熱帯魚・観賞魚 図鑑

ダルマメダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

2020/10/31

改良メダカというと、カラフルで鮮やかな色彩のメダカを思い浮かべる人が多いかも知れませんが、メダカの品種改良は体色のみを対象に行われているわけではありません。体型やヒレの形なども、体色と同様に改良の対象となっています。

今回紹介するダルマメダカは、特に体型にフォーカスした改良が行われた品種です。丸くてコロコロした印象のダルマメダカは可愛らしさから人気がありますが、体型に由来する繊細さもあり、一般的なメダカと比べると上手く飼育・繁殖するためには多少のコツが必要です。

ダルマメダカとは

品種名 ダルマメダカ
種名 キタノメダカ
ミナミメダカ
ニホンメダカ
分類 ダツ目メダカ科メダカ属
原産地 日本
飼い易さ
値段(1匹) 1000円程度~
最大体長 3cm程度
寿命 2~3年程度
遊泳層 中~上層
適合する水質 水温:16~30℃
pH:6.5~8.5
特徴 普通体型のメダカより脊椎骨の数が少なかったり、脊椎骨同士が癒合していたりするため、寸詰まりで達磨のような体型をした品種。病気に掛かりやすい、繁殖が難しい等の理由から希少価値が高い。

ダルマメダカは、一般的なメダカとは少し違う体型をしたメダカです。その体型は、体が全体的に縮んでいて腹部の膨らみ具合が目立つ、丸みを帯びたものです。その寸詰まりで達磨のような見た目が「ダルマメダカ」という名前の由来となっています。また、「縮みメダカ」の名前で呼ばれることもあります。丸くて可愛らしい体型から、特に女性人気が高いメダカです。

ダルマメダカの最大の特徴は、普通体型のメダカより脊椎骨の数が少なかったり、脊椎骨同士が癒合していたりすることで、これがダルマメダカ特有の縮んだ体型の原因となっています。ダルマメダカは縮んだ体型の影響で普通体型のメダカよりも内臓への負担が大きいと言われており、転覆病などの病気にも罹りやすく、長生きさせるのがやや難しい品種でもあります。

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ダルマ体型になる理由

ダルマメダカ特有の寸詰まりな体型(ダルマ体型)は、楊貴妃メダカや幹之メダカなどの特定の品種に限って出現するものではなく、ほぼ全ての品種で出現します。この形質は遺伝的なもので、ダルマ体型を発現させる遺伝子はfu遺伝子と呼ばれています。fuは癒合する、溶和するという意味を持つ「fused」から取ったもののようです。また、「小人」という意味を持つ「ドワーフ」という言葉を使って、「ドワーフ遺伝子」という別名で呼ばれる場合もあります。

fu遺伝子を持つメダカであっても必ずダルマ体型になるわけではなく、ダルマ体型の発現には水温が強く影響することが分かっています。以前からメダカ愛好家やブリーダーの間では、「ダルマメダカは水温が高くないと出ない。」と言われていましたが、実際に調べてみたところ、水温20℃ではダルマ体型の出現率が10~20%なのに対し、水温28℃ではダルマ体型の出現率は100%に近い、との結果が得られたそうです。

参考ダルマの(fu)遺伝子 | FUJIYAMAめだかのブログ

また、fu遺伝子は1種類ではありません。既に確認されているだけでも、fu-1からfu-6までの名前がつけられた、6種類の異なるfu遺伝子があることが分かっています。例えば、普通体型とダルマ体型の中間的な体型である「半ダルマ体型」は、ダルマ体型とはfu遺伝子が異なる、ということも明らかになっています。ダルマメダカを繁殖させようと思ったら、同じ種類のfu遺伝子を持つオス親とメス親を揃えなければ、ダルマ体型の子供が生まれてこないことに注意しましょう。

実際にダルマメダカを繁殖させている人の話では、普通体型の親同士からでも、水温が高い時期に孵化したメダカからはダルマ体型のメダカや半ダルマ体型のメダカが生まれることもあるそうです。これは、fu遺伝子を持っているが体型には現れなかった親からfu遺伝子を受け継いだ子が生まれ、水温がトリガとなって体型に現れた、ということでしょう。

また、春先に孵化したメダカからはダルマ体型も半ダルマ体型も出現しなかったが、5月中旬以降に孵化したメダカはダルマ体型になった、ということも起こるようで、ダルマメダカの出現に対して水温はやはり大きな影響を与えていると言えるでしょう。

ダルマメダカの作り方(作出方法)

