熱帯魚・観賞魚 図鑑

白メダカ(シロメダカ)の特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

2021/04/17

近年はメダカの品種改良がブームになっており、毎年のように新しい品種が続々と発表されています。このブームは2001年に作出された「ピュアブラックメダカ」に端を発するわけですが、それより以前にもメダカの改良品種は数少ないながら存在しており、現在では「基本品種」と呼ばれています。

今回紹介する白メダカも、そんな古くから存在する基本品種の一つです。近年作出された改良品種に比べれば派手さはありませんが、シンプルながらもきれいな品種で有り人気もあります。このページでは、そんな白メダカについて作出の経緯、白い体色になる理由や飼育・繁殖の方法を解説します。

白メダカとは

created by Rinker
charm(チャーム)
¥2,600 (2024/11/20 21:43:19時点 Amazon調べ-詳細)
品種名 白メダカ(シロメダカ)
種名 キタノメダカ
ミナミメダカ
ニホンメダカ
分類 ダツ目メダカ科メダカ属
原産地 日本
飼い易さ
値段(1匹) 100円程度~
最大体長 3cm程度
寿命 3年程度
遊泳層 中~上層
適合する水質 水温:16~30℃
pH:6.5~8.5
特徴 黒の色素と黄色の色素が欠如することで白い体色を示すメダカの改良品種。黒メダカ、ヒメダカ、青メダカに並ぶ基本品種の一つ。

白メダカは、改良メダカの中でも黒メダカヒメダカ青メダカに並んで広く流通している基本品種です。ニホンメダカ(ミナミメダカ)の突然変異個体を元に作出されたメダカで、簡単に言うと黒の色素と黄色の色素が欠如することで白い体色になっています。

メダカは白い色素を持つため白メダカのような体色の白い品種が生まれますが、魚類全体を見渡しても白い色素を持つ種類はメダカやグッピーなどの数種に限られており、かなり珍しい体色と言えます。

飼育データ管理・共有サービス「RIUM」を今すぐ使ってみよう!

白い体色になる理由

魚類、両生類や爬虫類などは、「色素胞」と呼ばれる色素細胞を持ちます。色素胞はその色によって、さらに「黒色素胞(メラノフォア)」「赤色素胞(エリスロフォア)」「黄色素胞(キサントフォア)」「青色素胞(シアノフォア)」「白色素胞(ロイコフォア)」「虹色素胞(イリドフォア)」の6種に分類されます。

メダカは本来、これら6種類の色素胞のうち「黒色素胞」「黄色素胞」「白色素胞」「虹色素胞」の4種類を持っていますが、白メダカの場合は黒色素胞が欠損していて、さらに黄色素胞は発達していないため、体色が白くなっています。2000年頃に端を発する改良メダカブーム以前から存在している品種であり、色鮮やかな近年の改良メダカと比べると原種(野生種)に近い雰囲気の品種です。

白メダカの作り方(作出方法)

白メダカの歴史は古く、江戸時代には既に観賞魚として飼育されていたようです。野生種を累代交配していくうちに、上記のとおり黒色素胞が欠如して黄色素胞が未発達な白い体色の突然変異個体を発見し、その個体を累代交配して固定化したと考えられます。

白メダカ以外の改良メダカの多くも、繁殖を重ねていくうちに突然変異で現れた個体を固定したものです。

白メダカと関連の深い品種

ここまでで白ロメダカの体色が白くなる原理や、作出までの経緯等を紹介してきましたが、実は体色が白ければ白メダカというわけでもありません。白メダカ以外にも、白系の体色を持ったメダカの改良品種は多数存在しています。ここでは白メダカの関連品種として、白い体色のメダカをいくつか紹介していきます。

シルキー

実は白メダカには、黄色素胞を持つものの白色素胞が発達しているために白体色になった品種と、黄色素胞が未発達のため白体色になった品種の2種類が存在しています。このうち前者の、白色素胞が発達して白体色になったものを「シルキー」と呼びます。

シルキーは黄色素胞も持っているため、純白というよりは黄色がかかったクリーム色のような体色をしています。

ミルキー

一方で、黄色素胞が未発達のため白体色になった品種のほうは、シルキーに対して「ミルキー」と呼ばれます。こちらは黄色素法が未発達のため、シルキーに比べてより純白に近い体色となります。

2000年頃までの白メダカは、オスは黄色みがかかった「シルキー」、メスは白色の強い「ミルキー」と性別によって体色がはっきりと別れていました。その後、次に紹介するピュアホワイト等の改良品種の登場により、現在では一般的な白メダカのオスでも白色の強い個体が混在するようになっています。

ピュアホワイト

ピュアホワイトは、2003年に改良メダカ専門店「めだかの館」によって作出された品種です。前述の通り、ピュアホワイトが登場するまでの白メダカのオスは、クリーム色の体色をした「シルキー」がほとんどでした。しかし、数千匹の白メダカの中から1匹の「ミルキー」のオスが発見されたことをきっかけに、累代繁殖を重ねてオスでも真っ白、体色固定率99%とされるピュアホワイトが作出されました。

白透明鱗メダカ

created by Rinker
【めだか物語】
¥1,980 (2024/11/20 21:43:21時点 Amazon調べ-詳細)

