• 最終更新日:2016/10/16 約28分

熱帯魚の冬対策!水槽用のヒーターとサーモスタットの選び方

熱帯魚の冬対策!水槽用のヒーターとサーモスタットの選び方

アクアリウムで冬場に一番気にかかることといえばやはり水温です(その次は電気代でしょうか…)。アクアリウムで飼育する魚は熱帯魚が多いので、どうしても冬場の低水温には耐えられないものもいます。そんな低水温に弱い生き物たちに元気でいてもらうため、冬場には水槽用のヒーターを利用した水槽の加温や保温が重要になってきます。

今回はそんな熱帯魚などのための水槽加温に使う水槽用ヒーター、そしてそのヒーターを制御するためのサーモスタットについて解説し、おすすめの製品も紹介します。私は魚だけでなく亀も飼っていますが、カメの飼育においても水の加温・保温の方法は同じなので、亀飼育者の方にも読んでもらえればと思います。

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ちなみに、今回の記事と似た内容を扱っているものに下のリンク先の記事があります。

この記事を書いてから2年近くが経過して私の知識も深まってきたので、同じようなテーマですがもう一度書き直すことにしました。新規に書き直しているので、以前の記事だけに記載している内容もあるかもしれません。気になる方は前の記事にも目を通してみてくださいね。

ヒーター・サーモスタットでできること

水温が維持された水槽

まずは基本事項の確認です。ヒーターとサーモスタットのそれぞれの役割・できることを確認しておきます。

ヒーターでできること

ヒーターでできることはまさに水を加熱して水温を上げることです。ヒーターに電気を流すと、ヒーター内部の電熱線が発熱し、周囲の水を加熱するというのが一般的な仕組みですね。

注意すべきはヒーターには加熱しすぎた水を冷やす機能はありませんし、そもそもどれくらい加熱したかを検知する機能もありません。ヒーターを制御して水温を管理するのは、次に紹介するサーモスタットの役割です。

サーモスタットでできること

サーモスタットは上にも書いたように、水温を適切な範囲に管理するためにヒーターの制御を行います。温度センサーと電子回路から構成されており、センサーで指定された水温を基準にヒーターの電源のオン/オフをコントロールします。指定された温度を下回るとヒーターの電源を入れ、上回るとヒーターの電源を切るという感じです。

つまり水槽の水はヒーターで加温され、ヒーターのオンオフはサーモスタットが管理しているのです。水温を下げる機能は基本的にはなく、ヒーターがオフになっていれば自然に水温が下がってきて、またサーモスタットがヒーターの電源を入れるというようなことが繰り返されているわけです。

水温計は別途用意しよう

ヒーターとサーモスタットがあれば冬場の水温管理は可能です。しかし何かトラブルがあった時にいち早く気付くため、水温計も必ず併用するようにして下さい。水温計がないと、ヒーターが故障して水温が異常に低くなったり高くなったりした時に、素早く気付くことが出来ません。

水温計を選ぶ際は、こちらの記事が参考になります。目的別におすすめの水温計を紹介しているので、水温系選びに迷ったらぜひ読んでみて下さいね。

ちなみに個人的には、ニチドウというメーカーの「マルチ水温計」という水温計が気に入っています。デジタル水温計としては安めで、表示が見やすく多機能なため、多くの人にとって使いやすいと思いますよ!

ヒーター・サーモスタットの種類

ヒーターとサーモスタットにはいろいろな種類があります。設定温度の変更はできないが取り扱いの容易な「オートヒーター」や、拡張性の高い「ヒーター単体+サーモスタット」、その中間的な存在の「温度可変式一体型ヒーター」などがヒーター・サーモスタットの主な種類です。以下でこれらについて詳しく説明します。

オートヒーター

サーモスタットの機能が内蔵されたタイプのヒーターです。あらかじめ設定された温度(26℃程度に設定されていることが多いです)に水温を保ちます。オートヒーターを水槽に入れて電源を入れるだけで水温を保ってくれるので、配線が少なく目立たない、取り扱いが簡単、安価というメリットがあります。

