日本でペットとして飼われている亀の中で一番メジャーな種類といえば、アカミミガメ・通称ミドリガメでしょう。ペットショップで見かけるミドリガメは、鮮やかな緑色をした手のひらサイズの小さな亀でとても可愛らしいです。アメリカ原産の亀ですが販売価格は500円程度と非常に安く、思わず家に連れて帰りたくなってしまう人がいるのも頷けます。
しかしその一方で逃げ出したり捨てられたりしたミドリガメが日本の生態系を破壊していることが長きに渡り問題視されてきました。この問題についてはずっと対処の必要性が訴えられていましたが、あまりにも身近な動物過ぎて影響が大きすぎるため、これまで具体的な対策は取られませんでした。しかしつい先日、環境省がついにアカミミガメの輸入・販売・飼育の規制に向けたプロジェクトを始動させたことを公表しました。亀の愛好家のみならず、ペット業界にとってかなり大きな出来事といえるでしょう。
今回はそんなミドリガメを取り巻く問題と、環境省が発表したプロジェクトの内容、それによって今後ミドリガメ飼育にはどんな変化が起きるのか、さらに現在ミドリガメを飼育している人はどうすればよいのかなどの点について、詳細にまとめます。
2017/10/31 追記
本件について環境省に問い合わせたところ、「アカミミガメを特定外来生物に指定するという検討は行われたが、2017年現在ではアカミミガメを特定外来生物に指定する具体的な時期の指定はしておらず、今後も具体的な時期の予定はない。」とのことでした。従って、2020年を目処にアカミミガメが特定外来生物に指定されるという話は、現状白紙になったという理解で良いようです。
ミドリガメ(アカミミガメ)ってどんな亀?
学名 | Trachemys scripta |
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英名 | Pond slider Common slider |
分類 | ヌマガメ科アカミミガメ属 |
原産地 | アメリカ合衆国、メキシコ |
甲長 | 20cm程度(最大甲長 28cm) |
販売価格 | 500円程度 |
生息環境 | 野生個体の本来の生息域はアメリカおよびメキシコにある、ミシシッピ川・リオグランデ川水系です。また、世界各地に移入・定着しています。 |
特徴 | 黄色い複雑な模様が入る緑系の色合いの背甲と、眼の後ろから首にかけて入る赤くて太い筋模様が特徴です。アメリカ原産ですが、日本国内のお寺や神社などにある池に大量に住み着いていたりします。 |
ほとんどの人は知っていると思いますが、まずはミドリガメがどんな亀なのかという点について簡単に紹介しておきます。身近な割に、意外と知らないことが色々とあるかもしれませんよ。
ミドリガメという名前は、厳密には「ミシシッピアカミミガメ」という、「アカミミガメ」という種類の亀の亜種(種の一つ下の分類)を指します。環境省によって規制の対象と指定されるのは「アカミミガメ」という種であり、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)の他にも2亜種が規制の対象となります。アカミミガメという種に属する亜種は以下の3つです。
- ミシシッピアカミミガメ
- キバラガメ
- カンバーランドキミミガメ
キバラガメなんかは、ペットショップでもよく見かける日本でも馴染みの深い亀です。以前はアカミミガメには14の亜種があると考えられていましたが、近年では上記3亜種のみとされています。昔はミドリガメという名前で亜種の区別がなく適当に売られていたケースもあるようなので、ミドリガメという名前で購入した亀でも現在の分類ではアカミミガメではないという可能性もゼロとは言い切れないかも…。
ミドリガメはアメリカでペット向けにかなりの数が養殖されており、日本でもかなり安価に販売されています。現在では年間約10万匹がアメリカから輸入されており、全国で約180万匹が飼育されているといわれています。
これまでのミドリガメ問題と規制の議論
ミドリガメはペットとして非常に人気がある一方で、甲長約30cmと普通の人が飼育するには大きすぎるサイズにまで成長してしまう亀でもあります。甲長というのは甲羅の部分だけの大きさなので、手足も含めると相当大きく感じるサイズです。このレベルの大きさの亀をまともに飼育しようと思うと、飼育設備を整えるのには数万円はかかります。また、大人になると色もくすみ子亀の頃の可愛らしい雰囲気よりも、どちらかと言うと逞しい感じの亀に変化していきます。寿命も30年程度と長く、ペットとして死ぬまできちんと面倒を見るにはそれなりの覚悟がいる生き物です。
極端に安く販売されている割に、こういった長期間の飼育を通じて生じる問題がきちんと認識されていないため、無責任にもミドリガメを捨てる・逃がすという飼い主が多く存在します。その結果、日本に輸入され始めた1950~1960年代以降野生化するミドリガメが後を絶たず、日本の生態系に大打撃を与え問題となっています。
このブログでも過去に何度もアカミミガメ問題を取り上げてきました。そもそも今回の規制は、2013年の9月にミドリガメを特定外来生物に指定するという検討が始められたことに端を発します。
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どうなる日本の亀事情?ミドリガメが特定外来生物の候補に!
