槽用照明システム
中国製ライトスタンド+ワイヤーで作る水槽用照明システム

中国から個人輸入したアクアリウム用のライトスタンドをレビューします。日本製品にはないデザインでおしゃれですが、多少使いにくいため改造します。ガラスを傷つけないDIY、ライトを吊り下げる高さの調節を可能にするDIYを紹介します。

国産のライトスタンドにデザイン・性能を両立するものがなかったため、中国製のライトスタンドを個人輸入して使用しています。

紫外線ライト:ZOOMED パワーサンUV 100W

紫外線ライトは性能とコストのバランスから水銀灯を選び、中でも色温度が好みのパワーサンを使うことにしています。

ZOOMEDの爬虫類用紫外線ライト(水銀灯) パワーサンUVを徹底分析
ZOOMEDの爬虫類用紫外線ライト・パワーサンUVを徹底分析

カメやトカゲなど爬虫類を飼育する際は紫外線ライトが欠かせません。紫外線ライトの中でも水銀灯に分類されるZooMedのパワーサンUVについて、ラインナップや適合する灯具を始め、競合製品との性能\比較や使い方などを徹底的に解説します。

パワーサンについてはこちらのページで詳細レビューしました。性能面の解説に力を入れているので、よければ参考にしてください。

紫外線ライト用灯具:エキゾテラ ライトドーム 18cm

GEX エキゾテラ ライトドーム 18cm 150W
ジェックス

灯具は候補が少ないですが、見た目が気に入ったライトドームを選択します。

エキゾテラ ライトドーム徹底レビュー
エキゾテラ ライトドームをレビュー!長所・短所や類似製品との比較

カメやトカゲなど爬虫類の飼育にはライトやヒーターを使いますが、ライト等の使用には灯具が必要です。爬虫類飼育用の灯具からエキゾテラのライトドームシリーズを取り上げ、長所・短所や実際の使用感、類似製品との比較等をまとめます。

ライトドームの詳細はこちらです。

ヒーター:ビバリア エミート NEO CL 60W

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ヒーターは夜も考えて光を発さないセラミックヒーターからエミートNEOを選びます。

ヒーター用灯具:カミハタ クリップスタンド テラ

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ヒーターの灯具は何でも良いですが、メッシュデザインが気に入ったクリップスタンド テラにします。

可視光ライト:カミハタ ヴォルテス ホワイト

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カミハタ
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可視光ライトは手元にあったヴォルテスをチョイス。今後このライトは変更するつもりです。

サーモスタット:エキゾテラ タイマーサーモ

ヒーターとライトを連動してコントロールできるタイマーサーモは、類似の製品も爬虫類飼育ではほぼ必須です。

水中ヒーター:コトブキ セーフティオートMD 200W

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水中ヒーターには手元にあったセーフティオートMDを使用します。このヒーターはすでに廃盤で、後継としてツーウェイオートMDというヒーターが販売されています。

冷却ファン:テトラ クールファン CF-60 NEW

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夏用の冷却ファンは、シンプルで扱いやすいテトラのクールファンを使います。

ファン用サーモスタット:GEX FE-101

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ファン用のサーモスタットには、設定温度が幅広いGEXのFE-101を採用します。

擬岩コーナーカバー

オーバーフロー水槽DIY 擬岩コーナーカバー制作(完成編)
爬虫類・アクアリウム水槽用擬岩バックボードの作り方まとめ

オーバーフロー水槽DIYの一環として、コーナーカバーを擬岩で自作する方法を解説します。亀の飼育水槽で使用するため、バスキングスポットを兼ねます。岩の隙間から水が吹き出し、油膜取りや浅瀬、シェルターとしての機能も果たします。

擬岩コーナーカバーは、今回の水槽の大きな特徴の一つです。コーナーカバー、バスキングスポット、レイアウト素材の役割を果たします。かなり頑張って自作したので、ぜひリンク先のページも読んでみてください。

自作大型流木

オーバーフロー水槽DIY 流木製作編
アクアリウム水槽レイアウト用・流木の作り方!複数本を固定しよう

オーバーフロー水槽DIY・第10回はアクアリウムの水槽レイアウトに映える流木を自作する方法を紹介します。自然感のある大きな流木を探すのは大変なので、小さめの流木を複数組み合わせステンレスビスで固定し一つの大きな流木にします。

擬岩コーナーカバーだけだとレイアウトが殺風景になるので、擬岩に合う流木を用意します。一本の流木でバッチリ合うものを探すのは難しいため、複数の流木を組み合わせて1本にまとめました。

水槽システムのセットアップ

今回の水槽の立ち上げは長期にわたる連載になってしまったので、前回までのおさらいも含めて水槽システムのセットアップ方法について簡単に流れを紹介しておきます。今回の主な作業は、これらのセットアップを経た上での、水槽の「レイアウト」ですので、あくまでセットアップ部分はサラッと流していきます。細かい部分は、適宜リンクを貼るのでそちらを参考にしてください。

水槽に穴をあけオーバーフロー台座を接着する

ガラス水槽にダイヤモンドコアドリルで穴をあける

今回のアクアテラリウムはオーバーフロー水槽を使用しますが、パイプの位置や水深の設定にちょうどよいものが市販されていないため自作します。まずは、ガラス水槽にダイヤモンドコアドリルで穴をあけましょう。

