熱帯魚・観賞魚 図鑑

青メダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

2020/09/13

近年の改良メダカブームにより、毎年のようにメダカの新しい品種が続々と発表されています。一方で、こうしたブームよりも前に品種として確立されていたものは「基本品種」と呼ばれて区別されることもあります。今回紹介する青メダカは、そんな基本品種の一種です。

青メダカは基本品種ではあるものの、近年の改良メダカブームの中で作出された様々な品種の期限にもなっています。特に「ブラック」系のメダカは、青メダカから改良されてできたという事実は、意外に思う人も多いでしょう。

今回は、そんな古い品種ながら重要な役割を果たしている青メダカについて、関連の深い品種や飼育・繁殖など、さまざまな情報をまとめて紹介します。

青メダカとは

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品種名 青メダカ
種名 キタノメダカ
ミナミメダカ
ニホンメダカ
分類 ダツ目メダカ科メダカ属
原産地 日本
飼い易さ
値段(1匹) 200円程度~
最大体長 3cm程度
寿命 3年程度
遊泳層 中~上層
適合する水質 水温:16~30℃
pH:6.5~8.5
特徴 黄色素胞の欠如により青みがかかって見える品種。淡い色をした個体はパールブルー、黒に近い体色の個体はパープルブルーと呼ばれる。

青メダカは、ホームセンターなどでも手に入る非常に広く普及したメダカの品種で、ヒメダカ黒メダカ(茶メダカ)、白メダカ等と並ぶ改良メダカの基本品種です。作出当初はお世辞にも青色とは言えない体色でしたが、長年にわたるブリーダーの交配・選別の結果どんどん体色が青くなってきており、現在も進化している品種です。

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青色の体色になる理由

野生型のメダカから、黄色素胞が欠如すると体色が青みがかって見えます。つまり、ざっくり言えば黒メダカ(茶メダカ)から黄色素胞を取り除いた品種が青メダカということです。メダカは、前記したように白色素胞・黒色素胞・黄色素胞・虹色素胞の4種類の色素胞を持っていて、青色素胞はありません。従って、青メダカは水槽などで横から観察すると灰色の体色に見えます。また個体の持つ黒色素胞た白色素胞の量や大きさにより淡い色(パールブルー)から濃い色(パープルブルー)まで様々な表現を見せます。

青メダカの作り方(作出方法)

詳しい作出経緯は不明ですが、茶メダカと白メダカを交配していくうちに誕生したと言われています。また、この経緯から、黒メダカ(茶メダカ)と白メダカを交配することで自分でも作出することも可能と思われるので、チャレンジしてみるのも良いでしょう。

青メダカと関連の深い品種

青メダカ自体は、改良メダカの中でも基本品種と呼ばれる比較的作出が古く広く普及している品種ですが、近年の改良メダカブームの中で作出された品種には、青メダカに由来する品種が多くあります。以下では、これらの青メダカとゆかりの深い品種について見ていきましょう。

パールブルー

パールブルーは、青メダカの中でも比較的淡い色をした個体につけられる品種名です。黒色の飼育容器で飼育している場合でも、淡い青色の体色を保つことができます。

パープルブルー

パープルブルーは、青メダカの中でもパールブルーより黒に近い体色のメダカです。黒色の飼育容器では体色がより黒に近くなります。また、このパープルブルーの黒色素が増えた結果、後述するブラック系の体色の品種が生まれました。

ヒレ黄

青メダカの頭部とヒレが、部分的に黄色になる品種です。ブラック体色のメダカで、同じく頭部とヒレが部分的に黄色になる品種も、同様にヒレ黄と呼ぶ場合があります。

ピュアブラック

パープルブルーからさらに黒色素胞が多くなって生まれた品種に、ブラック体色の品種があります。ブラック体色のメダカは、「黒メダカ」の名前で一般に流通する茶色の体色よりもよりはっきりとした黒色をしています。これはブラック体色が青メダカから派生したもので黄色素胞が欠如しているため、茶色みがかかりにくいためです。また、ブラック体色の品種には、メダカは背景の色によって体色を変化させる「背地反応(保護色機能)」を起こす品種と起こさない品種が存在します。

