こんにちはー。会社の寮ぐらしで部屋に冷蔵庫がないK-ki(@AquaTurltium)です。今年の夏は全然アイスとか食べられないうちに、何だか暑さのピークも過ぎつつある気がします。畳の部屋なので冷蔵庫とか置くのを躊躇してたんですが、夏を楽しみきれてないがするので来年は置こうかな…。
そんな寮暮らしの私の部屋には水道すらないので、残念ながら今は部屋に水槽がありません。部屋の中のアクアリウム成分といえば、去年の暮れにみずものコムさんの読者プレゼントで貰った深海生物図鑑カレンダーくらいのものです。
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「深海生物図鑑カレンダー」で深海魚と一緒に1年を過ごそう!
深海生物の神秘的で美しい写真と不思議な生態を解説する、図鑑のような「深海生物図鑑カレンダー 2015」をみずものコムさんにプレゼントして頂きました!写真と解説で好奇心をくすぐる、深海魚好き必見のオススメカレンダーです。
このカレンダーは月ごとに深海生物の大きな写真が載っていて、これをめくるのが私の月々の些細な楽しみにもなっているんですが、8月は面白い生き物が登場しました。その名もウミクワガタです。海なのにクワガタ?と思っちゃいますが、私好みのキモカッコイイ感じの生き物です。
海のクワガタ?ウミクワガタはどんな生き物?
学名 | Gnathiidae |
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分類 | 甲殻亜門軟甲綱等脚目ウミクワガタ科 |
生息地 | 汽水域、干潟、南極、深海など世界中の幅広い海域 |
体長 | ほとんどの種が1cm以下 |
生息環境 | 海底の泥の中や岩の隙間、カイメンの内部など。または魚類に寄生する。 |
特徴 | 雄の成体が持つクワガタムシのような大顎が大きな特徴です。 |
ウミクワガタとは、甲殻亜門軟甲綱等脚目ウミクワガタ科に属する生物の総称です。甲殻類なのでエビやカニなどの仲間ということになりますが、もう少し詳しく言えばワラジムシ・フナムシ・ダンゴムシなどに近い生き物です。一時ものすごく話題になったダイオウグソクムシも、同じ等脚目に属しています。
まあある程度予想していたとは思いますが、クワガタの仲間ではありません。大顎の形は似ていますが、その体長は1cm以下、5mmとか3mmとかそのくらいのとても小さな生き物です。サイズとか色とかからは、クワガタというよりもむしろシロアリやノミみたいな生き物を想起させられるのは私だけでしょうか…。しかし独特の形状で、個人的にはカッコいいと思います。
雄の成体がもつ大顎が特徴
ウミクワガタの特徴は、何と言ってもその名前の由来ともなっているクワガタムシのような大顎です。雄の成体しか大顎を持たないという点もクワガタムシと共通しているのが何だか不思議ですね。
こちらはウミクワガタの1種の雄成体の写真です。やはり見れば見るほどクワガタに似た形の大顎をしていると感じますね。
こちらは陸上にいる昆虫の方のクワガタです。写真はコクワガタですが、特に上の写真のウミクワガタとそっくりです。このように系統的には全く別の生き物であるにも関わらず、身体的特徴が似通った姿に進化する現象のことを収斂進化と呼びます。同じような環境で生きる生き物が、全く別の過程をたどりながら同じような形へと辿り着く訳で、何だか自然の壮大さを感じます。
本家クワガタムシの大顎は、メスや餌場を巡って同種の他の雄個体や他の生き物と争うために使われますが、一方でウミクワガタの大顎はなんのためにあるのかよく分かっていません。ただ、ヨーロッパに生息する種類では大顎を使って雌を挟み込んだりするようなので、やはり繁殖目的で使う可能性が高そうです。
干潟から深海までの幅広い生息域
冒頭に紹介した「深海生物図鑑カレンダー」に掲載されていたので、私はウミクワガタは深海の生物だと思っていたのですが、どうやら深海だけでなく干潟や汽水域などのかなり幅広い範囲に生息しているようです。
深海だけでなくいろいろな場所に生息しているので、実は磯などでも見つけることができます。ただしとても小さな生き物なので、見つけ出すのは大変そうです。ウミクワガタを探してきて写真をとっておられる方がいたので、紹介しておきます。
http://helvetica.blog2.fc2.com/blog-category-107.html
潮が引いた磯場で発見されています。やっぱりその大きさから見つけるのには苦労されているみたいです。
http://www.kazkian.com/z/manboon/2010/02/post_189.html
こちらは海中で撮影されている模様。写真がものすごく綺麗で、ウミクワガタのカッコよさがビシビシ伝わってきます。
魚の体液を吸う「吸血性物」
ウミクワガタが特徴的なのは、その見た目だけではありません。実はウミクワガタの幼生は、魚の体液を吸う寄生虫でもあります。Wikipediaのウミクワガタ類のライフサイクルを説明する画像が分かりやすかったので、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従って利用させてもらいます。
ウミクワガタの幼生は海中を泳ぎまわって魚に寄生し、数日掛けてその体液を体がパンパンになるまで吸い続けます。お腹が膨れると魚から離れて海底に降り、脱皮と休息を行います。これを繰り返し、3回めの脱皮の時に成体になるとされています。
このようにウミクワガタの幼生は魚の寄生虫ですが、実は成体は違います。生態になるとウミクワガタは何も食べず、幼生の時に蓄えたエネルギーのみで繁殖活動を行います。特にメスの体はほぼ繁殖目的だけにできていて、体いっぱいに卵を抱き、その卵が孵化して幼生が出て行くと体は空っぽになってやがて死んでしまいます。何とも純粋な生き物ですね。
カレンダーに載っていた1枚の写真から始まった今回の記事ですが、中々面白い生き物に出会えた感じがします。やっぱり深海生物図鑑カレンダーは面白いですし、2016年版の予約も開始ししているようなので紹介しておきます。2016年版の写真は9月23日時点ではまだ表紙のみの公開となっているようなので、どんな深海生物が登場するのか今後も要チェックです!
2015/11/01 追記
2015年10月20日に、2016年版の深海生物図鑑カレンダーが発売されました。私もゲットすることが出来たので、2016年版もレビューしています。
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深海生物図鑑カレンダーをゲット!アクアリストなら2016年もコレ!
深海生物の美しく神秘的な姿を捉えた鮮明な写真が魅力的なカレンダー「深海生物図鑑」の2016年版をレビューします。私は今年に引き続き来年もこのカレンダーを使用します。掲載されている深海魚の種類やカレンダーの特徴を紹介します。
言いたいことはいろいろあって、詳しくは上の記事に書いているのですが、一言で言うなら「確実にレベルアップしている」ということです。深海生物の魅力をさらにひしひしと伝えてくれる仕上がりなので、深海魚好きならぜひとも手にとってみてください!
海に住むクワガタに似た生き物「ウミクワガタ」を紹介しました。クワガタに似ているというだけでなく、面白い生態を持った生き物でしたね。世の中にはまだまだいっぱい面白い生き物がいるんだと思うと、何だかワクワクしてきます。2016年版の深海生物図鑑カレンダーも楽しみです!