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物理ろ過/化学ろ過/生物ろ過の効果まとめ!アクアリウムの基礎

これからアクアリウムを始めたいと思っている人にとって、1つ目の大きなハードルが「ろ過」ではないかと思います。何となく水を綺麗にすることだとは分かっても、どういった原理なのか、どうすればろ過が機能した水槽を作れるのかなど、最初から具体的な方法が分かる人はほとんどいないでしょう。

そこでこの記事から数回に渡り、こういったろ過に関する悩みを抱えている人たちに向けて、濾過の原理を分かりやすく、それでいて詳しく解説していきたいと思います。濾過の原理を理解していないと、ろ過フィルターを使っていてトラブルが起きても、原因や対処法が分からずお手上げ状態になってしまいます。アクアリウムを始める前に、ろ過の仕組みをしっかりと理解しておきましょう!

連載「ろ過の原理・仕組みと利用方法」について

この記事から始まるろ過についての一連の解説を、「ろ過の原理・仕組みと利用方法」というタイトルの連載としてまとめていきます。連載記事は下記のページにリストアップしているので、良ければ古い順に読んでいってください。

ろ過の原理と利用法についての解説予定

また、この連載では、以下のような内容について解説していきます。

  • 濾過のメリット・デメリットとはなにか
  • 濾過にはどんな種類のものがあるのか
  • 濾過はどのような仕組みになっているのか
  • どのように濾過を使うと有効活用できるのか
  • 濾過装置・方式にはどのようなものがあるのか
  • 大型魚や水棲亀の飼育に適した濾過とはどんなものか
  • ボトルアクアリウムに適した濾過とはどんなものか

この他にも書いて欲しい内容があれば、私の分かる範囲で解説するので、コメント欄などでリクエストしてください。また、私とは違う考えの方はどんどん指摘してくださいね。私が間違っていることも多分に考えられます。

ろ過について知るべきなのはこんな人

連載「ろ過の原理・仕組みと利用方法」は、以下のような人を対象として想定しています。

  • アクアリウムを始めたいけど、ろ過とは何か分からず困っている人
  • 何となくろ過フィルターを使っているけど、仕組みが良くわからない人
  • アクアリウムの水換え頻度を低くしたい人
  • アクアリウムについての知識を深めてよりレベルの高い水槽を作りたい人
  • 亀などの水生生物を飼育していて、アクアリウムのろ過を応用したい人

このページ及び関連する連載記事では、こんな方たちに向けて濾過の原理を分かりやすく、それでいて詳しく解説していきます。濾過についての理解を深め、一つ上のアクアリストになりましょう!

また、アクアリウムというよりも、亀などの水生生物の飼育にろ過を応用したいと考えている人にも、ぜひこのページを読んでほしいです。著者K-ki(K-ki@AquaTurtlium)も亀を飼っているので、ろ過の応用方法についても実践的な解説が可能です。

亀の飼育に上手く濾過を導入すれば、水換えの頻度を下げられ、カメと魚を混泳させる事のできる可能性も生まれ、そして何よりカメを常にきれいな水の中で飼育してあげることができます。濾過は亀の飼育者にとっても必ず役に立つものなので、ぜひ原理だけでも知っておいて欲しいです!

ちなみに、第1回の今回の記事では、「濾過の種類」について解説します。まずは詳細の解説の前に、ろ過のメリットデメリットについて軽く触れておきます。

濾過のメリット

  • 換水頻度を減らすことができる。
  • 水質に敏感な種類の熱帯魚やエビでも、安定して飼育できる。
  • 換水直前でも極端に水が汚くならない(水質面・観賞面ともに)。

ろ過のメリットは概ねイメージできているのではないかと思いますが、水質をきれいに維持しやすくなることです。ただし気をつけなければならないのは、一般的な方法では水を常にきれいな状態に維持し続けることはできないということです。

ろ過フィルターを使ってろ過を十分に聞かせていたとしても、水換えは必要です。水換えの量と頻度は飼育環境にもよりますが、週に1回全水量の3分の1程度の水を交換するのが一般的です。水換えは面倒に感じるかもしれませんが、定期的に行うことで水質維持に大きな効果があります。水換えをサボって水槽内にコケが大量発生したりするほうがよっぽど面倒なことになるため、水換えはサボらないことをおすすめします。

