熱帯魚・観賞魚 図鑑

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの飼い方・繁殖・混泳

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの群れ

アクアリウムで飼育される熱帯魚の種類は数千に上ると言われ、その姿形も非常に多岐にわたります。飼う魚を選ぶ基準は人それぞれですが、見た目に面白い、インパクトのある魚を買いたいという人も少なくないでしょう。

今回紹介する「トランスルーセントグラスキャット」は、そんな人におすすめできる熱帯魚のうちの一種です。トランスルーセント(translucent:半透明)の名前の通り、体の大半が透けている非常にインパクトのある魚です。

見た目の華奢な印象とは裏腹に、ナマズの仲間に分類される丈夫な魚で飼育も難しくありません。このページを参考に、ぜひ水槽の一員として迎えてみてはいかがでしょうか。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュとは

和名・流通名 トランスルーセントグラスキャットフィッシュ
ガラスナマズ
学名 Kryptopterus vitreolus
英名 Glass catfish
分類 ナマズ目ナマズ科クリプトプテルス属
原産地 タイ
飼い易さ
値段(1匹) 500円程度~
最大体長 約6cm程度
寿命 5年程度
遊泳層 中層
生息環境 河川の岸辺近くに生息する。
適合する水質 水温:20~26℃
pH:4.0~7.0
特徴 体の透明度が非常に高い魚として有名。ナマズ(英語でキャットフィッシュ)の仲間であり、その特徴的な姿から、トランスルーセント(translucent:半透明)キャットフィッシュ、ゴーストキャットフィッシュ、ガラスナマズなどの名前で呼ばれる。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは、タイの南部を中心とする地域に生息しているナマズ目の淡水魚です。アクアショップや熱帯魚愛好家の間では、通称「グラスキャット(フィッシュ)」と呼ばれています。

透明な体の魚としてよく知られており、アクアリウムで飼育される観賞魚としても人気が高いです。群れでゆらゆらと優雅に泳ぐのが美しい魚で、ガラスナマズ、ゴーストグラスキャットフィッシュと呼ばれる事もあります。

形態(身体的特徴・体の大きさ)

トランスルーセントグラスキャットフィッシュはナマズ目ナマズ科クリプトプテルス属に分類されます。同じナマズ目に分類される魚の例としては、コリドラスオトシンクルス、プレコなどが挙げられます。

ナマズ目に分類される魚の例に漏れず、2本の長いひげをもっているのが特徴です。体が無色透明で骨格や内臓が透けて見える魚として有名ですが、これは生息地の水の透明度が高く、外敵から身を守るために体が透明になったといわれています。

体長は一般的に6cm前後ですが、上手く育てると10cm以上のサイズにまで育つこともあります。

生態(生活スタイルと野生での暮らし)

比較的サイズの大きい魚ですが、性格は穏やかです。生息地では群れで生活しています。数が少ないと臆病で怯えやすい性格が顕著になり、物陰に隠れることが多くなってしまうため、アクアリウムで観賞用に飼育するならば5匹以上のある程度まとまった数を飼育するのがおすすめです。群れを形成するのに十分な数で飼育すると、群れでゆらゆらと優雅に泳ぐ姿を見ることができます。

水槽に移して間もない時や、飼育環境が合っていない時、体調を崩している時は体の色が白く濁ります。体調の変化が見た目に表れるため、健康状態がわかりやすい魚と言えるでしょう。体色が白濁している個体を見つけたときは、飼育環境が悪化していないか、ストレスがかかっていないか等を再度確認してみましょう。

また、本来は夜行性の生き物であり、飼育下でも水槽のライトが消えてから表に出てきて遊泳していることがよくあります。ただし、昼間に餌を与えても食べてくれるので、特に気を使う必要はありません。

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トランスルーセントグラスキャットフィッシュの分布・生息地・生息環境

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの原産地は、前述の通りタイの南部地域です。野生下では、川の中層あたりで群れていることが多い魚です。マレーシア国内のタイ寄りの地域でも発見されたと言う報告がありますが、真偽は定かではなく検証が必要とされています。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの飼育方法

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの飼い方

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは流通量が多くて入手しやすく、雑食性で何でもよく食べるので飼育は簡単です。穏やかな性格で混泳できる魚の種類も豊富なため、多少サイズが大きく群れるとそれなりに存在感があることを許容できるのならば、どんな水槽にも似合う魚と言えるでしょう。既に書いたとおり少数で飼育すると怯えて物陰に隠れてしまうため、まとまった数での飼育がおすすめです。

基本的な飼い方

雑食性で何でも食べるので、特別なエサを用意する必要はありません。急な水質や水温の変化にはあまり強くないため、飼い始めの時や、水替えの時には注意が必要です。安定した水質に対しては比較的幅広く対応できる丈夫な種類なので、飼育環境に適応してからは、特別に気を使わなくても飼育できる魚です。

