ミドリガメやクサガメ、イシガメのような以前からペットとして人気のある亀や、最近人気が上昇しているカブトニオイガメやミシシッピニオイガメなどの亀は「水棲亀」や「ミズガメ」と呼ばれ、飼育するためには水場と陸地の両方が必要になってくる亀です。
今回はこれらの水棲亀を飼育する際に必要になる陸地の中でも、「亀の浮島」等と呼ばれる、水面に浮くフロートタイプの陸場の自作方法を紹介します。市販の亀用の陸地を購入しても良いのですが、自作すれば性能の良いものをかなり安く作ることができます。
以前自作した亀用の陸地
このブログでは以前にも、亀用の陸地の作り方・自作方法を紹介したことがあります。
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亀の飼育に役立つ!シェルターにもなる陸場・陸地の自作方法
水棲亀を飼育する時に必要な陸場・陸地は市販品を購入すると結構お金がかかります。安価で、シェルター(隠れ家)にもなる使いやすい亀用の陸地を人工芝等で自作する方法を紹介します。100円均一ショップだけで必要な物が揃いますよ!
こちらの記事で紹介したのは、水面に浮く浮島タイプのものではなく、水槽の底に直接設置するタイプの陸地でした。この陸地も非常に安価に自作でき、難しい作業も必要がない扱いやすい亀の陸地ですが、少し問題点もありました。
今回新たに紹介する亀の浮島タイプの陸場では、この問題点を解決できるようにしています。飼育環境や好みによって、好きなほうを作ってもらえれば嬉しいです。
以前の陸地の問題点
以前に自作した亀の陸地の問題点は主に2つです。ここではその問題点をまとめておきます。
使用できる水深の範囲が狭い
以前に紹介した陸地の作り方は、簡単に言うと土台の上に人工芝を設置するという方法でした。この方法で作られた陸場は、陸地部分の水槽の底からの高さが固定されるため、適応できる水深の範囲が狭いのが一つの問題点です。
以前に私が作ったものだと、だいたい水深の許容範囲は10cmまでです。これより深い水深で使用するためには、陸地を作り直す必要があります。
また水槽の底に直接陸地の土台を置くため、20cmとか30cmといった深い水深の飼育環境で使用するためにはかなり高さのある土台が必要になります。このような場合に手ごろな土台が見つかりにくく、あったとしても値段が高いのも一つの難点です。
亀の行動の邪魔になる可能性あり
陸場部分は土台によって支えられているので、陸地の支えになる部分が水中に存在することになります。これは亀が水の中を動き回る際に邪魔になる可能性があります。
ただし水中に障害物があるのは必ずしもデメリットになるわけではなく、隠れ家(シェルター)として亀を落ち着かせる効果もあります。狭い水槽では行動を妨げるという短所が目立ち、広い水槽では隠れ家になるという長所が発揮されやすいと思います。
金属部分が錆びる場合がある
私が使用していた土台部分は、金属とプラスチックで作られていました。私は金属部分はステンレスだろうと思っていたのですが、100円均一の安物ですし、どうやらステンレスではなかったようです。
使っているうちに、こちらの写真のように見事に錆びてきてしまいました。この土台部分のサビが水槽にもくっついてしまい、かなり汚らしくなってしまいます。
また見た目の問題だけでなく、亀に与える影響も心配です。調子を落とす原因にもなり得ると思うので、錆びた場合にはすぐ使用を中止した方が良さそうです。
土台部分を選ぶ際には、金属を使っていないもの、または金属を使っていてもステンレスと明記されているものを選ぶのが良いでしょう。
亀の浮島の特徴
では次に、今回作り方を紹介する亀の浮島の特徴を紹介します。上に書いた以前作り方を紹介した亀の陸地の特徴と比べて、気に入った方を作ってみて下さい。
幅広い水深に対応できる
今回紹介する浮島タイプの亀の陸地は、水面に浮かべて使用します。そのためどんな水深の飼育環境でも使用することができます。とくに深い水深で飼育している場合には、この特徴は非常に有効になるはずです。
金属を使用しないので錆びない
浮島タイプの亀の陸地を作る際には、金属を使用する必要がありません。そのため錆びることもなく、安心して利用することができます。
経年劣化しないわけではない
ただし金属を使用しないからといって、まったく経年劣化せずいつまでも使えるというわけではありません。長期間利用していると汚れが落ちにくくなってくるので、ある程度の期間使用したら汚れた部分を好感して新しくする必要はあります。