ペット亀として馴染みの深いミドリガメことミシシッピアカミミガメがモラルのない飼育者の遺棄等により野生化、生態系を破壊していることが問題となっています。これを受け環境省がミドリガメの特定外来生物への指定を検討し始めました。
特定外来生物とは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」によって定められた、日本在来の生態系を損ねたり、人の生命・身体、農林水産業に被害を与え得る外来生物を指します。現在は亀の中では「カミツキガメ」のみが特定外来生物に指定されていて、基本的に飼育が禁止されています。
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カミツキガメはなぜ駆除される?外来種問題やワニガメとの違い
カミツキガメは、甲長約50cm、全長約100cm近くまで成長する大型の亀で、陸上では特に攻撃的です。また、特定外来生物に指定されており日本では輸入・販売・飼育等が禁止されています。近縁種にワニガメが存在しますが、実はワニガメより噛む力は弱いです。
特定外来生物へ検討するという話が持ち上がったのには色々な理由があると思いますが、やはり生態系へのダメージという観点が大きいでしょう。
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乱獲で壊滅したイシガメ達から学ぶ、動物保護の最低限の知識
【拡散希望】ブログで交流のある方が保護するイシガメが、乱獲により壊滅的な被害を受けました。この事件を多くの人に知ってもらうと共に、野生動物の保護について考えます。WC/CB個体・持ち腹の是非や遺伝的多様性等を解説します。
こちらの記事は乱獲に焦点を当てた記事ですが、アカミミガメによる在来種・ニホンイシガメへの影響についても少し触れています。興味のある方は読んでみて下さい。
実は2005年(平成17年)の外来生物法の施行に合わせてアカミミガメを特定外来生物に指定することも検討されていたのですが、当時は「野外での繁殖確認事例が少ない」「大量に飼育されていて影響が大きすぎる」といった理由で指定が見送られていました。この時に特定外来生物に指定していたらもうちょっと現状はマシだったかもしれいないなーと思うと、残念な気持ちになりますね…。
このような行政による行動以外にも、アカミミガメ問題に対してはNPO法人など様々な団体・個人が取り組んでいます。活動内容は在来種の亀(主にニホンイシガメ)の保護活動、アカミミガメの駆除活動など多岐に渡ります。
兵庫県加古川市で行われた外来種・アカミミガメ(ミドリガメ)の駆除活動を紹介します。激減する在来種・ニホンイシガメを保護するための「和亀保護大作戦」という活動です。亀に限らず日本の生態系を守るために、様々な活動が行われています。 日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されているミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)の駆除方法として、カメ肉カレーにする方法が考案されました。試食会では意外にも好評だったとのこと。亀の駆除や活動の経緯について紹介します。
ニホンイシガメを守れ!固有種保護のための外来種の捕獲活動
ミドリガメ駆除方法に新案!亀肉カレーが意外においしい!?
