熱帯魚・観賞魚 図鑑

黒メダカ(茶メダカ)の特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

2020/10/18

近年はメダカの品種改良がブームになっており、様々な色や形をした多種多様なメダカの品種が作出されています。こういった改良品種はとても魅力的ですが、改良前のメダカの原種にも、改良品種とは異なる魅力があることは、メダカが好きな方ならわかると思います。

原種のメダカは、環境省が定めるレッドリスト/レッドデータブックで絶滅危惧II類に定められており、気軽に捕まえられるとは言い難いでしょう。しかし、一般に流通しているメダカの品種には、原種の特徴をよく残した品種が存在します。それが今回紹介する「黒メダカ」です。

このページでは、黒メダカの体色や遺伝子の話にも少し触れつつ、黒メダカの飼育方法、繁殖方法、飼育に必要な道具などについて解説していきます。

黒メダカとは

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品種名 黒メダカ
茶メダカ
種名 キタノメダカ
ミナミメダカ
ニホンメダカ
分類 ダツ目メダカ科メダカ属
原産地 日本
飼い易さ
値段(1匹) 50円程度~
最大体長 3cm程度
寿命 3年程度
遊泳層 中~上層
適合する水質 水温:16~30℃
pH:6.5~8.5
特徴 もっとも原種メダカにに近い見た目をした品種。よく見ると黒よりも茶色に近い色合いであり、「茶メダカ」と呼ばれることもある。

黒メダカは、現在一般的に流通しているメダカの中でも、もっとも原種に近い見た目をした品種です。そのため、野生のメダカの総称として「黒メダカ」という言葉を使う場合もあります。また、野生型のメダカは実際には黒よりも茶色に近い体色をしており、その観点から日本メダカ協会のガイドラインでは「茶メダカ」という呼称を使用しています。

一方で、改良メダカの中には青メダカから発展した黒メダカよりも黒体色が濃い品種群が存在します。これらの品種群は日本メダカ協会のガイドラインでは「ブラック」と呼ばれ、区別されています。

このページでは、一般的に浸透しているわかり易い言葉を使うという観点から、野生型のメダカに対して「茶メダカ」ではなく「黒メダカ」という呼び方を使い、青メダカから発展した品種群は「ブラック」と呼ぶことにします。

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黒色の体色になる理由

メダカの体色について理解するためには、メダカの持つ色素細胞である「色素胞」について知ることが欠かせません。メダカに限らず変温動物は、色素胞と呼ばれる色素細胞を持っており、色素胞には「黒色素胞」「赤色素胞」「黄色素胞」「青色素胞」「白色素胞」「虹色素胞」の6種類が存在します。色素胞の中には「色素顆粒」という細胞小器官が存在し、この色素顆粒の量や分布によって体色が決まるとされています。

特にメダカの場合は、黒色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞の4種類の色素胞を持っています。黒メダカは、このうちの黒色素胞が強く出現し白色素胞が少ない表現のメダカです。ただし黄色素胞も持っているため、黄色素胞が出現する程度によっては、体色が茶色っぽくなる場合も見られます。

一方、黄色素胞がないメダカとして知られているのが青メダカです。上でも説明したブラック系統のメダカは、黄色素胞がない青メダカから、黒色素胞が強く出現するよう改良していった品種のため、黄色素胞を持つ黒メダカよりもさらにはっきりとした黒色の体色になります。

青メダカ(チャームより)
青メダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

メダカの基本品種の一つである青メダカを解説します。黄色素胞の欠如により青っぽい体色になる青メダカは、ブラック系メダカの起源でもあり、近年の改良メダカブームでも重要な品種です。関連深い品種や飼育・繁殖方法などを紹介します。

黒色素胞の発現は、いわゆるメンデルの法則で言うところの優性(顕性)の形質で、これに対応する劣性の形質がヒメダカです。このあたりの体色の発現の仕方と遺伝の関係については、以下のドキュメントが参考になるので、興味がある人は読んでみてください。

参考メダカの色素胞と体色変化―生物学実験:実験6について – 筑波医療科学

黒メダカの作り方(作出方法)

元々は、野生のメダカを小川や田んぼ等で捕まえて飼育したことが黒メダカの始まりです。現在ペットショップ等で購入できる黒メダカは、基本的に人工的に飼育繁殖されたメダカであり、表現型が野生のメダカとほぼ同一な品種を黒メダカと呼んでいます。

