#つなごうミドリガメ に思うこと-生物多様性保全と動物愛護の狭間

Shell Game
Shell Game / laszlo-photo

こんにちはー。最近読書にハマっているK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。こんな感じでウェブサイトを運営していると、情報に対する感度を高く保っておかないといけないので、日常的に情報収集する必要があります。情報収集はどうしても手軽なインターネットに頼ってしまいがちなんですが、最近は本から得られる体系だった情報の価値を再認識しています。やっぱり無駄な情報が少なくて洗練されているのがいいですね。

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そうは言っても、インターネットでの情報収集を否定するわけではありません。情報拡散のスピードや手軽さは協力ですし、本では見つけられないような情報を見つけることだって出来ます。

そんな感じで最近見つけたのが、Twitterでの「#つなごうミドリガメ」というタグです。最近はGoogleなどでの検索ではなく、TwitterやInstagramといったSNSで検索して情報を得ている人が特に若い世代で多いそうですから、このタグも少なからず世の中に影響を与えているのかもしれません。

今回はこのタグに関連して、ミドリガメ問題に対してK-kiが思っていることをつらつらと書いてみます。

「#つなごうミドリガメ」とは?

今回のテーマである「#つなごうミドリガメ」というタグは、Twitterでミドリガメの駆除活動中止を訴えるものです。何時頃から使われ始めたものかは分かりませんが、2015年の12月19日にはすでに使用されているようです。

「ミドリガメの駆除ってなんのこと?」状態の人は、まずこちらの記事を読んでください。

ミドリガメ輸入・販売・飼育禁止へ-飼い主はどうすれば良い?
日本で最も人気のペット亀・ミドリガメ(アカミミガメ)が、生態系保護等の理由で2020年を目処に輸入・販売・飼育禁止となることが決定しました。規制の背景・内容・今後の展開と現在飼育している飼い主が取るべき行動をまとめます。

この記事の内容をざっくり説明すると、外来種であるミドリガメが日本の生態系を破壊しているため、「特定外来生物」に指定して2020年を目処に輸入・飼育・販売を禁止したり、より積極的な駆除活動を行う方針を環境省が打ち出したというものです。

これに反対し、ミドリガメの駆除ではなく修正飼育を主張する、ミドリガメを助ける署名(アカミミガメ)(@yuusiitidou)さんが このような署名活動をしています。

この署名活動で利用されているのが「#つなごうミドリガメ」というタグです。あとは、同様にミドリガメ保護の一環として里親募集を行っているかめんちゅ(亀人)(@kamekameshop)さんもこのタグを使っていますが、両者に関わりがあるのかは私は知りません。

今回わざわざこのタグに関する記事を書くことにしたのは、ミドリガメを助ける署名(アカミミガメ)さんのTwitterアカウントで、このAquaTurtliumの記事がリンクされていたからです。

#つなごうミドリガメ ミドリガメを助ける署名(アカミミガメ)

私の書いた記事を使ってもらえるのは嬉しい事なんですが、内容が内容ですし、一部私の考えとは異なる部分もあったので、一応私の考えもこちらにまとめておくことにしました。

動物愛護と生物多様性保全

私自身も完璧に理解しているわけじゃないのであまり、大きなことを書くのは気が進まないんですが、私が実現したいと思っているのは生物多様性の保全です。それに対し、上記の署名活動が目指しているのは動物愛護だと感じるのです。

生物多様性により保護される「生態系サービス」

人間は、生態系によって提供される多くの仕組みや資源から大きな利益を得ています。これらは「生態系サービス」と呼ばれ、平均して年間33兆ドル(約3800兆円)もの価値があると言われています。この生態系サービスは、主に以下の5つに分類されます。

供給サービス

食料、資源の供給など。

調整サービス

気候の調整、光合成による二酸化炭素の酸素への変換、洪水制御、廃棄物の分解・無毒化など。

文化的サービス

科学的発見やバードウォッチングができることなど。

基盤サービス

土壌形成や水・空気の浄化、農作物の受粉補助など。

保全サービス

様々な自然資源が利用のために確保されることなど。

このような生態系サービスは、バランスの取れた生態系によって供給されます。多くの生き物が複雑に絡み合ってバランスが取られている生態系においては、ある1種類の生き物が人為的に増えたり、減ったりすることによって、バランスが大きく崩されてしまうこともあるのです。

従って、生物多様性保全という考え方のもとでは、生態系のバランスを保つことが重要視されます。バランスを崩してしまったのなら、それを元に戻してやらないといけないわけです。それが今回でいうところの「ミドリガメの駆除」に相当するでしょう。

