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亀やトカゲ(爬虫類)飼育用ライト・ヒーターの使い方!バスキングに紫外線灯・メタハラなどを活用する方法

2017/07/22

バスキングするフトアゴヒゲトカゲ

爬虫類の飼育では、適切な温度と照明(光)の環境を用意することが非常に重要です。しかし、その重要性をきちんと認識していなかったり、認識はしていても知識不足で適切な環境を用意できなかったりすることが、爬虫類飼育の初心者がよく直面する問題です。かくいうこのサイトの著者:K-ki(K-ki@AquaTurtlium)も、保温や照明環境のセッティングで失敗した苦い経験があります。

今回は、爬虫類の飼育において適切な温度・照明の環境を用意する方法を、どのような飼育用品を使うのか、という実践的な観点を中心に紹介していきます。爬虫類飼育の初心者は、ぜひとも一読してくださいね!

爬虫類飼育で適切な温度・照明環境を用意すべき理由

まずは、爬虫類を飼育する際になぜ適切な温度と照明の環境を用意することが重要なのか、その理由を解説します。今回の話題の中心ではないのでざっくりとした紹介に留めますが、詳細が気になる人は、以下のページが詳しいので参考にしてください。

爬虫類と光/温度-バスキング・紫外線ライトと亀/トカゲの生理機能

亀・トカゲ・ヘビ・ヤモリ等の爬虫類の飼育では、紫外線照射のような光の管理と、赤外線ヒーター等による温度管理が重要ですが、理屈が難しく理解していない飼育者が多いです。爬虫類飼育で重要な光・温度管理の方法を詳細に解説します。

体温調節の補助

爬虫類は変温動物であるため、自力では体温を維持できません。そのため、体温を上げたいときには暖かい場所に、下げたいときには涼しい場所に移動します。

もしも飼育ケース内に適切な温度環境がなければ、体温を適切な範囲に保つことが出来ず、食べたエサを上手く消化できずお腹の中で腐敗させてしまうとか、昼間でも活発に活動できなくなるという問題が生じてしまいます。

カルシウム吸収・骨格形成の補助

自然光の中に含まれる紫外線のうち、UVBと呼ばれる波長帯の光を浴びると、爬虫類の皮膚ではコレステロールからビタミンD3が合成される反応が起こります(人間など他の動物でも同様の反応が起こります)。

ビタミンD3は、爬虫類の骨、歯、爪、甲羅などの形成に必要なカルシウムを体内に吸収するために必要です。つまり、紫外線(特にUVB)を十分に浴びることができないと爬虫類はカルシウム不足に陥り健康上の問題が起こります。

概日リズム・概年リズム調節の補助

1日周期の光や温度の変化が、飼育している爬虫類の概日リズムの調整役立ちます。また、同じことが1年周期のリズム(概年リズム)の調整にも有効です。

活動レベルや生理機能の調節の補助

概日リズム・概年リズムの調節と同様に、一定周期の光や温度の変化は、活動レベルや生理機能の調節にも役立ちます。

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照明環境と保温環境はセットで考えるべき

照明はライト、保温はヒーターで行うというイメージがあると思いますが、実はこの2つには強い相関があります。

爬虫類飼育において、ライトから照射されるのは「可視光」と「紫外線」です。可視光は上述の概日リズムや生理機能調節の補助に、紫外線はビタミンD3の合成に利用されます。また、ヒーターから照射されるのは「赤外線」で、こちらは体温調節の補助の役割を果たします。

可視光・紫外線・赤外線のいずれも、自然界では太陽由来の電磁波である光の一部として供給されています。つまり自然界では、可視光・紫外線・赤外線が混じり合った「光」を浴びることで、体温調整やビタミンD3の合成、生理機能の調整などを複合的に行っている、ということになります。

従って、飼育下でも、可視光・紫外線・赤外線をそれぞれ独立に照射するのではなく、実際の自然環境を模擬するような相関を持たせて照射するべきです。その意味で、爬虫類飼育においてライトとヒーターは切っても切れない関係にあると言えます。

飼育ライトに依存せず太陽光を利用しよう

ヒーターとライトを上手く利用することは爬虫類の飼育で非常に重要です。その一方で、飼育器具により人工的に出せる光には限界があり、結局のところ、日光に勝る飼育器具は存在しないのもまた事実です。

現在の技術では、人工的な照明装置によって、可視光・紫外線・赤外線を太陽光と同じ強度で含む光を放つことはできません。「フルスペクトルライト」や「トゥルーライト」などの名称で、太陽光のスペクトルに近い光を出すというライトが売られていることもありますが、スペクトルの含有率は近くても強度が足りなかったり、紫外線量が不足していてビタミンD3の合成には不十分だったりするのが現実です。

従って、可能であれば、太陽光を浴びられるように屋外飼育したり、飼育ライトと日光を併用したりするほうが、屋内で人工照明に頼った飼育をするよりも確実に良いです。常に日光を浴びられる環境を用意するのは難しくても、チャンスを見つけて時々日光を利用すると良いでしょう。