このような経緯を経て、遂にアカミミガメの輸入・販売・飼育に具体的な規制が検討され始めたわけですが、こういう時に割りを食うのはいつもまっとうな人達なんですよね。ペットとしてきちんと向き合い、大切に育てているにも関わらず、一部のモラルのない人間のせいで規制に巻き込まれる人が本当に気の毒です。
環境省「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を公表
2015年7月29日、環境省はミドリガメについて、今後の目指す方向やその防除実現に向けた「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を公表しました。以下の環境省ウェブサイトの報道発表資料ページで内容を確認することができます。
- "「アカミミガメ対策推進プロジェクト」の公表について(お知らせ)"
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引用元
- 抜粋
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アカミミガメによる問題を解決するためには、アカミミガメの流通、個人による飼育、野外における防除等の様々な場面における様々な主体による理解の向上や対策が求められます。アカミミガメによる生態系等への悪影響のない(小さい)社会を実現するため、アカミミガメ対策の目指すべき方向を示すと共に、4つのプロジェクトを進めることで実現を目指します。平成27年度には、アカミミガメによる生態系影響、全国の生息状況の推計、流通量の調査等を実施し、それらを踏まえ、平成28年度からモデル事業を実施する予定です。
はっきり言って環境省のやっていることは対処が遅すぎ、自体の悪化を指を加えて眺めているようなものでとても褒められたものではないというのが私の考えなのですが、それでもこうして一歩前進したことはある程度評価したいと思います。今後今までの遅れを挽回するべく迅速に作業を進めていって欲しいと思います。
影響をあたえる範囲が広いこともあり、爬虫類関連のニュースとしては異例なほど数多くのメディアでニュースとして取り上げられています。
参考ミドリガメ駆除、輸入禁止へ…販売・飼育も規制 : 環境 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)(元記事削除済)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H16_Z20C15A7CR0000/
5年後の2020年を目処に特定外来生物へ指定
環境省の発表とニュースを読んだ上で今回の規制の具体的内容を要約すると、「5年後の2020年を目処にアカミミガメを特定外来生物へ指定する」という事になります。特定外来生物に指定されると、現行の「外来生物法」により輸入・販売・飼育などに規制がかかることになります。ただし飼育下にある個体も野生化している個体も数が非常に多く、社会的に大きな影響が出ることが予想されるため、特定外来生物への指定は時間を掛けて慎重に行うようです。
2017/10/31 追記
冒頭にも書いたとおり、2017年現在では「アカミミガメを特定外来生物に指定するという検討は行われたが、アカミミガメを特定外来生物に指定する具体的な時期の指定はしておらず、今後も具体的な時期の予定はない。」という状態です。2020年を目処にアカミミガメが特定外来生物に指定されるという話は、白紙になったという理解で問題ありません。
そこでアカミミガメを特定外来生物に指定する際にできるだけ悪い影響が出ないように、そしてより効果的に日本の自然環境からアカミミガメを取り除けるようにすることを目指して環境省が発表したのが、今回の「アカミミガメ対策推進プロジェクト」です。
「アカミミガメ対策推進プロジェクト」の目的
環境省が発表した「アカミミガメ対策推進プロジェクト」内容について簡単に説明しておきます。このプロジェクトの最終的な目的は、野生のアカミミガメの数を減らす、または根絶することにより、ミドリガメによって破壊された地域や国全体の生態系を再生させることを目指しています。またそれを通じ、アカミミガメ対策を含めた外来種対策の重要性を多くの人に理解してもらうことも目的です。
そのために、まずは外来種であるアカミミガメが国外から持ち込まれることを防いでこれ以上自体が悪化するのを防ぎます。その次に、個人または業者が飼育・管理しているミドリガメが捨てられたり逃げ出したりすることを防ぐため、適切な飼育が行われるように規制を行います。その上で既に野生化しているミドリガメを駆除し、今後も野生化しないよう対策する「防除」という作業を行うという流れです。
以下に、今回発表された「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を構成する4つの主要なプロジェクトを紹介します。
調査・計画プロジェクト
アカミミガメの生息状況や与えている悪影響、被害を受ける地域などを調査します。そしてモデル事業によって、影響緩和のための技術確立・計画策定を行います。モデル事業は平成28年度から実施される予定です。