台座を水槽に押し付ける

さらに、穴に合わせてオーバーフローパイプを差し込むための台座をシリコンシーラントで接着します。


オーバーフロー水槽自作のために配管用の台座をシリコンで接着する
オーバーフロー水槽自作!塩ビパイプを配管するための台座を接着する

アクアリウム用オーバーフロー水槽自作のため、ガラス水槽へ給排水管の配管用台座をシリコンシーラントで接着する方法を紹介します。ろ過能力の高いオーバーフローシステムの構築には、水漏れしない台座の接着するが重要です。

水槽にバックスクリーンを貼り付ける

ゴムヘラでバックスクリーンの空気を抜く

水槽の背景が透けて見えると不格好なので、水槽にはバックスクリーンを貼っておきます。スマホの保護フィルムの大きいものを水槽の背面に貼り付けるような作業になります。

水槽用バックスクリーンの効果・役割と貼り方
水槽用バックスクリーンの効果・役割と貼り方を画像と動画で解説!

水槽の背面ガラスにバックスクリーンを貼るメリット・デメリットと、バックスクリーンを貼り付けるために必要な道具、具体的な貼り方を解説します。バックスクリーンを貼ると水槽の見栄えは格段に良くなるため、貼るのをおすすめします。

バックスクリーンには様々なカラーがありますが、今回は半透明の「サンド」というタイプを使用しています。

水槽台に水槽とろ過槽を設置し塩ビパイプで配管を組む

水槽台の上にオーバーフロー水槽を設置

水槽に穴をあけてバックスクリーンも貼ったら、水槽台の上に水槽を設置します。

濾過槽と水中ポンプを設置

さらに、水槽台の下段には、ろ過槽を設置しておきます。

ウールボックスを設置しシャワーパイプを接続

オーバーフロー水槽では、これら2つの水槽の間で水を循環させ、水槽内の水を濾過します。水を循環させるため、ポンプ、ホース、塩ビパイプを使い上下の水槽をつなぎ合わせます。


オーバーフロー水槽DIY 配管組み立て編
自作オーバーフロー水槽配管(組立編)―ろ過槽と塩ビ管接続~通水

オーバーフロー水槽の自作方法として、水槽にシャワーパイプ・ピストル管などの塩ビ管を組み付ける方法を、60cmワイド水槽を例に解説します。また、濾過槽やウールボックスのフタを作り、水中ポンプで水を回す通水テストまでを行います。

モルタルで擬岩コーナーカバーを作る

擬岩の岩肌を作り込む

次に、今回の水槽の特徴的なポイントでもある、モルタル製の擬岩コーナーカバーを作ります。この擬岩は、レイアウトの雰囲気を壊さずに、オーバーフローパイプを保護しつつ亀のバスキングスポットになる、というのが狙いです。

オーバーフロー水槽DIY 擬岩コーナーカバー制作(完成編)
爬虫類・アクアリウム水槽用擬岩バックボードの作り方まとめ

オーバーフロー水槽DIYの一環として、コーナーカバーを擬岩で自作する方法を解説します。亀の飼育水槽で使用するため、バスキングスポットを兼ねます。岩の隙間から水が吹き出し、油膜取りや浅瀬、シェルターとしての機能も果たします。

流木をアク抜きして1本にまとめる

錐であけた穴をドリルで拡張する

さらに、擬岩コーナーカバーだけではレイアウトが単調なので、それに合わせる流木を用意します。今回のようにちょうどよい形・大きさの流木を手に入れるのが難しい場合は、複数の流木を組み合わせて一つの大きな流木にしてしまう方法が有効です。

オーバーフロー水槽DIY 流木製作編
アクアリウム水槽レイアウト用・流木の作り方!複数本を固定しよう

オーバーフロー水槽DIY・第10回はアクアリウムの水槽レイアウトに映える流木を自作する方法を紹介します。自然感のある大きな流木を探すのは大変なので、小さめの流木を複数組み合わせステンレスビスで固定し一つの大きな流木にします。

ライト・ヒーターを設置する

豪華型不銹鋼伸縮吊架にライト・ヒーターを取り付け

水槽システムのセットアップの最後には、亀の飼育で重要な役割を果たす紫外線ライトやセラミックヒーターを水槽に設置します。これらの飼育用品は役割をよく理解して適切な製品を選び、適切な場所に設置することが重要です。

水棲亀の照明・保温 紫外線ライト・ヒーターの選び方・おすすめ
水棲亀の照明・保温-紫外線ライト・ヒーターの選び方とおすすめ製品

水棲亀の飼育環境立ち上げ時に、照明や保温システムをどのように構築すべきかまとめます。ライトスタンド、紫外線ライト、可視光ライト、ヒーター、プログラムタイマー、サーモスタット等について、選び方・おすすめ製品を紹介します。