爬虫類飼育での照明・保温器具の使い方と目的

照明や保温装置が、爬虫類の健康・生理機能にどのような影響をあたえるかは既に説明したとおりです。次はより具体的に、爬虫類を飼う際に、ライトやヒーターを設置してどんな環境を作るべきか、という点について説明します。

飼育ケージ全体を保温する

まず重要なのは、爬虫類が活動できる体温を維持するために、飼育ケージ全体を保温することです。これは、赤外線を発するヒーターの役目になります。

温度勾配をつける

爬虫類の飼育ケージ内は、単純に一定の温度に保てばよいわけではありません。爬虫類が自分で体温を調節できるように、ケージ内の温度に勾配(=場所による差)をつける必要があります。

温度勾配を付けた飼育環境を用意することにより、飼育生体が自分自身で適温の場所を選び、体温を調整することが可能になります。これも上と同じく、赤外線を発するヒーターによって実現します。

ホットスポットを作る

ホットスポットは、温度勾配をつけた飼育環境内で特に温度が高く設定されているポイントのことです。温度勾配をつけた飼育環境を用意するとは、言い換えれば飼育ケース内に適切なホットスポットを用意するということにほかなりません。

バスキングスポットを整える

爬虫類がバスキング(光を浴びて「可視光による生理機能の調整」「赤外線による体温調節」「紫外線によるビタミンD3合成」の3つを行うこと)をするために、飼育ケースの中でも特別に環境を整えた場所をバスキングスポットと呼びます。当然ながら、バスキングスポットには、可視光・紫外線・赤外線が適切に照射される必要があります。この意味で、バスキングスポットとは、可視光や紫外線も適切に照射されるよう管理されたホットスポットであるとも言えます。

バスキングスポットは一般的に飼育ケース内の他の場所より暖かく、飼育生体の種類にもよりますが、一般的に35℃程度に維持されます。また、紫外線ライトの効果が適切に得られるよう、紫外線ライトからの距離を適切に保つ(ライトの種類にもよるが30~40cm程度)必要があります。

バスキング時には、爬虫類の体全体がバスキングスポット内部に入る必要があるため、「バスキングスポット」という名前ではあるものの、実際は「バスキングゾーン」と呼べるくらいに広い範囲をバスキングができる環境に整える必要があります。

爬虫類に対して小さなバスキングスポットでは、身体の一部だけが熱くなり、一部は冷たいままになってしまいます。このとき爬虫類は全身が温まるのを待ってしまい、一部の熱くなった部分が火傷状態になってしまうことすらあります。バスキングスポットのサイズには十分な注意が必要です。

この他にも、バスキングスポットには以下の要素が必要です。

  1. 足場が安定している
  2. 爬虫類が怪我をしない
  3. 表面が乾燥しやすい
  4. 種に応じた適切な明るさで照らされている

1.と2.は、爬虫類が安全にバスキングするために必要です。3.は、水棲亀などのバスキングには皮膚を乾燥させて皮膚病や寄生虫を防ぐ目的もあるため、重要なポイントになります。4.は、飼育生体にバスキングスポットが暖かい場所であると認識させるために重要です。

光・温度環境を整える飼育用品(ヒーター・ライト)

ここからは、飼育ケース内の光環境・温度環境を整えるために利用する飼育器具の種類や、その使い方に焦点を当てていきます。

まずは飼育下の爬虫類に適切な光・温度環境を用意するための飼育器具を紹介します。なお以下では便宜上、紫外線照射が目的のライトを「紫外線ライト」、赤外線による保温が目的のライト(ヒーター)を「保温ライト」、可視光照射がメインのライトを「可視光線ライト」と呼ぶことにします。

白熱電球

白熱電球は爬虫類飼育ではケージの保温に利用されるため、「保温ライト」に分類されます。爬虫類他小動物の保温で利用される「ひよこ電球」も、この白熱電球の1種になります。

白熱電球は本来、目に見える可視光を得るために作られたもので、保温に活用される赤外線は副次的に発されているものです。スペクトルが赤外線の方に偏った結果赤外線を発しているランプなので、放射する可視光も赤~黄色の光が中心です。逆に青色光やUVA、UVBはほとんど発していません。

一般的な白熱電球では、全エネルギーのうち約10%が可視光、70%が赤外線の放射に使用されており、照明としても保温装置としてもやや効率が悪いです。また、夜間に可視光なしで赤外線だけを得たい場合など、使いづらい場面もあります。

一方で、赤外線と可視光を局所的に集中して照射するため、照射範囲の温度を十分に上げることができ、「バスキングライト」と呼ばれる働きをすることができます。つまり紫外線ライトと組み合わせることで、爬虫類がバスキングする場所を用意することができます。可視光を出さず赤外線のみを照射し、また熱が拡散しやすいものが多い赤外線ヒーターでは、この役割は十分に果たせません。

また、一応夜間の使用に対応した白熱電球として、「ヒートグロー」に代表される赤系の光を出すものや、「ナイトグロー」のように青系の光を出す商品があります。

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赤系の光を出すライトは、一部のヤモリなどが赤色の光を認識しづらい点を利用したものです。ただしこれらの種類でも、全く見えないわけではなく薄暗い光は感じていると考えられています。一方、青系の光を出すライトは自然界の月光を再現することを目指しているようです。

