メダカ・金魚・熱帯魚といった魚や、亀・イモリといったの両生類・爬虫類など、水槽で生き物を飼育していると当然水槽が汚れてきます。そこで水槽を定期的に掃除する必要がありますが、今回はそんな水槽掃除の際に役立つプロホースという道具を紹介します。
プロホースを使えば水換え時に水槽を水槽を掃除でき、とても便利で人気の高いアクアリウム用品です。特に底面フィルターを使用している人にとっては、必需品とも言えるほど役に立ってくれますよ。
-
底面フィルターの使い方とおすすめ製品!ソイルや砂利との相性まとめ
底面フィルターと底面濾過について、仕組みや種類から使い方、ソイルや大磯砂など底床別の相性、掃除・メンテナンスの方法やおすすめ商品等を紹介します。安価で性能が高く、初心者から上級者まで幅広く愛好家がいるろ過フィルターです。
60cm以下の水槽では、底面フィルターとプロホースの組み合わせは水槽環境の王道の一つとも言えます。今回の記事でプロホースの使い方をマスターして、綺麗なアクアリウム作りに活かして下さいね!
プロホースとは?
プロホースは、観賞魚ろ過装置をはじめとする飼育用品の製造・販売を行っているメーカー「水作」が販売している、水槽の水換えや底砂の掃除といったメンテナンスを行うための排水ホースです。水作は、水作 エイトという超有名な投げ込み式フィルターで知られた会社ですね。
水槽の掃除用の排水ホースは他の会社製のものも販売されてますが、水作のプロホースが一番有名で人気も高い商品です。私個人の印象としても、プロホースが一番商品としての完成度が高く、コストパフォーマンスにも優れるのでおすすめです。
2020年現在では、「プロホース」という名前の商品は既に廃盤となり、後継商品として「プロホース エクストラ」が販売されています。
参考メンテナンス 【交換グッズ】 プロホース | 水作株式会社
プロホースの特徴
プロホースはサイフォンの原理によって水槽の水を排水することができます。サイフォンの原理とは、高いところにある液体を低いところに管でつないで流す際に、管が液体で満たされていれば、管の途中に出発地点より高い地点があっても動力なしで流れ続ける、という原理です。この原理によって、水槽内の水を水槽のガラス面を乗り越えて水槽より低いところにあるバケツに流すことができます。
プロホースの優れている点は、このサイフォンの原理を用いた水換えが簡単にできる点と、水換えの際に砂や砂利などの底床内の汚れも掃除することができるという点です。ホースに手押しポンプが付いているのでサイフォンの始動が手軽にでき、水槽内では底床までパイプを差し込み底床の内部から汚れだけを吸い上げることができます。
灯油ポンプなどを使用してもサイフォンの原理による水換えはできますが、プロホースを使えばより簡単・手軽・キレイに掃除ができます。使い方の項目でさらに詳しくその機能を紹介します。
用途・使いどころ
プロホースは主に、砂や砂利といった砂礫系の底床と相性が良く、このようなタイプの底砂を掃除する場合にはとても便利です。例えば以下の記事で紹介している田砂や大磯砂は、アクアリウムで利用される砂礫系底床の代表格です。
涼しげな雰囲気を醸し出すアクアリウム用の底砂「田砂」を紹介します。ドジョウやコリドラス等の底物との相性が良く、陰性水草水槽等では頻繁に利用されます。田砂の掃除方法やレイアウトのコツ、底面フィルターとの相性等も紹介します。 アクアリウム水槽の底砂に利用される大磯砂について解説します。大磯砂は安価で半永久的に使用でき、通水性の良い底砂で、底面フィルターと相性が良いです。一方、貝殻を含むため水質をアルカリ性に傾けやすく、酸処理をしたほうが良い場合もあります。工夫すれば水草育成も可能です。
水槽の底砂「田砂」-コリドラスなどの底物にオススメ!