ブラック体色のメダカの中でも、ピュアブラックは「スモールアイ」と呼ばれる目が小さくなる形質を持っています。スモールアイのメダカはほとんど目が見えていないため、背地反応が起こらないという特徴があります。ピュアブラックは2000年代の改良メダカ作出の先駆け的存在で、多くのブラック体色のメダカの原点とも言われています。ピュアブラックに限らずスモールアイは固定率が低い形質のため、ピュアブラック同士の交配でもピュアブラックが産まれる確率が低く、貴重な品種といえます。

スーパーブラック

ブラック体色の中でも特に黒色が濃いものを、スーパーブラックと呼ぶ場合があります。ただし、ピュアブラックと混同されたり、以下で紹介する小川ブラックと混同されたりする場合があり、品種として明確に確立しているかと言われるとやや疑問が残ります。スーパーブラックの名前で呼ばれる品種は基本的にスモールアイではなく背地反応(保護色機能)を起こすため、白い容器や水槽での飼育だと黒い体色が抜けてしまいます。黒体色を楽しみたいのなら、黒容器で飼育するべきでしょう。

小川ブラック

愛知県の「めだか倶楽部クリーク」の堀田氏が作出したメダカで、きっかけとなるメダカを飼育していた小川氏の名前から命名されました。黒体色のメダカの人気品種です。スモールアイのピュアブラック以外の目のメダカで、初めて背地反応(保護色機能)しない品種として誕生しました。屋外で太陽光をしっかり当てる環境で飼育すると、その黒さが増します。

青メダカの飼育方法

青メダカの飼育は、一般的なメダカと同じく簡単です。まずは飼育の基礎として、用意すべき水質やエサについて確認しておきます。

飼育容器のサイズと飼育できる数

青メダカは、一般的な小型熱帯魚と同様の飼育方法で飼うことが可能です。ろ過フィルターを使用する一般的なアクアリウムでは、小型魚の場合は体長1cmにつき1リットルの水量を用意するのがベターとされています。従って、メダカの場合は60cm水槽で20匹弱が目安になります。睡蓮鉢などを使用する屋外飼育では、ろ過フィルターが使用できないため、もう少し水量に対しての数を絞ったほうが良いでしょう。

過密飼育ができないわけではありませんが、水質悪化や病気の蔓延、繁殖時の卵の食害などのリスクが高くなるためあまりおすすめしません。

飼育容器選びのポイント

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青メダカは、身体の側面より背中部分にきれいな発色が出てくるので、上見が出来る睡蓮鉢やNVBOXなどを使用した屋外飼育と相性が良いです。また、エサや飼育方法にこだわると、体色の青味をより濃くすることも可能です。

飼育に適した水質

メダカは本来、水田やその周辺の水路等の、比較的過酷な環境に生息している魚です。そのため、適応できる水質の幅は広く、適温は16~30℃程度であるものの、10℃以下の低温から30℃を多少超える高温までで生きていくことが可能です。同様に、pHへの適応性も高く、弱酸性から弱アルカリ性までの幅広いpHに適応します。さらに、徐々に塩分濃度を上げていけば、汽水や海水で暮らすことも可能です。

一方で、短期間での極端な水質変化はメダカにダメージを与えます。導入時の水合わせなどは、丁寧にやっておいたほうが無難です。

エサ

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何でもよく食べるメダカですが、栄養バランスや管理のしやすさを考えると、市販のメダカの餌が一番便利です。ただし、それなりの量がまとめて販売されているため、飼育数が少ない場合はエサが古くなり劣化してしまうこともあります。劣化したエサはメダカにとって当然有害なので、使用期限を過ぎたエサは与えないようにしましょう。

屋外飼育で必要な飼育用品

メダカの飼育は、大きく屋内飼育と屋外飼育に分けられます。基本的な飼い方には大差はありませんが、それぞれで用意べきものが少しずつ違うので、飼育方法ごとに用意すべき飼育用品をまとめていきましょう。

睡蓮鉢等の飼育容器

屋外飼育での飼育容器は、見栄えがよく水草などの植え方によってはビオトープのような雰囲気にもできる睡蓮鉢と、コストが安く大量にメダカを飼育したい場合に便利なプラスチック容器・発泡スチロール容器などがあります。

