「鶴は千年亀は万年」ということわざもあるように、亀は動物の中でも長生きな部類です。一部には人間以上に寿命の長い種類も存在し、流石に一万年生きたりはしないものの、昔の人が亀は万年なんて言いたくなる気持ちもちょっと分かりますね。
このように長生きな亀ですが、ペットとして飼育するとなるとその寿命の長さが逆に不安要素になることもあります。「果たして自分が最後まで面倒を見きれるのだろうか…。」長寿ゆえにそんな不安が生まれてしまうんですね。
今回はそういった場合の参考にもなるよう、種類別の亀の寿命や長寿記録をまとめてみます。亀の飼育を考えているが寿命絡みで不安のある方は、ぜひ参考にしてさい。
亀の長寿記録 ベスト3
まずは何かしらの記録が残っている亀の中で、最も長寿だった個体のベスト3を紹介します。びっくりするくらいの長寿記録ですよ。
1位 アルダブラゾウガメ
記録がある亀の中で最も長生きしたのは、アルダブラゾウガメのアドワイチャ(Addwaitya)です。
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アドワイチャは18世紀頃セイシェル諸島で捕獲され、イギリス東インド会社のイギリス人将校、ロバート・クライブのペットとして過ごした後、1875年にコルカタのアリポーア動物園(Alipore Zoological Gardens)に連れてこられて約130年過ごしたという記録が残っている。アドワイチャは2006年に肝不全により死亡したが、動物園に残っている記録から150年以上生きたことは確実である。それ以前の記録を継ぎ合わせると250年以上生きた可能性があると考えれられている。現在、アドワイチャの甲羅を使って炭素年代測定で年齢を割り出そうという試みがある。
- 引用元: Wikipedia
250年も生きるなんて、人間の寿命を完全に超えていますね。そのため、記録が曖昧になってしまっています。経歴に東インド会社が出てくるところとか、もう世界史みたいです。ただし、飼育していたロバート・クライブが最後にインドにいた1767年からアリポーア動物園が開園する1875年までの記録がなく、1875年にセーシェルから持ち込まれた個体とする報道もあるためこの記録については不確実なものとされているそうです。
記録の信憑性には疑問が残るものの、200年以上生きた可能性がある亀はこのアドワイチャくらいです。炭素年代測定で年齢を割り出そうとされるほどその年齢が興味関心を集めているのはやはり凄いことですよね。いつか200年以上生きたことが証明される日がくれば嬉しいですね!
2位 ホウシャガメ
ホウシャガメはアフリカのインド洋に浮かぶマダガスカルに固有の、甲羅に入る放射状の黄褐色の筋模様が美しい亀です。トゥイ・マリラ(Tu’i Malila)は18世紀の探検家ジェームズ・クックにより、1773年または1777年にトンガ王室に献上されたホウシャガメで、確認できる中で最も長く生きたカメ(188歳以上)とも言われ、当時のギネス世界記録で「確認できる中での動物最高齢」と認定されていました。
しかしこの記録についても、ジェームズ・クックがホウシャガメの分布するマダガスカルに寄港歴がなかったり、ジェームズ・クックとトンガの双方にホウシャガメの譲渡に関して記録がなかったりと、やはり不確実な記録という主張も有るようです。寿命の長い種類のカメには、ゾウガメのような大型のリクガメが多い中で、ホウシャガメは最大甲長40cmとそこまで大きくならないのが特徴的です。
3位 ガラパゴスゾウガメ
第3位は175年生きたという記録が残るガラパゴスゾウガメのハリエットです。
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ハリエット(Harriet、1830年頃 – 2006年6月23日)は、175年生きたと推定される、ガラパゴスゾウガメ(恐らく亜種サンタクルスゾウガメ Geochelone nigra porteri)である。
もともとハリエットは、チャールズ・ダーウィンによって1835年に初めてガラパゴス諸島で捕獲されたものだと考えられていた。捕獲された時は皿1枚程の大きさであり、6歳だろうと推定された。確かにダーウィンは3匹のカメを捕獲し、ビーグル号で母国イギリスに持って行ったが、遺伝子判定によって、ハリエットはダーウィンが一度も訪れていないサンタクルス島の固有亜種であることが示されているため、ダーウィンが持ちかえったカメではない可能性が高い。
1世紀以上もハリエットはオスだと間違えられ、従ってハリー (Harry) と名付けられていた。
- 引用元: Wikipedia
ダーウィンの進化論で知られるチャールズ・ダーウィンが絡んでくるところがまた歴史を感じさせますね。しかしこの記録も整合性の取れない部分があるため確実とはいえません。亀が長生きしすぎて人間の記録が可能な範囲を超えてしまっているようです…。
その他の長寿記録
上ではこれまでに何かしらの記録が残っている全ての亀の中で長生きした個体のベスト3を紹介しましたが、次は少し視点を変えて亀の長寿記録を紹介していきます。例えば現在生きている亀の中での最高齢とか、気になりますよね!?