表現型が野生のメダカと同じと言っても、飼育下での繁殖を重ねた黒メダカは遺伝的には野生のメダカと差があります。以下で詳しく説明しますが、野生のメダカを守るためには黒メダカの放流は絶対に避けなければいけないことに注意してください。

黒メダカと野生メダカの遺伝的差異-遺伝子汚染を避けるための知識

メダカ愛好家の方であれば、野生のメダカが絶滅危惧種としてレッドリストに載っていることを知っている人も多いと思います。自分が飼っているメダカだけでなく、野生のメダカも大切にしたいという気持ちから、黒メダカを野外の河川に放流して数を増やしたいと思う人もいるかも知れません。

しかし、ペットショップなどで購入した黒メダカを河川等に放流しても、メダカを絶滅から守ることには繋がりません。むしろ、黒メダカを放流することは、野生のメダカが持つ地域ごとの遺伝子の違いを消失させ、メダカを絶滅に近づけてしまいかねません。

人間活動の影響によって遺伝子の違いを消失させる、つまり遺伝子の多様性を奪うことを「遺伝子汚染」と呼びます。遺伝子の多様性を失った生き物は性質の似た個体が多くなり、その結果として特定の病気に対して耐性を持つ個体が少なくなるなど種としての適応性が低くなってしまいます。長期的には種の絶滅にも繋がり得る非常に危険な行為のため、くれぐれも飼育している黒メダカを河川に放流することのないように注意してください。

黒メダカと関連の深い品種

近年の改良メダカブームの中で、体色が黒いメダカには一定の人気があり、それに伴ってより黒を濃くする方向で多種多様な品種が作出されています。ここでは黒メダカを発展させた品種だけでなく、青メダカを発展させた品種も含め、体色が黒いメダカの品種をいくつか紹介していきます。

墨黒メダカ

墨黒メダカは、黒メダカを累代繁殖して黒い体色がより強く現れるように改良した品種です。

ブラック

青メダカには、比較的体色が淡い色合いの「パールブルー」と、より黒に近い「パープルブルー」というタイプが存在します。ブラックメダカは、パープルブルーの中からさらに黒色素胞の多い個体を選抜し、より黒色が濃く現れる形質を固定した品種です。

ヒレ黄

ブラック体色のメダカですが、黄色素胞を持つ品種はヒレ黄と呼ばれ、ヒレに黄色素胞の黄色が現れます。また、体にもやや黄色素胞が現れて多少茶色っぽい体色になります。ブラック黄金と呼ばれることもあります。

ピュアブラック

青メダカのページでも紹介しましたが、このピュアブラックという品種は「スモールアイ」と呼ばれる目が小さくなる形質を持っており、メダカが持つ保護色機能である「背地反応」を起こさないという特徴があります。背地反応を起こさないため、白い水槽でもブラック体色を保つことができ、白と黒のコントラストを楽しむような飼育も可能です。

また、モールアイは固定率が低い形質のため、ピュアブラック同士の交配でもピュアブラックが産まれる確率が低く、貴重な品種といえます。

オロチ

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オロチは、ブラック体色のメダカの中でも比較的新しい品種です。ピュアブラックと同様に背地反応をしないブラック体色のメダカですが、こちらはスモールアイではありません。どういう原理でブラック体色になっているのかは、まだはっきりとしていない部分もあるようです。本当にメダカなのか、と思わせるほど真っ黒な体色が魅力の、ブラックメダカの代表格とも言える品種です。

黒メダカの飼育方法

黒メダカは原種に近い品種のため、一部の改良品種のように必要な特別な注意は必要とせず、飼育は簡単な品種です。もちろん屋内でも屋外でも飼育することは可能ですが、屋外飼育のほうが飼育設備を揃えるのが簡単で、丈夫で体色がしっかりと出るメダカを飼育するためのハードルは低いです。

室内飼育の場合はよりインテリア性の高い飼育を行うことができますが、使用する器具も多くなり飼育用品の導入コストが多少高くなります。また、ガラス水槽で飼育すると背地反応による色抜けが起こりやすいというデメリットもあります。屋内では様々な飼育用品を使えるアドバンテージを活かし、ライトやろ過フィルターなどを設置して飼育環境を整えることが重要です。

