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健康維持に欠かせない!爬虫類の日光浴&バスキングの秘密

2012/12/17

バスキングをしているニホンイシガメたち

ウチのイシガメのバスキングの様子です。一日のうちの結構な時間をバスキングに費やしています。水中では良く動き回りますが、バスキング中は別人のように大人しいですね。一旦バスキングモードに入るとなかなか動きません。気持ちいいんですかねー。

今回はそんなバスキングについて少し考えてみます

まずバスキングとは何でしょうか? あいにく私は爬虫類の専門書等をもちあわせておりませんので明確に出典を示すことはできませんが、恐らく英語のbask【暖まる・ひなたっぼっこをする】の現在分詞形が由来でしょう。つまり「日向ぼっこをすること」と言えるでしょう。もうすこし厳密に言えば、バスキングとは日光浴をして体を温めることを指します。

ちなみに、タイトルは「爬虫類の日光浴&バスキングの秘密」としていますが、全ての爬虫類がバスキングを必要とするわけではありません。そして必要とする種類であっても、その種類ごとにバスキングの重要性というのは変わってきます。この記事はあくまで目安だと思ってくださいね。

光について

バスキングとは日向ぼっこをすること、すなわち光を浴びることです。ですが光と一言で言っても、それはまた様々な光線に分類することができます。ここでは、

  • 目で見ることのできる波長域の光 【可視光】
  • 可視光よりも波長の長い光    【赤外線】
  • 可視光よりも波長の短い光    【紫外線】

これら3つに分類してその働きを考えます。

可視光の働き

可視光とは『人間が』見ることのできる光なので、厳密にいえば亀にとっての可視光は人間とは異なります。まあ今回はこの差は無視します。可視光の働きはそんなに難しいものではありません。明るければ昼、暗ければ夜というように時間帯を把握して生活リズムを整えることに役立ちます。大したことなさそうに思いますが、日々状態良く飼育するため、また観賞面からも、メリハリをつけて飼育ゲージの明るさを管理した方が良いです。

赤外線の働き

赤外線ヒーターという言葉聞いたことありませんか? 炭火焼き肉がおいしいのは遠赤外線が~みたいな話を長々しだす友人、いませんか?

赤外線は物質に吸収されると温度を上昇させる働きがあります。爬虫類は変温動物なので自分で体温をコントロールすることができません。赤外線を浴びることで必要な温度まで体温を上げて活動することができます。

紫外線の働き

爬虫類飼育に関する部分では、紫外線は波長によりさらに3つに分類することができます。

UVA

食欲の増進や脱皮の促進,正常な繁殖行動をもたらすといわれる波長帯。曇り空やガラス越しでもある程度届くと考えられている。

UVB

カルシウムを摂取するのに必要なビタミンD3を体内で作り出すのに必要な波長帯。基本的にガラスなどを透過しない。爬虫類飼育においてはいかにUVBを照射するかということが飼育の大きなポイントとなる。

UVC

細胞破壊をもたらす有害な波長帯。殺菌灯などで利用されている。

病気の予防

皮膚を乾燥させることで皮膚病や寄生虫を防ぐ効果があるといわれています。

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屋内飼育下でのバスキング

次に屋内飼育におけるバスキングについて考えてみます。屋外飼育の場合は放っておいても亀がバスキングできる環境だと思うので、特に何かしなくてもいいでしょう。リクガメと水棲ガメでは違いも大きいと思われますので、以下水棲ガメを想定します。

バスキングスポット

バスキングするためには、飼育者側から適切な場所を提供してやる必要があります。ポイントは以下の要素を満たすことです。

  • 足場として安定している
  • 亀が怪我をしない
  • 表面が乾燥しやすい

よく水棲ガメ飼育で陸場として利用されるレンガですが、表面が乾燥しにくいのでバスキングスポットとしては適しません。レンガをバスキングスポットとして利用するのであれば表面に人工芝を敷くなどの対処が必要です。

バスキングライト

赤外線を出し亀の体温を上昇させる役割をもつライトです。一般にバスキングスポット(ホットスポット)を30~35℃程度に温められれば良いとされています。

光を出さずに赤外線のみを照射するヒーターとしての側面が強いような商品もあります。そういったものは夜間の保温まで考慮して光を出さないようになっているのですが、水棲ガメの場合は夜間は温度の下がりにくい水中にいることも多いのでそういった特殊なものを使う必要性は薄いと思われます。