アクアテラリウムのレイアウトを作るために用意するもの

ここまでに紹介した水槽システムに対して、今回は水槽のレイアウトを作り込んでいきます。レイアウト作りには、以下のものを使用します。

アクアテラメーカー

今回のアクアテラリウムでは、陸地部分は擬岩と流木を使って構成します。そのうち、擬岩部分は亀のバスキングスポットに充てるので、乾燥した暖かい場所にする必要があり、基本的に植物は植えません(擬岩の一部は植物を植栽できる鉢植えのような構造にしており、その部分には多少の植物を植えていきます。)。

従って、アクアテラリウムの陸上部分で植物を植えるのは、主に流木部分です。流木を土台とするアクアテラリウムでは、アクアテラメーカーのような配水チューブを使用して水を回し、モスなどの活着性の植物を植えるのがセオリーです。今回のアクアテラリウムも、大筋はその流れで製作していきます。

アクアテラメーカーの内容物

ちなみに、アクアテラメーカーの内容物はこんな感じです。配水チューブ、ポンプ、ポンプと配水チューブの接続パーツが同梱されています。ポンプと配水チューブの接続部にはノブが付いていて、チューブごとの流量を調整できる仕組みです。また、今回は使用しませんが、ポンプを接続してモーター駆動式の底面フィルターとして使用できるパーツも付属しています。

テグス

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アクアテラメーカーに付属している配水チューブや、活着させるモス類を流木に固定するためにはテグスを使用します。モスの活着には木綿糸を使用する場合もありますが、木綿糸は切れやすく亀の爪で引っかかれると簡単にちぎれてしまうため、亀水槽では基本的に使用しません。

また、今回は配水チューブを固定する役割にも使用するため、経年劣化で劣化しにくいテグスのほうが使い勝手に優れます。

超造形君

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流木の表面であれば苔を直接植栽することも可能ですが、擬岩の表面は高温になることもあって直接植えてもうまくいきそうにありません。そこで、擬岩に苔を植栽する方法はないかと考えた結果、苔テラリウム作りで使用した超造形君を擬岩の表面に貼り付けて、苔の足場にするパルダリウム風の方法を思いつき使ってみることにしました。

底砂

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K-ki(K-ki@AquaTurtlium)の作る水槽レイアウトをこれまでにも見てくれたことがある人なら「またか」という感もあるかもしれませんが、例によって「田砂」を使用します。だって好きなんだもん。

水槽の底砂「田砂」-コリドラスなどの底物にオススメ!

涼しげな雰囲気を醸し出すアクアリウム用の底砂「田砂」を紹介します。ドジョウやコリドラス等の底物との相性が良く、陰性水草水槽等では頻繁に利用されます。田砂の掃除方法やレイアウトのコツ、底面フィルターとの相性等も紹介します。

田砂の魅力や使い勝手の良さについては、こちらのページで詳しく解説しています。ぜひこのページもあわせて読んで、あなたも一緒に田砂を崇めましょう!

また、自然感を出すため、そして田砂だけだと亀が巻き上げてしまうため、底床用と粒サイズの風山石も混ぜて使用します。亀が誤飲する可能性があるため、小さすぎるサイズの石は使用を避けます。飲んでも基本は排泄されますが、石の角が内蔵を傷つける可能性もあり、リスクは少ないに越したことはありません。

アクアテラリウムのレイアウトの作り方

それでは、いよいよ今回のメインテーマである、アクアテラリウムのレイアウト作りについて、具体的な手順を紹介していきましょう。

レイアウトの構図を決める

アクアリウムやアクアテラリウムのレイアウトには、定石とも言える構図の「型」が存在します。代表的なのは3つの構図を、ADAが公開しているレイアウトを例として紹介しながら確認してみましょう。

三角構図

三角構図は、水槽の左右どちらかの端が高くなるように流木、石、水草などのレイアウト素材を配置する構図です。広い空間を確保することが可能なため、比較的大きな生体を飼育する場合にも向いています。

凸型構図

凸型構図は、水槽の中央付近を高くして、両端は低くなるようにレイアウト素材を配置する構図です。流木や石などの素材にインパクトがものが手に入った場合に、おすすめの構図です。三角構図と同様に広い空間を確保できますが、アクアテラリウムで水上部分をある程度広く確保しようと思うと、土台部分が大きくなり結局空間を圧迫してしまう可能性があります。

凹型構図

凹型構図は、水槽の左右両端が高くなるようにレイアウト素材を配置し、中央部分を凹ませる構図です。インパクトのある水景を作りやすいですが、遊泳空間が狭くなりやすく、今回のように大型の生体を飼育する場合にはあまり向かない構図です。

今回はこれらの構図の中から、陸上と水中の空間を確保することを重視して「三角構図」を選び、右側が高くなるイメージでレイアウトを組んでいきます。

オーバーフロー水槽に擬岩コーナーカバーを設置する

まずは自作したオーバーフロー水槽に、これまたモルタルで自作した擬岩コーナーカバーを設置します。今回の水槽では向かって右奥にオーバーフローパイプを立てたので、右奥の角を覆うようにコーナーカバーを置きました。

水槽台の上に水槽を設置する
オーバーフロー水槽の排水管(中央)とそれを差すための台座(右奥)
完成した擬岩コーナーカバー(フタ付き)
擬岩コーナーカバーを設置した状態

