水槽用の照明器具には、「蛍光灯」「LEDライト」「メタルハライドランプ(メタハラ)」などの種類があります。その中でも近年特に普及しだしているのがLEDライトです。初期投資はやや高くなるものの、電気代が安いためランニングコストを抑えられるというのが大きな長所です。
もちろんLEDライトには長所だけでなく、演色性が低かったり水草が育ちにくかったりという短所もありますが、これは製品によるばらつきも大きいです。そこでこの記事では、アクアリウム用のLED照明の中でも評価・人気の高い、アクアデザインアマノ(ADA)製の「アクアスカイ」シリーズについてまとめてみます。
「アクアスカイ」シリーズとは
アクアスカイシリーズは、ネイチャーアクアリウムを提唱するアクアデザインアマノ製の水槽用のLED照明です。発売当時には水槽用のLED照明は暗いものが多かった中、圧倒的な明るさでアクアリストをLED照明に注目させるきっかけを作りました。
ADA製品なのでネット通販などでの購入はできません。欲しくなったら近くのADA販売特約店で購入するか、あとはヤフオク!で中古品を探すなどしましょう。
特徴
アクアスカイの特徴は、何といってもその明るさです。高光度の白色LEDを採用するなど水草育成に最適化されたLEDライトで、それまで難しいとされていたLEDによる水草の育成を実用レベルにまで引き上げた画期的な照明器具です。
ラインナップ
アクアスカイシリーズには、通常の「アクアスカイ」とその照明位置を高くした「アクアスカイ ハイタイプ」、照明ユニットを新開発することにより明るさを約1.5倍にまで高めた「アクアスカイ・ムーン」があります。
アクアスカイ ハイタイプは特に佗び草の水上葉栽培に適したタイプ、アクアスカイ・ムーンは後発商品でアクアスカイのグレードアップ版のような立ち位置になっています。またその他に、アクアスカイ・シリーズの各機種に設置することで水景の観賞方法を拡張することが可能な「ミラーユニット」というオプションユニットも販売されています。ミラーユニットはアクアスカイ・ムーンと同時期に発売されたもので、アクアスカイ・ムーンとのセット商品もあります。
アクアスカイ
アクアスカイは水草育成用LED照明の先駆け的存在です。高光度白色LEDの採用とLED配置パターンの最適化により配光性を高め、水槽用LED照明器具のなかでもかなりの高水準の明るさを誇るLEDライトです。それまでLEDライトでの水草育成はかなり難しいとされていましたが、このアクアスカイの登場でLEDライトでの水草育成もかなり現実的なものとなりました。
また、ADA製品らしいデザイン性の高さも人気を後押しする要因となりました。照明ユニット部分は薄く、スタンドは透明度の高いアクリル製でスッキリしています。最近は吊り下げ式の照明器具を使用して水槽の上部をオープンにするのが流行っていましたが、アクアスカイは水槽の上部に設置するタイプながらも圧迫感を感じさせないスマートなデザインとなっています。
LED照明についてはその光の波長が水草の育成に適さない商品も多いので、スペクトルについての詳細な情報を気にする人もいると思います。アクアスカイについてもスペクトルについてのデータを掲載しているサイトが合ったので、リンクを張っておきます。気になる方は確認してみて下さい。
参考水草LED徹底検証:天下のADA AQUASKY!|結果 Oh! Life|1.023world
ラインナップ
製品名 | 対応水槽サイズ | 価格(税抜) |
---|---|---|
アクアスカイ301 | 30cm水槽 | ¥9,334 |
アクアスカイ361 | 36cm水槽 | ¥9,334 |
アクアスカイ451 | 45cm水槽 | ¥13,333 |
アクアスカイ601 | 60cm水槽 | ¥15,238 |
アクアスカイ602(2灯式) | 60cm水槽 | ¥27,619 |
アクアスカイは30cm、36cm、45cm、60cmの各水槽サイズに対応した商品が販売されています。60cm水槽用のアクアスカイ601とアクアスカイ602は1灯式か2灯式かの違いで、アクアスカイ602のほうが2倍明るいということになります。
スペック