基本的な飼い方

メダカの飼育方法は、一般的な小型熱帯魚と同じです。屋内飼育であれば、ライトを設置して昼夜の明るさにメリハリを付け、ろ過フィルターを使用して水質の維持を行います。ろ過フィルターを使うアクアリウム的環境で飼育する場合、体長1cmにつき1リットルの水が用意できる環境が望ましいため、60cm規格水槽の場合で20匹弱のメダカを飼える計算になります。

屋外飼育の場合は、水換えの頻度によっても変わってきますが、水換えの頻度が同じならもう少し多めの水量を確保したほうが安心です。

飼育容器選びのポイント

メダカの飼育には、水槽、プラスチック容器、発泡スチロール容器、睡蓮鉢など様々な飼育容器を使用できます。これらの飼育容器は、「飼育する場所」「飼育匹数」「飼育品種」等の条件によって、最適なものが異なってきます。

メダカ飼育容器の種類・選び方 睡蓮鉢/プラ/発泡/水槽ほか
メダカの飼育容器の種類と選び方!睡蓮鉢・プラ容器等の長所や使い所

メダカ飼育容器の種類と選び方を解説します。メダカの飼育容器には、水槽、睡蓮鉢、プラスチック容器、トロ舟、発泡スチロール容器などの選択肢があります。容器ごとの特徴や飼育場所、メダカの数、品種などに応じた選び方をまとめます。

こちらのページで各飼育容器の特徴と、条件に応じた適する容器を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

飼育に適した水質

メダカは野生下では、水田、溜池、用水路など、比較的水温が高くなりやすい過酷な環境に生息しています。こういった環境でも生きていけるメダカは、観賞魚の中でもかなり丈夫なほうです。水温の適温こそ16~30℃程度ではあるものの、10℃以下の低温から30℃を多少超える高温まで、幅広い水温で生きていけます。水温だけでなくpHについても適応範囲は幅広く、弱アルカリ性~弱酸性まで幅広く適応できますし、極端な例としては海水でも生きいくことが可能です。

ただし、幅広い水質に適応できるメダカにとっても、水質の急激な変化は大きなダメージになります。新しくメダカを購入して水槽に入れるときは、水合わせを丁寧にしてやったほうが安全です。

エサ

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観賞魚として飼育される魚の大多数と同じように、メダカは口に入るものなら大抵食べてくれるため、餌に特別困ることはありません。ただし、栄養バランスや管理のしやすさを考えると、市販のメダカの餌を使うのが一番おすすめできます。

一般的に手に入る市販の人工飼料なら、正直なところどれを与えても大きな差はありませんが、古くなり劣化した餌を与えてしまうとメダカの健康に害を及ぼす恐れがあります。餌には使用期限が明記してあるので、少なくとも期限内に使い切れる容量のエサを選ぶようにしましょう。

他の魚・エビとの混泳

メダカはおとなしい性格のため、他の観賞魚・熱帯魚との混泳も可能です。特に、水面付近を泳ぐメダカと泳層が重ならない、コリドラス等の底層を泳ぐ魚とは相性が良いです。また、ミナミヌマエビヤマトヌマエビといったエビ(シュリンプ)類とも問題なく混泳させることができます。エビの仲間との混泳では、メダカが食べ残したエサや水槽・水草に付着するコケををエビが食べてくれるというメリットもあります。

屋外飼育で必要な飼育用品

大まかな飼育方法を紹介したところで、次はメダカを飼育するにあたって具体的に必要となる飼育用品を紹介していきましょう。メダカの飼育方法は、屋外飼育と屋外飼育とに大別できます。まずは屋外飼育の場合について、必要となる道具類をまとます。

飼育容器(睡蓮鉢・プラスチック容器等)

屋外飼育では、睡蓮鉢、プラスチック容器、発泡スチロール容器などが飼育容器の候補です。

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睡蓮鉢は水草などを植えるとビオトープのような雰囲気も出せるため、観賞面を重視する場合におすすめの飼育容器です。

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一方、コストやメンテナンス性を重視する場合は、プラスチック容器や発泡スチロール容器がおすすめです。

水草

屋外飼育では、大規模な池で飼育するような場合を除き、基本的にろ過フィルターを使用できません。したがって、水質を維持する方法が非常に限定されます。

もっとも手軽で有用な方法が、水草を使用する方法です。特に、ホテイアオイなどの浮草系の水草は、根の部分がろ過バクテリアの住処になるうえ、成長が早く硝酸塩を吸収してくれるので、屋外飼育では非常に重要です。