上述の通り、同じ種類のfu遺伝子を持つオス親とメス親を掛け合わせ、さらにある程度の高水温で飼育することによって、ダルマ体型のメダカが生まれます。ダルマ体型は劣性(潜性)の上、生育温度によって発生の確率が変化するため、親がダルマメダカでないとダルマメダカが生まれない、というわけではありませんが、ダルマメダカが生まれる確率を上げるためにはダルマメダカ同士を掛け合わせるべきです。

また、fu遺伝子の種類が多いこともダルマメダカの作出を難しくしています。ダルマ体型の親メダカ同士を掛け合わせても、fu遺伝子の種類が違えばダルマメダカは生まれないからです。上記の通り半ダルマ体型とダルマ体型ではfu遺伝子の種類が異なることはわかっているため、ダルマ体型の子が欲しい場合は、少なくとも半ダルマメダカと掛け合わせることは避けるほうが良いです。

半ダルマ同士を掛け合わせるのが良いとか、普通体型と半ダルマを掛けるのが良いという話も聞きますが、遺伝学上は間違っています。

ダルマメダカと関連の深い品種

既に書いたとおり、ダルマ体型は楊貴妃メダカや幹之メダカをはじめとする、ほぼ全ての体色変異型に出現することが知られています。そのためダルマメダカは多くのバリエーションがありますが、ここでは特に代表的な品種を紹介します。

楊貴妃ダルマメダカ

楊貴妃ダルマメダカは、朱赤色の体色が人気を博している楊貴妃メダカのダルマ体型の品種です。そもそも人気が高い楊貴妃メダカに、なかなか出現しないダルマ体型を重ねた品種のため、当然普通の楊貴妃メダカより価格も高くなります。メダカのブリーダーがつけているニックネーム(ハウスネーム)は「初恋」です。

楊貴妃メダカ(チャームより)
楊貴妃メダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

メダカの改良品種の中から楊貴妃メダカについて紹介します。楊貴妃メダカは2004年に作出され、本来メダカが持たない赤色の体色を持つ改良メダカの中でも特に重要な品種です。メダカブームの火付け役でもあり様々な発展品種も存在します。

楊貴妃メダカについてはこちらのページで詳しく解説しているので、よければ併せて読んでみてくださいね。

幹之ダルマメダカ

改良メダカブームの火付け役として楊貴妃メダカと並びよく知られる幹之メダカのダルマ体型が幹之ダルマメダカです。ダルマ体型は普通体型よりも希少価値があるため、楊貴妃メダカと同様、普通体型よりも高い価格で流通しています。普通体型の幹之メダカと同じく、背中に青白い体外光が現れるのが特徴です。

幹之メダカ(チャームより)
幹之(みゆき)メダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

メダカの改良品種の中から幹之メダカについて紹介します。幹之メダカは2008年に背中光強メダカから作出された、体外光と呼ばれる背中の青白い輝きが特徴的な品種です。メダカブームを牽引する品種で50種以上の関連品種が存在します。

幹之メダカの詳細はこちら。体外光や体内光など、幹之メダカを特徴づける形質についても、詳しく説明しています。

オロチダルマメダカ

オロチダルマメダカは、全身真っ黒のメダカである「オロチ」のダルマ体型の品種です。貫禄のある黒体色と、可愛らしいダルマ体型のギャップが面白い品種です。

これら以外にも、「紅白メダカ」「三色メダカ」など様々な品種にダルマ体型の品種が存在しています。

ダルマメダカの飼育方法

ダルマメダカの特徴的な寸詰まりの体型は、見た目には可愛いもののはっきり言ってメダカ自身にとってメリットのある体型ではなく、普通体型のメダカより泳ぎ方がぎこちなく泳ぐスピードも遅いです。そのため、普通体型のメダカと一緒に飼育すると上手く餌を食べられなかったり、泳ぐスピードが遅くて普通体型のメダカにつつかれたりして弱ってしまう可能性があります。ダルマメダカを上手く飼育するためには、普通体型のメダカとは隔離したほうがよいでしょう。

ダルマ体型のメダカ自体は自然界でも生まれることがありますが、このような特徴から自然界で生き延びることは厳しく、人の手で管理される飼育環境下ではないと生存が難しい品種です。可愛さのためにメダカに負担をかけていることは自覚し、丁寧に世話をしてあげてください。

基本的な飼い方

基本的な飼い方は、普通体型のメダカと大きく変わるところはありません。ダルマメダカ特有の少し神経質なところはありますが、一般的な観賞魚の飼育方法で飼うことができます。メダカらしい温和な性格で、喧嘩も少ないです。