動物愛護は「生態系」ではなく「個体」を重視する

これに対し動物愛護という考え方では、生物多様性ではなく動物のそれぞれの個体を重視しているように感じます。1匹1匹の動物の命を大切にし、それを守るのが動物愛護でしょう。

別にこの考え方を悪く言うつもりはありませんが、私にとってこの考えはやや主観的すぎるように感じてしまうのが、私がイマイチ動物愛護活動に共感できない理由です。人間が「殺すなんて可哀想」と感じる身近な生き物ほど、動物愛護という考えにおいては重要視されているように感じます。

結局のところ「動物の命の大切さ」みたいな倫理観・感情に基づくものですから当然といえば当然ですが、人間誰しも同じ感情を共有することなんて出来ないので、多くの人が集まって目指すものとしては不明確に感じてしまいます。「俺は別にミドリガメが死んでも可哀想だと思わない」という人がいたら、動物愛護ってただの価値観の押し付けでしかないと思うんですよね。

そういった点でも、最終目標が「人間が受ける恩恵を守る」というある意味人間の都合でしかない生物多様性保全のほうが、人間なら誰しも納得できる単純明快・普遍的なものとして私にとっては受け入れやすいです。このような理由から、私が目指すのは動物愛護ではなく、あくまで生物多様性の保全です。

つまり、個人的にはミドリガメの駆除もやむを得ないと考えています。

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もっと多くの人がこの問題について「考える」べき

もちろん1人の亀愛好家として、ミドリガメが殺されないならそれに越したことはありません。しかしこのような保護活動に充てられる予算も限られているでしょうから、限られた予算を使うならミドリガメの保護施設を作るより日本固有種の保護施設を作って欲しいと思います。

しかしこれはあくまで私一人の考えです。動物愛護にのっとった「#つなごうミドリガメ」で募集されている署名も、もう500人を突破する勢いです。私とは違う考えの人のほうが多いのかもしれません。

それに、生物多様性保全という考え方も、人間の感情を完全に無視したものかと言われると疑問が残るのも事実です。世界最大規模の自然環境保護団体であるWWF(世界自然保護基金)が生物多様性について説明したページでも、このような記述がありました。

私たちはとかく、何が、いくら分の経済的価値があるのか、といった「ヒトの視点」で、物事の意味を語りがちです。しかし、生物多様性という一つの大きな世界を考えるとき、その視点だけで意味の軽重を問うべきではありません。生物多様性条約が作られた時、その前文の原案には、次のような文章がありました。

「人類が他の生物と共に地球を分かち合っていることを認め、それらの生物が人類に対する利益とは関係なく存在していることを受け入れる」

この文章は、最終的に削除されてしまいましたが、これは私たち人類が、地球上の生命の一員として、決して忘れてはいけない一条であるといえます。

引用元: 生物多様性の重要性|生物多様性って?|特集「生物多様性」|WWFジャパン

科学的情報を基準に活動を行っているWWFでも、こういった倫理観的な視点と決別しているわけではないというのが、生き物の保護活動の難しいところですね。生き物のことを大切に思っているからこそ、考え方に違いが生じて時として対立してしまう。

私がこの問題で大切だと思うのは、もっと多くの人がこの問題を知り、そしてもっと考えることです。そうすれば、少なくとも何も考えないよりは、良い案が浮かんでくるんじゃないかなと思っています。

私は今回の署名活動の方針に賛成はしないので、署名もしていませんが、こうやって活動を起こすことは賞賛される行動だと思っています。Twitterでは難癖をつけているだけの人もいるようですが、文句を言うだけでは何も変わりません。自分に何ができるか、考えてみるべきではないでしょうか。

K-kiもまだまだ勉強中!

ミドリガメ問題について、現時点での私の考えを書いてみましたが、私も専門家ではないのでまだまだ勉強中です。最近はとりあえずこの本を買って読んでいます。

野生動物を保全し、人間との関係を調整して管理する「ワイルドライフ・マネジメント(Wildlife Management)=野生動物管理学」について、この分野の先進地域である欧米を参考にしながら、日本独自の実現方法を考えています。

この本を読んだり、他の本や情報源からもっと情報を集め、生態系・生物多様性の保護や動物愛護についてもっと知識をみにつけた上で、また記事を書いてみようと思います。どんな新しい発見があるかとても楽しみです。

ちなみに、当サイトで野生動物の保護活動をテーマとしたページは、こちらにまとめてあります。

野生生物保全
野生生物の保護・保全や管理に関連する記事のまとめです。絶滅の危機に瀕する希少な生物や日本の生態系に影響を及ぼす外来種問題への対策など、生物多様性の保全に繋がる情報を紹介します。野生生物の保全は自然環境の保護へと繋がり、人間へも恩恵をもたらします。

ミドリガメ問題やその他の生物の保護活動についても紹介しています。興味のある人はぜひ目を通して、あなたなりの考えをまとめてみてください。

Twitterで見かけた「#つなごうミドリガメ」タグに関連して、私が考える動物保護について書いてみました。まだまだ勉強中なので、詳しい方がいれば「ここがおかしい」とか「こういった考えもある」など、指摘してくださいね!