自然の中では群れで生活しているため、飼育下でも群れて泳げるように大き目の水槽での複数飼育が望ましいです。穏やかな性格であまり活発に動くこともないため、混泳が可能な魚の種類は多いです。

飼育に適する水質

水温20~26℃、pH4.0~7.0のやや酸性よりから中性の水が適しています。丈夫な魚なので、カルキ抜きした水道水で十分飼育が出来ます。

エサ

人工飼料、冷凍飼料、活き餌など何でも食べます。口が小さいため、細かい粒の餌、または、フレーク状の水に浸かると柔らかくなる餌が適しています。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの飼育に必要な飼育用品

ここまで、トランスルーセントグラスキャットフィッシュについてその姿形や野生下での生態、基本的な飼い方を紹介してきました。これらを踏まえ、グラスキャットフィッシュの飼育に役立つ飼育用品とその選び方を紹介しておきましょう。

水槽の選び方

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの体長は約6cmで、群れて泳がせるためにも複数匹での飼育をおすすめしてきました。では、どのくらいの大きさの水槽でどのくらいの数を飼育できるのでしょうか。

一般的に、熱帯魚を飼育する際には、体長1cmにつき水1リットルが目安と言われています。つまり、体長6cmのグラスキャットフィッシュを飼育するためには、1匹あたり6リットルの水が必要ということになります。これを踏まえると、30cmキューブ水槽で4~5匹、60cm規格水槽で10匹程度が目安になります。

参考アクアリウム水量計算機

もちろんこれはあくまで目安なので、実際に飼育するときはまず少なめの数で飼い始め、様子を見ながら少しずつ数を増やしていくことをおすすめします。また、他の魚と混泳させる場合はその分グラスキャットを飼える数は当然減ることに注意しましょう。

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ろ過フィルターの選び方

水質を維持して熱帯魚を飼育するためには、ろ過フィルターが欠かせません。ろ過フィルターは飼育する魚の種類よりも、水槽内の環境の作り方によって適するものが変わってきます。

例えば、水草を密に育てたい場合は、二酸化炭素が空気中に逃げにくい「外部フィルター」、小型~中型の生体をメインで飼育する場合にはろ過能力が高い「底面フィルター」という具合です。

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水温の管理に必要なヒーター・クーラー

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの飼育に適した水温は、上にも書いたとおり、20~26℃程度です。日本で年間を通じてこの水温を維持するためには、冬場は水槽の水を温め、夏場には冷やしてやる必要があります。

冬場の保温にはヒーターと温め過ぎを防ぐサーモスタットのセットを、夏場の冷却には冷却ファンと逆サーモスタットのセットを利用します。水槽が大きいなど特に冷却能力が必要な場合には、少し高価ですが水槽用のクーラーを使用することも検討してください。


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トランスルーセントグラスキャットフィッシュの混泳

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは穏やかな性格で他の魚を攻撃することは少ないため、多くの魚やエビ類と混泳が可能です。

泳層の違う魚

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは中層をゆったりと泳ぐ魚であり、泳層が違う魚(水面近くや水底を泳ぐ魚)であれば、自然に棲み分けができて喧嘩にもなりにくいため、相性が良いと言えるでしょう。

具体的な例を上げると、上層を泳ぐ魚であれば、ハチェットの仲間やクラウンキリーがおすすめです。水底を泳ぐ底生魚であれば、水槽の掃除役としても活躍してくれるコリドラスや、クーリーローチなどがおすすめです。ただし、クーリーローチはドジョウの仲間で砂に潜ることがあるため、水草などがレイアウトされた水槽では注意が必要です。


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温和な小型魚であれば泳層を問わず混泳可能

また、仮に泳層がかぶってしまう魚だったとしても、温和で極端に大きくない魚であれば大概は混泳可能です。例えば、ラスボラ・エスペイやラスボラ・ヘテロモルファは、トランスルーセントグラスキャットフィッシュと同じタイに生息する魚なので、グラスキャットフィッシュと同じような環境を好むという意味でも混泳させやすい魚だと言えるでしょう。

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活発な魚との相性は悪い

一方で、グラスキャットフィッシュ自体はやや臆病で動作も比較的ゆっくりなので、素早く活発に動く魚との相性はあまりよくありません。活発な魚と混泳させた場合、ストレスを感じたり、エサを奪われてしまったりする可能性があります。

小さな生体は食べてしまうことがある

また、食欲旺盛な魚として知られるナマズの仲間であるグラスキャットフィッシュは、雑食性で何でも食べます。特に、2cm以下の小さな魚やエビは、餌と認識してつつくこともあり、場合によっては食べてしまうこともあるので注意が必要です。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの繁殖方法