擬岩の大きさ、高さ、形状は、全て亀が生活しやすいように寸法を考え抜いてあります。さらに、この擬岩の中には塩ビパイプが埋め込んであり、濾過槽からポンプで汲み上げた水は擬岩内の塩ビ管を通って、擬岩の割れ目部分から飼育水槽に注ぎ込む仕組みです。給水管と擬岩に埋め込んだ塩ビパイプは上手く接続でき、水槽にも計算通りおさまって一安心です。

擬岩と流木の位置関係を確認する

次に、これまた自作した大型流木を擬岩にのせて、上手く設置できるか位置関係を確認しておきます。

自作大型流木と自作擬岩コーナーカバーで作る亀水槽のレイアウト

この際に、どのあたりまでが水没し、どこにどんな水草を植栽するか、ある程度イメージを固めておきましょう。

流木に配水チューブを固定する

水草を植栽する場所のイメージが固まったら、一度流木を取り出してアクアテラメーカーに付属する配水チューブをテグスで流木に固定していきます。

流木に配水チューブをテグスで固定する

水草を植栽する場所のイメージを元に、どこから水が流れ出せば流木に植栽する水草やモスにまんべんなく水が行き渡るかを考えて、配水チューブの端部の位置を決めましょう。逆側の端はアクアテラメーカーに付属するポンプに接続するわけですが、こちらの位置は後で決めるためこの時点では配水チューブを長めに残しておきましょう。

ポンプと配水チューブを接続する

今回自作した擬岩コーナーカバーは、コーナーボックスの内部に角から15cm四方くらいの空間を確保しています。この空間は、流木に水を回すための、アクアテラメーカー付属のポンプを設置するための空間の役割も果たします。アクアテラメーカーの付属ポンプは大体幅3.5×奥行5×高さ5cmくらいの大きさなので、コーナーボックスはこのポンプが入る大きさに作っています。

ポンプをコーナーボックス内部に仮設置して必要な配水チューブの長さを確認し、適切な長さにチューブをカットしてから、ポンプとチューブを接続するための配管パーツにチューブを繋ぎます。

ポンプに配水チューブを差すためのパイプを接続
水中ポンプに配水パイプを接続
配水パイプに流量調節バルブを接続
配水パイプに流量調節バルブを接続
流量調節バルブに配水チューブを接続
流量調節バルブに配水チューブを接続

配水チューブを接続する前にアクアテラメーカー付属の流量調節バルブをかましているため、配水チューブごとに流量を調節可能です。

コーナーカバー内にポンプを設置する

コーナーボックスの中にポンプを固定

配水チューブとポンプを接続したら、ポンプについているキスゴムを使い、コーナーボックス内の壁面ガラスにポンプを固定します。コーナーカバーはポンプが入るギリギリの大きさに作っているのでかなり窮屈です。水槽のガラスを傷つけること等がないように注意して作業を進めます。

アクアテラメーカーの通水を確認する

水槽に水を溜める

ポンプを設置したら、水槽に水を張りアクアテラメーカーの通水確認を行います。うまく水が流れるか、流木全体に水が行き渡るか、流れ出る水の量は適切か、といった観点を確認しておきましょう。通水テストの結果によって、配水チューブの端部を固定する場所を変える等の微調整も行います。

アクアテラメーカーの通水確認①

この通水テストの感じだと、流木の上側がやや乾燥しそうです。そこで配水チューブのうち1本を、左手に伸びている枝の真ん中くらいの位置で流木の上側から水を吹き出すように変更します。こんな感じで微調整を繰り返し、植物が上手く育つようなポイントを狙って配水チューブを配置します。

流木にモスを巻き付ける

サムライモスを流木に巻き付ける

配水チューブを流木に固定する場所を確定したら、次は流木にモスを巻き付けていきます。モスを1cm程度の大きさにハサミでカットして、霧吹き等で湿らせながら流木の上に置き、テグスを巻きつけて固定します。

ウィローモスを流木などに活着させる
しっかり活着してほしい!流木等へのモスの巻きつけ方まとめ

水草水槽レイアウトで頻繁に利用されるウィローモスなどのモス(苔類)を流木や石に巻きつけて美しく活着させる方法を解説します。モスの種類・流木・糸の選び方や巻き付け方のコツ、より綺麗な水景にするための一手間などを紹介します。

詳しい巻きつけ方・固定方法のコツなどはこちらのページが参考になると思うので、併せて読んでみてください。

今回はウィローモスとサムライモスの2種類を使用していますが、この2種は育ちやすい環境に多少差があります。ウィローモスは特に水中への適応性が高い一方、サムライモスは水中ではある程度の二酸化炭素濃度がないと上手く育ちにくいです。一方、水上にはサムライモスのほうが適応しやすく、鮮やかな黄緑色の苔をどんどんと増やしていきます。

従って、今回は適材適所を重視し、水中部分はウィローモス中心、水上部分はサムライモス中心で流木に巻き付けました。もっとも、サムライモスはウィローモスに比べて高く、今回用意した量も少なめだったので、水上部分でもウィローモスを使った部分も多いです。

濾過槽にろ材を入れ水を溜める

今回の水槽はオーバーフロー水槽なので、飼育水槽の下、水槽台の中には濾過槽が設置されています。濾過槽にはろ材を入れて濾過バクテリアを定着させ、水槽内の水質を維持するために生物濾過を行います。また、濾過槽の最上部にはウールボックスが設置してあり、大きなゴミを濾し取る物理濾過も行っています。