固定がやや難しい
亀の浮島は水面に浮かべて使用するので、そのままだと水流で流されて移動してしまいます。陸地はバスキングをさせるためのライトで照らしておきたいので、流されて移動してしまうとちょっと困ります。
そこで陸地が流されないように水槽の壁面などに浮島を固定する必要がありますが、この方法がちょっと難しいです。私自身「これだ!」という方法を確立しきれていないので、もし作る場合は自分で良い方法を考えてみてください。
亀の浮島タイプの陸地の自作方法
前置きが長くなりましたが、ではいよいよ亀の浮島の作り方を紹介していきます。この浮島は、安価な材料で簡単に作ることができるのが良い所です。
用意するもの
用意するものは基本的には以下の通りです。ホームセンターに行けば必要な物を揃えることができるはずです。私は近所のロイヤルホームセンターで一式揃えました。
- 人工芝(30cm×30cm)×2
- 風呂マット(30cm×30cm)
- 結束バンド
- ペンチ
私が使用した風呂マットはこんなタイプになります。
これを水に浮かべて浮島とするので、スポンジ製など軽くて水に浮かぶタイプのものを購入して下さい。多分1番安いやつを買っておけば大丈夫だと思います。
亀の浮島の作り方・手順
用意するものの次は、作業手順を紹介していきます。
薬品の除去
まずは人工芝と風呂マットを、お風呂場で熱いお湯(50~60℃)を使ってしっかり洗っておきます。これは人工芝や風呂マットに付着している可能性のある薬品を洗い落とすためです。
今回に限らず、水槽に何かものを入れる時にはできるだけ薬品やその他の水質に影響を与える可能性のあるものを取り除いておきたいので、しっかりと洗っておきましょう。お湯を使うのは水よりも薬品などを洗い流せそうだからです。この作業でどのくらい効果があるのかは分かりませんが、は一応洗っておきました。
人工芝をカット&スロープ部分を延長
風呂マットを浮島の土台(フロート部)とし、その上に人工芝を固定して浮島とするので、人工芝のサイズを風呂マットと合わせるためにカットします。ただし今回は30cm×30cmの風呂マットをそのまま浮島として使用することにし、人工芝もちょうど同じ30cm×30cmのサイズだったので土台部分の人工芝はカットしませんでした。
ただ、そのままだと亀が浮島を昇り降りしにくいように思えたのでスロープを設置することにしました。もう1枚用意した人工芝を邪魔にならない程度に細くカットし、人工芝を連結します。
こんな感じになりました。このあたりの作業については、上にも紹介した以前の自作記事にもう少し詳しく書いてあるので、興味のある方はそちらを参考にして下さい。
参考亀の飼育に役立つ!シェルターにもなる陸場・陸地の自作方法
フロート部に人工芝を固定
人工芝が好きな形にカットできたら、風呂マットに固定します。風呂マット同士を連結するための出っ張りがあったので、そこに結束バンドで縛り付けました。裏側から見るとこんな感じになります。
連結用の出っ張りがじゃまになる部分があったので、そこはハサミで切り落としてあります。表側の様子はこちら。
簡単ですが広くて動き回れそうな陸地が出来ました。陸上での活動時間も長いニホンイシガメにはなかなかよい感じの浮島になったと思います。
設置・固定方法の例
これまでに紹介した方法で、亀の浮島の自作は完成です。できた浮島を水槽に設置すると、このような感じになります。
水槽に設置するやいなや、亀が浮島に登って日向ぼっこを始めてくれました。気に入ってくれたようで何よりです。
上にも書きましたが、この浮島はちょっと固定しづらいのが難点です。私の場合は改造した上部フィルターの配管部分と水槽の壁面に挟みこむようにして上手く固定出来ましたが、ウチ以外の環境には応用しづらい固定法ですよね…。
一応良さそうな固定法としては、大きめのキスゴムを使って水槽の壁面にくっつけるとか、ステンレスのパイプをレールのようにして固定する(参考サイト)とかの方法があります。自分の環境にあった固定法を考えてみてください。
ちなみにこの陸地を設置してから気付いたのですが、水槽の上端にかなり近いところにあるのでもしかすると亀が脱走してしまうかもしれません。うちの環境では水槽から逃げると1.5mくらいは落下することになるので非常に危険です。照明器具を利用して脱走防止のネットを作っておきました。くれぐれも亀の脱走には気を付けて下さいね。
ちなみにこの飼育環境、実は3月末に新しくしたものです。ブログではまだ紹介できていませんが、いずれ記事にしていくつもりです!
