熱帯魚・観賞魚 図鑑

金魚の飼育法まとめ:水槽選びや餌から産卵・繁殖まで!金魚すくいの金魚を長生きさせよう

2017/08/26

金魚(ベールテール)

日本で最も馴染みの深い観賞魚と言えば、やはり金魚ですよね。夏祭りに行けば金魚掬いの屋台がでていて、子供の頃に金魚掬いの金魚を買っていたという人も少なくないでしょう。

金魚は丈夫な魚なので、雑な飼い方をしても簡単には死にませんが、その魅力を堪能するためにはやはりきちんとした飼育環境を整えて飼育すべきです。金魚のためというのはもちろんですが、金魚という小さな生き物と触れあう子供にとっても、命と向き合ってしっかりと世話をする経験はとても貴重なものになります。

今回は、アクアリウムが大好きなK-ki(K-ki@AquaTurtlium)がその経験を活かし、初心者でも失敗しない金魚の飼い方を解説します。

金魚を飼うために必要な飼育用品

まずは金魚の飼育に必要なもの・用意するものを紹介します。夏祭りの夜店で数百円ですくえてしまう金魚ですが、飼育するためにはその何十倍ものお金が必要です。本当は入手する前に飼育用品を揃えられるかよく考えるべきですが、金魚掬いの後ならもう腹をくくるしかありません。安く入手する方法も合わせて紹介するので、まずはきちんとした飼育器具を揃えましょう。

水槽

言われなくてもわかると思いますが、金魚を飼育するためには水槽が必要です。中には、池やビオトープ、睡蓮鉢などで金魚を飼育する人もいますが、このページではシンプルで簡単な飼育方法を中心に紹介するので、水槽のみを扱います。

具体的なおすすめの水槽などは「水槽の選び方」の項目で紹介しますが、基本的にはガラス製の60cm規格水槽を選んでおけばよいでしょう。

ろ過フィルター

金魚を飼育するためには、水槽の水を常に清潔に保つ必要があります。もちろん重要なのは水換えですが、現実的には水換えを行うことのできる回数には限りがあり、水換えによって急激に水質が変化すると飼っている金魚にも負担がかかります。

そのため、水換えをしなくても水質が出来る限り悪化しにくくなるように、金魚を飼育する際には水槽の水をろ過して綺麗にする「ろ過フィルター」を使用します。

水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品

熱帯魚、金魚、亀等を飼育するアクアリウムで必要になる水槽用のろ過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルター等のろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽や、ろ過の原理、ろ過フィルターの種類、ろ材についてもまとめます。

ろ過フィルターについてはこちらのページで紹介していますが、ろ過フィルターを買っただけでは上手く使いこなすことは出来ません。ろ過フィルターがどんな仕組みで働くのか・どういった原理で水が綺麗になるのかを知る必要があります。

連載ろ過の原理と利用方法

当サイトはアクアリウムの専門サイトなので、ろ過フィルターの原理についてはこちらにかなり詳細にまとめてあります。このページ内の「水質管理・ろ過フィルターについて」の項目でもろ過について説明していますが、余裕のあるひとはこちらも参考にしてください。

水温管理

金魚に限らず観賞魚を飼育する際には、水温の管理はとても重要です。水温が適切な範囲から外れてしまうと、金魚にダメージを与え最悪の場合は死んでしまいます。水温が低い場合はヒーター、高い場合は冷却ファンかクーラーを利用して水温を調節する必要があります。

ヒーター

金魚は寒さに強いため、基本的にヒーターは必要ありません。ただし、低水温のほうが白点病の原因になる寄生虫が活発になるのが気になるとか、ピンポンパールのような奇形を固定したために体の弱くなっている改良品種を飼育している場合などは、ヒーターを設置するのも一つの方法です。

熱帯魚水槽のヒーター・サーモスタットの選び方とおすすめ

アクアリウムで冬場に水槽水温を維持するため、ヒーターやサーモスタットを使用し水を加熱する際の注意点や、オススメの商品も紹介します。ヒーター・サーモスタットは正しく使わないと事故に繋がるので、安全上の注意点も紹介します。