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プラスチック容器では、安くて軽く、メダカの体色が飛びにくい黒色であるNVボックスの人気が特に高いです。

水草

基本的にろ過フィルターを使用できない屋外飼育では、水質を維持するためには水草を積極的に活用するのがおすすめです。

特にホテイアオイは相性がよく、根の部分にろ過バクテリアが定着し汚れを分解してくれる上に、ろ過バクテリアが分解した汚れを水草が養分として吸収して成長するため、屋外飼育では非常に重要です。

底砂

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水草と同様に、屋外飼育では底砂もろ過バクテリアの住処として重要な役割を果たします。赤玉土やアクアリウム用のソイルなど、粒が崩れにくく比較的長期にわたって使用することが可能なものがよく利用されます。

メンテナンス用品

日々のメンテナンスのための道具も揃える必要があります。特に重要なのは、バケツと水換え用のホースです。これらは、メダカ飼育で最も重要なメンテナンス作業である「水換えにおいて重要な役割を果たします。

バケツもホースも100円均一ショップでも手に入りますが、アクアリウム向けに使い勝手の良い商品も販売されています。

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バケツの中では、イノマタ化学の「なるほどバケツ」が非常に人気です。タオルが掛けられたり、水量が測れたり、注ぎ口の形が工夫されていたりと、バケツを使いやすくするため多くの工夫が凝らされています。

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水換え用ホースとしては、水作のプロホースシリーズが定番です。ポンプを押すだけで排水でき、バケツなどに引っ掛けるフック等も付属していて、非常に使い勝手が良いホースです。

屋内飼育で必要な飼育用品

屋外飼育で必要なものを一通り紹介したところで、次は屋内飼育の場合に必要になる飼育用品を紹介します。

水槽

屋内飼育の場合は、飼育容器は水槽が基本です。水槽は側面からも観賞できるため、不透明な容器がスタンダードな屋外飼育の場合よりも、メダカをよく観察しやすいのが長所です。

水槽のサイズには多くの種類がありますが、メダカ飼育の場合には、60cm水槽か30cmキューブ水槽をおすすめします。

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60cm水槽は水槽の中でも最もスタンダードな大きさで、ほとんどの飼育用品に60cm用の商品が用意されていますし、価格も割安な場合がおおいです。各メーカーが60cm水槽を販売していますが、中でもエーハイムのEJ-60はコストパフォーマンスに優れ人気が高いです。

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30cmキューブ水槽は、60cm水槽の約半分の大きさで、コンパクトに楽しめるところが長所です。少数のメダカをじっくり育てたり、品種ごとに小分けして飼育したい場合には、30cmキューブ水槽は便利だと思います。こちらは、コトブキのクリスタルキューブ300の人気が高いです。

ろ過フィルター

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屋内飼育では、水質を維持しやすくするためろ過フィルターを使用します。ろ過フィルターには、「外掛けフィルター」「投げ込みフィルター」など、様々な種類が存在し、種類ごとに特徴が異なります。ろ過フィルターについてあまり詳しくない場合は、まずは以下のページでろ過フィルターの種類とそれぞれの特徴を押さえておきましょう。

水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品

熱帯魚、金魚、亀等を飼育するアクアリウムで必要になる水槽用のろ過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルター等のろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽や、ろ過の原理、ろ過フィルターの種類、ろ材についてもまとめます。

その上で、メダカを飼育する場合には、水槽内に配管が少なくて美観がよく、水草育成との相性も良い「外部フィルター」か、安く入手できる上にろ過能力も高い「底面フィルター」をおすすめします。

底砂

底砂は、屋外飼育と同じく屋内飼育においても重視されます。しかし、その用途は屋外飼育のときのようにろ過能力を期待するのは底面フィルターを使う場合くらいで、基本的には水槽レイアウトの構築や、水草の育成を目的として使用されます。

特にメダカ飼育においては、色の濃い底砂を使用することで、メダカの体色が飛ばないようにしよう、という目的がある場合も多いです。

アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!

アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。

底砂についてはこちらのページで詳しく解説しているので、気に入るものを探してみてください。

ライト

生き物には生活のリズムが存在します。その中でも、一日単位のリズムのことを概日リズムと呼び、概日リズムが狂うことは生体の体調不良などにもつながります。特に屋内飼育では、明るい時間・暗い時間が不規則になることで概日リズムが崩れやすいため、ライトとタイマーを使用して、光環境が規則的になるように工夫してやることが重要です。


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アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化

アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

また、メダカと一緒に水草を育てる場合は、水草の光合成に光が必要となるため、ライトはより重要になります。

メンテナンス用品

屋内飼育でも、屋外飼育と同様にメンテナンスの道具は必要です。これに関しては、屋内と屋外で大差はないため、屋外飼育のメンテナンス用品の項目を参考にしてください。

青メダカの繁殖方法

上にも書きましたが、青メダカは自分で作出することも可能とされている品種です。メダカの繁殖自体が簡単なので、青メダカの作出にチャレンジして、綺麗な青体色の個体を作り出すことを目指すのも良いかもしれませんね。

繁殖させるための条件

青メダカを繁殖させるためには、まず以下の条件を揃える必要があります。

  • 繁殖可能な大きさまで成長した雌雄のペアがいること
  • 日照時間が12時間以上あること
  • 水温が18℃以上であること

これらの条件が揃えば、飼育環境に親メダカが慣れてくると、自然に卵を産むようになります。

産卵から孵化までの環境づくり

メダカの産卵は、朝の早い時間帯に行われる場合が多いです。産卵したメスは、卵の塊を尻ビレ付近にくっつけているので、見かければすぐに気づくでしょう。特に、横から観察できる水槽飼育では発見しやすいです。

そのまましばらく経つと、メスは水草などに卵をなすりつけて付着させます。この状態で放っておくと、メダカの口に入るものは何でも食べるという性質から、親メダカが卵を食べてしまう場合が多いです。運良く稚魚が生まれても、動き回って目立つ分与径親に食べられる可能性が高くなるため、卵を見つけてから稚魚が十分な大きさに育つまでは隔離飼育が基本です。

親メダカの飼育容器内に産卵床を入れていると、親メダカが卵を産み付けてすぐに取り出せば良いので、卵の管理がしやすく便利です。

メダカの卵は、受精卵は透明ですが、無精卵は少し時間が経つと白く濁ってくるため、ある程度判別が可能です。ここで重要なポイントが、無精卵はできるだけ取り除くべきということです。

これは、無精卵は時間の経過とともにカビてくるため、放っておくと付近の有精卵までカビてしまう可能性があるためです。

また、メチレンブルー等の薬剤を使用し、カビの発生を防止するのも有効な手段です。

稚魚(針子)の育て方

産卵された卵は、水温(℃)×日数で計算される積算温度が250程度になると孵化します。30℃の場合は、孵化まで約8日程度かかる計算になるため、この期間内に稚魚を育成する用意をしておきましょう。

稚魚の育成で重要なのは、何よりもエサです。身体の小さな稚魚は、エサが切れるとすぐに餓死してしまうため、1日に2~5回を目安に継続的に餌を与えます。日中の継続したエサやりが難しい場合は、大量の植物プランクトンが含まれるグリーンウォーター(緑水)を用意して、グリーンウォーター内で稚魚を飼育すれば、エサ切れを防止できます。

飼育容器は、ある程度の水量が確保できれば何でも良いです。水量を多めに確保しておいて水換えはあまりせず、汚れや餌の食べ残しはスポイトで取り除き、水が減った場合は足し水をする、という管理方法がおすすめです。

青メダカの魅力・おすすめポイント

青メダカは、改良メダカの基本品種ですが、このメダカから幹之やスーパーブラックなどの黒い体色のメダカが誕生したりと奥が深い品種です。こだわりをもって育成されているブリーダーの青メダカでは、本当に青色素胞が無いのか?と思わされるほど綺麗な青色が表現されています。作出方法も簡単なので、自分で作出して、累代繁殖をおこない青みがかった体色に磨きをかけながら飼育・繁殖を長く楽しめる品種です。

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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