アクアスカイの照明ユニットの大きさは、301と361で横幅280mm×奥行き68mm×厚さ10mm、451では横幅430mm、601と602では横幅570mmとなっています。水槽のサイズに合わせて横幅が広がっていくだけで、奥行方向にはサイズアップしません。602ではこのサイズの照明ユニットが2つ付いていることになります。スタンド部分のサイズは横幅は水槽と同じで、奥行き×高さは301・361・451で100mm×95mm、601が94mm×120mm、602が188mm×120mmです。
消費電力は301と361が17W、451が22W、601が30W、602が60Wです。LED寿命は30000時間以上となっていて蛍光灯の2~3倍といったところです。対応電圧がAC100〜240V、50/60Hz共用なので、西日本でも東日本でも、そして日本国外でも利用できるようです。色温度は約7000Kとされています。
アクアスカイ ハイタイプ
アクアスカイ ハイタイプは、特に「佗び草」の水上葉栽培に適したLED照明です。佗び草はADAによって考案された、水草を手軽に失敗なく育てるための工夫が施された商品です。肥料分を含んだピートモスの塊のような土台に水草が植え付けられていて、扱いがかなり簡単です。
http://waterforestdesign.blog87.fc2.com/blog-entry-123.html
佗び草を水上で育成していると、リンク先の写真でも見られるようにかなり成長して水槽からはみ出てくることもあります。これくらいにまで成長した水草の水上葉に、通常と同じ高さから照明を当てていると、照明器具が発する熱で水草が枯れてしまうということがよくあります。アクアスカイ ハイタイプはこれを防ぐため、水槽と照明の間の距離を広くとってあります。
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長繊維ピートモス活用術!! -佗び草自作に挑戦-
難しく感じがちな水草水槽やアクアリウムのレイアウト作成を簡単にしてくれる佗び草を、ピートモスを使って自作する方法を紹介します。佗び草の作成法はADA(アクアデザインアマノ)が公開特許を取得しており個人使用の際は参考にできます。
ちなみに佗び草は作るのに一手間かかっている分、購入すると水草にしてはややお高いのですが、少し工夫すると自分で自作することもできます。上の記事でその方法を紹介しているので、良かったら読んでみて下さいね。
ラインナップ
製品名 | 対応水槽サイズ | 価格(税抜) |
---|---|---|
アクアスカイ301ハイタイプ | 30cm水槽 | ¥8,571 |
アクアスカイハイタイプは、その他の商品とは異なりワンサイズのみの展開です。30cm水槽でこぢんまりとオシャレに佗び草を育てるような場合を想定しているようですね。
スペック
アクアスカイ301ハイタイプは照明ユニットの大きさが、横幅280mm×奥行き68mm×厚さ10mmとなっています。スタンド部分のサイズは横幅307mm×高さ220mmです。スタンドまで含めると、ハイタイプというだけあって結構高さがある感じですね。
消費電力は17W、LED寿命は30000時間以上、色温度は約7000Kとなっていて、アクアスカイ301・361と同じ照明ユニットが使用されているようです。もちろん西日本でも東日本でも使用できます。
アクアスカイ・ムーン
アクアスカイ・ムーンは2014年12月に発売された、アクアスカイ・シリーズの後続商品です。アクアスカイからさらに改良が加えられ、LEDの明るさがおよそ1.5倍になりました。またスタンド部分のアクリルに曇りガラス・すりガラスのような加工が施され、よりデザイン性が増しています。以下はADAの製品ページからの引用です。
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アクアスカイ・ムーンは、従来のアクアスカイに比べLEDの明るさを約1.5倍に増強。フロスト加工を施したアクリル製専用スタンドは、照明点灯時にスタンド全体が光り、補助照明として月光のように室内を優しく演出します。また、新開発のミラーユニットは上面から見た美しい水草の姿を映し出し、今までにない水景観賞を可能にしました。(特許申請中)
- 引用元: ADA