デメリットは設定温度を変更できないこと、ヒーターに温度センサーが内蔵されているのでヒーターカバーが基本的に使えない(正しい水温を検知できない・一部使用可な商品有)ことです。また、一般的にヒーターよりもサーモスタットの方が寿命が長いのですが、オートヒーターはサーモスタットが壊れていなくてもヒーターが壊れると使用できなくなってしまうので、製品の寿命が短い傾向にあるというのもややデメリットです(その分安いですが)。

温度可変式一体型ヒーター

オートヒーターの機能が向上し、設定温度を自由に変更できるようになったものです。それ以外の部分は基本的にオートヒーターと同じで、水温センサーもヒーターに内蔵されています。そのため配線が目立たない、取り扱いが簡単、ヒーターカバーを使用できない、寿命が短いというメリット・デメリットはオートヒーターと同じです。

設定温度が自由に変更できるという以外に違う点は、そこそこ値が張るという点です。寿命が短い割に価格も安くないので、コスト面がイマイチということになります。

単体型ヒーターとサーモスタットの分離型

ヒーターとサーモスタットがそれぞれ独立しているタイプです。設定温度を変更できるので、病気が発生したときなども細かく水温を指定して対応することが出来ます(病気が発生したときは水温を調節することで病原菌を弱らせる場合があります)。ヒーターとサーモスタットの交換も別々に出来るので、ヒーターが壊れたときの出費が最小限で済みます。また、使用するヒーターのワット数を変えれば色々な水槽に対応することが出来ます。

デメリットとしては、センサーとヒーターが分離しているので水槽内の配線がごちゃごちゃして美観を損ねます。またそれにより水温センサーを水中に入れ忘れ、際限なく水温が上昇してしまう煮魚事故が起こってしまう危険性もあります。ヒーターとサーモスタットが独立しているものを購入するとやや値段が高くなる傾向にありますが、長期的に見ればヒーターの交換コストを安く抑えられるのでこの点はあまり気にしなくて良いと思います。

パネルヒーター

パネルヒーターは上の3つとは異なり、水槽の下に敷くタイプのヒーターです。水との間に水槽のガラス等が入るので保温能力はかなり落ちます。安全性は高いですが、よほど小型の水槽でない限り実用に足るほどの能力がありません。ただし、水槽の底面全体を温めるので局所的に加熱してしまう危険が小さかったり、水槽内で邪魔にならないという利点もあります。

ほとんどの製品はサーモスタットが不要です。水濡れ厳禁のものもあるのでその点は注意が必要です。有名どころの製品としては、アクアリウムに限らず小動物飼育の定番となっている「ピタリ適温」や、完全防水仕様のためアクアリウムに使用しやすい「スーパー1」などがあります。

他のヒーターと毛色が違うため、パネルヒーターについてはこの記事の他の記述はあまり役に立たないかもしれません。

ヒーター・サーモスタットの選び方

ヒーター・サーモスタットの概要を把握したところで、それぞれの選び方を紹介します。

ヒーターの選び方

ヒーターを選ぶ際に注意する点は主に2つ、ワット数と安全性です。

ワット数

ワット数はヒーターの能力を表し、水槽のサイズによって適切なワット数がおおよそ決まっています。適切なワット数よりも小さなワット数のヒーターを使用すると、水槽を十分に温めることができない可能性もあります。

水槽のサイズについてはこちらの記事で色々なものを紹介しています。ワット数選びの目安となる「水量」も水槽サイズごとに紹介しているので、目を通してみて下さい。適切なワット数のヒーターを使用すると電気代の節約にもなるので、ヒーターのワット数選びには十分注意するようにしましょう。

水槽サイズとヒーターのワット数

代表的な水槽のサイズ(水量)とヒーターの適切なワット数の対応関係をまとめておきます。

30cm規格水槽・20cmキューブ水槽
(20リットル未満)
50W
45cm規格水槽・30cmキューブ水槽
(40リットル未満)
100~150W
60cm規格水槽(60リットル未満) 150~200W
75cm水槽・90cmスリム水槽
(100リットル前後)
200~300W
90cm規格水槽(150リットル前後) 300~400W
120cm規格水槽(200リットル前後) 500~600W