アクアリウム的な飼育方法では、これくらいのサイズの小型魚飼育では、体長1cmにつき1リットルの水が用意できる環境が目安になっています。特にメダカを中心に飼育している人の場合は、メダカ1匹あたり1リットルを目安にしていることも多いですが、これはメダカ特有の頑丈さあってこそなのと、メダカをメインで買っている人は比較的換水頻度が高いことなどが影響していると思います。いずれの目安でもメダカを飼うことはできますが、メダカにとっては1匹あたりの水量は大いに越したことはありません。

過密飼育には、水質悪化や病気の蔓延、繁殖時の卵の食害などのリスクがあるため、基本的には避けたほうが無難です。

飼育容器の選び方

メダカ飼育容器の種類・選び方 睡蓮鉢/プラ/発泡/水槽ほか
メダカの飼育容器の種類と選び方!睡蓮鉢・プラ容器等の長所や使い所

メダカ飼育容器の種類と選び方を解説します。メダカの飼育容器には、水槽、睡蓮鉢、プラスチック容器、トロ舟、発泡スチロール容器などの選択肢があります。容器ごとの特徴や飼育場所、メダカの数、品種などに応じた選び方をまとめます。

メダカの飼育容器は、「飼育する場所」「飼育匹数」「飼育品種」等の条件によって、最適なものが異なってきます。こちらのページで各飼育容器の特徴と、条件別に適した容器を紹介しているので参考にしてください。

飼育に適した水質

メダカは幅広い水質に適応できる丈夫で強靭な魚です。弱アルカリ性~弱酸性まで幅広い水質環境で飼育が可能です。また、水温についても本来は、氷が張りそうなくらいの低温~30℃を超える程度までの範囲で生きていける非常に適応能力の高い魚ですが、ダルマメダカの場合は少し事情が異なります。

ダルマメダカは水温が下がると、ひっくり返ってしまう「転覆病」に罹りやすいことが知られています。ダルマメダカはその体型から内臓が弱く、消化不良が原因で転覆病になる場合があるようです。この場合は、初期であれば水温を高くして消化を促進してやることで治ることもあるため、転覆病の予防という意味でも冬期はヒーターを使っての保温がほぼ必須です。少なくとも常に20℃以上の水温は保っておいたほうが良いでしょう。

エサ

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エサについては普通体型のメダカと変わりません。口に入るものなら何でも食べてくれますが、栄養バランスや管理のしやすさを考慮して、市販のメダカの餌をあげるのが一番ラクです。ただし、何度も書いていますがダルマメダカは内臓がやや弱いため、いつも以上に古くなって劣化したエサを与えないよう注意してください。

屋内飼育に必要な飼育器具

メダカの飼育方法は、大きく屋外飼育と屋内飼育の2つに分けられますが、ダルマ体型を発現させたり、転覆病を予防したりするために、水温を高めに保つ必要のあるダルマメダカには屋内飼育がおすすめです。まずは屋内でダルマメダカを飼育する場合について、必要な飼育器具を紹介していきます。

水槽

アクアリウム的な飼育方法になる屋内飼育では、飼育容器は見栄えも良い水槽を使うのが良いでしょう。ボトルアクアリウムのように小さなガラス瓶も使えなくはありませんが、飼育できる数が限られますしメダカにも負担をかけるので、水槽をおすすめします。

水槽には色々な形・サイズのものがありますが、第一候補は横幅60cmの60cm規格水槽、次点で全ての辺が30cmの30cmキューブ水槽をおすすめします。

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60cm規格水槽は、水槽の中で最も一般的なサイズです。そのため、ろ過フィルター、ライト、ヒーターなど水槽以外の飼育用品にも、60cm水槽での使用を前提に作られているものが多く、飼育用品の選択肢が多くて価格も割安なのが長所です。60cm水槽にもいろいろな商品がありますが、3000円前後と安価に入手できるエーハイムのEJ-60が人気です。

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30cmキューブ水槽は、60cm規格水槽の大体半分程度の大きさで、場所を取らずに気軽に導入できるのがメリットです。こちらは、コトブキのクリスタルキューブ300が人気で、K-kiも使用しています。

ろ過フィルター

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水質の維持には、ろ過フィルターが便利です。ろ過フィルターを使うことで、水換えの頻度を下げられるため、メダカ飼育の手間を省くことができます。ろ過フィルターは、上部フィルター、外部フィルター、外掛けフィルターなど様々な種類があり、それぞれに特徴も異なります。あまり詳しくない人は、まず以下のページでろ過フィルターの種類と特徴を把握してください。

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特にメダカを飼育する場合には、水槽周りをスッキリさせることができレイアウト水槽とも相性が良い外部フィルターか、濾過効率が高い上にコストも安い底面フィルターがおすすめです。