3原則プロジェクト
「入れない」「捨てない」「拡げない」の3原則のもとに、ミドリガメの飼育に対する意識を向上させ飼育下にあるミドリガメが野生しないようにします。一度ミドリガメを飼い始めたら、死ぬまで飼育することを徹底させようというプロジェクトです。
規制検討プロジェクト
ミドリガメの飼育が規制されるということを十分に時間をかけて周知した上で、捨てられる亀が出ないよう、段階的にミドリガメの輸入や飼育に規制をかけます。
個人的に気になるのは、このプロジェクトではアカミミガメ以外の水棲亀の規制も合わせて検討するとしている点です。情報が少なすぎて何とも言えませんが、亀好きとしてはどうなるのかちょっと不安も感じます。
防除プロジェクト
調査・計画プロジェクトを踏まえ、国・自治体・市民団体・個人の協力により幅広い防除を行います。これにより、野外からミドリガメを排除することを目指します。
ミドリガメの輸入・販売・飼育・繁殖等をめぐる今後
アカミミガメ問題に対処するために、環境省が5年後を目処にアカミミガメを特定外来生物に指定する、というニュースを紹介してきましたが、ではアカミミガメが特定外来生物に指定されるとどのような変化が起こるのでしょうか。特定外来生物に指定されることによる輸入・販売・飼育などにおける規制内容を紹介します。
飼育・運搬は原則禁止
ミドリガメが特定外来生物に指定されると、飼育は原則禁止となります。法律に従って厳密に表現すると「飼養等」が禁止となり、これには運搬も含まれます。つまり野生のミドリガメを捕まえて家に持って帰ったりすることも禁止となります。
例外として、研究目的などで逃げ出さないよう適正に管理する施設を持っている場合などには飼育許可が降りることがありますが、ペット目的ではまず許可はおりません。実質的に飼育することは不可能になります。
飼育中の亀は届出が必要
特定外来生物として規制(指定)される前からペットとして飼っていた個体については、許可を取った場合に限り、規制後も飼い続けることができます。その場合、規制されてから6ヶ月以内に申請を提出して許可を得られれば、許可を受けたその個体に限って飼養等し続けることができます。
申請方法については、環境省の外来生物法の該当ページを読んで下さい。作成すべき書類が多く大変そうなので、申請しようという方は早めに行動することをお勧めします。
参考許可を取って飼養等がしたい | 日本の外来種対策 | 外来生物法
もしもあなたが今ペットとして亀を飼育したいと思っているのなら、5年程度でここまで飼育規制が強くなるミドリガメを飼うのはやめておくべきです。
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ペットに人気の水棲亀・リクガメの種類20選&飼育できない亀
ペットとして飼われる爬虫類の代表格「亀」の中で、人気の高い種類を水棲亀(ミズガメ)・陸棲亀(リクガメ)まとめて20種類紹介します。各種の生息地・値段・飼い易さなどをまとめます。飼育が難しい・禁止されている亀も紹介します。
世の中にはもっと飼いやすいペット向けの亀がたくさんいるので、そちらを検討してみて下さい。詳しくはこちらのページで紹介しています。
輸入の禁止
また、特定外来生物に指定された生き物は輸入も原則禁止になります。研究目的などで飼養等の許可を得ている人以外は輸入することができません。
野外放出の禁止
当然ではありますが、特定外来生物を野外へ逃すことは禁止されています。ミドリガメが特定外来生物に指定された後で捨てたり逃したりすると、それはもう立派な犯罪になります。
譲渡・販売の禁止
捨てる・逃がすこと以外に、飼養等の許可を得ていない人に譲渡・販売することも禁止です。ここまで読めば分かるように、特定外来生物に指定された生き物は研究目的など以外では入手することも禁止となっています。
個体識別措置義務
許可を受けて特定外来生物を飼養等する場合には、マイクロチップを埋め込むなど、個体識別措置を講じる義務があります。
繁殖も禁止
特定外来生物として規制される前から飼っていて、申請の後に許可を受けた特定外来生物であっても、ペットとして飼う場合は許可を受けた個体しか飼育できません。従って、特定外来生物への指定後にミドリガメを繁殖をさせることはできなくなります。
アカミミガメ愛好家の中には、この写真のようなアルビノなどと呼ばれる色変個体の飼育・繁殖に力を入れておられる方もいるのですが、こういった個体の繁殖も禁止になってしまうんでしょうね…。ペットとしては価値が高い貴重な個体たちだけに残念です。
違反した場合の罰則は非常に重い
上記の内容に違反した場合、一部の例外を除き個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金 / 法人の場合1億円以下の罰金となります。規制内容からも罰則からも、かなり厳しいものであることが分かりますね。それほど大きな問題になっているということです。
なおこの項の内容は環境省の「外来生物法の概要」というページを参考にまとめました。より詳しい情報が必要な方は、環境省のページも読んでみて下さい。