安全性

熱帯魚(観賞魚)用のヒーターはとても便利な半面、この観賞魚用ヒーターを原因とした火災が今までに起こっています。火災の原因は、ヒーターが空気中で異常加熱することによって周囲の可燃物に引火する「空焚き」です。ヒーターが水中にあれば基本的に問題はありませんが、水換え時に電源を入れっぱなしにしていたり、水槽の設置方法が不適切で水槽が割れてしまいヒーターが空気中に露出してしまったりといった場合に火災に繋がってしまうことがあります。

こういった火災事故を予防するため、最近のヒーターには異常加熱を検知するとヒーターの電源を落とす空焚き防止機能がついています。また、素材に難燃性の樹脂を使用したり、プラグにトラッキング防止機能を持たせている場合もあります。これらの火災事故対策の機能がしっかりしているかは購入前に必ずチェックしておきましょう。空焚き防止機能には、一度異常加熱を検知して電源を落とすと二度と使えなくなるタイプと再使用可能なタイプの2種類があるので、その点も購入前に確認しておいたほうが良いと思います。

サーモスタットの選び方

サーモスタットを選ぶときに気をつけるのは、電力容量と温度の指定可能範囲、メーカーなどです。

サーモスタットには接続可能なヒーターのワット数の合計に制限があります。例えば私が使用している、エヴァリスのEVサーモスタット 300R だと、1W~310Wまでのヒーターを接続することができます。大体はサーモスタットの名前を見ると分かるようになっていますが、購入前には必ず確認して下さい。許容量以上のワット数のヒーターを接続すると、サーモが壊れて水温が異常に上がってしまい、魚が死ぬ原因となる可能性があります。

また、サーモスタットは商品により指定可能な温度の範囲が違います。自分が飼育している生体に適した水温に設定することができるのか、こちらも購入前に確認しておきましょう。

ヒーターとサーモスタットのメーカーが違っても問題はありませんが、もし可能なら揃えておくほうが不具合があったときに対応が丁寧になると思います(一応推奨の使用法は同一メーカー製品を使うことのはずなので)。また、サーモスタットによっては独自の安全機能が付いているものもあるので、その点も確認しておくとなお良いです。

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事故の危険性と安全面の対策

ヒーター・サーモスタットの誤った仕様による危険性

ヒーターやサーモスタットはとても便利な半面、誤った使い方をすると火災などの重大な事故の原因となりえます。起こりうる事故・リスクを知っておき、事前に対策しておいてください。

設置時の注意点

ヒーターを設置する際にはいくつか注意すべき点があるので、まずはそれを紹介します。

ヒーターを縦置きしない

ヒーターは基本的には縦置きできません。サーモスタットの誤動作やヒーターの故障の原因になるからです。ただし一部のヒーターでは縦置きが可能だったり、縦置き推奨のものもあります。説明書を読んで適切な向きで設置して下さい。

ヒーターを底床に埋めない

ヒーターを底床に埋め込んでしまうと、熱が上手く循環せずに故障の原因となります。ヒーターが目立たないようにしたい場合は、水草や流木の裏に設置するといった方法を取りましょう。

状況に応じてヒーターカバーを使用する

生体が火傷をしたりヒーターを破壊するのを防ぐために、ヒーターカバー を利用すると便利です。しかし温度センサーが内蔵されているタイプのヒーター(オートヒーター・一体型ヒーター)では、水温を適切に検知できなくなるため基本的にヒーターカバーを使用できない場合があります。説明書を読んでヒーターカバーが利用できるか確認して下さい。ヒーターカバーによってはオートヒーターに対応している場合があります。

