90cm水槽のオーバーフロー濾過システムの自作についての記事も今回で3回目となりました。今回はいよいよ、今まで製作した濾過槽とウールボックスをセッティングし濾過システムを始動させる、このシリーズの完結編です(大げさ)。
ちなみにオーバーフロー濾過システムの自作については、これまでに濾過槽の自作方法とウールボックスの自作方法についての記事があります。
オーバーフロー濾過システムで必要になる濾過槽を自作する方法を紹介します。60cm規格水槽を塩ビ板で仕切った3層式濾過槽の作り方を濾過槽の仕組みや詳細な寸法、自作に必要な道具、画像・動画による手順の説明を交えて解説します。 前回の濾過槽の自作に引き続き、ウールボックスの自作方法を解説します。ウールボックスは物理濾過によって水が汚れるのを防ぐオーバーフロー濾過システムでも重要なものです。メンテナンス性向上のため引き出しタイプを自作しました。
自作オーバーフロー濾過システム!60cm水槽改造濾過槽の自作
自作オーバーフロー濾過システム!引き出し式ウールボックス
濾過槽やウールボックスなど、オーバーフロー濾過システムに必要な各部の自作に興味のある方は、これらの記事も是非読んでみて下さいね。
ウールボックスのフタの穴開け
前回の記事でウールボックスを自作した際にそのフタも製作しましたが、あのままではウールボックスを使うことはできません。フタに配管を通す穴があいてないからですね。そこで今回は、ウールボックスのフタに穴をあける作業から始めます。
フタに穴をあける前に「水槽台の内部で濾過槽をどこに置いて配管はどうして…」ということを詳細に決めておいてください。そして実際に決めた位置に濾過槽などを配置しておきます。その様子を見て、ウールボックスに水を落とす本水槽からの配管がどの程度の太さでどの位置にくるかをしっかり把握した上で、マジックなどでフタに目印をつけておきます。その目印を基準にウールボックスに穴をあけます。
フタへの穴開けには電動ドリルとホールソーを使います。私は安かったので塩ビ用ではなく木工用のホールソーを使いましたが特に問題はありませんでした。
簡単な作業なので電動ドリルは何でも良いです。私は家にあったものを使用しました。注意することといえば、ホールソーをしっかり保持できるものかどうかということぐらいです。
フタにあける穴の径は本水槽からの塩ビパイプの外径よりも少し太い程度にします。ウールボックスのフタのおかげでオーバーフローシステムの静音性がかなりアップするので、あまり隙間ができるようだと静音性が犠牲になりもったいないです。塩ビパイプの外径は「塩ビ管 規格」とググればすぐに出てきます。
私の場合はダブルサイフォンを使っているのでパイプ径が細くなるので、VP16パイプを使っています。VP16パイプの場合は外径22mmなので、穴は直径25mmとしました。一般的なオーバーフロー濾過システムではパイプ径50mmのVU50パイプなどが使われることが多いです。
穴を開けた状態がこちらです。この状態から、穴に一番近い辺に向かって穴の直径と同じ幅で塩ビ板を切り取れば完成です。
濾過槽とウールボックスのセッティング
いきなりセッティング完了後の画像ですが、こんな感じになります。濾過槽の第3室をポンプ室とし、エーハイムコンパクトポンプ2000で本水槽に水を戻しています。
2020年現在では、エーハイム コンパクトポンプ2000はほぼ販売されていません。後継商品としてエーハイム コンパクトオン 2100が販売されています。
写真を撮ったのは冬だったのでヒーターも第3室に設置しています。ヒーターはなるべく底の方に設置しないと蒸発によって水位が下がり水から出てしまうので危険です。一応安全を期して,空焚き防止+煮魚防止機能付きのエヴァリスのパーフェクトセーフヒータを使ってます。
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熱帯魚水槽のヒーター・サーモスタットの選び方とおすすめ
アクアリウムで冬場に水槽水温を維持するため、ヒーターやサーモスタットを使用し水を加熱する際の注意点や、オススメの商品も紹介します。ヒーター・サーモスタットは正しく使わないと事故に繋がるので、安全上の注意点も紹介します。