ヒーターについての詳細はこちらのページで紹介しています。このページでは金魚飼育やアクアリウムで使用する水槽用ヒーターの基礎を軽く紹介するに留めるので、詳細は上記リンク先を参照してくださいね。

補足説明

ヒーターには3つの種類があります。

  1. 設定温度固定型
  2. サーモスタット一体型
  3. サーモスタット分離型

故障時にヒーターだけを交換できるという点で、ヒーターとサーモスタットが別売りになっている「サーモスタット分離型」が最もおすすめですが、初期費用を抑えたいならサーモスタットとヒーターが一体化している「サーモスタット一体型」でも良いでしょう。設定温度を変更できない「設定温度固定型」のヒーターは、金魚の飼育には中途半端な設定温度のものがほとんどのためおすすめしません。

クーラー・冷却ファン

金魚は高水温にもある程度耐性があり、健康な状態であれば32℃程度の水温までなら飼育できます。しかし、夏場の湿っきた屋内に設置された水槽の場合、水温がこれ以上に高くなってしまう場合もあります。

水槽の水温を下げることができる飼育用品には、高性能ですが値段が高く電気代もかかる「水槽用クーラー」と、性能は低めですが値段・電気代ともに安い「冷却ファン」の2つがあります。高水温にある程度体制のある金魚を飼育する場合には、クーラーまでは必要ありませんが、冷却ファンくらいは用意しておくべきでしょう。

水槽用冷却ファンと逆サーモサーモスタット
水槽用冷却ファン&逆サーモのおすすめ製品・選び方・使い方

アクアリウムの夏を乗り切るための、水槽用冷却ファンと逆サーモスタットの選び方を紹介します。水槽用ファンはテトラのCF-60 NEW、逆サーモはGEXのFE-101がおすすめです。設定温度など使用時のポイントも紹介します。

冷却ファンについてはこちらのページを参考にしてください。個人的には、シンプルな作りで壊れにくく性能も高い「テトラ クールファン」と逆サーモスタットを組み合わせるのがおすすめです。

ライト・照明

金魚に限らず生き物は、体内時計とも呼ばれる生活のリズム(概日リズム)に従って生きています。このリズムは、周囲の明るさによって調整されます。従って、金魚を状態よく飼育すためには、毎日決まった時間に明るくなり、決まった時間に暗くなると環境をライトによって作り出してやる必要があります。

また、観賞面からも、ライトを設置すると金魚がより綺麗に見えるというメリットがあります。

アクアリウム水槽用ライト・照明(蛍光灯・メタハラ・LED)の選び方とおすすめ!熱帯魚・水草への効果も解説

アクアリウムで使用する水槽用のライト・照明を適切に選ぶ方法を解説します。色温度や波長など光に関する知識や、生体・水草などアクアリウムの目的別にどのようなライトが適しているか、蛍光灯・メタルハライドランプ・LEDそれぞれの特徴などをまとめます。

ライトについてはこちらのページに詳しく紹介していますが、水草を育てる場合のように細かく波長帯まで気にする必要はありません。LEDライトや蛍光灯の安めのモデルを使用すれば十分でしょう。GEXのクリアLEDシリーズなどが人気です。

底砂・底床材

金魚を飼うときには、水槽の底に砂利を敷くというイメージがあるかもしれませんが、これは絶対に必要なわけではありません。底砂の利用にはメリット・デメリットがあるので、使うかどうかはよく考えて決めましょう。

底砂を敷くメリット

  • 使い方によってはろ過能力を大きく向上させる
  • 金魚の発色が比較的よくなりやすい
  • 水槽の見栄えが良い

底砂を敷くデメリット

  • 底砂の掃除に手間がかかる
  • 1~2年で大掃除(リセット)が必要
  • 金魚の発色が悪く(色が薄く)なる場合がある

水槽内に底砂があると、ろ過に役立つバクテリアが住み着いて、水槽の水質維持に役立たせることが出来ます。また、水槽内に底砂を敷かないベアタンクよりも、底砂を敷いた場合のほうが、金魚の発色が良くなる傾向もあります。一方で、底砂の隙間にゴミが入り込んでしまうため、定期的な掃除が必要になってきます。

アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!

アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。

底砂の詳細はこちらのページにまとめています。このページを参考に、底砂を敷くかどうか決めてくださいね。ちなみに金魚の飼育では、底砂として大磯砂が特によく利用される傾向にあります。

掃除・メンテナンス用品

どれだけろ過フィルターを上手く活用しても、金魚を飼う以上水換えは必ずしなければなりません。水換えは基本的に1週間に一度、水槽の全水量の3分の1程度を変えるのが一般的ですが、状況に応じて頻度・量は多少変化します。水換えの量と頻度については以下のページを参考にしてください。

アクアリウム水槽の水換えの様子
アクアリウム水槽の水換え法:金魚や熱帯魚の換水頻度・量や工夫と道具

アクアリウム水槽の管理で重要な水換えの目的や方法、必要な道具、テクニックを解説します。水換えの頻度と量は、1週間に1回全水量の3分の1が目安ですが、より詳しい状況別の水換え頻度・量も紹介します。写真付きの具体的な手順と水換えをラクにする工夫も解説します。

換水量を全水量の3分の1とすると、60cm水槽の場合、1回の水換えで約20リットル(20kg)の水を換えることになります。20リットルを捨て、20リットルを水槽に入れるわけですから、合計で40リットルの水を運ばなくてはなりません。これは結構な重労働ですよね。

そのため、アクアリウムや金魚飼育の水換えでは、排水ホースを利用して水を捨てたり、お風呂ポンプを利用して水を汲み上げたりといった方法がよく利用されます。特に排水ホースは、水槽内の掃除にも使える一石二鳥の飼育用品です。

プロホースの使い方-水換え時に水槽を掃除できる排水ホース

水換え・水槽掃除の定番プロホースを紹介します。水換えや掃除は水槽のメンテナンスの中でも最も高い頻度で行う作業なので、ここで使う道具はとても重要です。プロホースの使い方や特徴・構成・種類ごとの違い・レビュー等を紹介します。

その中でも、プロホースは使いやすい排水ホースとして人気が高い製品です。金魚を上手く育てるためには、日々の世話を楽にすることも重要なので、ぜひ利用してみましょう。

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水槽の選び方

ここまでで、金魚の飼育に必要な道具を一通り説明しました。この項目では、飼育用品の中でも特に重要な「水槽」について、その種類や選び方をまとめておきます。

水槽の種類

補足説明

水槽には以下の2種類が存在します。

  • フレームレス水槽(枠なし水槽)
  • 枠あり水槽

フレームレス水槽の特徴

  • 見栄えが良い
  • 少し値段が高い

枠あり水槽の特徴

  • 少し値段が安い
  • 見栄えがあまりよくない
  • 丈夫で上部フィルターも設置可能

水槽には、プラスチックの枠がついた「枠あり水槽」と、枠のない「フレームレス水槽」が存在します。フレームレス水槽のほうが見栄えがよく金魚の観賞に適しますが、値段が少し高いです。しかし、水槽は頻繁に買い換えるものではなく、後々気に入らなくなると困ってしまうので、基本的にはフレームレス水槽がおすすめです。

一方で、枠あり水槽には「丈夫」という長所があります。特に、水槽の上に濾過槽を載せる上部フィルターは、フレームレス水槽では使用できないものがほとんどなので、上部フィルターを使用する場合には枠あり水槽をおすすめします。

水槽のサイズと金魚の数

金魚を飼育する際には、5cm程度の金魚1匹に対し約10リットルの水量が必要と言われています。この指標を基準に飼育水槽のサイズを決めるのが一般的です。

金魚は魚の中ではガッチリとした体格をしており、大食漢で水を汚しやすい魚です。メダカや同程度の体格の熱帯魚の場合、2~3センチの個体1匹に付き1リットルの水量が必要と言われることと比較しても、かなり水量が必要なことがわかりますね。

また、当然ながら金魚は成長します。成魚になると10~15cm、品種によっては20cm以上にもなるため、5cmの幼魚を想定して水槽サイズを決定すると、後々必ず水槽を大きくする必要が生まれます。最初から金魚の成長を見込んで、水槽サイズを大きめにする、または飼育する数を少なめにするべきです。