ヒーターカバーを利用する際にはヒーターを水流がよく当たる場所に設置し、カバーの内部に熱がこもらないようにします。

火災に注意

ヒーターの選び方でも書きましたが、これまでに熱帯魚用のヒーターを原因とした火災が複数起こっています。安全性の高いヒーターを購入することも重要ですが、日頃からヒーターの使用方法に気を配っておくことが最も重要です。

  • 水換え時など、センサーやヒーターが空気中に露出する可能性がある場合には、必ず電源を切る。
  • ヒーターが空気中に出ている時には通電しない。
  • バケツなど、水位が浅かったり耐熱性に難がある水槽以外の容器では絶対に使用しない。

このように適切に使用すれば、火災の危険性はほとんど無いはずです。またヒーターだけでなく、水槽周りの配線に水がかからないような注意も必要です。

統一基準規格・電気用品安全法(2016年~)

熱帯魚用のヒーターが原因となった火災を防ぐために、法律面でも様々な規定が行われています。特に、2015年7月24日には電気用品安全法が改正され、猶予期間の1年を過ぎた2016年の夏からは、新たな基準に適合しないヒーターは販売することができなくなりました。その新基準が、「統一基準規格(SH規格)」です。

統一基準規格(SH規格)は、アクアリウム用ヒーターの空焚きが原因の火事が多発していることを受け、2012年に業界団体の「観賞魚用ヒーター安全対策協議会」により制定された観賞魚業界の自主規制です。統一基準規格は熱帯魚用ヒーターを出来る限り安全なものにするための条件を規定しており、代表的な内容は以下のとおりとなっています。

  • ヒーター表面温度(接触表面)は気中で400度以下となること。
  • ヒーターカバーが気中で溶解し、ヒーター管が露出するような穴があかないこと。
  • 樹脂カバーを使用する場合は「VO材」を使用すること。
  • 空焚き防止機能の動作後は自動復帰せず、再使用できないようにすること。
  • 統一安全基準をクリアした商品には「安全基準適合マーク」を付けることができる。

そして、2011年の東日本大震災で観賞魚用ヒーターの空焚きによる火災が多数起こったことを受け、経済産業省が電気用品安全法を改正する際に、この統一基準規格が参考にされました。これにより改正された電気用品安全法には、「観賞魚用ヒーターが空焚き状態となった場合であっても、ヒーターの外郭表面温度が400℃以下であること」という内容が盛り込まれています。ヒーターの表面温度が400℃を超えなければ、発火の危険性が少なくなるため安全と言えます。

さらなる詳細事項は以下のページで解説していますので、そちらも確認してみてください。

電気用品安全法の改正を受け、熱帯魚用ヒーターとして販売されている商品の一部には販売ができなくなるものもあり、商品のモデルチェンジが多発しました。現時点では既に猶予期間が終わっており、販売されているものは改正後の電気用品安全法に準拠しているはずですが、念のため古いモデルはなるべく避けて新しいモデルのヒーターを購入したほうが良いでしょう。

リコール情報も確認

適切な使用をしていても、製品に問題があるせいで事故の危険を伴う場合があります。例えば2014年10月からGEXのヒーターでリコールが行われています。

メーカー側に問題があるのが悪いのですが、被害を受けるのはユーザーなのでこういった不具合やリコール等の情報も気にかけておくようにしたいところです。購入時に信頼できるメーカーの製品を買うようにするのが良いかもしれません。

評判が悪いヒーター

私が使用したわけでは無いのでここに書くのは少し気が引けますが、テトラの26℃ミニヒーターというオートヒーターは不具合の報告が非常に多いことで有名です。縦置きできる珍しいヒーターなのですが、あまりに不具合報告が多いのでできるだけ避けたほうが良いと思います。

故障対策

適切に使用していても、ヒーターは結局のところ消耗品なのでいつか必ず故障します。ヒーターが故障すると水温を保てなくなり、生体がダメージを受けてしまうので、どれだけ早く対処する(=新しいヒーターに交換する)かが重要です。素早く交換できるように予備のヒーターを用意しておくと安心です。