大磯砂の活用:底面フィルター・水草水槽との相性や酸処理
一方で水槽の底床がソイルである場合、プロホースの使用は必ずしもおすすめされるわけではありません。水草水槽の底床として特に活躍してくれるソイルは、土を粒状に焼き固めたもので、ソイル自体が栄養分を持ち、また水質を調整する効果もあります。
この栄養分を与えたり水質を調整する効果は、ソイルが粒の形をしている「団粒構造」によって適切な効力が現れるようになっています。ソイルの団粒構造が崩れてしまうと、必要以上に栄養分を水中に放出してコケや水質悪化の原因となったり、水質調整効果が薄れてしまうこともあります。
ソイルを使用している水槽をプロホースで掃除をすると、この団粒構造を崩してしまう可能性があります。これを嫌い、ソイルではプロホースを使った底床掃除はしないというアクアリストも多いです。
-
アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!
アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。
アクアリウムではここで触れた砂礫系の底床やソイル以外にも、セラミック系底床や溶岩砂など様々な種類があります。底砂についてより詳しく知りたい人は、こちらのページも参考にしてください。
プロホースの構成品
プロホースシリーズの商品がどのように構成されているかも確認しておきます。まずは画像をみて下さい。
上の画像はプロホースのほとんどの機能がつまっている持ち手部分です。「水槽から」と書いてある部分には水槽へ入れて水を吸い出すパイプが、「排水ホース」と書かれている部分にはバケツ等へ排水するためのホースが接続されています。
スターターポンプを押すことで水槽から水が吸い上げられ、サイフォンが始動します。排水ホースの中で大きなゴミが詰まったりしないように、パイプの端にはストレーナーがついています。また、水が逆流しないようにするための逆流防止弁も内蔵されています。
ラインナップ
プロホース及びプロホース エクストラには使用する水槽の大きさによって、S/M/L の3つのラインナップがあります。プロホース S/M/L のそれぞれでは、水槽から水を吸い上げるパイプ部分の長さと太さが違います。(プロホースとプロホースエクストラでは、S/M/Lのサイズが一致すればパイプのサイズは同じです。)
上の画像の矢印で指されている部分ですね。プロホース エクストラのサイズによるパイプの太さ・長さは以下のようになっています。
パイプの長さ | パイプの太さ | |
---|---|---|
プロホース(エクストラ)S | 300mm | 16.2mm |
プロホース(エクストラ)M | 340mm | 27.5mm |
プロホース(エクストラ)L | 440mm | 27.5mm |
例えば90cm規格水槽(高さ45cm)でプロホース エクストラ Sを使用すると、パイプが短くて底砂まで届かないので、底砂内の汚れを吸い上げることができません。また、小さな水槽では太すぎるパイプは邪魔になります。
また、目の細かい砂を敷いた水槽で使用する場合は、パイプ径の太いMまたはLサイズを利用したほうが使いやすいです。底砂が砂の水槽でプロホースを使用すると、水を吸い上げるときに砂も一緒に吸い上げるのですが、この際にパイプ径が細いとすぐにパイプが詰まって水が流れにくくなってしまうからです。
水槽の大きさに合ったプロホースを使用するのが一番良いですが、そんなに何個もいらないという方は、大は小を兼ねると言うことで手持ちの一番大きな水槽に対応したサイズのプロホースだけあれば良いでしょう。
バリエーション
プロホースにはサイズ違いのプロホース S/M/L 以外に、ニュープロホース 1/2/3 という商品もあります。プロホースとニュープロホースの違いは、プロホースではスタータポンプでサイフォンを始動するのに対し、ニュープロホースではスターターポンプが無く上下に数回振るだけで排水がスタートするという点です。
ニュープロホースは数字が小さくなるほど大きな水槽用となっていて、ニュープロホース 3が高さ25~30cmの水槽用、ニュープロホース 2が高さ30~36cmの水槽用、ニュープロホース 1が高さ45cmの水槽用となっています。
水作のホームページではニュープロホース 1と3のページが無かったので、もしかしたら廃盤になっているのかもしれません。以前にはプロホースプラスというスターターポンプがばね式になっていたものがありましたが、それが廃盤になって現在のプロホースに置き換わったという前例もあるので、廃盤になっていたとしても不思議ではありません。