これらのライトは夜用と謳われてはいますが、爬虫類にとって完全に見えない光ではなく(赤系の光は種類によっては良く見えている可能性もある)、概日リズムの形成に悪影響を与えないとも限りません。夜間の保温が必要な場合は、次に紹介する赤外線ヒーターの方がおすすめです。

白熱電球・蛍光灯の製造禁止?爬虫類/アクアリウム照明の未来

爬虫類飼育やアクアリウム用照明として重要な白熱電球・蛍光灯が製造禁止になるという報道がありました。ニュースと照明業界による訂正発表等を紹介します。製造禁止は誤りでしたが、今後規制される可能性もあり注意が必要です。

また、上のページで説明しているように、今後白熱電球の製造は規制される方向で調整されており、安定供給に多少不安が残ります。

赤外線ヒーター

可視光を出さず、赤外線のみを出す製品を「赤外線ヒーター」と呼びます。可視光を出さないので「ライト」とするのは違和感がありますが、一応上の定義では「保温ライト」に分類されます。

飼育ケージ内を効率よく温めることができますが、可視光を照射しないため明るくなりません。夜間など可視光なしで温度だけを上げたい場合には有効ですが、可視光を出さず熱も拡散しやすいためバスキングスポットを作るという用途には向きません。飼育ケージ全体の保温や、ケージ内に温度勾配を作るのには重宝します。白熱電球より寿命が長くエネルギー効率も良いため、保温・加温を主目的とするならこちらを使用するべきでしょう。

以下では、爬虫類の飼育に利用される赤外線ヒーターの中でも人気の高い「セラミックヒーター」「暖突」「パネルヒーター」について解説します。

セラミックヒーター

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光を照射せず、セラミックスから赤外線のみを照射する保温器具をセラミックヒーターと呼びます。白熱電球と比べると寿命が長く、数年程度使えるのが特徴です。

セラミックヒーターの多くは、クリップライト用のライトスタンドに設置して使用します。しかし、消費電力が一般的なライトと比べてかなり大きい製品もあり、そのような場合は大きな消費電力に対応できるように設計された専用スタンドを使うべきです。詳しくは照明装置の項目を確認してください。

暖突

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暖突はセラミックヒーターと異なり、マットのような形状をしたヒーターです。セラミックヒーターはヒーターの種類ですが、暖突は商品名を指しています(類似商品がないため)。飼育ケージの天井部に設置し、赤外線を放射して飼育ケージ内の広範囲を温めることができるのが特徴です。消費電力が少なめで電気代が安く済みますが、局所的に温度を上げる能力は低いです。

暖突はセラミックヒーターや白熱電球と比べると、ヒーターそのものが持つ熱が小さく爬虫類が火傷をしたり水滴がかかって割れたりする心配がありません。また製品の寿命がとても長く、半永久的に使えると考えて問題ありません。セラミックヒーターや電球のように交換コストがかからないため、電気代の安さも相まって非常に経済的なヒーターと言えます。

パネルヒーター

他の赤外線ヒーターとは異なり、飼育ケージの底部に敷いて使用します。暖突と似たヒーターですが、暖突より消費電力が少ない分保温効果も低く、ケージ内を温めるというよりも、パネルヒーターの表面だけを温める程度の能力です。

飼育ケージ底部に敷くため水がかかりやすいので、爬虫類飼育に使用する場合は完全防水仕様の「スーパー1」というパネルヒーターがおすすめです。

ハロゲンランプ

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ハロゲンランプは白熱電球と同じように、フィラメントに電気を流すことで発光します。白熱電球と違うのは、電球の内部にハロゲンという物質を加えてある点です。このハロゲンを加えることにより、白熱電球よりも以下の点で優れたライトとなっています。基本的には、白熱電球の上位互換だと考えれば良いでしょう。

  • フィラメントが高温になり、白熱電球よりも明るい光を放射できる。
  • 白熱電球よりもランプの寿命が長くなる。

名称が似ているため、後述の「メタルハライドランプ(メタハラ)」と混同されがちですが、発光の原理が全く違います。あくまでハロゲンランプは白熱電球と同じ発光原理であり、スペクトルは赤色光に偏っているため、メタハラのように紫外線を出す効果は期待できません。

蛍光灯

蛍光灯は主に可視光を供給する「可視光線ライト」に分類できます。蛍光灯はアーク放電という現象を利用して紫外線を含む光を放射し、その紫外線を蛍光管の内側に塗られた蛍光物質にぶつけ可視光へと変換することで発光しています。可視光と一口に言ってもそのスペクトル(波長帯)は商品により様々で、太陽光に近い色味のものから赤系の光を発するもの、青系の光を発するものなど多種多様です。

蛍光灯を使う主な目的は、可視光域の光をできるだけ太陽光に近づけることです。次に紹介する紫外線ライトや、上で説明した白熱電球でも可視光は出していますが、これらは紫外線や赤外線に重きをおくため、その光は青や赤に偏っています。蛍光灯を併用することで、全体として太陽光のスペクトルに近づけるようなイメージで使用しましょう。商品によっては構成スペクトルを紹介している蛍光灯もあるので、それを参考にして選ぶのも有効です。