濾過槽にスポンジろ材と水を入れる

水槽内で水を循環させるためには、濾過槽にも水を溜めておいた上で揚水ポンプを始動させる必要があるので、この時点で濾過槽内にろ材を入れ、水も溜めておきます。ろ材には、安価で大量に用意できるスポンジろ材を自作したものを使用します。

洗車スポンジ 濾材用
自作でコストダウン!スポンジ濾材と濾材ネットの自作方法

購入すると高価なアクアリウム用品である「濾材」を自作して安価に入手する方法とろ材用ネットの作り方を紹介します。ポリエーテル製の洗車スポンジにより高性能な濾材を手軽に作ることができ、安定した熱帯魚やエビ飼育を実現できます。

スポンジろ材の作り方はこちらのページも参考にしてください。大雑把に言えは、水で分解されにくい「ポリエーテル」製のスポンジを1cm角程度の大きさにカットするだけ、という非常に簡単な方法で作ることができます。ポリエーテル製のスポンジは100円程度~と安価に入手できるため、非常にコストパフォーマンスの高い濾材と言えるでしょう。

擬岩コーナーカバーの鉢植え部分にアコルスを植える

今回の水槽で使用する擬岩コーナーカバーは、コーナーボックス部分をメンテナンスしやすいように、角の部分が別パーツ(フタ)になっていて取り外しが可能です。さらにこの角部分は、水草の水上用などを植えられるように簡易的な鉢植えになっています。この鉢植え機能を活かし、抽水性植物で細長い葉が涼しげなアコルス(石菖)を植えていきます。

擬岩の鉢植え部分に植えるアコルス(アリスガワセキショウ)

今回はアコルスの仲間の中でも小型の「アリスガワセキショウ」という植物を使用します。

擬岩の鉢植え部分にウールマットを薄く剥がしたものを敷く

まずは擬岩の鉢植えになっている部分に、ウールボックスでも使用しているウールマット「ファインマット」を薄く剥がしたものを敷きます。鉢植え部分はプラダンとステンレスメッシュで作っていて、通常状態だと一部が水没しているため、ある程度の通水を確保し水やりの手間を省けるように作ってあります。一方、植物の根が水没することになるので、植えられるのは水草の水上葉や抽水性植物など一部の種類に限られます。

擬岩の鉢植え部分にウールの上からアクアソイルを入れる

ウールを敷いた上から、アクアリウム用のソイルを鉢植えの半分くらいまで入れます。ウールが引っかかって場所を取っていることがあるので、細い棒でつつくなどして奥までしっかり詰め込みます。使用するソイルの種類に強いこだわりは必要ありませんが、K-kiは手元にあったプラチナソイルの余りを使いまわしました。

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擬岩の鉢植え部分にアコルスを植える

ソイルの上からアコルスを根ごと入れて、さらに隙間にソイルを足し、ぐらつかないようにしっかりと植え付ければアコルスの植栽は完了です。

擬岩コーナーカバーに超造形君を使って苔を植える

さらに、擬岩により自然感を出すために、苔を植えてみましょう。水を加えて練ると粘着力をもつ造形材「超造形君」を擬岩の表面に貼り付け、その上に苔を植栽するという流れで苔を植えていきます。

超造形君を水で練る

まずは超造形君を水で練ります。加える水の量は造形君の体積の3分の1程度が目安です。

苔テラリウムの作例
苔テラリウムの作り方-容器や材料選び・苔の種類・作業手順を解説!

アクアリウムと並び、近年人気上昇中のテラリウム。その中でも特に人気の苔テラリウムについて、作り方や用意するもの、苔の種類などを紹介します。卓上で気軽に自然を感じられ、日常の管理も簡単な苔テラリウムは多くの人におすすめできます。

なお、超造形くんの使い方については、超造形君を使って苔テラリウムを作る方法を紹介しているこちらのページも参考にしてください。

擬岩に超造形君を貼り付ける

次に、水で練った超造形君を擬岩に貼り付けていきます。軽く載せるだけだとすぐ剥がれてしまうので、なすりつけるような感じでしっかり押さえておきましょう。

擬岩に超造形君を貼り付けてスナゴケ・ハイゴケを植栽

最後に、1cm弱程度に細かくハサミでカットしたスナゴケとハイゴケを超造形君の上に貼り付ければ完成です。また、アコルスの根本あたりにもハイゴケを多少敷いておきました。単純にアコルスを植えただけの状態よりも、自然感がぐっと増していますね!

