ウチの水草水槽である20cmキューブ水槽では、日本原産のモスの1種であるサムライモスというモスを育てています。ウィローモスにはない美しさがある種類ですが、育成はウィローモスよりも少し繊細な面があると感じています。今回はそんなサムライモスの育て方について、二酸化炭素の添加という切り口から考えます。
サムライモスとは
サムライモスはアジアの熱帯~亜熱帯地域に分布するモス(苔)で、日本国内では九州、琉球、伊豆七島のような温暖な地方に自生しています。和名は「シマフクロハイゴケ」といい、南米ウィローモスのような三角形の葉を展開するもののあまり大きくならず、密度も高くなるという水槽でのレイアウトに適した美しい種類のモスです。色合いは南米ウィローモスのようなライトグリーンではなく、もう少し濃い目の色をしています。
南米ウィローモスは活着力が弱いのが悩みの種ですが、このサムライモスは私が育成した限りではウィローモスに近い活着力があり、やはり水槽でのレイアウトに適しています。サムライモスを販売しているサイトでは活着力は弱いと紹介されていることが多いですが、少なくとも私の環境では気になるほどではありませんでした。
アクアリウム用として販売されている水草・苔の中には、湿気の多い環境を好むだけで水没しての育成はできない種類が結構あります。アコルスとかはそういった水草ではないのに水草として売られていることの多い植物の例ですね。このサムライモスはそういった詐欺みたいな植物ではなく、ちゃんと水中で育成できるので安心してください。
サムライモスの入手法
上に書いたように水草レイアウト水槽に適したモスであるサムライモスですが、最近はちょっと入手しにくい状態なのかもしれません。以前はアクアリスト御用達のcharmでも販売されており、私もcharmで購入したのですが、現在は在庫がないようです。ですがamazonでは購入することもできますし、サムライモスで検索するとそれ以外にもいくつか販売しているネットショップが引っかかるのでそこで買っても良いでしょう。
近場のアクアショップにサムライモスがおいてあれば店舗での購入も選択肢に入りますが、私は店舗においてあるのは見たことがありません。もし置いてある店が有るなら中々品揃えの良いお店だと思うので、一度行ってみたいですね。
サムライモスの育て方
サムライモスの育て方をまとめていきます。ウィローモスよりは繊細と入っても、所詮はモスなのでそこまで難しくはありません。
基本的には他のモスと同じ
ウィローモスなどのアクアリウム用のモス類と同様に、低光量の環境にも適応します。水質にもうるさくなく、幅広い環境に適応します。また活着(着生)するので、これもウィローモスなどと同様に流木や石に活着させて育てるのがオーソドックスな方法です。以下の記事で活着させる方法をまとめているので、よかったら参考にしてください。
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しっかり活着してほしい!流木等へのモスの巻きつけ方まとめ
水草水槽レイアウトで頻繁に利用されるウィローモスなどのモス(苔類)を流木や石に巻きつけて美しく活着させる方法を解説します。モスの種類・流木・糸の選び方や巻き付け方のコツ、より綺麗な水景にするための一手間などを紹介します。
二酸化炭素の添加が有効
サムライモスを育てている20cmキューブ水槽では、今年の夏はいろいろな理由によりCO2の添加を中止していました。しかしその間にサムライモスは下の画像のように茶色く変色し、明らかに状態が悪くなってしまいました。
それを受けてCO2の添加を再開し、2週間ほど経過した後のサムライモスの状態が下の画像です。
茶色く変色した葉の先端から、新しく明るい色の新芽が伸びてきています。つまり、サムライモスにとっては二酸化炭素の添加がかなり重要な効果があるようです。サムライモスを育てるときは極力CO2を添加するのをオススメします。
ソイルよりも砂礫系の底床に向く?
サムライモスはソイルのような低硬度の環境よりも、砂礫系のある程度硬度がある環境の方が調子が良い傾向にあるそうです。私はソイルを使用している20cmキューブ水槽だけでなく、砂礫系底床の「田砂」を使用している90cmニホンイシガメ水槽でもサムライモスを育ててみたことがあります。亀水槽では亀にかじられたりして結局ほとんど育っていませんが、確かに二酸化炭素を添加していないにもかかわらず多少は育っているので、ソイル環境の20cmキューブ水槽よりも調子が良いといえるかもしれません。
ただし一応育ちはするものの、二酸化炭素を添加している水槽よりも濃い色(ダークグリーン)になりますし、成長スピードも遅いです。硬度よりも二酸化炭素量に依存して成長スピードや状態が決まるように感じます。
ウィローモスよりは繊細
キレイな水草には繊細で育成が難しい物が多いですが、このサムライモスも少し繊細な面があります。とはいってもウィローモスよりも繊細というだけで水草全体で見れば強靭な方です。まあウィローモスが化け物じみているだけですね。
上の写真は90cm水槽のウィローモスの様子です。亀がいるにも関わらずよく育っています。しかしサムライモスはこの環境ではここまで繁茂することはできず、ごくごく一部に少しだけ生えている程度です。
私の育ててみた感触では、CO2の添加がないのがやはり大きいと感じます。CO2さえ添加しておけば、さらに扱いやすく丈夫な水草になってくれると思います。
サムライモスのまとめ
水草レイアウト水槽に向いているモスの1種「サムライモス」の育て方を紹介しました。上手く育てると本当にキレイに育ってくれるので、ぜひ試してみてほしい水草です。あまりこのサムライモスを使っている人は見かけないので、他の人との違いを演出するのにも有効だと思います。