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#つなごうミドリガメ に思うこと-生物多様性保全と動物愛護の狭間
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コメント

  1. イシガメ飼育者 より:

    同感です。
    私も環境を含む生態系が大切だと思います。
    希少種を手元に置く事を保護だと勘違いしてみえる方も増えて来ていますが。
    この手の活動に「私が」を入れてしまうと話しがおかしくなります。
    私が欲しいから採るなとか私が飼いたいから採るなとかね。
    この場合、採る奴が入れ替わるだけで結果は全て悪い方に行きます。
    ですから法による締め付けが最も有効であると私は結論をだしました。
    馬鹿らしいですから、相手にするのは。

    • K-ki K-ki より:

      イシガメ飼育者さん、こんばんはー。

      >希少種を手元に置く事を保護だと勘違いしてみえる方も増えて来ていますが。
      これが本当ならいくらなんでもひどいですね。ちょっと頭が悪すぎるとしか言いようがありません。

      法規制については、私個人としては飼育の禁止までする必要はあるのかなー、という思いはありますが、生物飼育には最低限の知識を持つことが必須だと思っています。法的な規制を考えるのであれば、ペットの飼育を許可制にするとか、簡単なペーパーテストを課すとか、そういう方法も考えられるのではないかなと思います。

  2. イシガメ飼育者 より:

    正論ですね。
    正しいからこそ正論。
    ですが、今現在は正論を通すのは非常に困難です。
    本日も東京のブラックアウトで目を覆いたくなる数のニホンイシガメの捕獲個体が叩き売りされました。
    実際には、ペットの範疇を超えた求め方をするのは、愛好家と言うよりは、二匹目のドジョウを狙う連中だったりしますが、保護を全面に出してアピールを繰り返しています。
    内容は乱獲と大量卸しと言った建前とは間逆の行動をしていますが。
    資格も二種ではなく一種取得者ばかりです。
    私も保護活動を始めた当初、一時保管にしろ飼育頭数が多くなる為に、県の窓口に問い合わせましたが、爬虫類の野生種に関しては法の外に居る種である為、一切の資格や届けは要らないと返答をもらっています。
    つまり、二種ですら必要が無い。
    その中で販売用の業務資格を持つ事が何を意味するかです。
    残念な事に私の周りにも保護活動を全面に押し出し、他人に圧力をかけ、変な噂を流していた人物が見つかり、内状を知る事となりました。
    アカミミ問題もかなり金が絡んでいますから、それぞれの良心に任せるのも難しいと思います。
    外来生物法に関しては駆逐淘汰が目的とはっきり返答をもらっていますから、これは絶対に変わらないです。
    新規で飼う事も譲渡も移動も認めない、対応は遅くなりましたが、良いと思います。
    あとは、ハナガメに続いてクサガメも同様の対策を早急に行い、ニホンイシガメに関しては希少種登録を迅速に進めてほしいです。
    それで私自身に手放せと要請が来れば手放しますし、水族館他へ引き渡せと言われれば引き渡します。
    全頭履歴付きですから勿論、自然に帰す事も可能です。
    要は何かを飼うにしても、しっかり知り覚悟を持ってやらなきゃならない。
    それが出来ずに招いた結果ですから、厳し過ぎる締め付けも仕方ないです。

    • K-ki より:

      イシガメ飼育者さん、コメント返答が遅くなりました。

      保護活動が悪質な業者の隠れ蓑になるというのは皮肉な話ですね。保護を建前にしておくと業者にとってどのようなメリットがあるのかは分かりませんが、現実にそのような問題が起こっているのであれは、やはり制度上問題があるのでしょう。

      最近生物多様性保全について少しずつ勉強しているところですが、この手の問題に関して先進国であるアメリカなどを参考にする必要がありそうですね。国立公園のような保護区域を大規模に設定したり、その管理者としてきちんと資格を持った人間を配備するなど、悪質な業者がつけ入るスキのない制度を策定しなければならないのかもしれません。国土の狭い日本では難しい話なのかもしれませんが、地方の過疎化などを逆手に上手くやる方法を考えたいところです。

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