注意

この試みは、結論的には失敗でした。水銀灯とヒーターの熱があたって超造形君が乾燥してしまい剥がれやすくなった上に、亀の爪で引っかかれやすい場所にあったため、苔が剥がれてしまいました。また、水銀灯とヒーターの熱があたる暑くて乾燥した環境に苔が耐えきれず、わずかに残った苔も枯れてしまいました。

ライトとヒーターの熱が及ぶ範囲が思ったよりも広かったのが失敗の要因ですね。試み自体は面白いと思うのですが、もう少し湿度のある陸地を用意できる環境でなければ、上手く苔を育てるのは難しそうです。

揚水ポンプの電源を入れて通水テスト

アコルス、スナゴケ、ハイゴケを植栽した擬岩鉢植えを、擬岩コーナーカバーの上部に、フタをするように設置します。

植物を植えた擬岩コーナーカバーのフタ部分を水槽に設置

これで、擬岩コーナーカバー・流木を使うレイアウトは概ね完成です。まだ微修正は残っていますが、ここから大きくレイアウトを触ることはないので、この時点で水槽にきちんと水が回るか揚水ポンプの電源をオンにして通水テストを行っておきます。

擬岩コーナーカバー・流木のレイアウト後に通水テスト

ろ過槽からの水の汲み上げとチューブを使っての流木への配水、どちらも正常に動作することが確認できました。

苔を追加で載せる

水を流したところで、レイアウトの微修正を行います。現状だと少し苔類の量が物足りなく感じられるので、水の流れが少し弱そうなところを中心にシノブゴケを追加していきます。

水の流れが弱そうなところにシノブゴケを追加

注意

この試みも、結果的にはあまり上手くいきませんでした。細い流木の上を亀は歩いたりしないだろうと予想してましたが、足が届いたようで陸場から水中に戻るときの踏み台にされ、苔が剥がれてしまいました。亀を飼育しないアクアテラリウムであれば上手くいくと思いますが、亀がいる場合は亀の行動範囲を見極めてレイアウトする必要があります。

静音性向上のためオーバーフローパイプ内にビニールテープを垂らす

ここまで作業を進めてきた時点で、今回の水槽システムはやや音がうるさいことに気が付きました。オーバーフロー水槽なのである程度仕方のない部分はあるものの、なんとか改善できないかと調べてみた結果、音がうるさかった原因は以下の2箇所です。

  1. オーバーフロー排水パイプでの空気の巻き込み
  2. 擬岩コーナーカバー経由での給水における空気の巻き込み

2つ目の原因は、擬岩の給水部分(湧き出し口)の形状によるものなので、この時点から改善するのは難しいです。もう少し給水部分が水に沈むようにすればよかったんですが、給水部分を低くしすぎると、揚水ポンプの電源を切ったときにサイフォンの原理で濾過槽に流れ込む水の量が多くなり濾過槽が溢れる危険が出てくるので、安全サイドを狙った結果騒音まで気を回せませなかった、というのが実際のところですね。

一方で、1つ目の原因に対しては比較的簡単に対処することが可能です。要は空気の巻き込みを減らせば良いので、水の流れを整えてやることが有効な対処法になります。よく知られている方法は、排水パイプ内にビニールテープを垂らし、水が排水パイプの側面にしっかり沿って流れるようにする、という方法です。

擬岩の鉢植え(フタ)部分を取り外す

まず、揚水ポンプの電源をオフにして、擬岩の鉢植え(フタ)部分を取り外します。

給水パイプのエルボ部分にビニールテープを結びつける

排水パイプの上に位置する給水パイプのエルボ部分に、ビニールテープを結びつけます。どうせ見えなくなる部分なので、テープの色とかは何でも良いです。

ビニールテープを適当な長さにカット

ビニールテープを適当な長さに切ります。あくまで水がパイプに沿って流れるようにするための補助なので、排水パイプの底にまで到達する長さは必要ありません。

ビニールテープを細く裂く

水がよりパイプの内壁に沿いやすくするために、ビニールテープを裂いて細く、数を多くしておきます。

裂いたビニールテープを排水パイプ内に垂らす

裂いたビニールテープは、排水パイプ内にまんべんなく垂らしておきましょう。

この状態で揚水ポンプの電源を再度入れると、水がビニールテープを伝って排水パイプの内壁に沿って流れるようになり、騒音がかなりマシになります。静かにならない場合は、ビニールテープを少し動かして水がパイプに沿って流れるポイントを探ってみてください。

パイロットフィッシュを導入する

レイアウトはほとんど固まったので、いよいよ生体を導入します。しかし、この時点ではまだろ過バクテリアが定着しておらず、水槽の水質を維持するためのろ過はほとんど働いていません。そのため、この時点で導入するのは、一般的に「パイロットフィッシュ」と呼ばれる水の汚れに対して耐性が高い丈夫な生体です。

水槽の立ち上げ方・濾過の始め方-パイロットフィッシュは必要?

アクアリウムを始めるための水槽の立ち上げ方や濾過を働かせる方法を解説します。パイロットフィッシュ法とフィッシュレスサイクリング法を用いた水槽立ち上げの具体的な手順や、パイロットフィッシュにおすすめの熱帯魚等を紹介します。

今回のアクアテラリウムで飼育する生体の中では、ニホンイシガメが水の汚れに対しては圧倒的に強いです。また、餌を食べる量、排泄物の量も格段に多く、とても水を汚す生き物です。この水槽に必要なろ過能力は、ほぼニホンイシガメが食べる量・排泄する量に依存するため、それに対応できるだけの濾過バクテリアを定着させる必要があるという観点からも、ニホンイシガメにパイロットフィッシュの役割を任せるのは理にかなっています。

アクアテラリウムにニホンイシガメを導入

ということで、ここまでに作ったアクアテラリウムにニホンイシガメを導入します。シカク君をレイアウト水槽で飼育するのは久しぶりですが、上手く馴染んでくれよ!