白透明鱗メダカは、透明鱗メダカのエラが透けて見える特徴を併せもった白メダカです。透明鱗(とうめいりん)は、エラ部分の虹色素胞が欠如してエラが透けて赤く見える形質ですが、その程度の強弱によって以下の3種類に分けられます。

  • 透明鱗…頬(エラ)部分の虹色素胞が欠損しているもの。
  • 半透明鱗…頬(エラ)部分又は全身の虹色素胞がうっすら欠損しているもの。
  • 強透明鱗…全身(虹彩、エラ、腹膜等)の虹色素胞のが欠損しているもの。

白い体に赤いほっぺが魅力のかわいいメダカで、「紅ほっぺ」の愛称でも親しまれています。

パンダメダカ

パンダメダカは、透明鱗メダカの中でも虹色素胞の欠損範囲が広く、エラの周囲だけでなく目の周りの虹色素胞までが欠如して、パンダのように目が黒く縁どられて見えるメダカです。透明鱗の分類としては「強透明鱗」に相当します。

虹色素胞の欠損によって透け感のある白っぽい体色をしていることが多いですが、黒色素胞や黄色素胞の欠損はパンダの定義には含まれないため、遺伝的には白メダカとは異なる原理で白っぽく見えているメダカです。ただし、白さを際立たせるため白メダカと交配されていることも多く、一概には言えない面もあります。

白パンダメダカ(チャームより)
パンダメダカの特徴・作出方法から飼育・繁殖方法まで解説

改良メダカの中でも目に特徴がある品種の一つであるパンダメダカについて解説します。透明鱗の特徴が強く出るパンダメダカは、目の周囲が透けるため、パンダのように目が黒く縁取られて見えます。可愛らしさから人気の高い改良品種です。

パンダメダカの詳細はこちらのページで解説しているので、よければ読んでみてください。

白メダカの飼育方法

白メダカは白い体色から虚弱なようにも思えますが、実際は他のメダカと同じく幅広い水質に適応できる丈夫な魚です。飼育に際しては特別な気配りは必要なく、ヒメダカや黒メダカなど一般的なメダカと同じ飼育方法を心がけていれば問題ありません。

飼育方法の詳細はこれらの品種のページで詳しく紹介しているので、ここでは簡単にまとめておきます。ポイントは以下のとおりです。

基本的な飼育方法

  • 一般的なアクアリウムでの小型魚飼育では水量は体長1cmにつき1リットルが目安
  • メダカ愛好家は1匹1リットルを目安とする人が多いがアクアリウム的な飼育方法よりも換水頻度は高い
  • 飼育場所や品種によって適する飼育容器が異なるため「飼育容器選びのポイント」のページ参考に
  • 幅広い水質に適応できるが急激な水質変化はダメージが大きいため水合わせは丁寧に
  • 使用期限を過ぎたエサは与えない

屋外飼育のポイント

  • 水質の維持にはホテイアオイ等の浮草系水草の利用が有効
  • すだれを使って夏場の高水温を対策

屋内飼育のポイント

  • ろ過フィルターを使用して水質を維持
  • 概日リズム調節のためライトも必要
  • 水槽は60cm規格サイズか30cmキューブサイズがおすすめ

もう少し詳しく知りたい場合は、ヒメダカ黒メダカのページも参考にしてください。

白メダカの繁殖方法

飼育方法と同様に、白メダカは繁殖方法についても特別な配慮は必要ありません。こちらも詳細はヒメダカ等の別品種のページを参考にしてもらうこととして、ここでは概要の紹介だけをしておきましょう。

メダカの繁殖方法

  • 日照時間が12時間以上、水温18℃以上をキープ
  • 食卵を避けるため卵はすぐ親メダカから隔離
  • 産卵床を使用すれば卵の隔離が容易
  • 孵化までの積算温度は250程度
  • 稚魚(針子)はエサ切れに弱く餓死しやすいので1日に2~5回の高頻度で給餌
  • 稚魚も親に食べられないサイズまでは隔離飼育

日照時間と水温の条件さえ整えておけば、産卵まではさほど苦労せずたどり着けるはずです。あとは親魚に卵や稚魚を食べられてしまわないよう、隔離飼育を徹底することが重要です。

白メダカの魅力・おすすめポイント

白メダカは、魚類全体を見渡しても珍しい、はっきりとした白い体色の魚です。魚としては珍しい色合いでありながらも、メダカとしては基本品種であるため安価で簡単に入手でき、数多いメダカの品種の中でも幅広い人に愛されている品種だと言えるでしょう。

一方で、より改良メダカをディープに楽しみたい人は、ホームセンター等で購入するのではなく愛好家やブリーダーから購入することをおすすめします。こういった方々が販売している厳選された個体に触れれば、その白さに感服するとともにより深く白メダカを楽しむことができるはずです。厳選された個体を繁殖させて子孫を選別し、さらに白い体色を目指すのがディープな楽しみ方の王道と言えるでしょう。

一方で、メダカの体色は遺伝についての非常にわかりやすい教材にもなります。白メダカを黒メダカと交配させて、メダカの体色を通じメンデルの法則を検証してみるなんていうのは、学校の自由研究のネタとしても使えそうです。

安価・丈夫・綺麗と三拍子揃った魚である上に、様々な楽しみ方ができるのが白メダカの魅力と言えるでしょう。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

-
-図鑑
-

© 2024 AquaTurtlium