爬虫類飼育 図鑑

ウンキュウ-イシガメ・クサガメと交雑種の特徴・見分け方

2014/12/24

先日、うちのニホンイシガメがクサガメの血が混ざったウンキュウかもしれないという記事を書きました。

頭部の拡大写真
【鑑定希望】ウチのニホンイシガメはウンキュウでしょうか?

私のニホンイシガメがクサガメとの交雑種である「ウンキュウ」ではないかとの疑惑が持ち上がっています。できれば純粋なニホンイシガメでいて欲しいのですが、不安なので詳しい方は鑑定して頂けませんか?多くのご意見お待ちしています。

この記事に対してブログやSNSへのコメント、メールなど色々な場所で意見をいただきました。せっかくいただいた意見なので、多くの人にも役立ててもらえるように記事にしてまとめておきます。

先に結論を言うと、うちのイシガメはおそらくウンキュウではなくニホンイシガメだと思われます。もちろん厳密にはDNA鑑定くらいのことはしないと断定できませんが、この記事では主に外見などからウンキュウを判別する方法を紹介します。

ウンキュウ

前回の鑑定希望の記事にもウンキュウについての説明は書きましたが、ここでももう一度説明しておきます。

概要

ウンキュウとは、ニホンイシガメとクサガメの交雑種のことを指します。名前の由来にはいろいろな説がありますが、中国語で陸上や淡水に生息する亀を意味する「烏亀(ウーグェイ)」が変化して「ウンキュウ」と呼ばれるようになったと言われています。

種間の交雑によって生まれる交雑種では、一般的には繁殖能力が失われていることが多いのですが、ウンキュウでは繁殖力をもつ個体が多いという特徴があります。そのためウンキュウ×ウンキュウ、ウンキュウ×ニホンイシガメ、ウンキュウ×クサガメといったペアからも子供が生まれてしまい、遺伝子がどんどん混ざることになります。つまり純粋なニホンイシガメやクサガメの減少につながってしまうわけです。

またイシガメとクサガメの交雑種だけでなく、ニホンイシガメ×ハナガメで「ハナウンキュウ」、モロッコイシガメ×ウンキュウで「もろきゅう」などという交雑種もいるようです。これらは自然下で発生しているものというよりはブリーダーが作出しているようですね。個人的には、雑種を意図的に作り出すような行為は生き物で遊んでいるように感じられてあまり好きではありませんが…。

特徴

ウンキュウにはイシガメの特徴が強く出た個体(イシガメ型)とクサガメの特徴が強く出た個体(クサガメ型)がいます。上に書いたように繁殖能力があるため、イシガメとクサガメのハーフのみならず、クォーターやそれ以下の交雑率の個体も生まれ、そのような個体では血が濃い方のカメの特徴が強く現れます。

例えばこの亀は、甲羅や顔にはクサガメの特徴が強く現れていて一見するとクサガメに見えますが、手足にイシガメの特徴であるオレンジのラインが出ている(1枚目の左前脚)ことや甲羅の色合いからウンキュウと判別できます。こういった個体はクサガメ型とされるわけですね。

他にも多くのウンキュウの画像をGoogleの画像検索で見ることができます。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%82%A6&hl=ja&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=xcuCVND_DKOgmQXnm4HQDg&ved=0CAgQ_AUoAQ&biw=1883&bih=943#imgdii=_

生態系との関わり

ウンキュウはその珍しさから以前は「幻の亀」と呼ばれ、高値で取引されていたこともありました。その場合にはブリーダーがイシガメとクサガメを掛け合わせてウンキュウを生まれさせていましたが、今では野生下でも多くのウンキュウが見られるようになってしまいました。これは生息環境の変化や外来種の存在により、これまであまり交わることのなかったイシガメ・クサガメの生息域が重なり始めているからと考えられてます。

ウンキュウのような雑種が、人間の飼育下のみで楽しまれるのと野生下で生まれてくるのは全く異なる意味合いがあります。野生下でウンキュウが増えることは、純粋なニホンイシガメの減少にもつながる、生態系にダメージを与えうる現象です。この点については、今後より詳細な調査がされると良いのですが…。

ウンキュウ・ニホンイシガメ・クサガメの見分け方

ニホンイシガメとクサガメそれぞれの特徴を紹介します。ここで紹介する特徴の内、イシガメの特徴もクサガメの特徴も併せ持つ個体はウンキュウである可能性が高いと言えます。また、ウンキュウに顕著にあられる外見的な傾向も紹介します。