濾過のデメリット

  • 初期投資として数千~数万円のお金が必要になる。
  • ろ過フィルター(濾過器)のためのスペースがどこかに必要になる。
  • ほとんどの場合問題ないが、フィルターの作動音などが気になることもある。

大雑把に挙げるとこんな感じでしょうか。メリット・デメリットを上げていますが、デメリットはお金・場所・音など、人間にとってのデメリットでしか無く、水槽で飼育している生体にとってはろ過の利用はメリットしかありません。基本的には、予算やスペースなどの飼育者側の問題はどうにか解決し、ろ過を利用してください。

濾過の種類

濾過はその原理から大きく以下の3つに分類することができます。

それぞれの濾過の種類について、以下で詳しく紹介します。

物理ろ過

ウールマットや粗めパッドなどによる物理濾過の模式図

物理濾過はその名の通り、水の汚れを物理的に取り去るものです。イメージ的には上の図のように、水槽の水をウールマットや粗目パッドのような目の粗い素材に通して、大きめのゴミを濾し取るような方法です。

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ウールマットや粗目パッドだけでなく、プロテインスキマーと呼ばれる装置も有効な物理濾過装置です。プロテインスキマーは、水中に微小な泡を発生させて、その界面に水の汚れの原因となる有機物や細菌などを吸着させて除去します。海水では非常に有効ですが、淡水では海水に比べて水の粘性が低く、うまく水が泡立たないためにあまり使われることはありません。

アンモニアが発生する前に有機物を取り除く

アクアリウムにおける濾過で除去したい主な物質はアンモニアです。詳細はこの連載の次回の記事で解説しますが、水槽内では生体の排泄物や餌の食べ残し等の有機物が分解されて、毒性のあるアンモニアが発生します。物理濾過の主要な役割は、アンモニアが発生する前に水中の有機物を濾し取り、アンモニアの発生を予防することにあります。

一般的なアクアリウムで飼育される魚などに比べて多くの餌を要求する亀や大型魚の飼育においては、当然その糞や食べカスの量も多くなります。このように大型の生体を飼育するアクアリウムでは、物理濾過を有効に使い、水が汚染される前に少しでも多くの汚れを取り除くことが重要なポイントになります。

水に溶けないゴミを取り除いて生物濾過の効率を上げる

物理濾過を使用して得られるもう一つの恩恵は、後述する「生物濾過」の濾過効率向上が期待できることです。

生物濾過は濾過バクテリアの働きによってアンモニアを分解する濾過方法です。このバクテリアがアンモニアを分解するためには酸素が必要なため、水中のゴミが多く水の流れが淀む場所があると、その場所では上手く濾過が行われません。物理濾過を生物濾過と併用することで、水中のゴミを減らして目詰まりが発生しにくくなり、生物濾過の効率向上が期待できます。

化学ろ過(吸着濾過)

活性炭などによる化学濾過の模式図

化学濾過は吸着濾過と呼ばれることもあり、小さな有機物等を吸着する性質を持ったろ材を使用することで、水の汚れを取り除く方法です。使用するろ材によって吸着し水槽内の自ら除去できる物質に違いがあります。

化学濾過で使用される濾材の種類

化学濾過で使用される濾材のうち代表的なものは、以下の3つです。

  • 活性炭
  • ゼオライト
  • イオン交換樹脂

活性炭は、水の黄ばみや後述する「生物濾過」で取り除けない物質を取り除くことが可能ですが、アンモニアを取り除くことはできません。アクアリウム用の活性炭としては「ブラックホール」が性能が高く有名です。

超高性能活性炭 ブラックホール
活性炭「ブラックホール」の効果と使い方ー熱帯魚や金魚の水を綺麗に!

アクアリウム用の超高性能活性炭「ブラックホール」を解説します。活性炭は流木のアク等の水の黄ばみや、重金属など生体に有害となる物質を吸着します。ブラックホールが吸着・無害化出来る物質や交換時期の目安、使い方等をまとめます。

ゼオライトは、活性炭と異なりアンモニアを吸着することが可能です。また、上手く扱うと一度吸着したアンモニアを放出させた上で、吸着剤として再度使用することもできます。

吸着材「ゼオライト」の効果・用途とアクアリウム水槽での使い方

アクアリウムでアンモニア吸着材や軟水化剤として利用されるゼオライトについて解説します。ゼオライトはその構造からイオン交換能を持ち、多孔質由来の吸着効果もあります。ゼオライトの吸着効果の原理と用途、使い方などをまとめます。