2017/05/15 追記
飼育環境全体の紹介は未だに記事にできていませんが、上部フィルターを使って水棲亀の飼育にろ過を導入する方法については解説記事を書きました。ぜひ読んでみてください。
市販の亀用の陸地
今回は亀の飼育に必要な陸地を自作する方法を紹介しましたが、自分で作るとどうしても見た目では市販品にはかないません。見栄えの良いものを使いたいという場合は、市販の亀の浮島や陸地を購入する方が良いかもしれません。
市販の亀の浮島で私がおすすめするのは、爬虫類用品メーカーとして海外でも評価の高いZOOMEDというメーカーの「タートルドック」という商品です。
ただこのタートルドックは見栄えがそこそこ良い代わりに値段が高いです。Mサイズ(18cm×39cm)で3000円、Lサイズ(23cm×46cm)なら4000円程度します。亀は成長に従って子亀の時のサイズからは考えられないくらい大きくなりますから、成体になった時の大きさも考えて購入するサイズを決めておかないと買い直しということにもなりかねません。しかしそうすると今度は最初から大きな水槽を用意しないと陸地が設置できなくなり、ちょっと難しい部分もあります。
流木で陸地を作るとオシャレ
亀用の陸地として販売されているものではなく、流木などを使って陸地を作るとさらに見栄えを良くすることもできます。下の写真はウチの亀の以前の飼育環境ですが、亀の飼育レイアウトの中ではかなり凝ったものになっていると思います。
実際に亀が陸上で甲羅干しをするとこんな感じです。
ただし亀が甲羅干しをできるサイズの流木となると、タートルドックに負けず劣らずの値段がしてしまうのが玉にキズですね。やはり安く済ませたい場合は上で紹介した自作の陸場を使用するのが良いと思います。
亀の飼い方
今回は亀の浮島タイプの陸地の自作方法を紹介しましたが、そもそも水棲亀になぜ陸地が必要かはきちんと理解していますか?
「肺呼吸の亀が溺れないため」というのももちろんですが、それ以外にも陸地には体を暖めたり、紫外線を吸収したりするための重要な場所であるという面があります。
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亀の飼い方・飼育方法-水槽から紫外線・ろ過まで完全まとめ
亀の飼い方として、屋内飼育(特に水槽飼育)における必要なもの・ろ過・セッティング例・普段の世話などを解説しています。飼育ケース・エサ・紫外線ライトなどの商品例も挙げながら、亀を飼うための環境作りの方法を詳細に紹介します。
このような亀の飼育に関する知識に不安がある人は、こちらの記事も読んでみてください。水棲亀を飼育している人なら一読の価値がある、飼育方法のまとめ記事です。
参考サイト
今回の記事を書くにあたり、こちらのサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございました。
参考「亀の浮島」を自作してみた ~材料費500円で手作りできる!!~ | まゆみん解説、亀の飼育 大辞典道場 | マニアーナ! | まにあ道 – 趣味と遊びを極めるサイト!
亀用の陸地の簡単な作り方を紹介しました。レンガを積み重ねて陸地にしている人などは、重いし汚れがたまりやすくて不便・乾燥しにくく亀の健康にも良くないので、安くて簡単に作れるこの方法を試してみてはいかがでしょうか。やってみると工作も楽しいですよ!