アクアテラリウムを泳ぐニホンイシガメ

最初はちょっと暴れてましたが、比較的すぐ馴染んでくれました。泳ぎも上手です。

底砂を敷く

今回は亀の飼育がメインのアクアテラリウムなので、管理の手間を考えるとベアタンクも選択肢に入ってきます。そのため、底砂を敷くかどうかで多少悩んでいたので、最初はベアタンクにしていました。

しかし、せっかくレイアウトに凝ったのにベアタンクではもったいないという結論に至ったので、底砂を敷くことにしました。ただし、亀の飼育を念頭に置き、底砂は以下のポイントに注意して選びます。

底砂選びのポイント

  • 亀が誤飲しない又は誤飲しても問題にならない程度の粒サイズの底砂を選ぶ。
  • 病原菌等の繁殖を抑えるため底砂は極力薄敷きにする。
  • 自然感を演出するため複数の粒サイズの底砂を混ぜる。

結局選んだのは、粒の小さい方から順に「田砂」「底床用 風山石」「風山石 粒サイズ」「風山石 SSサイズ」です。風山石はチャームで手に入りやすいですし、見た目も川底の石、という雰囲気なんでK-kiは比較的よく使用します。

大きめの風山石を擬岩コーナーカバーのそばに設置

底砂は、粒の大きい方から擬岩コーナーカバーの近くに配置し、前面に来るほど粒径が小さくなるイメージで配置していきます。まずは擬岩コーナーカバー周辺及び水槽の奥の方に、「風山石 SSサイズ」を配置します。

大きめの風山石のまわりに小粒の風山石を配置

次に、先程配置した風山石を取り巻くように、少し小粒の「風山石 粒サイズ」、そしてさらにその周りに「底床用 風山石」を配置していきます。

前面部分を中心に田砂を敷く

最後に、余った空間部分に田砂を敷いていきます。このように底砂の粒サイズを少し工夫するだけでも、水槽に自然感が生まれます。

1週間以上経過して水質が安定したら魚・エビを導入する

パイロットフィッシュとしてニホンイシガメ(魚じゃないですが…。)を導入してから最初の1週間程度は、毎日水換えを行い水質を維持しましょう。その間に、底砂やろ材に濾過バクテリアが定着するため、1~2週間程度経過すれば、ろ過は完全に立ち上がっているはずです。

ろ過バクテリアが定着したかどうかは、テトラ 6in1などの硝酸塩を測定できる試薬を使って判定します。硝酸塩が検出されるようになっていれば、それはろ過バクテリアが定着し水の汚れを硝酸塩まで分解してくれたことの証です。試薬の使い方は以下のページを参考にしてください。

テトラ テスト 6 in 1 試験紙
精度は?使い方は?テトラ テスト 6 in 1 試験紙を解説!

アクアリウムでの熱帯魚やエビの飼育に重要な水質検査薬「テトラ テスト 6 in 1 試験紙」で検査できる水質項目、精度、使いどころ、使い方、使用感等を詳細にレビューします。多数の水質項目を一度に測定できる便利な商品です。

今回は既存の水槽からろ材を多少使いまわしているため、ろ過の立ち上げ期間は1週間程度でした。ろ過バクテリアが定着したことを確認したら、パイロットフィッシュ以外の生体も導入しましょう。

注意

一度に大量の生体を追加するのはあまりおすすめできません。生体が増えると水質維持に必要なろ過バクテリアの量も多くなるため、ろ過が立ち上がっていたとしても能力的に不足する可能性があるからです。生体は少しずつ追加するようにしましょう。

今回は、カワバタモロコとヤマトヌマエビを導入します。今回の水合わせは、以下のページで紹介している水合わせ方法の中でも「点滴法」という方法で行います。ゆっくり時間を掛けて水合わせを行うため、生体がダメージを受けにくいメリットがある方法です。


水合わせ:水温合わせ

まずは購入時に生体が入っている袋のまま水槽に浮かべ、水温を合わせます。

水合わせ:点滴法

次に、袋に入った水ごとバケツに生体を移し、エアチューブに一方コックを接続したものを使ってサイフォンの原理で水槽の水をバケツに移します。このとき一方コックを使って水量を調整し、ポタポタと水滴が落ちるくらいの勢いでバケツに水を足していくのがポイントです。

バケツの水が増えたら捨て、再度点滴のように水を足す、というのを2~3回ほど繰り返し、バケツ内の水質と水槽内の水質の差が十分に小さくなれば水合わせは完了です。

亀のアクアテラリウム水槽にカワバタモロコを導入

水合わせの完了後、生体を水槽に移します。この水槽では亀が先住しているため、環境が変わって魚が戸惑っている間に亀に食べられてしまう可能性があります。必要に応じて、一時的に亀を移動させるなどの対策をしましょう。

流木と配水チューブで作るアクアテラリウムの完成

以上の手順により、亀の飼育にも対応できるアクアテラリウムの立ち上げは完了です。この水槽の立ち上げは、水槽の穴あけから始まったかなり長い作業でしたが、ここで一区切りですね。

立ち上げたアクアテラリウム水槽の様子を簡単に動画にまとめてYouTubeにアップしたので、ぜひ見てください。この水槽の立ち上げの様子も、順次動画で紹介しているので、よければチャンネル登録もお願いします!