また、蛍光灯を選ぶ際には、スペクトルだけでなく色温度や演色性など見た目の美しさや、植物の成長に必要な波長を放射しているか、なども重要なポイントになります。この辺りの点については、以下の記事で説明しているので興味のある方は読んでみて下さい。

看板用蛍光灯めだっ輝
水槽照明の決め手は?看板用蛍光灯めだっ輝を選ぶ3つの理由

アクアリウム水槽用の照明としてコストパフォーマンス・色温度・適合照明器具に優れる「めだっ輝」という蛍光灯を紹介します。めだっ輝は本来は看板用の蛍光灯ですが、アクアリウム用のライトに求められる性能をバッチリ満たしています。

上の記事では見栄えを重視して色温度が高めの「めだっ輝」を選びましたが、太陽光に近いスペクトルという観点からはスドーのオセアニアンホワイトが良いようです。しかし爬虫類飼育では紫外線ライトや白熱電球など、蛍光灯以外にも可視光を出すライトが存在します。これらのライトと組み合わせた結果、太陽光に近いスペクトルの光となるように工夫して下さい。

注意

蛍光灯の中には、「フルスペクトルライト」等の名前で販売される、単体で太陽光に近い光を放射すると謳う商品があります。しかしこれらのライトは、実際には以下のようなライトであり、本当の意味でフルスペクトルではありません。

  • 可視光域だけ太陽光と似たスペクトル構成にしている(紫外線等は出していない)ライト
  • 演色を工夫し人間の目には太陽光と似た色味の光に見えるようにしているだけで、スペクトル構成は太陽光とは異なるライト

結論としては、太陽光のスペクトルを単体で再現できる蛍光灯は存在しないため、紫外線ライトなどを併用してうまく光環境を整えてやる必要があります。

UVB蛍光灯

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UVB蛍光灯は上記の一般的な蛍光灯とは異なり、紫外線を照射することのできる蛍光灯で、「紫外線ライト」に分類されます。紫外線とともに可視光も発しますが、スペクトルが青系に偏っており、可視光の強度は不十分です。従って、爬虫類飼育では、紫外線を発するUVB蛍光灯と、可視光を発する通常の蛍光灯を併用するのが基本です。また、保温効果もないため、温度管理は白熱電球やヒーターに任せることになります。

UVB蛍光灯では、照射することのできるUVBの量を「2.0」「5.0」「10.0」などの数字で表すのが一般的です。数字が大きいほど紫外線量が多いとされていますが、商品が異なると数字を設定する基準も違うため、単純に数字を比較してもUVB照射量の比較にならない場合がある点には注意が必要です。UV計は非常に高価で、UVB蛍光灯のユーザーがUVB量を測定するのはあまり現実的ではありません。このため、UVB蛍光灯を選ぶ際にはメーカーが提示する性能を信じるしかなく、商品の選定が難しいです。

参考までに、K-ki(K-ki@AquaTurtlium)は、ポゴナ・クラブのビバリウムグローを信頼して使用しています。

信頼の爬虫類用紫外線ライト「ビバリウムグロー パワーUVB」
紫外線ライトの選び方-ビバリウムグロー パワーUVBがオススメ

亀やトカゲ等の爬虫類の健康管理に必須の紫外線ライトの選び方を紹介します。紫外線量データや併用する蛍光灯、規格等についてまとめています。中でもポゴナ・クラブのビバリウムグロー パワーUVBがユーザー評価も高くオススメです。

また、UVB蛍光灯を選定する際の参考情報として、複数の紫外線蛍光灯についてユーザーがUVB測定器を利用して実のUVB照射量を測定したデータも存在します。ただし、これらのデータも正確さが保証されているわけではないので、参考程度に扱うべきでしょう。

参考各社UVB蛍光灯の測定データ|結果 Oh! Life|1.023world

全体的な傾向として、UVB蛍光灯の照射するUVB量は太陽光と比較すると少ないです。UVB強度の高い「10.0」の紫外線ライトであっても、ライトから30cm程度離れた距離で、だいたい早朝(7時とか)の太陽光のUVB量と同程度、というデータもあります(もちろん商品によりますが)。そのため、紫外線をUVB蛍光灯に頼る場合、照射時間を長くしてUVBの強度不足を補わなければなりません。

また、UVB蛍光灯の寿命は点灯時間にもよりますが約1年程です。寿命が切れたUVB蛍光灯は、可視光は出していてもUVBが出なくなるため、「まだ使えるから」と思わず新品に交換する必要があります。

ただし、UVB蛍光灯にも長所はあります。例えば、UVB蛍光灯以外の紫外線ライトは強い熱を発生するものが多いため、小さな飼育環境では飼育ケージ内の気温を上げすぎてしまいます。このような環境には、発熱の少ないUVB蛍光灯が適します。

