こんにちは。60ワイド水槽をDIYでオーバーフロー水槽化しているK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。今回は、作業としてはやや地味なものの水槽の見栄えには直結する「バックスクリーン」を貼り付けていきます。
前回までで、水槽に穴をあけ、オーバーフロー用の台座を接着するところまで来ました。
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オーバーフロー水槽自作!塩ビパイプを配管するための台座を接着する
アクアリウム用オーバーフロー水槽自作のため、ガラス水槽へ給排水管の配管用台座をシリコンシーラントで接着する方法を紹介します。ろ過能力の高いオーバーフローシステムの構築には、水漏れしない台座の接着するが重要です。
この後は、水槽を水槽台にのせて給排水のための塩ビパイプを配管していくことになります。バックスクリーンの貼り付けは、割と自由に水槽を動かせるこのタイミングまでにやったほうが作業がしやすいため、今回はバックスクリーンを貼り付ける様子を紹介するとともにその方法を解説します。
なお、今回のオーバーフロー水槽自作に関連する記事は以下のとおり連載としてまとめています。
連載「オーバーフロー水槽の自作方法」
- オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説
- オーバーフロー水槽自作!塩ビパイプを配管するための台座を接着する
- 水槽用バックスクリーンの効果・役割と貼り方を画像と動画で解説!
- 自作オーバーフロー水槽配管(設計編)―ポンプやろ過槽の選び方
- 自作オーバーフロー水槽配管(加工編)―給排水管・シャワーパイプ
- 自作オーバーフロー水槽配管(組立編)―ろ過槽と塩ビ管接続~通水
- 擬岩コーナーカバーの作り方(骨組み編)爬虫類・アクアリウム水槽に
- 擬岩コーナーカバーの作り方(モルタル造形編)爬虫類・アクアリウムに!
- 爬虫類・アクアリウム水槽用擬岩バックボードの作り方まとめ
- アクアリウム水槽レイアウト用・流木の作り方!複数本を固定しよう
- 水棲亀の照明・保温-紫外線ライト・ヒーターの選び方とおすすめ製品
- 中国製ライトスタンド+ワイヤーで作る水槽用照明システム
- 亀も棲むアクアテラリウムの作り方!流木と配水チューブで水槽に渓流を
バックスクリーンの貼り付けだけに興味がある方は、このページだけを見れば貼り付け方がわかるように書いていますが、オーバーフロー水槽の自作に興味がある方は、ぜひ関連記事も読んでみてください!
バックスクリーンは何のために貼る?
まずは水槽にバックスクリーンを意味を確認しておきましょう。まあ、説明するまでもなく「水槽の後ろにある見せたくないものが見えないようにする」のが主な役割ですが、もう少し掘り下げてバックスクリーンのメリット・デメリットをまとめます。
バックスクリーンを貼るメリット
- 水槽背面のコードやホースを隠し水景に視線を集中させられる。
- 色によって水槽内の雰囲気をコントロールできる。
- 光が入りにくい方向ができるため、生体が隠れられていると感じ落ち着きやすい。
前にも書いたとおり、一番のメリットは水槽背面のコードやホースを隠せることです。コード・ホース類が目立つ水槽はどうしても見栄えが悪く感じてしまいます。余計なものに目が行かず、水景に集中できる効果はアクアリウムをインテリアと捉える場合には必須でしょう。
また、バックスクリーンには様々なカラーバリエーションがあるため、どんな色を選ぶかで水槽の雰囲気をコントロールできる点も、インテリアとしては便利なポイントになると思います。
さらに、光が入りにくい=捕食者の視線にさらされにくい、ということになるため、特に小型の生き物や臆病な生き物にとっては安心感があり落ち着いて飼育しやすいとも言われます。
バックスクリーンを貼るデメリット
- 背面から水槽を見ることができなくなる。
- 水槽の存在感が増すためやや圧迫感が生まれる。
こちらも当たり前のことではありますが、水槽にバックスクリーンを貼るとバックスクリーンを貼った側からは水槽内の様子を見ることができません。そのため、リビングやオフィスの中心に水槽を設置する場合のような、全方向から水槽を眺めたい場所に水槽を置くときは、バックスクリーンは基本的に張りません。
また、バックスクリーンがないほうが、水槽の後ろ側の景色が見えるため圧迫感を感じにくいです。裏を返せば、バックスクリーンを貼ることで圧迫感が生まれるというデメリットがあるというわけですね。
バックスクリーン色別の役割・効果と選び方
バックスクリーンには、様々なカラーの商品が存在します。色別の効果を簡単にまとめておくので、バックスクリーンの色選びで迷ったら参考にしてください。
青色のバックスクリーンの効果