底砂

水槽の底面に敷く底砂は、水槽の見栄えを良くするだけでなく、水草を育てるのに必要な栄養素を供給したり、ろ過バクテリアが定着する足場になったりと、使用することでメリットもあります。

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アクアリウムで使用する底砂には多くの種類があるので、種類ごとの特徴や性能の差については、こちらのページを参考にしてください。

ライト

生き物は周期的なリズムを持って生活しており、このリズムをが乱れると体調にも悪影響を及ぼします。生き物の生活リズムを保つためには、毎日決まった時間に明るくなり、決まった時間に暗くなるというように、水槽内の明暗の周期を安定させるのが重要です。


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アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

このためには、ライトとタイマーを使用して、水槽の明るさの管理を自動化してしまうのが良いでしょう。また、メダカと一緒に水草を育てる場合は、水草に光合成をさせるためにライトは必須となります。

メンテナンス用品

メダカを上手く飼うためには、日頃のメンテナンスも欠かせません。バケツ、魚網、水換え用ホースなどが必要になります。

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水換え用のホースでは、「プロホース」が使い勝手がよく定番です。

屋外飼育に必要な飼育用品

次に、屋外飼育の場合に必要となる飼育用品を紹介していきます。ただし、既に書いたようにダルマメダカは低水温と相性が悪いので、屋外での飼育は夏場のみにしておくほうが無難です。

飼育容器(睡蓮鉢・プラスチック容器等)

屋外飼育では、睡蓮鉢、プラスチック容器、発泡スチロール容器などが飼育容器の選択肢になります。

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睡蓮鉢は水草などを植えるとビオトープのような雰囲気も出せるため、観賞面を重視する場合におすすめの飼育容器です。

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一方、コストやメンテナンス性を重視する場合は、プラスチック容器や発泡スチロール容器がおすすめです。

水草を上手く活用する

屋外飼育では、大規模な池で飼育するような場合を除き、基本的にろ過フィルターを使用できません。したがって、水質を維持する方法が非常に限定されます。

もっとも手軽で有用な方法が、水草を使用する方法です。特に、ホテイアオイなどの浮草系の水草は、根の部分がろ過バクテリアの住処になるうえ、成長が早く硝酸塩を吸収してくれるので、屋外飼育では非常に重要です。

すだれで日陰を作ることも重要

ダルマメダカは高水温で育てるべきとは言っても、それはせいぜい30℃くらいまでの話です。真夏の時期には、飼育容器に直射日光が当たると、水温が上がってお湯のようになってしまうこともあります。メダカは強靭な魚とはいえ、35℃を超えるような水温では死んでしまうことも少なくありません。

一方で、日光はビタミンなどの合成に必要なため、多少の日光を浴びることはメダカの健康を維持する上で重要です。そのため、完全な日陰よりは、午前中に多少の日光が差す場所に飼育容器を置く場合が多いでしょう。

これらを踏まえて飼育容器に差し込む日光の量を調整し、水温の極端な上昇を防ぐためには、すだれが非常に便利です。夏場の屋外飼育では非常に重宝する道具です。

底砂

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底砂も、水草と同様にろ過バクテリアの住処になるため水質の維持に役立ちます。メダカ飼育でよく利用されるのは、赤玉土やアクアリウム用のソイルです。いずれも、粒が崩れにくく比較的長期にわたって使用することができます。

メンテナンス用品

屋外飼育でも、屋内飼育と同様にメンテナンス用品は必要です。メンテナンス用品は屋内と屋外であまり差はないので、屋内飼育のメンテナンス用品の項目を参考にしてください。

ダルマメダカの繁殖方法

メダカを繁殖させるためには、品種に関わらずまずは以下の条件を揃えるところから始めましょう。

  • 繁殖可能な大きさまで成長した雌雄のペアがいること
  • 日照時間が12時間以上あること
  • 水温が18℃以上であること

この条件を揃えたら、以降のポイントを参考に繁殖に挑戦してみましょう。

親メダカを揃えるときのポイント

ダルマメダカを繁殖させたい場合は、遺伝的にはダルマメダカ同士で繁殖させるのが一番ですが、ダルマメダカは繁殖が難しいです。その理由はダルマ体型にあります。

普通体型のメダカのオスは、産卵時にメスを背ビレと尻ヒレで抱き抱え、メスが産む卵に自分の精子をしっかりと行き渡らせます。しかしダルマメダカのオスは体が短いため、この抱き抱える行動が難しく、卵に上手く静止を届けられず無精卵が多くなってしまうのです。仮に無事受精し孵化させることに成功しても、ダルマ体型を引き起こすfu遺伝子は6種類もあり、雌雄でこの遺伝子のタイプが一致しなければダルマ体型は遺伝しないので、遺伝率が極めて低いこともダルマメダカの繁殖が難しいとされる要因です。