水槽サイズと飼育可能な金魚の数・体長を表にまとめると、以下のようになります(あくまで目安です)。

水槽サイズと飼育可能な金魚の数
水槽 金魚の体長
5cm 10cm 15cm
30cmキューブ水槽
45cm規格水槽
2~3 1~2 ×
60cm規格水槽 5~6 2~3 1~2
90cm規格水槽 18~20 9~10 5~6

なお、水槽の選び方を解説したこちらのページもあわせて参考にしてくださいね。

アクアリウム水槽(熱帯魚・金魚・水草)のおすすめと選び方

ネイチャーアクアリウムのような美しい水草水槽や、熱帯魚・亀・金魚等の飼育に必要な水槽を購入する時のポイントをまとめました。サイズ・設置場所・素材・デザイン・品質・メーカーなど多岐にわたる要点やおすすめの水槽を紹介します。

~3匹まで:60cm水槽

最も一般的なサイズの水槽である60cm規格水槽では、金魚が15cmまで成長すると仮定すると、3匹の金魚を飼育することが出来ます。60cm水槽は一般的とは言え十分に大きく感じるサイズです。90cm水槽を家に置くのはかなりの金魚好きでないと難しいので、普通の人が家庭で飼える金魚は3匹までと思っておくのが良いでしょう。

5~6匹まで:90cm水槽

金魚の数が5~6匹の場合、最終的には90cm水槽が必要になります。このサイズの水槽は、総重量が200kgを超え、水槽を置く床の補強が必要になる場合もあります。

7匹以上:屋外飼育も視野に

成魚の金魚をたくさん飼育する場合には、水槽での飼育に限界が見えてきます。7匹以上の金魚を飼育する場合、最終的には庭に池を作ったりトロ船を利用するなど、屋外飼育も視野に入れる必要があります。

水槽は必ず水槽台の上に設置する

水槽に水を入れると、実はかなりの重さになります。金魚の飼育やアクアリウムでの熱帯魚飼育用に最も普及している60cm規格水槽の場合、水や底砂などを全て含めた重量は約80kgにもなります。

そのため、水槽をテレビ台や普通の棚に置くのは非常に危険です。強度不足から棚が壊れてしまったり、水槽を置いた面がたわんで水槽の一部に力がかかり、水槽が割れてしまうこともあります。棚が壊れたり水槽が割れると、何十リットルもの水が部屋に溢れ出してしまうため、水槽は必ず十分な強度を持った専用の「水槽台」の上に設置してください。

水槽台の選び方・おすすめ製品!デザインの種類と強度計算法

水を入れた水槽はとても重くなるため、水槽を支える水槽台や床には十分な強度(耐荷重)が必要です。また、デザインや機能性、サイズも重要です。アクアリウムを安全に楽しむために大切な水槽台の選び方と、おすすめ製品を紹介します。

フレームタイプの水槽台なら、安いものだと2000~3000円程度で販売されています。水槽台のお金をケチって大事故を引き起こすなんてことのないように、水槽は必ず水槽台の上に設置しましょう。

金魚鉢は避けよう

「金魚は金魚鉢に入れて飼うもの」というイメージが強い人もいると思いますが、実は金魚鉢は金魚の飼育には向いていません。大きさが小さいため水量が少なく、どうしても水質・水温が安定しないためです。また、金魚鉢での金魚飼育では、ろ過フィルターやエアレーションが使用されないことも多く、水が動かないため金魚が酸欠になってしまう場合もあります。

「金魚鉢では金魚は絶対に飼えない」ということではありませんが、少なくとも初心者には向いていません。また、飼えたとしても金魚にとって良い環境ではないので、どうしても負担がかかります。

金魚飼育の初心者が金魚を長生きさせたいと思うのであれば、金魚鉢は避けて水槽など水量の確保できる大きな容器で飼育するようにしましょう。

水質管理・ろ過フィルターについて

金魚飼育で水槽の次に重要なのが、水質を管理するためのろ過フィルターです。ろ過フィルターを上手く使いこなせなければ、水槽の水が傷んで金魚にとって毒性のある物質が蓄積してしまいます。

