ブラックモーリーの飼い方と繁殖!アクアリウムの藍藻対策におすすめ!

ブラックモーリー(ライアーテール)
Molinezja szerokopłetwa odmiana “Black Molly” / Marrabbio

熱帯魚といえば赤や青といった鮮やかでカラフルな色合いを想像する人が多いですが、それだけが熱帯魚の魅力ではありません。今回は黒一色のシンプルな色合いが目を惹くブラックモーリーを紹介します。

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ブラックモーリーは見た目が綺麗なだけでなく、水槽内に発生する藍藻という藻類(コケ)を食べてくれるメンテナンスフィッシュでもあります。繁殖形態や適応水質がやや特徴的なので、導入前にこのページでよく勉強しておきましょう!

ブラックモーリーとは

和名・流通名 ブラックモーリー
学名 Poecilia sphenops
英名 Black Molly
分類 カダヤシ目カダヤシ科グッピー属
原産地 ベネズエラ、コロンビア、メキシコ、カリブ諸島の一部
飼い易さ ★★★☆☆
値段(1匹) 200円程度~
最大体長 6cm程度(オス)
10cm程度(メス)
寿命 3~5年程度
遊泳層 中層
生息環境 完全淡水~完全海水まで幅広く適応するが、アルカリ性の硬水を好む。
適合する水質 水温:21~28℃
pH:7.0~8.5
特徴 黒一色のシンプルな体色が特徴的。藍藻を食べるコケ取り生体として、淡水の水草水槽のみならず、マリンアクアリウムでも重宝される。

ブラックモーリーはカダヤシ目カダヤシ科(ポエキリア科)グッピー属(ポエキリア属)に分類される熱帯魚「モーリー」の色彩変異を固定した品種で、グッピーとは同属、プラティとは同科の魚です。これらの魚は「卵胎生メダカ」と呼ばれ、卵を産むのではなく、胎内で卵を孵化させて稚魚を産むという特徴的な繁殖形態をしています。

その繁殖形態から稚魚の生存率が高く、簡単に増える魚としても知られています。ただし、近年はインブリード(近親交配)が進み、病気に弱い点には注意が必要です。

形態

ブラックモーリーは名前の通り、全身真っ黒な色をしたモーリーです。全体的に丸みを帯びた体型をしており、短いヒレが特徴的です。

ブラックモーリーの体色が黒いのは、メラニズム(メラノーシス)という現象によるものです。メラニズムとは、体内でメラニン色素が過剰に合成されて皮膚が黒化することを指し、これによって黒化した個体のことをメラニスティックと呼ぶこともあります。ブラックモーリーの場合は、遺伝により先天的に黒化していますが、成長に伴って後天的に黒化する生物もいます。メラニン色素の欠乏により皮膚が白化する「アルビノ」の逆バージョンですね。

ラックモーリーの黒さには個体差があります。これは黒い体色を発現させる遺伝子をいくつ持っているかに依存し、黒色が強いものは稚魚の頃から真っ黒ですが、黒色が薄くグレーがかかったり、斑紋が入る個体もいます。

ただし、色の薄い個体も成長に従って黒色が濃くなっていく、という傾向も持ち合わせています。そのため若いうちにシルバーやゴールドの斑が見られる個体でも、成長につれて薄れていくことがほとんどです。黒一色のシンプルな体色ですが、鮮やかな熱帯魚と混泳させて色のコントラストを楽しむこともできます。

最終的にな体長はオスが6cm、メスが10cmほどです。寿命は約3年ですが、上手く飼育すると5年ほど生きることもあります。

オス・メスの見分け方

ブラックモーリーのゴノポディウム
Gonopodium of a black molly (Poecilia sphenops). / Darkmax

オスはメスより一回りほど体長が小さいです。また、オスは尾びれが変化した「ゴノポディウム」という交接器を持っており、メスとは尾びれの形が異なります。

生態

ブラックモーリーは穏やかで大人しい性格です。食性は草食傾向が強く、水槽についたコケ(藻類)を食べてくれる「コケ取り生体」としても知られています。また、植物ではありませんが、藍藻(らんそう)と呼ばれる水草などにつくと取れにくいコケを食べることでも有名です(以下参考)。

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植物質の餌に限らず、人工飼料や生き餌も食べるため、飼育に際してエサで困ることはないでしょう。

モーリーの原種・品種と交雑種

形態の項目でも説明したとおり、ブラックモーリーは「モーリー」という熱帯魚の色彩変異(メラニズム)を固定した品種です。従って、原種はモーリー、ということになります。海外では同属他種と区別するために、この原種のことを「ショートフィンモーリー」などの名前で呼ぶこともあるそうです。

また、モーリーの改良品種はブラックモーリーだけではなく、ゴールデンモーリー、ブラッドオレンジモーリー、ライアーテールモーリーなど多数存在します。この項目では、それぞれについて簡単に説明していきます。