現在最高齢はセーシェルセマルゾウガメ
現在も生存している亀の中で最高齢なのは、セーシェルセマルゾウガメのジョナサンで、2014年時点で推定160~180歳とされ、イギリス領のセント・ヘレナ島で暮らしています。
セーシェルセマルゾウガメは最大甲長138cmで現生のリクガメの最大種とされ、平均寿命は150年だそうです。もとの生息地よりもイギリスの気候の方が寒冷なため寿命が延びているのではないかと推測されています。
地元では5ペンス硬貨の裏側の絵柄に描かれているそうで、地域ぐるみで愛されていることが窺えます。これからもまだまだ長生きして欲しいですね。
信頼性のある長寿記録
上のほうでは信頼性のない記録ばかりだったので、確実な記録も紹介しておきます。
マリオン(セーシェルセマルゾウガメ)
1766年にフランス人探検家のマリオン・ド・フレネによって、セーシェルからフランス軍部隊の駐屯するモーリシャス島に連れてこられたセーシェルセマルゾウガメは1918年まで生き152年の飼育記録があります。主人であるマリオンの名にちなんでマリオンと呼ばれていたそうですが、もうちょっとちゃんと名づけてあげても良かったんじゃないですかね…。
ちなみにこのマリオンは砲台から落下した怪我が元で死んでしまったらしいので、それがなければもっと長生きしていたと思われます。
その他
その他の亀の長寿記録としては、ギリシャリクガメで149年、カロリナハコガメで138年、ヨーロッパヌマガメで120年の記録があります。リクガメだけでなくヌマガメでも100年超の猛者がいるんですねー。
南方熊楠の亀
日本での亀の長寿記録として私が知っている範囲では、「歩く百科事典」とも呼ばれた博物学者・生物学者(特に菌類学)・民俗学者の南方熊楠(みなかた くまぐす)が飼育していたクサガメが2001年まで生きており、およそ60~100歳だったという話があります。誤差の範囲が広すぎますが、もしクサガメで100年も生きていたら相当な長寿です。熊楠は1941年に亡くなっていますが、その後も丁寧に世話をしてくれる人がいたというのもなんだか心が温かくなる話です。
種類・分類別のカメの寿命
亀の長寿ランキングだけでなく、もう少し身近なカメについても種類・分類別に寿命を紹介してみます。亀の飼育を始めるときの種類選びの参考にしてください。ただし亀の種類ごとの寿命について詳細に調べた記録はあまりないので、あくまでも寿命の目安程度に認識しておいてもらうのが良いと思います。
リクガメの寿命
リクガメは大まかにはサイズの大きな種類ほど長生きする傾向にあります。日本で飼育しやすいと言われているのは、住環境の問題などもあり小型~中型のロシアリクガメ・ヘルマンリクガメ・ギリシャリクガメあたりです。これらのリクガメの寿命は、大雑把ですが30~50年程度と言われています。飼育すると決めたら一生のパートナーになってくれるくらいの寿命はありますね。
長生きなリクガメといえばこのブログで以前こんなニュースを紹介したことがあります。
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30年以上前に行方不明になった亀が鍵のかかった物置から生還
ブラジルで30年以上前に行方不明になっていたペットのアカアシガメという種類の亀が、物置から生きた状態で発見されました。シロアリを食べて生き延びたと推測されていますが、もの凄い生命力です。英語ニュースを引用して紹介します。
このニュースで30年ぶりに発見された亀はアカアシガメという中型のリクガメでした。この種も正確な寿命は分かっていませんが、野生下でも30~50年は生きるという話もあります。リクガメは総じて長生きな傾向にあるようです。
ウミガメの寿命
海洋で暮らすウミガメについては調査が難しく、その寿命もよく分かっていないというのが現状です。最近の研究では、甲長60cmのアオウミガメが90cmになるのに約23年かかったとか、甲長が30cmから75cmになるのに17年かかったという例が報告されているので、成長速度から考えても寿命は長そうです。
推定寿命はアオウミガメ・アカウミガメで70~80年ぐらい、タイマイで30~50年ぐらいとされています。カメ目最大種のオサガメの寿命は45年ほどと推定されていて、大きいほうが寿命が長い傾向にあるリクガメとは異なっています。ちなみに飼育下ですが、徳島県の「日和佐うみがめ博物館カレッタ」に1950年生まれのアカウミガメがいるそうです。
ウミガメはその生態上詳しい調査が難しそうなので、我々が知らないだけでもしかしたら現在の長寿記録を上回るような亀が世界の何処かにいるのかもしれませんね。
ミズガメの寿命
このブログのメインターゲットでもある水棲亀は、種類にもよりますリクガメやウミガメに比べると全体的に寿命はやや短い傾向にあります。アカミミガメ(ミドリガメ)・クサガメ・ニホンイシガメ・ミシシッピニオイガメ・カブトニオイガメなどの日本でペットとしてよく飼育される水棲カメの寿命は、おおよそ20~30年程度のようです。しかしこれらの種類でも50年生きた記録があったりもしますから、20~30年というのはあくまでも寿命の目安程度に考えて下さい。そして、20~30年でもペットとしてはかなり長命ですね。
ちなみに鶴の寿命は…
長寿な生き物として亀と一緒にあげられることの多い鶴の寿命は、おおよそ20~30年程度です。ここまでカメの寿命ばかり見てきたので、何だそんなものかと思うかもしれませんが鳥としては寿命が長い方だそうです。
まとめ
亀の寿命について色々と紹介しましたが、やはり皆さん知っての通り、カメは寿命がとても長い生き物ですね。最近はペットロスと言って、ペットが死んでしまった悲しみで精神的・身体的疾患を起こす人が出てきてしまっていることが時々話題になりますが、亀ほど長生きするペットなら、ペットロスの心配は多少減るかもしれません。亀とのんびりとした生活を送るのはなかなか良いものですよ!
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亀の寿命について、これまでの長寿記録と種類・分類別の目安を紹介しました。さすがに「亀は万年」なんてのは大げさですが、長寿記録は超生物級です。ペットとして飼育されるような種類は人間の寿命よりちょっと短い程度の寿命なので、とても長く一緒にいてくれるという点では、亀はかなりオススメのペットなのかも!