この項目では、金魚を飼うために必要なろ過の知識とおすすめのろ過フィルターを紹介します。

ろ過の仕組みと原理

金魚を飼育している水槽内には、エサの食べ残しが腐ったものや、金魚の糞・尿が存在しています。これらは水槽内で「アンモニア」という金魚にとって毒性のある物質を発生させます。

アクアリウムや金魚飼育におけるろ過とは、このアンモニアを水槽内から取り除く方法のことで、大きく分けて「物理ろ過」と「生物ろ過」の2種類が存在します。

物理ろ過

物理ろ過は、エサの食べ残しや金魚の排泄物を物理的に水槽から取り除き、アンモニアが発生しないようにするろ過方法です。

生物ろ過

アンモニアを分解するバクテリア(細菌)の働きを利用し、水槽内のアンモニアを毒性の低い物質へと分解するろ過方法です。

ろ過フィルターには様々な種類がありますが、種類によって物理ろ過・生物ろ過の活用度合いが違います。金魚は大食いでエサの食べ残しや排泄物が多くなりやすいので、特に物理ろ過が特異なろ過フィルターと相性が良いです。これを踏まえ、次からは金魚飼育と相性の良いろ過フィルターを紹介します。

上部フィルター

上部フィルターは、水槽の上にろ過を行うバクテリアの住処となる「ろ材」を入れた容器(ろ過層)を設置し、水槽からポンプで汲み上げた水をろ過層を通してから水槽に戻す、という仕組みのろ過フィルターです。

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物理ろ過能力・生物ろ過能力のどちらにも優れ、ろ過フィルターの掃除もしやすいことから金魚飼育には最も適しています。ただし、水槽の上に重さのあるろ過槽を設置するため、丈夫な枠あり水槽でしか利用できません。

底面フィルター

水槽の底に設置した底面フィルターの上に底砂を敷き、エアーポンプを使って底面フィルター内に水を循環させます。これにより、底砂がろ材の役目を果たし、底砂に住み着いたろ過バクテリアが、水中のアンモニアを分解します。底砂全体がろ材に鳴るため、大量のろ過バクテリアを住み着かせることができ、生物ろ過能力が非常に高いのが特徴です。

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一方で、底砂を厚く敷くために底砂内に汚れが溜まりやすく、底砂の掃除が必要になります。1週間~1ヶ月に1回の底砂掃除に加え、1~2年に1回は底砂をすべて取り出して洗ってやる必要があります。ろ過能力は高いですが、掃除が大変なのが特徴です。ただ、金魚飼育では水草をあまり植えたりしない(水草を植えても金魚に食べつくされてしまう)ため、掃除がしやすく熱帯魚や水草水槽で底面フィルターを使う場合よりは管理が楽です。

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底面フィルターの使い方とおすすめ製品!ソイルや砂利との相性まとめ

底面フィルターと底面濾過について、仕組みや種類から使い方、ソイルや大磯砂など底床別の相性、掃除・メンテナンスの方法やおすすめ商品等を紹介します。安価で性能が高く、初心者から上級者まで幅広く愛好家がいるろ過フィルターです。

こちらのページで底面フィルターについてより詳細に解説しているので、よかったら参考にしてください。

投げ込みフィルター

投げ込みフィルターは、スポンジや砂利の入ったケースを水槽内に設置し、エアーポンプを使って水を循環させるろ過フィルターです。金魚の飼育といえば、この投げ込みフィルターを思い浮かべる人も多いでしょう。

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非常に小型なため、他のろ過フィルターと比べるとろ過バクテリアの住処になるろ材の量が少なく、ろ過能力に劣りますが、管理は楽です。他のろ過フィルターと組み合わせてサブ用に利用したり、大きな水槽に少数の金魚を飼育するなどろ過能力があまり必要ない場面で利用しましょう。

水作エイトという商品が非常に人気が高いです。

ろ過の立ち上げ方

単純にろ過フィルターを水槽に設置しても、すぐにろ過が機能するわけではありません。上でも説明したように、生物ろ過はバクテリアの働きを利用するため、ろ材にある程度の数のろ過バクテリが住み着くまで待つ必要があります。