モーリー

モーリー(Poecilia sphenops)
Poecilia sphenops / Hugo Torres

ブラックモーリーの原種であり、野生環境に生息している姿を残しているのがモーリーです。写真を見れば分かるように、体色は黒ではなく、銀色に近いです。「ショートフィンモーリー」という英名は、同属に「セイルフィンモーリー(セルフィンモーリー)」というヒレの大きな別種が存在するため、こちらと区別しやすいように付けられたものと思われます。

ブラックモーリー

このページで紹介している、モーリーの黒色変異個体(メラニスティック)を固定した品種がブラックモーリーです。ただ、ブラックモーリーはモーリーの改良品種であるタイプと、モーリーとセイルフィンモーリー(Poecilia latipinna)の交雑種のメラニズムを固定したタイプの2種類存在することが知られています。

モーリー、グッピー等の卵胎生メダカには、K-kiよりずっと知識があるマニアも多いため余計なお世話かもしれませんが、品種を維持したり改良するにあたっては系統の起源をしっかり確認することが重要です。ブラックモーリーが2タイプ存在することは頭に入れておいた方が良いでしょう。

ブラッドオレンジモーリー

濃いオレンジ系の黄色い体色をしたモーリーが、ブラッドオレンジモーリーです。真っ黒なブラックモーリーと比較すると、とても同種とは思えませんが、じっくりと観察すると体型は同じことがわかります。

ダルメシアン・モーリー

ダルメシアン・モーリーは、白~プラチナの体色に、細かくスポット状の黒い模様が入る、モーリーの中でも美しい品種です。ダルメシアンという品種の犬に似ていることからこの名前がつけられました。

ライアーテールモーリー

モーリーと上述のセイルフィンモーリーを交雑させ、尾ビレの両端が長く伸長する形態を選別して固定した品種がライアーテールモーリーです。このような両端が長く伸びる形状をした尾びれをライアーテール(Lyretail)と呼びますが、ライアー(Lyre、リラ)という楽器に形状が似ていることから付けられた名称です。

ライアーテールブラックモーリーと語源になった楽器「ライアー」
ライアーテールブラックモーリーとライアー(Coppia di Black Molly / Lyre-Guitare de Charotte le jeune

観賞魚の世界では、優雅さの感じられるライアーテールは観賞価値が高いとされ、モーリーだけでなく他の観賞魚でも多く見られます。

なお、現在流通しているセイルフィンモーリーは、以前はジャイアントセイルフィンモーリーとして流通していた大型になる種であり、旧来のセイルフィンモーリーとは別種であることに注意しましょう。現在流通しているセイルフィンモーリーは学名Poecilia velifera、ライアーテールモーリーの元になっている旧来のセイルフィンモーリーはPoecilia latipinnaとされています。

バルーンモーリー

バルーンモーリー(Balloon Molly)
Molly “balloon” female / Marrabbio2

バルーンモーリーは、モーリーの脊椎の奇形を人為的に固定させた品種で、寸詰まりで丸みのある体型をしています。まるまるとして可愛らしい姿が人気ですが、そもそも奇形を固定した品種であるため鰾(浮き袋)や消化器系に問題があることが多く、原種や他の品種と比べて寿命が短いです。また、モーリー由来のヒレの小さい個体よりも、セイルフィンモーリー由来のヒレの大きな個体が主流です。

欧米ではこのような奇形を固定した品種は嫌われますが、日本を含めアジア圏ではあまり抵抗感がない傾向にあるそうです。何でも欧米に倣うのが良いとは思いませんが、個人的には、バルーンモーリーのような品種を積極的に作り出すのは止めてほしいと思います。

その他のモーリー

ここで紹介した以外にも、モーリーの仲間には多くの品種が存在します。シルバー、グリーン、ゴールデンなどの色違いや、ブラッドオレンジライアーテールモーリーのような体色系の品種と体型系の品種の複合品種も存在します。

ただし、これらの品種は先にも説明したとおり、セルフィンモーリーの改良品種であったり、セイルフィンモーリーとモーリーの交雑種であったり、はたまた別のモーリーに由来する品種であったりします。モーリーという単一の種に由来する品種のみではなく、むしろ交雑種のほうが多いという点は知っておきましょう。

ブラックモーリーはグッピー等と交雑する点に注意

ブラックモーリーをはじめとした卵胎生メダカは、観賞用に近縁種が多く流通していることから、水槽内で交雑しやすいことが知られています。ブラックモーリーに関して言えば、同属の別種であるグッピーやセイルフィンモーリーと混泳させた結果の交雑がよく起こっています。

モーリーやグッピーは観賞性の高い魚であり、親の色や体型といった形質・表現が気に入って飼育している場合が多くあると思います。交雑すると当然ながら表現型が変化してくる可能性があるので、親の表現を子にも継承させたいのであれば、卵胎生メダカの混泳には十分な注意をはらいましょう。

また、インターネット上では同じカダヤシ科の別属であるプラティやソードテール、バリアタスとも交雑する、という記述を見かけることもありますが、これらは別属の熱帯魚なので、同属間に比べると交雑はしにくいはずです。しかし、100%ありえないとは言い切れないため、これらの種類にも注意しておきましょう。