このアクリルに施されたフロスト加工が、「アクアスカイ・ムーン」という名前の由来になっているんですね。また同時にミラーユニットというオプションパーツも開発されたのですが、それについては下のミラーユニットの項目で説明します。
値段を見た感じでは、おそらくアクアスカイの上位互換品として位置づけられているようです。LEDの明るさが向上したという意味では確かに上位互換なのですが、アクリルスタンドは従来タイプのほうが好みという人もいそうですね。
ラインナップ
製品名 | 対応水槽サイズ | 価格(税抜) |
---|---|---|
アクアスカイ・ムーン301 | 30cm水槽 | ¥15,000 |
アクアスカイ・ムーン301 ミラーユニット・セット | 30cm水槽 | ¥17,500 |
アクアスカイ・ムーン361 | 36cm水槽 | ¥15,300 |
アクアスカイ・ムーン361 ミラーユニット・セット | 36cm水槽 | ¥18,000 |
アクアスカイ・ムーン451 | 45cm水槽 | ¥21,000 |
アクアスカイ・ムーン451 ミラーユニット・セット | 45cm水槽 | ¥24,000 |
アクアスカイ・ムーン601 | 60cm水槽 | ¥25,000 |
アクアスカイ・ムーン601 ミラーユニット・セット | 60cm水槽 | ¥29,000 |
アクアスカイと同様にアクアスカイ・ムーンも30cm、36cm、45cm、60cmの各水槽サイズに対応した商品が販売されていますが、60cm水槽用の2灯式はまだラインナップにないようです。今後追加される可能性もあると思うので、2灯式が欲しい場合はまだ様子見をしたほうが良いかもしれません。ミラーユニットが欲しい場合は、セット商品を購入すればちょっとお得になります。
スペック
アクアスカイ・ムーンではアクアスカイに比べてサイズがやや大きくなっています。照明ユニットのみのサイズはADAのホームページに記載がないので分かりませんが、スタンドのサイズは横幅が水槽と同じで、奥行きは各サイズ136mmで共通です。高さについては、301・361・451で95mm、601で120mmとなっています。
消費電力も301と361が25W、451が40W、601が50Wと従来のアクアスカイと比べて約1.5~1.8倍に増しています。明るくなった分電気代が高くなるのはしかたがありませんね。LED寿命は30000時間以上、対応電圧がAC100〜240V(50/60Hz共用)、色温度約7000Kというところは、従来タイプから変化がありません。
ミラーユニット
ミラーユニットは、アクアスカイ・シリーズの各機種に設置して水景の観賞方法を拡張することのできるオプションユニットです。
上の画像のように、アクアスカイに設置して水槽の上から見た水景をアクリル製の鏡に映し、正面から見た水景と水槽上面から見た水景を同時に観賞できます。確かにこれまでにはない新しいアクアリウムの楽しみ方ですね。普及するかは分かりませんが、面白い試みではあります。
ラインナップ
製品名 | 対応するアクアスカイ | 価格(税抜) |
---|---|---|
ミラーユニット 301共通用 | アクアスカイ301 アクアスカイ・ムーン301 |
¥3,500 |
ミラーユニット 361共通用 | アクアスカイ361 アクアスカイ・ムーン361 |
¥3,700 |
ミラーユニット 451共通用 | アクアスカイ451 アクアスカイ・ムーン451 |
¥4,000 |
ミラーユニット ムーン601用 | アクアスカイ・ムーン601 | 5,000 |
ミラーユニット 601・602共通用 | アクアスカイ601/602 | ¥5,000 |
ミラーユニットはアクアスカイ・シリーズのそれぞれの機種に対応する物があります。アクアスカイ・ムーン601用とアクアスカイ601/602共通用はサイズが異なるので注意が必要です。
アクアスカイとアクアスカイ・ムーンの比較まとめ
ここまでで紹介した、アクアスカイとアクアスカイ・ムーンの2つのLED照明をスペック・デザイン・価格などの観点からポイントをまとめつつ比較してみます。アクアスカイも欲しいけどアクアスカイ・ムーンも欲しい…と迷ってしまっている方は参考にして下さい!