イオン交換樹脂はゼオライトと似た性質を持っていますが、吸着する物質の種類・傾向に違いがあります。濾過というよりも、水草水槽において金属イオンを吸着し、水質を軟水化させたい場合に使用されることが多いです。

吸着ろ材には有効期限がある

様々な物質を吸着できる物質があるため、化学濾過は万能な方法のように思えるかもしれません。しかし、化学濾過には一つ大きな問題点があります。

少し考えればわかることですが、吸着ろ材といっても無限に吸着できるわけではなく、吸着できる物質の量には限度があるのです。ほとんどの吸着材が比較的短期間(2~3ヶ月)しか効果が得られないため、メンテナンスが頻繁に必要になり、吸着剤を交換するコストが掛かかるという問題点を抱えています。

生物ろ過

バクテリアによる生物濾過の模式図

アクアリウムにおいて生物濾過とは、生体の排泄物や食べ残しの餌などから発生する毒性の高いアンモニア、および亜硝酸塩を無害化することを指します。さらに詳しく言えば、濾過バクテリア(硝化バクテリア)の働きを利用して、有毒な物質を無毒化または毒性の低い物質に分解するということを意味します。

従って、生物ろ過を利用するためにはバクテリアの住処となる場所(濾材)を水槽の水が通る場所に入れ、そこにバクテリアを定着させる必要があります。言い換えれば、バクテリアが濾材に定着するまでは生物濾過の効果は得られません。

多くのアクアリウムでメインになる重要な濾過方法

生物濾過は、アクアリウムにおける主要な毒性物質「アンモニア」「亜硝酸塩」を分解できる唯一の方法です。「物理濾過」はアンモニアの発生を予防する方法でしたし、化学ろ過は発生したアンモニアを吸着除去できるものの効果が一時的でした。従って、効果が出始めるまでには多少時間がかかるものの、汎用性が高く半永久的にろ過効果が得られる生物濾過が、ほとんどどのアクアリウムに置いてメインのろ過方法になっています(一部に、小型水槽で吸着ろ材を定期的に交換し化学ろ過をメインとするような特殊な場合も存在します。)。

酸素の供給が生物濾過のポイント

アンモニアや亜硝酸塩を分解するバクテリアは、これらの物質を分解する際に酸素を利用します。そのため、生物濾過を上手く働かせるためには水槽内の水に十分な酸素が含まれている必要があります。普通はろ過フィルターが起こす水流だけで十分な酸素が空気中から水中へと取り込まれますが、濾過能力を向上させたい場合には、エアレーションを行う場合もあります。

生物ろ過は物理ろ過や化学ろ過に比べると原理が少し複雑なので、上記のような簡単な説明ではイマイチわからない部分も多いと思います。ただ、このページで全てを説明するとちょっとバランスが悪いので、生物ろ過の詳細については以下に示す次回の記事で説明します。

アクアリウムにおける水槽内の有機物サイクル
生物濾過と硝化バクテリアの働きまとめ!アクアリウム水槽管理の基礎

アクアリウムや水生生物の飼育で非常に重要な「生物ろ過」について解説します。生物濾過とは、バクテリア(細菌)の働きにより、水中の有機物が腐って生じる有毒物質(アンモニア)を毒性の低い物質(硝酸塩)に分解することを指します。これより水換え頻度を減らすことが可能です。

こちらのページもぜひ読んでみてくださいね!

濾過の種類まとめ

今回は、連載「ろ過の原理と利用法」の第1回として、物理ろ過・化学ろ過・生物ろ過といったろ過の種類について解説しました。最後に、このページの内容を簡単にまとめておきましょう。

濾過の種類まとめ

  • 水の汚れの正体は有機物が分解されてできるアンモニアや亜硝酸塩である。
  • 物理ろ過は汚れが発生する前に有機物を除去する。
  • 化学ろ過は吸着ろ材を使って汚れを吸着除去する。
  • 生物ろ過はろ過バクテリアにより汚れを分解する。

今回の内容は、アクアリウムにおけるろ過を知るための基礎になる内容です。ぜひ、しっかりと頭に入れておいてくださいね。次回「生物ろ過と硝化バクテリアの働き」以降もアクアリウムの肝である「ろ過」についてバッチリ説明していくので、ぜひとも読んでみてください!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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