また、ヒーターが故障した時にすぐに水温が下がってしまわないようにヒーターを複数系統に分けておくことも有効です。例えば60cm水槽の場合なら、200Wのヒーター1本で保温するよりも、100Wのヒーター2本で保温するほうが故障時のリスクが低いです。こういう場合はオートヒーターや一体型ヒーターではなく、サーモとヒーターが分離しているタイプのものを使います(そうしないとヒーターだけを交換できません)。

さらに安全策を取るのであれば、ヒーターが故障する前に交換してしまうのが良いでしょう。ヒーターの使用期限をワンシーズンとかツーシーズンと自分で決めておいて、その期間が過ぎたら故障していなくても交換するという方法です。ちょっと勿体無いですが安心感がありますね。

煮魚事故

サーモスタットの故障や温度センサーを水中に入れていなかったという原因により、水が十分に温まってもヒーターの電源が切れずに加熱され続け、水温が異常に上昇してしまい生体が茹で上がって死んでしまうというのが煮魚事故です。ヒーターが原因で起こる事故の中でも火災に次いで悲惨なものです。この事故への対策方法を紹介します。

サーモスタットの2重化

本来はサーモスタット→ヒーターと接続するところを、サーモスタット→サーモスタット→ヒーターと接続する方法です。これにより片方のサーモスタットが壊れてももう一方で水温の異常上昇を防ぐことができます。また、オートヒーター対応のサーモスタット(コトブキにオートヒーター対応のものがあります)にオートヒーターをつないで2重化する方法もあるようです。

ほとんどのサーモスタットはオートヒータには対応していませんし、サーモスタットの二重化も基本的にはメーカーの想定外なので、ヒーター・サーモスタットを適切に選んで試用する必要があります。具体的な製品の候補は、タイプ別おすすめヒーター・サーモスタットという項目内の安全性重視(冗長構成)の部分で紹介します。

エヴァリス ハイグレード保温セット HG300-R を使う

煮魚事故を恐れまくった私がたどり着いたのが、エヴァリスのハイグレード保温セット HG300-R を使うという方法です。

このサーモスタットとヒーターのセットには、エヴァリスのEVサーモスタット 300Rというサーモとパーフェクトセーフヒーター300というヒーターが含まれています。実はこのパーフェクトセーフヒーターにはセンサーが内蔵されており(通常センサーはサーモのみに内蔵)、水温が異常上昇すると約33℃で自動的に電源を切ってくれるのです。上で紹介したサーモの2重化に似たことをメーカー側で対応してくれているわけですね。

パーフェクトセーフヒーターはエヴァリス製のEVサーモ意外の製品に接続して使用することはできないそうなので、EVサーモがセットになっているハイグレード保温セット HG300-Rがおすすめというわけです。

2016年には廃盤に…

2014年秋の本記事執筆以降、最もおすすめしてきたエヴァリスのHG300-Rですが、2016年10月時点では既に廃盤となっているようです。少なくともK-kiはHG300-Rが販売されているショップを知りません。また、HG300-Rの構成品のうちのうちEVサーモスタット 300Rのほうはまだ販売が継続されているようですが、パーフェクトセーフヒーター 300は単品売りされておらず廃盤状態です。

このようにHG300-Rの入手が難しくなってしまったため、煮魚事故を防止するためには、上記のサーモスタット2重化がこれまでより一層重要な対策だと言えます。

タイプ別おすすめヒーター・サーモスタット

ヒーターとサーモスタットの機能や種類、選び方、安全対策などを確認したところで、これらに対して「安さ」「安全性」「目立たなさ」の重視する目的別に、おすすめのヒーターとサーモスタットを紹介します。ヒーターの消費電力(ワット数)は適当なので、使用する水槽に合わせて適切なものを選んで下さい。

手軽さ・安価性重視

大きさ(200W) ヒーター本体:直径 約23mm×長さ 約195mm
コード長 約82cm
制御温度範囲 26℃
価格(200W) 1800円程度

手軽さ・安価性を求める場合にはオートヒーターがおすすめです。細かい設定ができない分手軽で安価です。オートヒーターの中では、価格も安めで対応したヒーターカバーもあり、一般的な仕様で困ることのないテトラの26℃セットヒーターがイチオシです。私はこれの1つ旧モデルの、26℃安全ヒーターを使用しています。