UVBコンパクト蛍光灯

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チューブ型(直管形)のUVB蛍光灯をスパイラル型(らせん型)にしたものが、UVBコンパクト蛍光灯です。基本的にはUVB蛍光灯と同じですが、UVB蛍光灯が直管用の照明器具を使用する必要があるのに対し、スパイラル型のUVBコンパクト蛍光灯は大きめのクリップライトで使用できるため、比較的手軽に利用できます。

ただし、UVB蛍光灯と比べると劣化しやすいとされ、半年程度という短期間で交換する必要があります。また直管形と比べて照射範囲が狭いため、バスキングスポットとの位置関係や亀・トカゲなどの飼育生体がどのようにポジションニングするかによって、紫外線を適切に照射できない可能性もあります。

水銀灯

水銀灯は、蛍光灯と同じくアーク放電を利用して発光する、「HIDランプ(高輝度放電ランプ)」の一種です。蛍光灯は、アーク放電で放射される紫外線を、管内に塗られた蛍光物質によって可視光に変換して発光しますが、HIDランプは蛍光灯のように蛍光物質を塗らないため、アーク放電の紫外線をそのまま照射できます。

可視光については、蛍光物質を塗る代わりに、ランプの中に様々な発光物質を水銀蒸気と一緒に封入することで得ています。発光物質の調整により、HIDランプの明るさや光の色が変化する仕組みです。

また、発光時には熱(=赤外線)も発するため、HIDランプは、可視光・紫外線・赤外線の全てを放射するといえます。つまり、「可視光線ライト」であり「紫外線ライト」であり、「保温ライト」でもあるということです。

水銀灯は、発光物質として水銀とアルゴンが封入されたHIDランプで、品質やUVB照射量について幅が広く、製品によるという感が否めません。基本的には紫外線量は多いが可視光が少ないといった感じで、見た目には暗い感じがします。

水銀灯のUVBの照射量本当に多いようで、爬虫類用水銀灯の代表格である「パワーサン」を使用したところ、紫外線が強すぎて爬虫類に日焼けなどの悪影響が出た場合もあるそうです。このような場合はライトと生体の距離を広げるなど、適切に使用すれば問題ありません。とにかく紫外線量にこだわりたい場合にはおすすめです。

補足説明

HIDランプは、光が強く、高効率で、寿命が長く、太陽光と色温度が近い、といった優れた特徴を持っています。一方で、弱い光を出せないことと、照明自体が熱くなりやすく温度コントロールが効きにくいことから、主に大規模な飼育設備で利用されます。

HIDランプを点灯するには、放電を安定させるための安定器が必要です。セルフバラスト水銀灯のように安定器が不用なものもありますが、このタイプは発光効率が悪く、安定器が必要なタイプに比べて暗くなってしまうようです。

HIDランプは、ランプ内に封入した物質によって以下の3つに分類されます。

  • 水銀灯
  • 高圧ナトリウムランプ
  • メタルハライドランプ

このうち高圧ナトリウムランプは、発光物質としてナトリウムの蒸気を封入したHIDランプで、主にトンネルで使われているライトです。爬虫類の飼育で使われるという話はあまり聞いたことがないのでここでは割愛します。

メタルハライドランプについては次項で説明します。

メタルハライドランプ

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メタルハライドランプ(メタハラ)は、金属ハロゲン化物(メタルハライド)を発光物質として封入したHIDランプで、爬虫類飼育では比較的最近利用されるようになった照明です。封入するハロゲン化合物の種類・比率により色温度を調整することができ、他のHIDランプよりも演色性に優れる、つまり太陽光に近い色味で物質を照らせます。

メタハラは、UVB蛍光灯よりも強いUVBを照射することができます。メタハラ自体はUVC領域の光も放射しますが、基本的に短波長域の光はフィルターでカットされるため、生体に害が及ぶ心配はしなくて良いでしょう。また、UVCは空気中ですぐに減衰されるため、生体とメタハラの距離が15cm以上あれば問題は起こりません。高効率なため小さなワット数でも強い光が出せ、明るく省エネ効果もあるといえます。また、寿命が長いため長期間にわたって使用でき、ライト交換の頻度を抑えられる点も長所です。

一方でHIDランプ全般に言えるデメリットではありますが、安定器が必要で場所をとること、安定した明るさになるまで数分掛かること、電球に直接触ると寿命が短くなるため手袋をして扱う必要が有ること、などの問題があります。また、光が強すぎるのでライトを直接見てはいけません。

光が強いこともあり、基本的には紫外線供給が必要な大規模飼育設備で使うことを想定されています。発熱量はそこそこありますが、これだけで大きな飼育ケージ全体を暖められるというほどではないので、赤外線の供給が別途必要になるでしょう。

実際には、メタルハライドランプ導入の一番の障害は、価格になると思います。初期費用に数万円ほどかかるので、気軽には購入できないですよね…。ただ、ランニングコストはそこまで大きくないですし、何と言っても高性能なので、思い切って購入してもきっと満足できるはずです。