ヒーターについてはこちらの記事で詳しく解説しています。アクアリウムにおいてヒーターは大きな事故の原因になりうる飼育用品なので、選ぶ際には安全性にも注意したいですね。
黄色とピンクの付箋は最低水位の目安として貼ってますが、これは環境によるのであまり参考にならないです。電源は水槽台の背面に設置した粘着テープタイプのフックに引っかけてあるテーブルタップから取ってます。
第1室と第2室は濾材室とし、イエローハットの洗車スポンジをサイコロ状にカットして自作したスポンジ濾材をメインに何種類かの濾材を入れてます。画像では第1室に直接スポンジ濾材を入れてますが、これだと管理が大変なのでできれば濾材ネットや洗濯ネットに入れてからの方がいいと思います。
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自作でコストダウン!スポンジ濾材と濾材ネットの自作方法
購入すると高価なアクアリウム用品である「濾材」を自作して安価に入手する方法とろ材用ネットの作り方を紹介します。ポリエーテル製の洗車スポンジにより高性能な濾材を手軽に作ることができ、安定した熱帯魚やエビ飼育を実現できます。
スポンジ濾材の自作方法についてはこちらで解説しています。あとで管理が面倒になって濾材ネットに入れたので、濾材ネットについても紹介しています。
ちなみに水槽台の右上隅に設置してあるのは、塩ビ溶接の技術がないので塩ビパイプのカットと接着で作った自作チャンバー(分水器)です。私の作ったものはあまりかっこよくないですが、塩ビ溶接ができるとこちらのサイトのようなカッコいいチャンバーができます。
参考チャンバー作成 | モニターと暮らそう | Thunder Bird Hills
結構頑張って作った割に、淡水だしシステムも単純だしであんまりいらなかったかなーとも思います。結局バルブで水量を調節するくらいしか使っていません…。
ウールボックスは第1室の真上に設置できるように設計したのでその通りに配置します。
さっき穴を開けたフタはこんな感じになりました。ぴったりフィットしていい感じです。
ウールボックスの引き出し部分のメッシュボードの上にウールマットを敷きます。さらに、落水音を抑えるためにウールボックスの底の穴に塩ビ管を接着しています。あとで修正がきくように塩ビ用の接着剤ではなく瞬間接着剤でくっつけましたが強度・耐久性に問題はないようです。
ウールマットの下の高さ4cmの空間には、実験的にドライ濾過を導入しています。濾過槽のすのこと同じものの上に、2cmほどの厚みでスポンジ濾材を敷いています。ウールマットを通った水が濾過槽に流れ落ちる前にここを通って濾過される仕組みです。すのこを敷かないとウールボックス底面の穴に濾材が詰まって水があふれてしまうので必ず敷くようにします。
正直なところ濾材容量が少なく濾過能力ほとんど見込めないと思っていますが、落下する水に対してクッション材の役割を果たし、消音効果があります。濾過能力よりもこの消音効果が優秀なので使用しています。
ろ過槽のセッティングまとめ
濾過槽のセッティングいかがだったでしょうか? これで一応自作オーバーフロー濾過システムは機能するようになりました。しかしまだ濾過槽にフタがなかったりと、改善できる点はいくつかあります。
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蒸発・異物混入・飛出し事故を防ぐ!開閉式の水槽フタを自作
熱帯魚・エビの飛び出し事故や飼育水の蒸発、ゴミ等の混入を防ぐ水槽のフタの作り方を紹介します。可動式にする事で、エサやりや掃除などの水槽メンテナンスの際にも邪魔になりません。塩ビ板や蝶番等で簡単に自作できるのでお試しあれ!
ということで、濾過槽のフタの作り方も記事にしてみました。単純に塩ビやアクリルの板でフタをするのではなく、蝶番を使って開閉式にすることでメンテナンス性を高く指定あます。濾過槽だけでなく飼育水槽にも利用できるので、使いどころが多く役に立つテクニックだと思います。
また、ここでセットした濾過槽を題材に濾過槽の掃除についての記事も書きました。
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自作するのは楽しいですが、アクアリウムをやっていく上ではメンテナンスが重要です。こちらの記事も読んでみて下さいね。