26℃安全ヒーターでも十分便利でしたが、この26℃セットヒーターからは、後述する2016年から適用される安全規格の「統一基準規格(SH規格)」を満たし、さらにヒーターカバーもセットになっています。オートヒーターならこのヒーターが本当に使い勝手が良いと思います。

安全性重視(統一基準規格)

大きさ(200W) ヒーター本体:長さ 220mm×高さ 40mm×奥行き 28mm
コード長 ヒーター:1.0m
制御温度範囲 使用するサーモスタットによる
価格(200W) 2600円程度

事故の危険性と安全面の対策統一基準規格という項目で既に書きましたが、2016年夏から熱帯魚用ヒーターには、安全性を確保するための新たな規制が設けられます。その元になっているのが、統一基準規格(SH規格)です。統一基準規格の条件を満たしたヒーターには、以下のような安全基準適合マークが付けられています。

統一基準規格(SH規格)の安全基準適合マーク

このマークが付けられたヒーターは、安全に使用できるように以下の仕様を満たしています。SH規格が安全性を追求した規格であることが分かると思います。

  • ヒーター表面温度(接触表面)は気中で400度以下となること。
  • ヒーターカバーが気中で溶解し、ヒーター管が露出するような穴があかないこと。
  • 樹脂カバーを使用する場合は「VO材」を使用すること。
  • 空焚き防止機能の動作後は自動復帰せず、再使用できないようにすること。

SH規格に準拠したヒーターの中では、やや高価ですがニッソーのプロテクトPROヒーターがおすすめです。SH規格のヒーターは空焚き防止機能が働くと再使用できないのですが、このプロテクトPROヒーターには通電を確認できるパイロットランプが備えられており、うっかり空だきしてしまうミスを防ぐことができます。

プロテクトPROヒーターは単体型のヒーターなので、使用の際にはサーモスタットを別に購入する必要があります。

基本的にどこのメーカー製のサーモスタットでも、電力容量が対応範囲内なら使用できますが、同じニッソー製でメーカーの補償が手厚くなり、その上人気も高い「シーパレックス」シリーズのサーモスタットあたりがおすすめです。

安全性重視(冗長構成)

機械などが故障しても、本来の目的を果たせるように予備の装置を常時並行運用することを「冗長化」と言います。ヒーターやサーモスタットは便利な半面、故障が発生すると非常に大きな問題を生じる可能性があることから、故障しても問題が起きないように冗長化しておけば、トラブルが起こる可能性を一層低く抑えることが出来ます。

事故の危険性と安全面の対策の項目にも書いたように、水槽の保温システムでは、ヒーターが故障すると水が冷たくなりすぎてしまい、サーモスタットが故障すると水が熱くなりすぎてしまいます。それぞれの故障対策は、ヒーター・サーモスタットを2系統以上持たせることです。

これを踏まえると、以下のシステムを作り上げれば、サーモスタットの故障に対して冗長化できることがわかります。ヒーターの故障にも対応するためには、このシステムを2系統用意するなど、2つ以上のヒーターを併用する形にすれば良いでしょう。

ET-300Xを利用したサーモスタットの冗長化

コトブキのICパワーサーモ ET-300Xは、従来品から電気回路を変更することにより、オートヒーターやサーモスタット一体型ヒーターを接続できるようになった数少ないサーモスタットです。ET-300Xに、サーモスタット機能をもったヒーター(オートヒーターやサーモ一体型ヒーター)を接続すると、実質的にサーモスタットが複数になって冗長構成となります。

これにより、ET-300Xとヒーター自体が持つサーモスタット機能のいずれか片方が故障したとしても、水温を指定の範囲に維持することが出来ます。水温は通常時は設定温度の低い方、片系統故障時は故障していない方の設定温度になります。この機能は、上位機種のET-600XやET-1000Xでは使用できない、ET-300X固有の機能であることに注意してください。