ヒーターやライトの使用を補助する飼育用品

ここまで、可視光・紫外線・赤外線を照射するためのライトやヒーターにどんな種類があるのか説明してきました。これらのライトやヒーターを実際に使用する際には、補助的に様々な飼育用品を使用することになります。ここでは、ヒーターやライトの使用を補助する飼育用品をまとめて紹介しておきます。

これらの飼育用品を上手く扱うことで、適切な温度・照明環境をより簡単に整えられるようになるはずです。

照明装置

飼育器具の項目で様々な飼育用のライト類を紹介しましたが、メタハラや暖突、パネルヒーターのような一部を除き、これらのライトを使用するためにはライトを設置する照明器具が必要です。

電球タイプ(白熱電球・セラミックヒーター・スパイラル蛍光灯など)用

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電球タイプのライトを使用する場合、口金とワット数に注意してクリップスタンドを購入しましょう。このタイプの照明装置が必要になるのは、白熱電球、セラミックヒーター、スパイラル蛍光灯、セルフバラスト水銀灯などです。

口金とは電球とライトスタンドの接続部のことで、E17とかE26と表現されるのサイズが存在します。これを合わせないとスタンドにライトを設置できません。また、バスキング用の白熱電球や水銀灯には、消費電力が100Wを超えるほど大きなライトがあります。爬虫類用ではないクリップスタンドでも、口金の規格が合えばライトを設置することができますが、その手のクリップスタンドは対応消費電力が40~60W程度までです。

スタンドの消費電力を超えるライトを使用すると事故の原因にもなり危険なため、消費電力の大きなライトを使用する場合には爬虫類用のクリップライトスタンドを使用して下さい。上に紹介しているライトドームなら、150Wまでの消費電力に対応しています。

直管形蛍光灯用

直管型蛍光灯の場合は、熱帯魚用の照明器具を流用するのが便利です。熱帯魚用の照明器具は基本的に水槽のサイズに合わせたものが用意されていて、対応する水槽サイズによって使用できる蛍光灯の長さが異なります。例えば60cm水槽向けの照明器具なら蛍光灯は20Wの物を使うタイプが主流ですし、90cm水槽向けならば32Wが主流です。

ただし商品によって特殊な規格の蛍光灯でないと使えなかったりするので、購入前によく確認して下さい。

メタルハライドランプ用

メタルハライドランプには、基本的に各ライトに専用の照明装置が存在し、セットで販売されています。安全のため変に改造したりせず、専用品を使いましょう。

タイマー

亀やトカゲ、ヘビなどの爬虫類に限らず、生き物の生活リズムを保つためには、毎日決まった時間にライトを点灯・消灯する必要があります。仕事、学校、旅行などを考慮すると、この作業を365日手作業でやるのはかなり大変ですから、照明の管理にはタイマーの利用がほぼ必須です。

デジタルプログラムタイマーⅡ ホワイトPT50DW
アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化

アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

タイマーにはいろいろな種類がありますが、最低限の機能だけを備えたものなら1000円程度で販売されています。詳しくは上の記事を参考にしてください。

注意

メタルハライドランプなどにタイマーを使用する際は注意が必要です。メタハラの点灯時には、「突入電流」といって一時的に使用中の3~4倍の電流が流れます。使用中の消費電力を基準に考えて、対応電力の低いタイマーを使用すると火災の原因となるため、対応電力の大きいタイマー(例えば150Wのメタハラに対して600W対応のタイマー)を使うか、突入電流キャッチャーと併用して下さい。

サーモスタット

サーモスタットはヒーターや保温ライトと接続して使用します。飼育ケージ内の温度があらかじめ設定された温度より低くなるとヒーター類の電源をオンにし、設定温度より高くなるとオフにしてくれます。これにより、飼育ケージ内を常に一定の温度に保つことが可能です。

ジェックス(GEX)の「タイマーサーモ RTT-1」という製品なら、1台でサーモスタットとタイマーの両方の機能を使用できます。さらに、タイマーのオン・オフ状態によってサーモスタットの設定温度を変更できるため、タイマーオン時(ライト点灯中=昼間)は設定温度を高く、タイマーオフ時(ライト消灯中=夜間)は設定温度を低くすれば、自然環境の昼夜を再現することも可能です。これは爬虫類飼育者の間でかなり評判の良かった「爬虫類サーモ」の後継機で、人気の飼育用品の一つです。

ジェックス(GEX)エキゾテラ(EXO TERRA)タイマーサーモ
爬虫類飼育の必需品!タイマーサーモで温度と照明を一元管理

爬虫類飼育では必要不可欠とも言える、照明と温度を連動して一元管理できる飼育用品「ジェックス タイマーサーモ」を紹介します。名前の通り、タイマーとサーモスタットが一体化した製品で、照明点灯時(昼)の目標温度と、照明消灯時(夜)の目標温度を別々に設定できます。

個人的には、陸生爬虫類の飼育にはほぼ必須だと思っています。こちらのページで詳細を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

UV計(UVB測定器)

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ここまでで説明したように、爬虫類を状態良く飼育するためには可視光・赤外線・紫外線の安定供給が必須です。可視光は、明るさ、暗さ、色温度など、目で見ればある程度把握できるものですし、赤外線が十分照射されているかは温度計で確認できます。しかし、紫外線は簡単には測定できません。