そのため、繁殖には普通体型または、半ダルマのオスを用いてダルマメダカのメスと交配させる方法がよく用いられます。既に書いたように半ダルマ体型のfu遺伝子は完全なダルマ体型のfu遺伝子とは別物なので、半ダルマのほうがダルマメダカの繁殖に有利ということはありません。普通体型であろうと半ダルマであろうと、メスと同じfu遺伝子を持っていることが重要です(fu遺伝子は劣性かつ温度依存性があるため、fu遺伝子を持っていてもダルマ体型でないことも多いです。)。

産卵から孵化までの世話

上記の条件が揃った状況でメダカを飼育していると、自然にメスが産卵するようになります。産卵は朝の早い時間帯に行われ、メスは産卵後しばらくは尻ビレ付近に卵の塊を付けたまま泳いでいます。

その後メスは卵塊を水草などに産み付けますが、親メダカが水草に産み付けられた卵や孵化した稚魚を食べてしまうことが多いため、卵を見つけたらすぐに別容器に隔離しましょう。

このような産卵床を使用していれば、産卵床ごと取り出して隔離できるので管理が楽です。ただし、ダルマメダカは卵を産卵床等に産み付けるのも苦手なので、受精した貴重な卵が飼育容器の底に落ちてることも多いです。着卵したメスのダルマメダカがいたら、産卵床だけではなく容器の底もよく確認し卵を取りこぼさないようにましょう。

メダカの受精卵は透明ですが、無精卵は白く濁っています。無精卵を放っておくとカビが生え、最悪の場合は受精卵までカビに侵されてしまうため、無精卵は見つけ次第取り除きましょう。

上にも書いたとおり、水温が高い(28℃~30℃程度)環境で飼育するほうがダルマ体型になりやすく、特に卵から体長1cmくらいまでの間の水温が強く影響するようです。そのため、ダルマメダカを狙う場合は、卵の時期から水温を高めに維持して管理するようにしましょう。

また、産卵から孵化までの時間は、水温(℃)×日数が250になる辺りが目安です。上記の水温なら産卵から9日程度で付加するはずなので、これに合わせて稚魚の飼育環境を整えておきましょう。

孵化した稚魚(針子)の育て方

卵が孵化して稚魚が産まれた後も、稚魚が親魚の口に入らない大きさ(約1cm程度)に育つまでは、親との隔離を継続します。孵化後2~3日の間は、腹部のヨークサックから栄養を摂取できるので餌は食べません。

針子の死因として最も多いのは餌不足による餓死だと言われいるくらい、針子はエサ切れに弱いです。そのためヨークサックが吸収された後は、1日に2~5回を目安にとにかくエサ切れにならないよう餌を与え続けましょう。

特にダルマメダカの場合は泳ぎが下手なので、普通体型の稚魚と一緒に飼育しているとエサを取れず餓死してしまうことがあります。ダルマメダカの稚魚を安定的に育てるためには、高水温の維持とともに普通体型の稚魚とは隔離してエサが行き渡るように工夫することも重要です。

仕事や学校等で日中の頻繁な餌やりが難しい人は、グリーンウォーター(緑水)で稚魚を飼育するのがおすすめです。グリーンウォーターには大量の植物プランクトンが含まれており、それが稚魚の餌になるのでエサ切れを起こしにくいためです。ただし、グリーンウォーターが濃すぎると、酸素不足や水質悪化につながるため注意してください。

ダルマメダカの魅力・おすすめポイント

ダルマメダカはfu遺伝子に複数のタイプがあるせいで遺伝させるのが難しく、遺伝したとしても水温が十分に高くないと体型に特徴が現れない、その上背曲がり等の奇形も出やすいことから希少価値が高い品種です。そのため人気も非常に高く、メダカ専門店やアクアリウムショップ等の販売店では積極的に取り扱われています。

丸みのある体型と、そこからくる少し下手な泳ぎ方が可愛らしい品種ですが、飼育や繁殖は普通体型のメダカより難易度が高くなるので、ある程度メダカの飼育に慣れてきてから挑戦するのが良いでしょう。また、水温が高い夏場には、普通体型のメダカからも生まれてくる場合があるので、繁殖させた稚魚にダルマメダカが混ざっていないか探してみるのも楽しいですね!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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