顔の模様

クサガメは上の画像のように顔の周囲に黄色い縞模様があります。

頭部の拡大写真

それに対しニホンイシガメは、色の濃淡はあるものの明瞭な模様はありません。これはクサガメとニホンイシガメを見分ける上ではかなり分かりやすいポイントです。

上で紹介した画像でも分かるように、クサガメの目は瞳の周りは白~明るい黄色っぽい色で、瞳の横に黒い帯状の模様が入ります。ニホンイシガメは瞳周辺の色がもう少し暗く、帯状の模様も入りません。

甲羅

亀の代名詞とも言える甲羅にも、ニホンイシガメとクサガメでは分かりやすい違いがあります。

背甲

クサガメ
ニホンイシガメ

全体像

背中側の甲羅(背甲)では、キールと呼ばれる甲羅の縦方向に入る盛り上がった筋がクサガメでは3本なのに対しイシガメでは中央の1本のみという違いがあります。また、クサガメは甲羅全体が楕円に近い形であるのに対し、イシガメは背甲の後縁部がギザギザしています。ただしイシガメの甲羅のギザギザは成長とともに目立たなくなります。

腹甲

おなか側の甲羅(腹甲)にも違いがあります。クサガメの腹甲はかなり黒っぽいものから上のように白系の色で模様が入る場合があるのに対し、イシガメの腹甲はほとんど真っ黒です。

また、ウンキュウの腹甲についてこのブログの読者の方からもメールで情報を頂いたのでそちらも紹介します。

ウンキュウの場合、生後すぐから半年程の期間ですと画像の様に、腹甲に少し模様が入ります。

http://reoturtle.blog76.fc2.com/blog-entry-218.html

画像はリンク先を見てください。ウンキュウの子亀の腹甲にクサガメ風の模様が入っているのが分かります。

先程の腹甲の特徴は、生後半年位で消えてしまい以降は通常のイシガメと変わらなくなってもはや判別が不可能になります。

ただしこの模様は生後半年くらいで消えてしまうので、もし私のように自分の亀がイシガメなのかウンキュウなのかで迷った場合には昔の画像を調べる必要があります。うちの亀の場合は腹甲に模様が入っていたことはなく、ウンキュウに見られるこの特徴には当てはまりませんでした。

ニホンイシガメ腹甲

イシガメの場合ですと、生後すぐでも腹甲がほぼ真っ黒な傾向が高いです。色が入っても尻尾の付け根の2枚の甲板のみ(肛甲板)です。

イシガメにも腹甲に模様が入ることはあるようですが、画像のように尻尾周辺のかなり限られた範囲にしか入らないようです。情報を下さった日暮琥珀さん、ありがとうございました。日暮琥珀さんのブログは以下で見ることができます。

http://ameblo.jp/kohaku-mahiro/

手足

クサガメの手足は基本的に黒っぽい単色になっています。

前脚

それに対してニホンイシガメの手足は側面にオレンジ色のラインが入っている場合があります。

このオレンジのラインはイシガメの生息地(西日本・東日本)によって有ったり無かったりするそうです。うちの亀ではハッキリと確認できています。

この亀は全体的にクサガメの特徴が現れていますが、前脚にオレンジ色のラインが出ているので恐らくウンキュウです(甲羅の色もイシガメっぽい)。野生の個体のようですので、やはり自然下でもウンキュウが生まれているのがうかがえます。

性成熟

成長にともなって現れる特徴にも、イシガメとクサガメで違いがあります。

私が飼っていたウンキュウのオスも特徴はほとんどイシガメでした(最初はイシガメだと思ってました)。それがあるとき、クサガメほどではありませんが、黒化しました。クサガメのオスは性熟すると黒化します。その特徴が出ていたのだと思います。

こちらは前回の鑑定希望の記事に頂いたあぅぴーさんからのコメントです。この発想は私にはなくかなり参考になりました。

クサガメのオスは性成熟にともなって、5歳頃からメラニズムを起こし色がかなり黒っぽくなるという特徴があります。上の画像はメラニズムを起こしたクサガメのオスで、通常のクサガメと比べてかなり黒いのが分かると思います。この特徴は交雑種であるウンキュウにも受け継がれるもので、それに注目すればうちのイシガメがウンキュウかどうか判別する手がかりになるだろうということでした。