底砂

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底砂も、水草と同様にろ過バクテリアの住処になるため水質の維持に役立ちます。メダカ飼育でよく利用されるのは、赤玉土やアクアリウム用のソイルです。いずれも、粒が崩れにくく比較的長期にわたって使用することができます。

メンテナンス用品

メダカを上手く飼うためには、日頃のメンテナンスも欠かせません。バケツ、魚網、水換え用ホースなどが必要になります。

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バケツなんて何でも良いと思うかもしれませんし、たしかにそれも一理あるんですが、それでもイノマタ化学の「なるほどバケツ」は、使いやすくなるように考え抜かれたバケツで、非常に人気が高いです。

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水換え用のホースでは、「プロホース」が使い勝手がよく定番の商品です。

屋内飼育で必要な飼育用品

次に、屋内飼育の場合に必要となる飼育用品を紹介していきます。

水槽

屋内飼育の場合は、飼育容器は水槽が基本です。ボトルアクアリウムのように小さなガラス瓶で飼うことも可能ですが、やはりメダカに負担をかけるので、水槽をおすすめします。

水槽の候補は、第一に横幅60cmの60cm規格水槽、第二に全ての辺が30cmの30cmキューブ水槽です。

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60cm規格水槽は、アクアリウム用の水槽として最も一般的なサイズのため、ライトやヒーターなどの周辺器具も安い商品が多く、コストパフォーマンスに優れます。60cm水槽にもいろいろな商品がありますが、3000円前後と非常に安く入手できるエーハイムのEJ-60が人気です。

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30cmキューブ水槽は、60cm規格水槽の大体半分程度の大きさなので、場所を取らずに気軽におけるのがメリットです。こちらは、コトブキのクリスタルキューブ300が人気で、K-kiも使用しています。

ろ過フィルター

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屋内飼育では、ろ過フィルターを使って水質を維持するのが一般的です。ろ過フィルターにはいろいろな種類があり、それぞれに特徴があるため、詳しくない人はまず以下のページで全体を把握しておきましょう。

水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品

熱帯魚、金魚、亀等を飼育するアクアリウムで必要になる水槽用のろ過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルター等のろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽や、ろ過の原理、ろ過フィルターの種類、ろ材についてもまとめます。

その上で、メダカの飼育には、インテリア性が高く水草の育成とも相性が良い外部フィルターか、濾過効率が高い底面フィルターがおすすめです。

底砂

水槽の底面に底砂を敷けば、ろ過バクテリアが定着したり、水槽の見栄えが良くなったりとメリットがあります。

アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!

アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。

アクアリウムで使用される底砂にはいろいろな種類があるので、種類ごおとの違いや性能の差については、こちらのページを参考にしてください。

ライト

メダカに限らず生き物は周期的なリズムを持って生活しており、このリズムをキープすることは体調管理の上でとても重要です。そのためには、毎日決まった時間に明かりがつき、決まった時間に暗くなるというように、光の周期を固定してやる必要があります。


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アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化

アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

そのため、ライトとタイマーを使用して、水槽の明るさを自動で管理するのが一般的です。また、メダカと一緒に水草を育てる場合、水草の光合成のためにもライトが必要になるため、その重要性はさらに増します。

メンテナンス用品

屋内飼育でも、屋外飼育と同様にメンテナンス用品は必要です。この手の道具については、屋内と屋外であまり差はないので、屋外飼育のメンテナンス用品の項目を参考にしてください。

黒メダカの繁殖方法

ただし、黒メダカとヒメダカや白メダカを交配すると先の記載にもありますがF1は、すべて黒メダカが出現します。そのF1同士を交配するとF2では、色々な体色のメダカ(F1の親の特徴を持つ)メダカが生まれます。このように、自分が考えた体色を出現させる交配を楽しめます。

黒メダカに限らずメダカを繁殖させるためには、まず以下の条件を揃える必要があります。

  • 繁殖可能な大きさまで成長した雌雄のペアがいること
  • 日照時間が12時間以上あること
  • 水温が18℃以上であること

これらの条件を揃えることで、メダカは現在の季節が繁殖に適していると判断し、卵を産むようになります。

産卵から孵化までの方法

上記の条件が揃った環境でメダカを飼育していれば、そのうちメスが産卵してくれるはずです。産卵は朝早い時間に行われることが多く、卵を産んでしばらくの間はメスが卵を尻ビレの近くに付けた状態で泳いでいます。