また、ET-300Xのコンセントは1個口ですが、これを分岐させて複数のサーモ機能内蔵ヒーターを接続すれば、ヒーターの故障に対しても冗長性を持たせることが出来ます(複数のサーモ内蔵型ヒーターを接続しても冗長化可能であることはコトブキ工芸に確認済み)。

ET-300Xに接続して冗長構成にするサーモ内蔵型ヒーターには、コトブキ製の「セーフティーオートSH」「セーフティーオートMD」が推奨されます。これは、メーカー保証の観点などから、一般にサーモスタットとヒーターのメーカーは同一であるほうが望ましいからです。ET-300Xには対応するコトブキ製のヒーターを使用するようにしましょう。特に、セーフティーオートMDシリーズは設定温度を調整できるサーモ一体型ヒーターでありながら、サーモ部分が非常に小型化されているため、配線がごちゃごちゃしやすい冗長構成の保温システムにおすすめです。

文章だけの説明では分かりにくいかと思うので、ここで説明しているサーモスタット・ヒーターの構成を図を交えて具体的に説明します。

ET-300Xを利用したサーモスタットの冗長化

例えば、上図の場合で、サーモスタット①の設定温度が28℃、サーモスタット②の設定温度が26℃の場合、水温が26℃になるとサーモスタット②が電源を遮断し、ヒーター①は熱を発さなくなります。ここでサーモスタット②が故障した場合、水温は26℃を超えても上昇し続けますが、28℃になるとサーモスタット①の働きによって電源が遮断されます。サーモスタット①が無ければ水温は上昇し続け煮魚事故が発生していたところ、サーモスタットを冗長化していたことによって事故が回避されたのです。

また、もしもヒーターが1本だけ(ヒーター①のみ)だった場合、ヒーター①が故障すると熱を発生するものが無くなるので水温は下がり続け、熱帯魚やエビなどの生体に深刻なダメージを与えてしまう可能性があります。しかしこの図のようにヒーターが2本あれば、仮にヒーター①が故障してもヒーター②が働き、水温をある程度維持してくれます(ヒーター1本では熱容量が不足する場合指定した水温まで暖かくならない可能性はあります)。これがヒーター冗長化の恩恵です。

上図とは異なり、サーモスタット①の下でコンセントを分岐し、ヒーター①と②を繋ぐ方法もあります。しかし、これではサーモスタット①が完全に通電しなくなるような故障の仕方をしたときに、ヒーターが全て使用不可能になってしまいます。そのため、コストはかさみますが上図のようにサーモスタットから2系統に分け、サーモが電源を完全に切ってしまうような壊れ方をしても、バックアップのヒーターが稼働できるようにするほうがより安全といえます。

なお、これらの冗長構成はヒーター・サーモスタットが複数系統生きている場合にのみ機能します。2つあるヒーターやサーモスタットのうち片方が壊れたまま放置していると、もう残る一方が壊れたときに煮魚事故や水温低下が発生してしまうのです。冗長構成になった保温システムでは、ヒーターやサーモスタットの片方が壊れても水温が維持されるため、故障を見落としがちです。日頃から定期的にチェックする習慣をつけるようにしましょう。

目立たなさ重視

大きさ(200W) ヒーター本体:外径 24mm×長さ 275mm×高さ 36mm
サーモスタット:幅 60mm×奥行 35mm×高さ 20mm
コード長 ヒーター:約0.6m
サーモスタット:約1.2m
制御温度範囲/精度 23~32℃±1.5℃
価格(200W) 4000円程度

水槽内で目立たないことを重視するなら、ヒーターにセンサーが内蔵されているタイプ(オートヒーター・一体型ヒーター)で、ヒーターの長さが短めのもの、または細めのものがよいでしょう。コトブキ工芸のセーフティーオート MDは、外径24mmと細めの一体型ヒーターで、色も薄い黒色となっており、水槽内で目立たないことを主眼において設計されています。さらに、サーモスタットの温度制御ダイヤル部分はアクアリウム用品としては最小クラスであり、細部まで目立たないようにしようというこだわりが感じられます。