紫外線(特にUVB)を測定できるものに、UV計(UVB測定器)があります。UVBの照射量を測定できると、飼育環境が適切かどうかの判断材料が増え、飼育環境の改善にとても役立ちます。UVB測定器は安価ではありませんがとても重要な器具なので、金銭的に余裕がある人は購入してみると良いでしょう。UVB測定器で色々なライトの紫外線量を測定したら、ぜひそのデータを共有して欲しいです。

UVB測定器にも色々な種類がありますが、亀やトカゲの飼育に利用するためには、少なくともビタミンD3合成に強く関わる290〜320nmの波長の紫外線を測定できる必要があります。安価な製品だとこの波長を計測できない場合もあるため、購入前によく確認しましょう。

ちなみに、ZOOMEDのUVB測定器はピーク波長が285nm程度なので低波長帯に強く、爬虫類飼育者向けに販売されているだけあって必要な性能を備えているとの評判です。また、爬虫類飼育者に保有者が多いため、(海外ですが)同じ計器を使って測定したデータを比較する、といった使い方もできるようです。

紫外線灯やバスキングランプ使用のポイント

ここまでで、爬虫類の飼育において適切な温度・照明の環境を用意する方法を、主に使用する飼育用品の種類という観点から解説してきました。これを踏まえ、以下では、爬虫類飼育でライト・ヒーターなどを使用する際に注意すべき点や使い方のポイントをまとめます。

適切な距離で使用する

当然ですが、ライトから出る光はライトの近くでは強く、ライトから離れるに従って弱くなります。これは可視光に限らず紫外線や赤外線でも同じで、ライトから離れすぎると十分な効果を得ることができません。逆にライトに近すぎると、紫外線が強すぎたり、温度高くなりすぎたりと問題があるため、ライトと生体の間は適切な距離に保たれなければなりません。

使用時には、製品ごとに説明書で適切な使用距離が定められているはずなので、その指示に従いましょう。また、トカゲや亀がライト・ヒーターに直接触ってしまわないよう、そして紫外線の内有害な波長帯(UVC)の影響を避けるためにも、最低でも15cm以上の距離はあけておいた方が無難でしょう。

光は頭の真上から当てる

爬虫類を飼育する時には、ここまでに説明した様々な光を照射することになりますが、その際に、特に可視光とUVA(爬虫類が視認できる光)は、頭の真上から当てるようにしてください。

爬虫類の頭部を観察すると分かりますが、眼の上の眉毛に当たる部分が少し出っ張っています。この出っ張りには、眼に直接光が入るのを防ぐ効果があります。これは、爬虫類が目に直接光を浴びたくないことの現れです。つまり、横から光を当てるなど、眼に直接光が当たる環境はストレスが高いということです。人間と同じですね。

強い光を直視すると目に深刻なダメージを与え得るため、強い光源を使用している環境では特に注意しましょう。また、爬虫類は頭部にある頭頂眼や松果体によって太陽の位置を掴み、概日リズム・概年リズムを整えています。爬虫類の生活リズムを保つためにも、やはり照明は頭の真上から当てるべきです。

白熱電球の使い方を工夫する

白熱電球やハロゲンランプはバスキングスポットを作ったり飼育ケース内部を温めたりするのに役立ちますが、少し工夫すると面白い使い方もできます。

具体的には、赤系の可視光を発するこれらのライトの特徴を利用して、朝焼け・夕焼けを再現できます。白熱電球を紫外線ライトや可視光線ライトとは別のタイマーに接続し、点灯時間を少し早く、消灯時間を少し遅く設定すると、飼育ケージ内が昼間の明るさになる前後に、赤系の光が強くなる朝焼け・夕焼けのタイミングが生まれるというわけです。

この工夫が爬虫類の生活リズム調整にどの程度影響を与えるかは不明ですが、飼育している亀やトカゲも、急に昼間の明るさになるよりストレスが少ないと思います。難しくもないので、興味のある方はやってみてはいかがでしょうか。

紫外線ライトは本当に必要なのか?

たまに、「経口摂取のビタミンD3だけでカルシウム代謝はできるから、紫外線ライトは必要ない。紫外線ライトなんてものはペット業界の金儲けの手段だ」という意見を目にすることがあります。

確かに理論上は経口摂取のビタミンD3だけでも問題が無いと思われます。しかし、ビタミンD3の適正な摂取量も明確でない中、経口摂取だけで量を調整するのは難しすぎて現実的でないと、いうのがK-ki(K-ki@AquaTurtlium)の考えです。

経口摂取のビタミンD3とは異なり、バスキングにより自ら合成したビタミンD3に対しては、過剰にならないよう調節するメカニズムが爬虫類の体内で働きます。一方で経口摂取の場合、与え過ぎるとビタミン過剰症になり健康に害を及ぼす恐れがあります。

どちらにせよバスキングをしない限り、体温調整や概日リズムの調整はできません。そうであれば、バスキングスポットに紫外線ライトを加える方が、ビタミンD3の経口摂取量を正確に管理するよりも、よほど自然で現実的な方法だと考えています。