ブラックモーリーの分布・生息地・生息環境

ブラックモーリーは中南米地域を原産地としており、ベネズエラ、コロンビア、メキシコ、またカリブ海の島などに生息しています。また、アクアリウムで飼育される熱帯魚として世界的に人気が高く、その結果として近年では日本やアメリカ、シンガポール、東ヨーロッパの一部にも定着しつつあります。

野生下では、淡水域から海水を含む海岸や湿地にも生息している汽水魚です。そのためブラックモーリーは塩分に強く、完全な海水でも飼育・繁殖が可能で、マリンアクアリウムのコケ取り生体として利用されることもあります。

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ブラックモーリーの飼育方法

ブラックモーリーは多くのアクアショップで、初心者向けの種類として取り扱われています。餌や水温には幅広く対応してくれるので、非常に飼いやすい種類であると言えるでしょう。

基本的な飼い方

ブラックモーリーは飼育しやすい種ではありますが、水の汚れには敏感です。成長した時にはかなり大きくなることを考えても、飼育する際には広い水槽を用意すると良いでしょう。

水質と病気の予防

水温は21~28℃が好ましいです。また、pHは7.0~8.5程度、硬度は中程度の硬水が望ましいです。本来は汽水魚ですが、水質が弱アルカリ性の硬水に保たれていれば、海水を混ぜたりする必要はありません。

ただし、水槽内の水質は水換えをサボると酸性に傾いていく傾向にあるため、水質はこまめに確認するようにしましょう。また、水草水槽は弱酸性寄りの水質が基本なので、ブラックモーリーをコケ取り生体として利用する際は、両者の共存できる中性付近の水質を狙ってください。

近年のモーリーは、インブリード(近親交配)の結果、細菌感染症などに弱くなっていると言われます。また、本来汽水魚であり塩分に柔軟に適応できることから、病原菌の働きが鈍る塩水での育成がすすめられることも多いです。

エサ

なんでもよく食べるブラックモーリーですが、基本的に草食性が強い種類です。給餌量を多少絞ると、水槽内のコケを食べるようになり、水槽内を綺麗にする役割を果たしてくれます。

混泳

ブラックモーリーは比較的大人しい性格なので、水質が合い、同じくらいの大きさの種類であれば混泳水槽で飼育することができます。また、カラフルな色合いの熱帯魚と混泳させると、ブラックモーリーのシンプルな色合いが引き立ちます。ブラックモーリーは弱アルカリ性の水質を好むので、同じ水質を好むレインボーフィッシュなどと上手く混泳させることができるでしょう。

アクアリウム水槽での役割

ブラックモーリーは草食性が強いため、コケ(藻類)を取る役割を果たしてくれます。冒頭に述べた「藍藻」という水草につく藻類の他に、水面の「油膜」も食べてくれるため、水槽を綺麗にしてくれます。

水槽のコケ対策!オススメのコケ取り生体の種類と効果まとめ
アクアリウムで問題になるコケの対策に有効なコケ取り生体を熱帯魚・日淡・エビ・貝から紹介します。各種のコケ取り能力やよく食べるコケ、特徴、価格、体長などをまとめました。またコケの種類別に有効なコケ取り生体もまとめています。

ブラックモーリーと似た働きをし、水槽のコケ取り生体として知られている魚やエビをこちらのページにまとめています。興味のあるひとは読んでみてください。

ブラックモーリーの繁殖方法

ブラックモーリーは繁殖力が高く非常に増えやすい熱帯魚です。オスとメスを同じ水槽に入れて飼っていれば、自然に稚魚が生まれていきます。繁殖の難易度は易しく、初心者でも手軽に繁殖を楽しむことができます。

卵胎生という特徴的な繁殖形態

ブラックモーリーのメスは卵を産みません。卵胎生という習性を持っており、メスが腹の中で卵を孵化させ、稚魚を直接生みます。妊娠したメスは卵を抱えるためお腹が膨らみ、目視で判別できます。

ブラックモーリーの成魚は稚魚を食べてしまう可能性があり、他の種類の熱帯魚から捕食される危険性もあるので、メスの妊娠に気が付いたら水槽を隔離してやるのが望ましいです。ただし、親魚であっても稚魚を食べてしまうため、稚魚が生まれた後は親魚からも隔離しましょう。

繁殖力旺盛なため増え過ぎに注意

2~3ヶ月という短い周期で稚魚を産み、一度につき30匹ほどの稚魚が生まれます。また、上述のようにブラックモーリーは近縁種であるグッピー等と交雑することもあります。気が付いたら信じられないくらい稚魚の数が増えてしまっていることになりかねないので、混泳には注意を払いましょう。

そして、オスがメスを交尾のために追い回し、ストレスを与えてしまう場合もあります。最悪の場合死んでしまうこともあるため、メスのストレスを軽減するためにも、1匹のオスにつき2~3匹の割合で、メスを入れるように心がけましょう。

ブラックモーリーの魅力・おすすめポイント

ブラックモーリーは黒単色のシンプルさが美しく、水草やカラフルな魚たちがたくさんいる水槽の中では特に目を惹く存在となるでしょう。大人しくて初心者にも手を出しやすいため、熱帯魚の中では人気が高くおすすめできる魚です。

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