また、ケージ全体を暖めるような保温用ライトも水棲ガメには不要だと私は思っています。照射範囲を温めることが目的であり、普通のレフ球でもバスキングライトの代用となるので、私はレフ球を使用しています。

紫外線灯

UVAおよびUVBを供給することが目的です。爬虫類用紫外線灯は様々な商品が販売されています。紫外線灯はほとんどの商品で、商品名の最後に「10.0」とか「5.0」とか「2.0」といった数字が付いていると思いますが、その数字が含まれているUVBの割合の目安になります。10.0なら10%のUVBが含まれているということですね。

一般的な水棲ガメの場合、5.0程度が適当といわれていますが、紫外線灯で発せられるUVBは太陽光のそれと比べて非常に少ないので10.0でも良いと思います(高性能な分高価になりますが)。主にスパイラル型蛍光灯と直管型蛍光灯がありますが、どちらも効果は大差ないそうです。しかしスパイラル型のほうが一部に集中して照射しているので、バスキングスポットが固定されていれば効果的なようにも思えます(私の主観です)。

可視光の供給

上に書いたような可視光の働きに加えて、紫外線灯を使用している場合には可視光にもう一つ役割が与えられます。紫外線灯は紫外線を出すことに重点を置いているため光が弱いものが多いです。すると紫外線灯を亀が直視し続け、目を傷めることがあります。そうのような事態を防ぐため、紫外線灯を使用する場合はある程度可視光を出すものを併用するほうが良いです。

ZooMed社のレプティサン、カミハタのレプタイルランプは色温度(可視光の色味を判断する基準の一つ)も考慮されていて、別途可視光を供給しなくてもよいそうです。特にレプティサンは海外でも信頼が高く、UVBの実測値も高いとの情報があるので、高評価の紫外線灯であるといえます。私はレプティサンのスパイラル型26W UVB5%のものを使用しています。

2013/06/20 追記

レプティサンのUVB量についてのソースはこちらです。

参考UVB.pdf

ただし、これとは別にスパイラルタイプのレプティサンのUVB量は多くないとする計測結果も発見したのでそちらも紹介しておきます。

参考各社UVB蛍光灯の測定データ|結果 Oh! Life|1.023world

どのライトが一番良いと決めるのは、なかなか難しいことかもしれませんね…。

照明装置

保温球や紫外線灯などをセットする照明装置は爬虫類用として販売されているものもありますが、熱帯魚用の照明装置や市販のクリップライトスタンドで代用もでき、その方が安価で済むことが多いです。熱帯魚用の照明装置には使用できる蛍光灯の規格が独自なものもあるので、きちんと互換性のある商品を選ぶことが大事です。

カミハタのヴォルテス UVB 27W という商品は、熱帯魚用ライトスタンドとしてある程度の評価のあるヴォルテスと、色温度の高いレプタイルランプのセット商品で、使ったことはありませんがなかなか良さそうに思います。

市販のクリップライトスタンドならヤザワというメーカーのものが安いようです。特にダイヤリフレクタークリップライトという商品はなかなか好評価のよう。私はヤザワの一番安いクリップライトスタンドにレプティサンをつけてますが、先のほうがかなりはみ出してしまいます…。

爬虫類のバスキングに必要な飼育用品まとめ

以上色々と書いてきましたが、要するに落ち着いた環境で適切なバスキングスポットを用意し、可視光・紫外線・赤外線をバランスよく照射してやればいいんです。例として私の照明環境(初稿執筆時点)を紹介してみます。

可視光ライトにはスドー エステルノ932i×パンタナルホワイト

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UVB照射にはヤザワ クリップライト×レプティサン 5.0

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また、ホットスポットとして家にあったクリップライトに40W白熱電球レフ形を浸けたものを使用しています。

エステルノは亀のためというよりは、同居の水草のために照射しています。ただしこのくらいのW数があれば、ある程度温度も高くすることができるので、節電のため40Wのレフ球の撤去も検討しています(やはり蛍光灯だけではあまり暖かくなかったようで,バスキングの頻度が減ったためレフ球の撤去は中止しました)ある程度明るい方が観賞面でもよいと思います。

基本的に問題のない環境であれば亀は自分でバスキングしようとするので、あまりにカメがバスキングしようとしない場合は、環境を改善するか強制乾燥をするなどして、亀を状態良くキープできるように努めたいですね!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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