スペック
アクアスカイ・ムーンは、従来のアクアスカイと比べて約1.5倍の明るさとされています。照明器具の明るさは大体消費電力に比例するので、アクアスカイとアクアスカイ・ムーンの消費電力を比較してみます。
型番 | アクアスカイ | アクアスカイ・ムーン |
---|---|---|
301 | 17W | 25W |
361 | 17W | 25W |
451 | 22W | 40W |
601 | 30W | 50W |
601 | 60W | – |
消費電力はおよそ1.5~1.8倍程度になっているので、アクアスカイ・ムーンでは大体触れ込み通りの明るさアップが実現されているようです。当然ですが、その分電気代もアップします。明るさ以外の色温度、LED寿命などについては特に差はないようです。
製品のサイズも、明るくなった分アクアスカイ・ムーンの方が大きくなっています。といっても奥行方向に伸びた感じなので、水槽を前から眺める分には大きな差は感じられないと思います。これまでのアクアスカイでは明るさ不足に感じていた人には、アクアスカイ・ムーンはオススメですね。
ちなみに60cm水槽では、アクアスカイ・ムーン601よりも2灯式のアクアスカイ602の方が明るくなります。明るさを追求する場合はアクアスカイ・ムーンの602が発売される可能性もゼロではないと思うので、ちょっと注意したほうが良いと思います。
デザイン
スタンド部分が従来のアクアスカイでは透明だったのに対し、アクアスカイ・ムーンではフロスト加工(すりガラス状の加工)が施されています。これによって照明点灯時にスタンド全体がぼんやりと光り、月光のような間接照明になってくれます。個人的にはこれは結構オシャレだと思います。部屋を暗くして水槽を眺めたくなりますね。
付属品
アクアスカイとアクアスカイ・ムーンのスタンド、ACアダプタなどは共通の仕様ではないため、使い回しはできません。
価格
明るさがアップしていたりスタンドに加工が施されていたりする分、アクアスカイ・ムーンの方が高価です。
型番 | アクアスカイ | アクアスカイ・ムーン |
---|---|---|
301 | ¥9,334 | 15,000 |
361 | ¥9,334 | 15,300 |
451 | ¥13,333 | 21,000 |
601 | ¥15,238 | 25,000 |
602 | ¥27,619 | – |
ラインナップ
従来タイプのアクアスカイには60cm水槽用に2灯式の「アクアスカイ602」がありますが、アクアスカイ・ムーンには2灯タイプはありません。今後追加されるかもしれませんが、まだ全く不明です。
アクアスカイの問題点
アクアスカイはLED照明の中でもかなり明るく高性能な製品ですが、いくつか問題も報告されています。必ずしも起こる問題というわけでもないと思いますが、一応それらの問題点についても紹介しておきます。
スタンドがひび割れる
アクアスカイの美しさの鍵にもなっているアクリルスタンドですが、このスタンドがひび割れるという問題が多少起こっているようです。どうもアクリル樹脂の一般的な性質のようですので仕方ない部分もありますが、やっぱりこれだけきれいな製品にヒビが入ったりするとかなり凹みますよね。
参考アクアスカイ・シリーズについてのご注意
参考アクアスカイは割れていく(不良品顛末) | NatureAquarium Life
メンテナンス方法や扱い方も含め、ちょっと慎重になった方が良さそうです。
スイッチの不具合
現在出荷中の製品ではこの問題は解消されていますが、過去に一部の製品で、スイッチをONにしても点灯しなかったり勝手に点滅したりという問題がありました。中古品を購入する場合は一応確認しておいた方が良いと思います。
ライトを交換できない
これは問題点というよりはアクアリウム用のLED照明全般の特徴なんですが、蛍光灯のように古くなったライトを交換する事ができません。アクアリウムに使用される蛍光灯の寿命が大体10000時間くらいで、アクアスカイは30000時間なので必要性も薄いのですが、照明器具はどうしても使用期間が長くなってくると明るさが低下します。
これを踏まえて水草水槽では蛍光灯は1年程度で交換されます。交換出来ないLEDにどれくらいの不利益があるかは気になるところではあります。
こういったアクアスカイが抱える問題点を許容できない場合には、やはり水槽用の蛍光灯を使用するのが一番無難でしょう。
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水槽照明の決め手は?看板用蛍光灯めだっ輝を選ぶ3つの理由
アクアリウム水槽用の照明としてコストパフォーマンス・色温度・適合照明器具に優れる「めだっ輝」という蛍光灯を紹介します。めだっ輝は本来は看板用の蛍光灯ですが、アクアリウム用のライトに求められる性能をバッチリ満たしています。
こちらは私が水槽用の蛍光灯としておすすめしているものの一つである「めだっ輝」という製品について解説しているページです。もしもアクアスカイを使うのはやめて、蛍光灯にしようと思っている場合には、こちらのページも参考にして下さいね。
水草水槽向けのLED照明「アクアスカイ」シリーズを紹介しました。アクアスカイ・ムーンの登場もあり、今後も水槽用の照明としてLED照明の人気は高くなっていくのではないかと思います。個人的にはアクアスカイ・ムーンのフロスト加工が気に入りました。やわらかな光がいい感じです!