繁殖させる為には、オスの個体とメスの個体が必要ですが、トランスルーセントグラスキャットフィッシュにはオスとメスを見分ける明確な特徴がなく、メスのほうがオスよりわずかに大きいという程度の差しかありません。その為、オスとメス両方が水槽内に存在しているか確認することは難しいです。意図的にペアを揃えるよりも、まとまった数を飼育してオスとメスの両方がいる状態を作るのが良いでしょう。

また、水槽にオスとメスの両方を用意できたとしても、グラスキャットフィッシュの繁殖が成功した例はかなり少ないため、繁殖を狙うのは難しいと言えます。

数少ない成功例では、グラスキャットフィッシュの野生環境の再現を重視していたようです。野生下では、グラスキャットフィッシュは雨季に繁殖を行います。この環境を再現するため、水温は20℃代前半を維持し、毎日新しい水を足す、あるいは水換えをしてやります。低水温かつ新しい水が頻繁に入ってくる環境を作ることで、グラスキャットフィッシュに雨季であると錯覚させることが重要です。

生息地の雨季はエサが豊富なため、卵を生むための体力をつけさせるためにも、エサはやや多めに与えるのが良いでしょう。多少生き餌をまぜて食い気を高めるのも効果的です。

上手くグラスキャットに繁殖期だと思わせることができれば、水底に卵をばらまくようにして産卵します。親魚が食べてしまう前に卵は隔離し、3~4日程度で稚魚が生まれます。生まれた稚魚にはブラインシュリンプ等を与えるのが良いでしょう。

グラスキャットフィッシュ以外の体が透明な魚

トランスルーセントグラスキャットフィッシュ以外にも、体が透明な魚が存在します。その中からアクアショップで見かけることが多いいくつかの種類を紹介していきましょう。

グラスハチェット

南米のアマゾン川流域に生息するグラスハチェットも、体の透明度が高い魚です。体長2~3cm前後と小さいことから、ピグミーハチェットとも呼ばれています。手斧(ハチェット)のような特徴的な形をしており、見ていて楽しいことからアクアリウムで飼育する魚としてもにんきがあります。

ハチェットは水面付近を泳ぐ魚で、ほとんどの時間を水面近くで過ごすため、物音などに驚いて水槽から飛び出してしまうことが多いです。飛び出し事故を防ぐために、水槽にはしっかりとしたフタを用意するなど注意が必要です。

マーブルハチェット
ハチェットフィッシュ全3属9種の飼育と生態-飛び出し事故に要注意!

水面付近を泳いで虫などを食べる、扁平した独特の姿形の熱帯魚・ハチェットフィッシュの種類や飼い方、繁殖などについてまとめます。ハチェットはカラシンの仲間で3属9種が知られています。アクアリウムで飼育する際には、導入時の水質変動と飛び出し事故には注意が必要です。

ハチェットの仲間についてはこちらのページが詳しいので、ぜひあわせて読んでみてください。ハチェット類はグラスハチェット以外にも数種存在し、いずれも形態は似ていますがサイズには多少の幅があり、最大で10cm近くまで大きくなる種類も存在します。

セベレスレインボー

セベレスレインボーはインドネシアに生息する魚で、体長約6cm程度とトランスルーセントグラスキャットと同じくらいの大きさです。体の中央のブルーのラインと尾びれや、胸びれ、目の周りなど、ところどころに入ったイエローが美しい魚です。単に透明なだけでなく差し色が美しい魚なので、水草が密に茂る水景であっても埋もれることなく存在感を放ってくれます。

アルビノグローライトテトラ

グローライトテトラは南米に生息する体長約4cmのカラシンの仲間で、アルビノグローライトテトラは、グローライトテトラの体の色素が欠乏した品種です。個体によって色素の欠乏具合に多少の差はありますが、基本的には透明の体の中央にオレンジ色のラインが入り、目は薄い赤色になります。

温和な性格で群れる傾向が強く、複数で飼育すれば見栄えのする群泳を見せてくれるます。特に緑主体の水草がレイアウトされた水槽で群泳させると、水草の緑色を邪魔せずに薄っすらと赤系の色味を添えることができ、水草を活かすレイアウトに仕上げることが可能です。

グラスエンゼル

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グラスエンゼルはインドネシアやマレーシアに生息する、透明な体をもつ体長約5cmの魚です。水質変化に敏感で、日常の水質管理や水替えの時に注意が必要です。人工的にブルーやピンク、イエローなどの蛍光剤を着色したカラーグラスエンゼルも流通しています。

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの魅力・おすすめポイント

トランスルーセントグラスキャットフィッシュの魅力はなんといっても、光の当たり具合でキラキラと虹色に輝く透明な美しいボディです。特に水草などがレイアウトされた水槽ではその美しさがさらに際立ちます。

変わった外観を持つ魚は飼育難易度が高いことが多いですが、トランスルーセントグラスキャットフィッシュは飼育が簡単です。変わった外観の魚を求める初心者から、水草水槽に映える魚を探すベテランまで、幅広くおすすめできる魚です。

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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