ウチの亀はオスであることは分かっているので、今後もこの点は注視して行きたいと思います。

求愛行動

ご存じだとは思いますが、求愛行動が違います。イシガメはオスがメスの前で前脚を手招きのように動かすのに対し、クサガメはオスがメスの前で頭を振ったり、頭突きをしたりします。

こちらもあぅぴーさんからもらったアドバイス。これも私には思いつかない視点からの判別法でした。よく考えれば見た目以外でも判別できるポイントが有るはずですよね!参考になります。

ウチの亀は求愛行動も完全にイシガメパターンです。ウチにはオスしかいないのですが、なぜかオス同士で求愛していたことが(割と頻繁に)ありました…。メスがいなくてごめんね。

生態

他にもあぅぴーさんからは、見た目意外のクサガメ・イシガメの特徴から判別する方法を紹介していただきました。主なものは以下の3つです。

  • 泳ぎはイシガメの方が上手いが、水への依存度はクサガメの方が高い
  • イシガメは陸でも問題なくエサを食べることができるが、クサガメは飲み込む際に水がないと飲み込めないか相当に苦戦する
  • イシガメの方が低温に強い

見た目以外の特徴から判断するという考えは私にはなく、非常に参考になる意見ばかりでした。あぅぴーさん、ありがとうございます!

ウチのイシガメがウンキュウだと思われた原因

ウチの亀はこれまで紹介してきた特徴の全てでイシガメの特徴に当てはまっています。従って私は、かなりニホンイシガメである可能性が高いとの結論に至りました。ここで、そもそもなぜウンキュウかも知れないという疑惑が生まれたのかについてもう一度考えてみます。

問題となったのはこの写真です。

AquaTurtlium遂に1周年

この写真のイシガメの目が、一般的なニホンイシガメとは異なり白い部分がはっきりしているのが気になるというのがそもそもの指摘でした。クサガメの目そのものというわけではないのですが、確かにイシガメとは少し異なる印象も受ける写真です。これについて原因を考えてみました。

撮影環境が一般的な環境より明るかった

私のイシガメ飼育環境は屋内飼育で、水槽には熱帯魚用の照明を使用しています。写真を撮影するときにはこの光の直下で撮影するのですが、この環境が屋外に比べると明るめになっていたと思われます。

亀の目の中心の黒い部分は瞳孔なので、明るければ明るいほど小さくなります。すると目の周りの部分が相対的に目立つようになるんですね。これが亀の目の印象が普通のイシガメと異なったひとつの原因だと思います。

カメラの色調補正機能で黄色が出にくい設定になっていた

もう一つは、照明の色です。私の環境では、熱帯魚用の通常照明、爬虫類用紫外線ライト、保温用白熱電球の3つの証明を利用しています。熱帯魚用の照明と紫外線ライトの光は「昼光色」という白色に近い色の光ですが、白熱電球は「電球色」というかなりオレンジ色っぽい光です。

この照明下で撮影をすると亀がかなりオレンジ色っぽく写る場合があるため、カメラの色調補正でやや青っぽく写るように設定しています。このあたりの照明の色とカメラの色調補正の兼ね合いで、瞳周辺がかなり白っぽく撮影された可能性があります。

頭部の拡大写真

実際に水槽の外で撮影すると、上の写真のように印象が変わり、ニホンイシガメの個体差の範疇に入りそうな雰囲気になります。どうやら飼育環境の照明とカメラによる影響が少なからずあり、ウチのイシガメがウンキュウのように見えたと思われます。

ただし最初にも書きましたが、この記事に書いた内容だけでニホンイシガメだと断定できるわけではありません。野生下での交雑も進んでいることから、目に見える特徴には現れなくとも先祖を辿って行くとクサガメの血が混ざっている可能性もあります。Facebookでも意見を頂きましたが、亀に詳しい先生に血液などからDNAを調べていただくなどしなければ、断定まではできませんね。

流石にDNA検査までしてもらうのはハードルが高いので、今回はこの辺りでこの問題の追求はおいておくことにします。しかし色々な方のアドバイスを頂くことができて非常に勉強になりました。ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。

K-ki

ニホンイシガメ・クサガメの特徴を比較し見分ける方法を紹介しました。ウンキュウであるかどうかの区別にも役に立つと思います。こうやってまとめてみると、当たり前ですがニホンイシガメとクサガメは見た目も生態もかなり違うことが再認識出来ました。うちの亀も一応ニホンイシガメという結論が出せて一安心です。良かった良かった!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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