しばらくするとメスは卵を水草などに産み付けますが、ここで少し注意が必要です。メダカは基本的に、口に入るものをエサだと認識して食べてしまいます。これは卵や稚魚であろうと関係ありません。そのため、水草に産み付けられた卵や孵化した稚魚は、そのままにしておくと親メダカに食べられる可能性かなり高いです。産み付けられた卵を見つけたら、すぐに親メダカとは別の容器に隔離しましょう。

こういった場面で活躍するのがメダカ用の産卵床です。産卵床を使用していると、産卵床ごと取り出して簡単に隔離でき、採卵が楽になります。価格が安い割に利便性が高いコストパフォーマンスの高い道具なので、繁殖に挑戦するならぜひ用意しておきましょう。

メダカの卵は、受精卵は透明ですが無精卵は時間が経つと白く濁ります。無精卵にはカビが生えやすく、下手をすると周囲の受精卵にまでカビが拡がってしまうため、無精卵は発見したらすぐに取り除いておきます。

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または、メチレンブルーなどの薬剤を使用してカビを防止するのも有効です。

メダカの卵が孵化するまでにかかる時間は、水温(℃)×日数で計算できる「積算温度」という指標で判断できます。産卵後、積算温度が250になる辺りで孵化するというのが1つの目安なので、積算温度が250になる前に稚魚育成の環境を準備するのが良いでしょう。

稚魚(針子)の育て方

上にも書いたとおり、孵化した稚魚は親メダカの口に入る大きさのうちは親に食べられてしまう可能性が高いので、隔離飼育を継続します。孵化から2~3日の間は、お腹についているヨークサックという栄養分が詰まった袋から栄養を摂取するので餌を食べません。ヨークサックが吸収されてからエサを与え始めましょう。

メダカに限らず、稚魚の飼育では、エサ切れによる餓死が最も多い死因だと言われています。ヨークサックが吸収された後は、エサ切れを起こさないよう、1日に2~5回を目安に餌を与えましょう。ただし、エサの食べ残しは水を汚してしまうので、1回あたりのエサの量は食べ残しがあまり多く出ない程度に抑えます。

仕事や学校などの都合で日中の頻繁な餌やりが難しい場合は、グリーンウォーター(緑水)で稚魚を飼育すれば、グリーンウォーターに含まれる大量の植物プランクトンがエサになるためエサ切れを防止できます。ただし、濃すぎるグリーンウォーターは酸素不足や水質悪化につながるため注意が必要です。

黒メダカの魅力・おすすめポイント

黒メダカは野生下で暮らしている原種メダカに近い見た目をしており、様々な品種改良が施された他の改良メダカにはない魅力を持っています。メダカとしては基本中の基本とも言える品種ですが、幹之メダカ楊貴妃メダカなど知名度の高い改良メダカと同じように人気もあり、飼育もしやすくておすすめできる品種です。

色々な品種のメダカと混泳させて多彩な色彩のメダカの群泳を楽しんだり、様々な品種を交配させてオリジナルの品種を作出してみたりと、メダカの楽しみ方は多種多様です。そういった改良メダカの入門として、黒メダカの飼育を始めるのも良いでしょう。

一方で、野生に近い見た目をしているからといって、アクアショップ等で販売されている黒メダカを野外に放すことは、遺伝子汚染に繋がり大きな問題があります(遺伝子汚染以前に、一度飼育下においた生き物を安易に放す行為自体に問題があります。)。

野生のメダカはキタノメダカとミナミメダカの2種に分かれ、そのうち改良メダカのベースになっているミナミメダカの中でも、遺伝子レベルでは9つの地域集団に分かれるとされています。メダカという種が存続していくためには、これらの地域的な遺伝子の差異を保存することが重要であり、遺伝子を混ぜてしまうような放流行為は逆効果です。かつてはメダカの保護活動として河川への放流などが行われたこともありますが、現在ではこういった行為は問題視されています。

生き物を飼う上では、一度飼い始めた生き物は死ぬまで面倒を見る、というのが大前提です。その大前提を忘れずに、黒メダカと長く付き合っていきましょう。

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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