電気代を安く抑えるために

ヒーターはとても便利ですが、水温を上げるためには多くの電気を使います。水槽が大量にあったり水槽サイズが大きい場合には、ヒーターの電気代がかなり高額になることもあります。電気代を節約するためのポイントを紹介しておきます。

設定温度を下げる

一番簡単な方法です。水温を高く保つよりはやや低めに保つほうが電気代は当然安くなります。生体の健康を保てる範囲で低めの水温に設定すれば電気代も安めになりますね。

設定温度を下げすぎて生体にダメージを与えてしまわないように注意して下さい。

断熱材を使う

水槽の周りを断熱材で囲ってしまえば、魔法瓶のように水温が下がりにくくなります。上のような水槽用の断熱材として販売されているものを使うのもよし、発泡スチロール等身近にある断熱材を利用して自作するのもよしです。デメリットはどうしても見た目が悪いという点ですね。インテリア性を取るか、電気代を取るか、水槽の設置目的に合わせて使うかどうか決めてください。

エアコンで部屋ごと温める

水槽の数が多かったりあまりにもサイズが大きい時には、水槽用のヒーターを使うよりもエアコンで部屋ごと温めるほうが安上がりな場合もあります。エアコンや部屋の広さにもよりますが、最近のエアコンは省エネ化が進んでいるので水槽用のヒーターよりも電気代が安い可能性は十分にあります。

この方法で冬場の加温を行う場合は、エアコンは24時間運転にして下さい。エアコンは始動時に最も多くの電力を必要とするので、つけたり消したりするよりも24時間運転にしたほうが電気代が安くなります。

低温に強い生体を飼育する

ある意味究極の方法かもしれませんが、低温に強い生体を飼育すれば水温を上げる必要もありません。日本産淡水魚(通称 日淡)なら、冬場の低水温にもよく耐えてくれるのでヒーターは基本的に必要ないと思います。

日淡もいぶし銀的な美しさがありますが、もっと派手な魚を飼いたいという方は、低水温に強い熱帯魚を探すしかありません。2ちゃんねるの無加温飼育スレでは、日淡以外の低水温に強い魚をリストアップしています。私はこのスレを参考にしてミクロラスボラ・ハナビの飼育を始めましたが、確かに低水温に強く、部屋が暖かかったこともありますがヒーター無しで冬をこすことが出来ました。

無加温飼育スレの情報が完全に正しい訳ではないと思いますが、かなり参考になる情報です。低温に強い魚を探してみるのも面白いと思いますよ。もちろんハナビもおすすめです。

夏場はクーラーや水槽冷却ファンを使う

今回は冬場に暖かい水温を保つためのヒーターやサーモスタットについて解説しました。しかしアクアリウムでは水温管理が重要なのは冬だけではありません。名前からして暑さに強そうな熱帯魚ですが、実は寒さに負けず劣らず暑さにもかなり弱いのです。

夏には冬とはまた違った方法で水温の管理が必要となりますが、その時に使用するのが「クーラー」「冷却ファン」「逆サーモスタット」などのアクアリウム用品です。水温管理はとても重要ですから、寒さが和らいできたと感じたら、早めに水槽の冷却方法についてもチェックしておいて下さいね!

長文記事になりましたが、これだけ読んでもらえれば冬対策は万全のはずです。この記事は熱帯魚をメインターゲットとして書きましたが、亀やその他の両生類・爬虫類も基本的に水温維持については同じです。ただし爬虫類は代謝を上げるためにやや高めの温度設定にしておいたほうが良いかも。しっかりと水温対策をして、冬を乗り切ってくださいね!

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  1. […] 的にはなく、ヒーターがオフになっていれば自然に水温が下がってきて、またサーモスタットがヒーターの電源を入れるというようなことが繰り返されているわけです。 引用元-AquaTurtlium […]

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著者:K-ki
K8ki・けーきはK-kiのシノニム。
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生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。
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