バックスクリーンの色では青系のカラーが一番メジャーだと思います。水中感が出しやすく、水草の緑色も映えるため全体的に爽やかな印象の水槽になります。ガラス面に発生するコケを多少目立たなくする効果もあります。
黒色のバックスクリーンの効果
黒のバックスクリーンをはると、水槽全体が引き締まった雰囲気になります。また、銀色系の地味な体色の熱帯魚は、黒背景のほうがきれいに見える印象があります。
さらに、ガラス面のコケやヒーターなどのコードは、黒のバックスクリーンが一番目立ちにくいです。反面、水際の白い水垢は目立ちやすくなります。また、写真を撮る場合などは反射しやすいのがややネックになります。
赤色のバックスクリーンの効果
赤系のバックスクリーンは水槽ではあまり使用されませんが、上手く使えば夕焼けのよううな雰囲気を演出することができ、オリジナリティのある水景を作ることが可能です。一方で、飼育する熱帯魚の体色と被りやすいため、生体選びには一工夫必要になると思います。
ミスト風(すりガラス風)のバックスクリーンの効果
K-kiが個人的に好きなのはこのタイプのバックスクリーンです。背面のガラスをすりガラス風にすることで、水槽内が明るく広々とした印象を与えることができます。そのため、遠近感を強調するような水景と相性が良いです。
一方で、コケや配線コードを目立たなくする効果はあまりありません。また、水槽の背面にコードやホース、パイプなどがあると透けて見えるので不格好です。配線の取り回しには注意が必要なバックスクリーンと言えます。
今回はK-kiの個人的な好みにより、このミスト風バックスクリーンを採用します。
鏡面タイプのバックスクリーンの効果
あまりメジャーではありませんが、鏡面タイプのバックスクリーンも存在します。水槽の背面が鏡張りになるので、奥行き感が強く出るのと、高級感もあるのが特徴です。
一方で、コケや水垢は目立つので、きれいな水景を維持するためには丁寧なメンテナンスが必要になるでしょう。
用意するもの
バックスクリーンの効果と役割を一通り確認したところで、実際に水槽にバックスクリーンを貼り付ける際に必要なものを確認しておきましょう。
水槽
いつものごとく、当然ながら水槽が必要です。今回使用するのは、オーバーフロー水槽化するため穴あけ+台座の接着をしたADAのキューブガーデン6045です。
バックスクリーン
水槽に貼り付けるバックスクリーンも必要です。K-kiの好みによりミストタイプの「ARTI サンド」を使用します。水槽に合うサイズのものを購入しましょう。
霧吹き
ARTIはガラス面を濡らしてから貼り付けるタイプのバックスクリーンなので、霧吹きが必要です。charmではバックスクリーンを貼り付けるための道具セットも売ってますが、今回は家にあったものを使用します。多分ダイソーの製品ですが、正直あまりよく覚えてません…。
ゴムヘラ
ガラス面に貼り付けたバックスクリーンから空気を抜くのに使います。あまり硬いものだとバックスクリーンを傷つけるし、柔らかすぎると空気が抜けないので、ゴムヘラがベストです。地味な道具ですがハッキリ言ってないと詰みます。必ず用意したほうが良いです。
K-kiは以前スマートフォンの画面フィルムを貼り付けたときの付属品が残っていたのでそれを流用しましたが、そういうのがない人は大人しくフィルム貼り道具セットを買うのが良いと思います。
中性洗剤
ガラス面の洗浄及びゴムヘラで空気を抜く際に滑りを良くするため、中性洗剤を使用します。なぜ中性なのかはよく知りません(ARTIの説明書に書いてあった)が、多分酸性とかアルカリ性の洗剤だと強力すぎてバックスクリーンを傷めてしまう場合があるのかな、と思ってます。
カッター
ARTIシリーズのバックスクリーンは、大きめサイズのものを貼り付けた後、端をカットするので、カットの際に使用します。刃が取り外せるもののほうが使いやすいと思います。
タオル
霧吹きで吹きかけた水を拭き取るのに使用します。キッチンペーパーで代用することも可能です。
バックスクリーンを水槽に貼る作業手順
必要な道具が揃ったら、いよいよ水槽にバックスクリーンのフィルムを貼り付けます。焦らず慎重に、失敗した場合は無理せずフィルムを少し剥がしてやり直しましょう。貼り直ししやすいよう水をたっぷり使うのがコツです。
貼り付け面のゴミをカッターの刃で削り取る
ガラス面に変なゴミが張り付いたりしていないことを確認する意味も込めて、まずはバックスクリーンを貼り付ける面のガラス面にカッターの刃を滑らせ、ゴミを削ぎ落とします。ガラス面に45度程度の角度で刃を当て、ガラスにキズがつかないよう丁寧に滑らせるのがポイントです。
1%の中性洗剤水溶液をいれた霧吹きを準備する
水槽とバックスクリーンの貼り付けや、ガラス面の汚れ落としに使う水を用意します。霧吹きに水をため、その100分の1の量の中性洗剤を垂らしておきます。500mlの霧吹きなら5mlなので、ペットボトルのキャップ1杯分くらいが目安です。