効率的にろ過バクテリアを住み着かせるため、一般的に以下のような手順で、ろ過バクテリアを水槽に定着させます。これを「ろ過の立ち上げ」と呼びます。

補足説明

ろ過の立ち上げの手順

  1. 水槽をセッティングし、ろ過フィルターを稼働させる。
  2. 金魚またはパイロットフィッシュを導入する。
  3. 水槽内にアンモニアが排出される。
  4. アンモニア濃度を測定し、水換えをする。
  5. アンモニア濃度が低下し、亜硝酸塩が検出されるようになる。
  6. 亜硝酸塩濃度を測定し、水換えをする。
  7. 亜硝酸塩濃度が低下し、硝酸塩が検出されるようになる。
  8. 生物ろ過が立ち上がる。
  9. 以後も定期的な水換えを行う。

ろ過バクテリアが水槽に住み着くためには、ろ過バクテリアのエサとなるアンモニアが必要です。そのため、最初に「パイロットフィッシュ」と呼ばれる丈夫な魚を少数導入して、このパイロットフィッシュの排泄物などから発生するアンモニアを元にろ過バクテリアを定着させる、という方法がよく利用されます。

ただし、金魚飼育の場合には、金魚自体が丈夫な魚であることもあってパイロットフィッシュは利用せずに最初から金魚を飼育し始める場合もあります。この場合も、最初は金魚の数を少なめにしてください。

パイロットフィッシュまたは金魚の導入後は、アンモニアが正常に分解されているかを確認する必要があります。水槽内ではアンモニアは、亜硝酸を経由して毒性の少ない硝酸塩という物質に分解されるため、アクアリウム用の水質検査薬を利用し、水中のこれらの物質の濃度を測定します。最初はアンモニアが検出されますが、次第に検出されなくなって硝酸塩が検出されるようになれば、アンモニアを分解するろ過バクテリアが水槽内に住み着いた証です。

水槽の立ち上げ方・濾過の始め方-パイロットフィッシュは必要?

アクアリウムを始めるための水槽の立ち上げ方や濾過を働かせる方法を解説します。パイロットフィッシュ法とフィッシュレスサイクリング法を用いた水槽立ち上げの具体的な手順や、パイロットフィッシュにおすすめの熱帯魚等を紹介します。

より詳細な立ち上げの手順は、こちらのページで解説しています。ぜひ参考にしてください。

金魚の餌

金魚は大食漢で、与えるとどんなものでも食べてしまう傾向にあります。しかし、金魚の健康にとっても、水槽の水質管理面からも、パンやご飯のような人間と同じ食べ物を与えるのは避けるべきです。人間と魚で食べるものが違うのは至極当然の話ですね。

その上で、金魚の飼育には、市販されている人工飼料を与えることをおすすめします。人工飼料は栄養面も水質面も考慮して作られているため、金魚の飼育に最適です。

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Hikari(ヒカリ)
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人工飼料にも様々な種類がありますが、「ひかり ベビーゴールド」は金魚の飼育に定評のあるエサでおすすめできます。このエサを作っているキョーリンという会社は、観賞魚のエサでは有名で実績もあるため、安心して利用できます。また、水を汚しにくく水質管理のしやすい「浮上性」の餌であることもポイントです。

人工飼料を買う際には、エサの容量にも注意しましょう。金魚の餌は開封してから時間が経つと、酸化して金魚の健康状態に悪影響を与えます。お得だからと大容量タイプを買うよりも、容量の少ないタイプを買ってこまめに新品に切り替わるようにしたほうが良いでしょう。

日常的な世話の方法

ここまで、金魚の飼育に必要な飼育用品や知識を解説してきました。解説した方法に従って水槽をセットアップしてあれば、日常的な金魚の世話は難しくありません。以下の3点に気を付けて世話をし、日頃から飼っている金魚をよく観察して異変があった場合に早く気づくことが重要です。

1日に1~2回の餌やり

金魚の生活リズムを確立するため、毎日決まった時間にエサを与えましょう。金魚は昼行性なので、基本的には明るい時間帯にエサを与えるようにします。

一度に与える餌の量は、2~3分以内に食べ切れる程度が目安です。エサを与えすぎて食べ残しが出ると、水が汚れる原因になるため、与えすぎにならないように注意しましょう。