YouTubeチャンネル

アクアテラリウムの管理方法

最後に、今回作ったアクアテラリウムを管理する際のポイントをいくつか紹介しておきましょう。

ライト・ヒーターは自動管理にする

温度や光は、生物の生活リズムを整える上で非常に重要な役割を果たします。日ごとの温度差が大きかったり、明るい時間・暗い時間がまちまちだったりすると、動物でも植物でも調子を落とす原因になります。安定した温度・光環境を用意するためにも、サーモスタットやプログラムタイマーを使って温度管理・照明管理は自動化しましょう。


デジタルプログラムタイマーⅡ ホワイトPT50DW
アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化

アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

週に1回全水量の30%程度の換水を行う

アクアリウムでもアクアテラリウムでも、水を扱う環境を維持するためには水換えが非常に重要です。K-kiも初心者の頃は水換えの頻度を下げれないか、水換えしなくて良いシステムを作れないかといろいろ考えましたが、なんだかんだ定期的に水換えをしたほうが楽な場合も多いです。

水換えの基本は週1回・全水量の30%ですが、この水槽ではイシガメを飼育するため水は汚れやすいです。水換え頻度を上げるのは大変ですが、水換えの量を増やすのはそこまで大変ではないため、安全をみて週1回・全水量の50%の水換えで管理しています。

アクアリウム水槽の水換えの様子
アクアリウム水槽の水換え法:金魚や熱帯魚の換水頻度・量や工夫と道具

アクアリウム水槽の管理で重要な水換えの目的や方法、必要な道具、テクニックを解説します。水換えの頻度と量は、1週間に1回全水量の3分の1が目安ですが、より詳しい状況別の水換え頻度・量も紹介します。写真付きの具体的な手順と水換えをラクにする工夫も解説します。

水換えについてはこちらのページもご参考に。

必要に応じて陸上植物に霧吹きを行う

陸上の植物には、アクアテラメーカーのポンプ+配水チューブや、擬岩鉢植えの底部分に穴をあけていることなどで、基本的には自動的に水が回るようにしています。それでも、配水チューブが詰まったりして水が行き渡らなくなる可能性はあります。

植物の様子はこまめにチェックし、乾燥していたら霧吹きで水分を補給するようにしましょう。

半年に1回程度は濾過槽の掃除(泥抜き)をする

週に1回の水換え時は、基本的にウールボックスの掃除と、プロホースを使った飼育水槽の底砂掃除が中心になります。そのため、濾過槽の掃除が疎かになりがちです。

濾過層の掃除はそこまで頻繁にやる必要はありませんが、濾過層の底には汚れが沈殿していくため、定期的な掃除は必要です。経験上、半年以上濾過槽を掃除しないと硝酸塩が蓄積し水換えをしてもすぐに水質が酸性に傾くようになってしまうので、少なくとも半年に1回は濾過槽を掃除し、底に溜まった汚泥を取り除くほうが良いでしょう。

YouTubeでもアクアテラリウムの作り方を配信中

今回紹介した亀も飼えるアクアテラリウムを作る方法は、YouTubeで動画の形でも配信しています。

動画を見てもらうと、手元の動きや細かい作業の流れが見えるので、特にこういったDIY系の作業の説明はわかりやすいと思います。このアクアテラリウム水槽立ち上げの様子は、水槽に穴をあける作業からYouTubeに動画を投稿しているので、他の動画も併せて見てもらえれば、と思います!ついでにチャンネル登録もお願いします!

YouTubeチャンネル

アクアテラリウムの作り方まとめ

今回は連載「オーバーフロー水槽の自作方法」としてまとめてきた水槽立ち上げの集大成として、アクアテラリウムを立ち上げる様子を紹介しました。なかなか手の込んだシステムになりましたが、手間も時間も掛けただけあり、かなり満足の行く水槽を立ち上げることができました。

ちなみに、この水槽の立ち上げ時期は2019年の11月なので、この記事を書いている時点ですでに立ち上げから9ヶ月程度経過しています。その間に、上手く行かなかったところを変えたり、新しい植物を植えたりと、ちょこちょこと小規模な改修は行ってきています。こういった細かな情報のうち、有用なものはそのうち記事にすると思いますが、植物の成長具合など雑多な情報はTwitterFacebookInstagramなどSNSのほうでこまめに紹介しています。この機会に、ぜひSNSのほうもフォローしてくれると嬉しいです!

K-ki

長い連載になりましたが、これで60cmワイド水槽をオーバーフロー化して作る亀用のアクアテラリウム水槽の紹介はひとまず終了します。立ち上げは去年の11月ですが、水槽に穴をあけだしたのは8月くらいだったのでもう1年経ったことになります。立ち上げよりも記事にするところに時間がかかってしまいましたね…笑。K-ki以外にも亀のレイアウト飼育に挑戦している人がいれば、ぜひSNSで情報交換したいので、フォロー・DM等お待ちしてます!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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