ガラス面を霧吹きで濡らしゴムヘラでゴミを削り取る
先ほど用意した中性洗剤入りの水に霧吹きをして、ガラス面をよく濡らします。その後、ゴムヘラをガラス面に滑らせ、表面の汚れを落とします。
ガラス面を再度霧吹きで濡らしてバックスクリーンを貼る
ガラス面をゴムヘラできれいに掃除したら、バックスクリーンを貼り付けるため再度霧吹きでガラス面を濡らします。
このとき、全面がびしょびしょになるくらいしっかり濡らしておくのがポイントです。水分が少ないとバックスクリーンのフィルムを貼り付けるときに滑らせて移動させることができず、上手く空気を抜けない原因になります。K-kiはこの濡らしが不十分だったので、一度フィルムを剥がして貼り直すハメになりました…。
ガラス面が十分に濡れたことを確認したら、バックスクリーンフィルムを保護紙から剥がして貼り付け面にそっとのせます。ガラス面全体を覆えるようにフィルムを滑らせながら位置を調整します。
バックスクリーンの上から霧吹きをしてゴムヘラで空気を抜く
ガラス面にのせたフィルムの上からさらに霧吹きをして、フィルムの表面を濡らしておきます。その後、濡れたフィルムの上からゴムヘラを中央部分から外側に向けて滑らせ、ガラスとフィルムの間に入った空気を抜いていきます。フィルムを濡らすのはこのときにゴムヘラの滑りが良くなるようにするためです。
水槽の端部分のフィルムをカッターで切り落とす
空気を抜き終わったら、ガラス面からはみ出ている部分のフィルムをカッターで切り落とします。必要以上に切り落としてしまわないよう、刃をガラス面に添わせながらまっすぐカットするのがポイントです。
大まかにカットできたら、ガラス面に残った水分を拭き取っておきます。
ガラスの面取り形状に合わせて再度フィルムを切り落として完成
ガラス水槽に使用されているガラス板は、触ったときに手を切ってしまわないよう、面取り(角部分を切り落とすこと)がしてあるため、先程のカットの後は端部分が浮いているはずです。このままだと、この浮いている部分からフィルムが剥がれてしまうので、ガラスの面取りに合わせて再度フィルムを切り落とします。
この仕上げ工程では、カッターの刃部分だけを使用したほうが扱いやすいと思います。油断するとフィルムを削りすぎてしまうので、ゆっくり慎重に作業しましょう。
バックスクリーンを貼り付けた後の水槽
今回の手順でバックスクリーンを貼り付けた後の水槽がこちらです。多少のやりなおし作業はありましたが、最終的には上手く貼り付けることができました。写真右下のほうにやや浮いてる部分がありますが、こちらは撮影後に気づいて再度カットしてあります:D
バックスクリーンに使用した「ARTI」シリーズのフィルムは、使用した限りだと多少なら剥がして貼り直しても仕上がりが汚くならず、粘着力もしっかりしていて良い商品だった印象です。多少高い気もしますが、次にバックスクリーンを貼る機会があったとしても、多分ARTIシリーズのフィルムを使うかな、という程度には気に入りました!
なお、今回のバックスクリーン貼り付け作業は、フィルムの販売元であるチャームさんの貼り方解説ページを参考に行いました。チャームさんのページも非常にわかりやすいので、参考にしてみると良いかも知れません!
ちなみに、AquaTurtliumでは過去にもっと手軽なバックスクリーンの制作方法も紹介しています。
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半透明のプラスチックボードを水槽背面に貼り付けるだけの簡易的なものですが、手軽ですしフレーム水槽だとテープも目立たないので、気を使うフィルム貼り作業をしたくない方はこちらの方法も検討してみてください。
YouTubeでもバックスクリーンの貼り方を配信中
今回紹介したガラス水槽にバックスクリーンを貼り付ける方法は、YouTubeで動画の形でも配信しています。前回公開したオーバーフロー水槽に配管用の台座を接着する動画の続編です。
自作・DIYのやり方は、文章で読んで理解するのも重要ですが、動画で確認したほうが分かりやすい部分も多いです。ぜひYouTubeの動画も見てみてくださいね。ついでにチャンネル登録もお願いします…!
今回は水槽の見栄えを良くするためにバックスクリーンを貼る方法を解説しました。多少神経を使う作業ではありますが、特に難しくもないですし、水槽の見栄えは明らかに良くなるのでぜひ挑戦してみてくださいね。
次回は、いよいよオーバーフロー水槽の配管作業に入ります。実作業に入る前に、水槽の仕様を設計する作業から解説します。ぜひ、こちらも読んでくださいね!
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