スターターポンプを押さなくていいという点はニュープロホースのメリットでもあるのですが、緻密にレイアウトされた水槽の中ではパイプを振り回すとレイアウトが崩れてしまう可能性もあるため、スターターポンプ式の方が扱いやすい場合もあります。ニュープロホースとプロホースは好みで好きな方を使えば良いと思います。
プロホース エクストラ
2016年の4月頃に従来のプロホースは廃盤となり、新しく「プロホース エクストラ」という商品が発売されました。ただし、新商品と言ってもこれまでのプロホースからの変更点はあまり大きくありません。変更点をまとめると以下のとおりです。
- ニュープロホースの「上下に振って排水をスタートする」機能が追加
- ポンプ潰れを防止するリング(オレンジ色部分)の追加
- 2箇所の弁がシリコン素材化しエア漏れ防止性能向上
その他のパイプの長さ・太さや使い方などの面では変更はありません。従来通りの使い方が可能なので、このページに書いてある「プロホース」の使い方と同様だと考えてもらえば問題ありません。
基本的には後発のプロホースエクストラの方が高性能なので、今からプロホースを購入したいと思った人は、迷わずエクストラを選ぶようにしましょう。
プロホースの使い方・使用手順
次は実際にプロホースを使って水槽を掃除する方法を紹介していきます。
-
アクアリウム水槽の水換え法:金魚や熱帯魚の換水頻度・量や工夫と道具
アクアリウム水槽の管理で重要な水換えの目的や方法、必要な道具、テクニックを解説します。水換えの頻度と量は、1週間に1回全水量の3分の1が目安ですが、より詳しい状況別の水換え頻度・量も紹介します。写真付きの具体的な手順と水換えをラクにする工夫も解説します。
なお、プロホースによる底砂の掃除は、水換えと同時に行うため、実施するタイミングは水換えが必要なタイミングに依存します。アクアリウム水槽の水換えは、1週間に1回、全水量の3分の1を交換するのが基本ですが、水槽の状況に応じて頻度や量は変化します。水換えのタイミングや量については、上のリンク先のページを参考にしてください。
プロホースを組み立てる
プロホースは持ち手(グリップ)、スターターポンプ、ストレーナー、パイプ、チューブ、チューブジョイント、ホースジョイント、チューブクリップ、流量調整クリップから構成されています。まずは説明書に従いこれらの部品を組み立てます。簡単なので説明書を見なくても多分できます。
プロホースに同梱されているチューブでは短い場合には、ホースジョイントに市販の水道ホース(内径15mm)を接続して延長することもできます。
排水経路のセッティング
プロホースを組み立てたら次は水を捨てる場所のセッティングをします。バケツに溜めたり風呂場やトイレにそのまま流すのが一般的です。
この際、ホースジョイント部分が必ず水槽の底面部分よりも50cm以上低くなるようにセットします。そうしないと上手く排水できない場合があります。
バケツに排水する場合には、チューブクリップを使ってバケツにチューブを固定することができます。このチューブクリップは些細なようで実はかなり便利です。あるとないとでは全然違います。
-
亀とアクアリウムの融合!レイアウト水槽で魚との混泳飼育!
アクアリウムの濾過やレイアウト技術を取り入れ、亀の水槽を出来る限り綺麗にレイアウトしてみました。ニホンイシガメ・カゼトゲタナゴ・シマドジョウが混泳しており、底砂は田砂、水草はウィローモスが中心の爽やかな陰性レイアウトです。
ちなみに今回は、上のページで紹介している、田砂を利用した90cmカメ飼育用レイアウト水槽での掃除を例にプロホースの使い方を紹介していきます。
サイフォン始動
スターターポンプを数回押し込むとパイプ内の水位が少しづつ上がり、グリップ部分を超えると排水が始まります。
底床掃除
パイプ部分を砂利や砂といった底床に差し込むようにすれば、パイプの内部で砂や砂利が撹拌されて底床内の汚れを飼育水と一緒に排出することができます。
流量調整
底床が軽い砂などの場合には、流量が多すぎると砂を水と一緒に水槽外に排出してしまうことがあります。それを避けるため、流量調整クリップのスリットにチューブを挟みこむようにして、流量を減らすことができます。
水槽から水を捨てる
汚れを吸い出したらパイプを底床から引き上げ、砂利や砂を落とします。また、流量調整クリップで流量を下げると簡単に砂利や砂を落とすことができます。パイプを差し込む場所を変えながら掃除を続け、バケツがいっぱいになる前にパイプを水面より上に出すとサイフォンが途切れて排水が止まります。