1週間に1回の水換え

ろ過フィルターを設置していても、水槽の水には少しずつ汚れが蓄積していきます。そのため、定期的に水を交換する水換えが必要です。

水換えの基本は、1週間に1度、全水量の3分の1を交換することです。一度に大量の水を換えると、水質が急変して金魚に負担がかかるため、定期的に決められた量の水を交換することが重要です。

3ヶ月に1回のフィルター掃除

水をろ過するろ過フィルターの内部には、特に汚れが溜まりやすいです。フィルター内に汚れが溜まりすぎると、雑菌の温床になり病気が蔓延する原因になってしまうこともあるので、ろ過フィルターの内部も定期的な掃除が必要です。

目安としては、3ヶ月に1度はろ過フィルター内部のろ材を取り出して溜まった汚れをすすぎ洗いすると良いでしょう。この時ろ材をすすぐ水は、ろ過バクテリアに負担をかけないよう水槽の水を使ってください。

産卵・繁殖の方法

金魚(出目金)

金魚の産卵、繁殖は比較的容易です。自分で卵から育てた金魚には、格別の思い入れが湧いてきます。飼育スペースに余裕のあるひとは、ぜひ挑戦してみましょう。

親金魚の選別

金魚には多くの品種があります。別々の品種同士をかけ合わせても産卵・繁殖は可能ですが、せっかく固定された美しい見た目が変化してしまいます。同じ品種の綺麗な親同士をかけ合わせて繁殖させ、見た目の綺麗な子供が生まれてくるのを目指すのが楽しいと思います。

親になる魚にはエサをしっかりと与え、体力をつけさせておきましょう。

繁殖行動の誘発

金魚の繁殖期は比較的長く、冬を越えた後に水温が20℃くらいとなる春先(3月末~6月頃)がメインシーズンですが、秋頃まで産卵を続ける場合があります。この時期に、水換えなどによって水質が変化したり、急に水温が上昇したりしたタイミングで、金魚の求愛行動が始まり、繁殖シーズンの幕開けとなります。

季節の変化を捉えて繁殖をしているため、繁殖させるためには冬場にヒーターで水温を高く保ったりせず、ある程度水温を下げてやるのが重要です。繁殖期になると、オスがメスを追いかける「追尾行動」が見られるようになります。

産卵・隔離と卵の管理

金魚のメスはホテイアオイやシュロ皮などに卵を産み付け、そこにオスがやってきて放精することで卵は受精します。受精し、生きている卵は無色透明ですが、無精卵や死んだ卵は乳白色に変化していきます。

卵を親と同じ飼育容器に放っておくと、親が卵や生まれた稚魚を食べてしまうため、産卵が確認できたら卵を別の飼育容器に隔離します。隔離先の飼育容器では、酸欠を避けるためエアレーションを行いますが、強い流れは生まれた稚魚の体力を奪うため、極弱めの水流となるように設定しましょう。

隔離した卵は、20~22℃くらいの水温で管理します。おおよそ5~7日で孵化し、稚魚が生まれてきます。

稚魚の育て方

生まれた稚魚は孵化後3日間程度は動かず、お腹についたヨークサック(卵嚢)に含まれる栄養で育ちます。その後、稚魚が泳ぎ回るようになってから、エサを与えるようにしましょう。

金魚の稚魚用のエサが市販されてるのでそれを使っても良いですし、親に与えているエサをすりつぶして細かくしたものを与えても良いでしょう。基本的に飼い方は親と同じですが、1回の餌やりの量を少なめにして、間隔を短く(1日3~4回)したほうが稚魚の生存率が上がります。また、水流が強くなりすぎないようにスポンジフィルターなどを使うと良いでしょう。

K-ki

今回は金魚の飼い方・育て方を紹介しました。簡単に思える金魚の飼育も、真剣に取り組むと考えるべきことはたくさんあります。まずは適切な大きさの水槽に、性能の高いろ過フィルターを設置するところから始めてあげましょう。

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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