おすすめの保温・照明システム構成例

ここまでにも説明したとおり、亀やトカゲを上手く飼うためには、可視光・赤外線・紫外線を適切に供給する必要があります。一方で、それぞれの光線を発する飼育用品は異なるため、実際に使用する際には複数のライトやヒーターを組み合わせて使用する必要があります。

以下では、ここまでに紹介した飼育用ライトなどを実際に使用する際に、どのような組み合わせで使えば良いのかを説明します。あくまでも照明システム・保温システムの構成例なので、参考程度に考えてください。

蛍光灯+UVB蛍光灯+ハロゲンランプ+セラミックヒーター

信頼の爬虫類用紫外線ライト「ビバリウムグロー パワーUVB」

紫外線ライトとしてUVB蛍光灯を使う場合、可視光が不足するので普通の蛍光灯も併用します。この場合、バスキングスポットを作るため、赤外線を局所的に発して温める役割のハロゲンランプも必要になります。

基本的には上記3つで問題はありませんが、冬場など飼育ケージ内の温度が下がるようならセラミックヒーターも追加しましょう。この時はサーモスタットを使用するのも忘れずに。暖突でも良いのですが、暖突は飼育ケージ天井付近を覆うように設置するため、蛍光灯の光を遮ってしまう可能性があるのでセラミックヒーターとしました。

ちなみに、K-ki(K-ki@AquaTurtlium)はこの構成で水棲ガメ(ニホンイシガメ)を飼育しています。

メタルハライドランプ+セラミックヒーター

メタルハライドランプは紫外線・赤外線・可視光の全てを放射するため、照明システムがシンプルになります。基本的には温度を維持したりバスキングスポットを作るための赤外線が足りなくなるので、それを補うセラミックヒーターと併用します。暖突を選ばないのは蛍光灯の場合と同じ理由です。

バスキングスポットを作るためには、セラミックヒーターよりもハロゲンランプの方が良いのですが、メタハラだけでも十分明るいはずなので、可視光を出さないセラミックヒーターとしました。飼育ケージを温めるためのセラミックヒーターとは別にもう一つ、メタハラ直下辺りを温めてバスキングスポットを作るためのセラミックヒーターを用意すれば良いと思います。設置の際には適切な温度環境になっているかしっかり確認してください。

また、メタハラの消費電力と飼育ケースのサイズによっては、飼育ケース全体でみるとやや明るさが足りない場合もあると思います。その場合は、セラミックヒーターをハロゲンランプにして、赤外線と可視光の両方を補助する構成にしても良いでしょう。

水銀灯+暖突

日本で使用される爬虫類用水銀灯の主流であるだろう「パワーサン」は、蛍光灯やメタハラとくらべてかなりスポット的に光を出すように思われます。その特徴により、このライトだけで可視光・赤外線・紫外線全てをカバーした上、バスキングスポットも作れるのではないかと考えました。

ただし局所的に光を照射するので、ケージ内でも光の当たらない部分は温度が低くなる可能性があります。状況に応じて、暖突を使用するなど保温を行うと良いでしょう。パワーサンはスポットライトのため場所を取らず、暖突を設置するだけのスペースが余っているはずです。また、もし光の届かない部分が暗すぎると感じる場合は、普通の蛍光灯を加えて可視光を補うのも良いでしょう。

爬虫類飼育用ライト・ヒーターの使い方まとめ

ここまで読んで下さりありがとうございました。爬虫類の飼育に必要なライトとヒーターを使用する方法は、このページでほぼ理解できたと思います。

ただ、内容が膨大で多岐にわたったので、全部の話を覚えていない人も多いでしょう(笑)。そこで最後にこのページの内容を簡単にまとめておきます。

  • 爬虫類を飼育するためには可視光・赤外線・紫外線の3種類の光(電磁波)を照射することが欠かせません。これらにより生活リズムの維持、体温調整、カルシウム代謝などが行われます。
  • これらの光を照射するライト・ヒーターには多くの種類があります(白熱電球、セラミックヒーター、蛍光灯、メタハラ、etc.)。種類によって発する光が異なるため、必要な光をよく考えて適切な飼育ライトを使いましょう。
  • 飼育器具で人工的に出せる光には限界があります。日光でバスキングをさせることが爬虫類にとって最も良いということを理解し、積極的に日光を利用しましょう。
  • ライトを照射する距離や方向に気を付け、飼っている亀やトカゲがストレスを感じないように工夫しましょう。
  • 爬虫類は種類によって必要な光・温度環境がかなり違います。飼育している生体についてよく勉強し、適切なライティング・保温を行うよう心がけてましょう。

K-ki

爬虫類の飼育で最初に躓きがちな、紫外線やバスキングなど、照明と保温についての知識をまとめました。私が特に言いたいのは、「照明と保温は必ずセットで考える」ということです。自然界の仕組みを理解し、飼育環境にも上手く反映させられるよう精進していきましょう!分からないところ、間違っているところなどあれば、気軽にコメントしてください。フォーラム(掲示板)も活用してね!

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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