バケツに溜まった水を外の排水溝やトイレなどに流し、十分に水槽内の汚れを排出できるまで上記の手順を繰り返して水槽掃除を行います。
水槽に水を足す
水槽の掃除が終わったら、捨てた分の水を水槽に足します。水道水の場合はカルキを抜き、水槽と水温を合わせて水を足して下さい。
使用上の注意点
プロホースの使い方は以上ですが、使用時には注意すべきポイントがあります。プロホースを使うに際した注意点をまとめておきます。
スターター部分に砂が入らないように
底床が細かい砂の場合には、スターターポンプ内に砂が入らないように注意して、流量調整クリップなどを使いながら掃除をして下さい。スターターポンプ内に細かい砂が入り込んだまま使用すると、グリップや弁を傷つけて動作不良を起こす可能性があります。
ストレーナーは適宜掃除する
プロホースを使用していると、ストレーナー部分にウィローモス等の水草の切れ端や流木のかけらなど色々なゴミがたまります。
ストレーナー部分にゴミが溜まったままにしておくと、水の流れの抵抗となり流量が落ちて排水に時間がかかってしまうので、時々バケツですすぐなど掃除をしてください。
プロホースの使用感・レビュー
プロホースの特徴・用途や使い方を紹介したところで、実際に私が使用してみた感想をまとめてみます。
持ち手部分のポンプが便利
グリップ部分にポンプが付いているため、一時的に流量を増やしたいときなどはポンプを押すことで対応できます。また、ストレーナーにゴミが引っかかった時にもポンプを数回押せばゴミがストレーナーから離れる場合もあります。
グリップ部分が持ちやすい形になっているので、水換え・掃除の時にも操作性の悪さを感じることはありませんでした。
シンプルな流量調整が使いやすい
流量調整はチューブをクリップで締め付けて水の抵抗を増すだけの簡単な仕組みですが、シンプルな分取り扱いが容易で個人的には好印象です。チューブクリップが付属しているのでチューブをバケツにしっかりと固定でき、右手でグリップ・左手で流量調整クリップを持って使うというスタイルで、とても便利に使うことができます。
スターターポンプが壊れやすい(らしい)
私は1年弱プロホースを使用していて、スターターポンプが壊れたことはないのですが、コメント等でスターターポンプが壊れやすいという意見を複数頂いたので追記しておきます。どうしても何回も押すことになるパーツなので、劣化が早いのかもしれません。
製造メーカーの水作側としてもこれを認識しているのか、プロホースのスターターポンプのみの販売も行われています。壊れないようにしてくれるのが一番ではありますが、割と良心的な対応をしてくれているという印象ですね(ポンプのみにしてはちょっと高いですが…)。
水が溢れないように要注意
プロホースの不備ではありませんが、サイフォンで水換えをしているとちょっとボーっとしている隙にバケツから水が溢れていたなんてことがよくあります(私だけかも)。自動で排水してくれる分どうしても注意力散漫になってしまいやすいんですよね…。
気を抜くと床がびしょ濡れなんていう大惨事も起こりうるので、水換えの時はボーっせずにバケツの水量をきちんと気に掛けるようにして下さいね。
陰性水草水槽と相性が良い
プロホースは上にも書いたように、基本的には砂利や砂といった砂礫系の底砂を使用したレイアウトでの掃除に適しています。一方で、底床がソイルの場合には、ソイルの粒(団粒構造)潰してしまうため、プロホースの使用には賛否両論があるという状態です。
-
熱帯魚水槽のリセット方法-陰性水草レイアウトができるまで
水槽の状態が悪くなった時の最終手段「水槽リセット」について、私の20cmキューブ水槽での作業を例に、リセットする理由や用意するもの、方法・手順などを紹介します。リセット後の新レイアウトは陰性水草レイアウトにしました。
従ってプロホースは、底床に田砂や化粧砂のような砂が使用されることの多い、陰性水草水槽との相性が特に良いといえるでしょう。上の記事では陰性水草レイアウトの作り方を紹介しているので、掃除が簡単で長期間維持しやすい陰性水草水槽に興味のある人は読んでみて下さいね。
水換え用ホース「プロホース」のまとめ
今回は水換え・水槽掃除の定番商品「プロホース」を紹介しました。私が使用した印象では、細かいところに手が届く良い商品としてまとまっていると感じました。水換えや掃除は水槽のメンテナンスの中でも最も高い頻度で行う作業なので、ここで良い道具を使うのはとても重要です。プロホース、試してみてはいかがですか?