2017/08/06 追記
環境省のウェブサイトにおける、外来生物関連ページの変更に伴い、リンク先のURLを変更しました。
ミドリガメの飼い主が取るべき行動
ここまで、環境省が先日発表したミドリガメ(アカミミガメ)の輸入・販売・飼育規制の内容やその背景について紹介してきました。最後に、現在アカミミガメを飼育している飼い主、または(推奨しませんが)規制までにアカミミガメの飼育を始める予定の人が、今後どのような行動を取れば良いかをまとめておきます。
今回の規制は十分な周知期間が設けられており、実際に規制が始まるのは5年後の2020年とされているため、今すぐに何かしらの行動を取る必要があるわけではありません。しかし期限ギリギリに慌てて行動することの無いよう、早め早めの行動を心がけておいて下さいね。
特定外来生物の申請
もっとも重要なのはこの「特定外来生物の申請をする」ということです。上にも書いたように、ミドリガメが特定外来生物に指定された場合、6ヶ月以内に申請を提出して許可を得る必要があります。現時点ではまだ特定外来生物に指定されていないので申請はできませんが、書類の準備などが大変そうなので、指定されたらすぐに申請できるように準備などはしておくと良いでしょう。
申請は環境省の以下のページを良く読んで行って下さい。
参考飼養等に関する手続き | 日本の外来種対策 | 外来生物法
捨てない・逃がさない
当たり前過ぎてわざわざ書くまでもないと思いますが、飼育中のアカミミガメを絶対に逃さないで下さい。そういった軽はずみで無責任な行動がここまで重大な事態を招いたのです。一度生き物を飼い始めた以上、最後まで面倒を見るのは飼い主として最低限の責任です。また、外来生物法の対象となっていない現在でも、動物愛護管理法第四十四条により愛護動物を捨てる(遺棄する)ことは犯罪です。
特定外来生物に指定されることで手続きなどの必要があり、大変なのは分かりますが、ペットとして飼っていた亀を逃したところで野生環境には適応できずほとんどの場合死ぬだけです(ここまでの問題になったのは捨てられる母数が多すぎたため)。飼い主としてきちんと面倒を見てあげて下さい。
どうしても飼えない場合は…
もしどうしても止む終えない理由で飼育ができない場合は、引き取り手を探すことになります。亀を飼いたいという知人に譲るか(もちろん特定外来生物へ指定されることはきちんと伝えて下さい)、ミドリガメの引き取りを行っている動物園や業者に頼むことになります。
ミドリガメを引き取っている動物園としては、静岡県にある爬虫類がメインの体感型動物園「iZoo」や、毎年期間限定でアカミミガメを引き取ってもらうと入園無料となる兵庫県の「須磨海浜水族園(須磨水族館)」などがあります。これらの施設は完全なる善意でミドリガメの引き取りを行っています。安易に引き取ってもらおうなどとは考えないようにして下さい。面倒を見切れなくなったペットの尻拭いを動物園にさせるなんて、飼い主失格です。
ミドリガメを引き取っている業者も複数あるようですが、こういった業者が引き取ったミドリガメをどのように扱っているのかは不明な部分もあります。飼育してもコストがかかるだけなので、殺処分している場合もあるだろうということは知っておきましょう。
どうにもならない場合の最終手段は保健所に連れて行くことです。基本的に保健所に連れて行かれても亀の引き取り手は見つからないので、殺処分ということになります。殺処分の方法としては、冷凍庫に入れられ冬眠状態から次第に代謝が落ちて凍死、その後焼却されるそうです。逃がすよりはマシですが、ペットとして飼っていた亀を自分で殺しているのと同じということはしっかりと理解して下さいね。
遠い国から人間に連れてこられ、挙句の果てに駆除の対象になって悪者扱いされているアカミミガメはとても可哀想です。動物は人間から本当に色々な被害を受けているということは、紛れも無い事実ですね。
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ゴミのポイ捨てのせいで甲羅が変形した亀「ピーナッツ」のお話
アメリカ合衆国ミズーリ州でゴミのポイ捨てへの啓蒙活動のマスコットの亀が注目を集めています。ピーナッツと名付けられたこの亀は子亀の頃から約4年間ゴミに挟まり続け甲羅が変形してしまいました。その姿は大きな反響を読んでいます。
しかしこうなってしまった以上、我々にできることはやはり、アカミミガメが野生化する前の生態系を取り戻すために努力するということしかありません。飼育禁止や駆除という方法もありますが、何よりも、飼育を途中で投げ出すのは最低な行為という自覚を持ち、一度飼いはじめた亀の面倒をどうにかして最後まで見るということが大切ですね。
ミドリガメが遂に輸入・販売・飼育禁止とする検討が開始されたので、主に現在ミドリガメを飼育している人に向け規制の背景・内容・今後の展開・取るべき行動などをまとめました。ミドリガメが規制されることになったのは、決して亀のせいではなくモラルのない人間が悪いのですが、現状これ以外に解決手段はありません。アカミミガメ問題の解決に向け、一人ひとりの努力が求められています。