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熱帯魚水槽ヒーターの火事対策義務化!安全なヒーターはどれ?

2015/02/23

熱帯魚用の水槽を温めるためにはヒーターが使用されますが、このヒーターは火災を引き起こす可能性をはらんでいるため、購入する製品の選択や取り扱いには注意が必要です。これまでにも水槽用ヒーターの安全性を増すために色々な取り組みがされてきましたが、未だに熱帯魚水槽のヒーターが原因となっている火災事故は年間何件か発生しています。

参考観賞魚用ヒータの取扱いに気をつけて!
参考水槽用ヒーターの空焚きによる火災に注意!(発表情報)_国民生活センター

さらに、東日本大震災でこのアクアリウム用のヒーターの空焚きが原因となった火災が少なくとも8件確認されていることを受け、経済産業省はヒーターからの発火への予防策を強化する方針を固めました。今回は、この新しい規制の内容とそれに準拠すると思われる規格、その規格を満たした安全性の高いヒーターを紹介します。

経済産業省、熱帯魚水槽用ヒーターの発火防止加工を義務づけへ

"熱帯魚水槽のヒーター 発火抑える加工義務づけへ"
抜粋

東日本大震災で、熱帯魚を飼う水槽用のヒーターが空だきになって発火したことが原因とみられる火災が相次いだことから、経済産業省はメーカーなどに対して、ヒーターからの発火を抑える加工を義務づけることになりました。

消防庁によりますと、東日本大震災では、熱帯魚を飼う水槽が壊れたり水槽の水がこぼれたりして水を温めるために使うヒーターが空だきになったことが原因とみられる火災が、少なくとも8件確認されています。このため経済産業省は、南海トラフ巨大地震や首都直下地震への備えとして、ヒーターからの発火を防ぐ対策を強化する方針を固めました。具体的には、これまで規制がなかったヒーターの温度について、空だきになった場合でも400度以下に抑える加工をメーカーや輸入業者に対し義務づけることで、発火を防ぎたいとしています。経済産業省はことしの夏にもヒーターに関する規制基準を改正する方針で、来年の夏以降、販売されるヒーターはすべて基準を満たしたものになる見通しです。

<-後略->

NHKニュースによると、経済産業省は今年の夏にもアクアリウム用のヒーターに関する規制基準を改正し、来年の夏以降に販売される水槽用のヒーターは全て新基準を満たしたものになるということです。

2015年7月24日に電気用品安全法改正

上記のニュースの通り、2015年7月24日には電気用品安全法が改正され、観賞魚用ヒーターに新たな安全性に関する規制が追加されました。この改正では、「観賞魚用ヒーターが空焚き状態となった場合であっても、ヒーターの外郭表面温度が400℃以下であること」という内容が盛り込まれています。ニュース通りに法改正がなされたといえます。

2016年夏以降は新基準のヒーターのみ販売可能

2015年の電気用品安全法改正の際には、1年間の猶予期間が設けられました。猶予期間内は、改正後の基準に則っていない製品でも販売できるとしていたのです。

しかしこの猶予期間も2016年の夏には終了し、2016年10月現在では改正後の電気用品安全法に則ったヒーターしか販売することは出来ません。

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水槽用ヒーターの「統一基準規格(SH規格)」

NHKニュースでは、ヒーターの具体的な規制について「空だきになった場合でも400度以下に抑える」という内容を挙げています。この内容が今回の電気用品安全法改正の大きなポイントなのですが、この項目を追加するにあたっては、観賞魚用ヒーターの安全基準として以前から存在していた「統一基準規格(SH規格)」が強く影響を与えています。

統一基準規格(SH規格)は、アクアリウム用ヒーターの空焚きが原因の火事が多発していることを受け、国内のヒーターメーカーが集結して結成された安全対策の協議会「観賞魚用ヒーター安全対策協議会」が、安全の為に2012年に新設した規格です。

経済産業省が新たに改正する規制基準が統一基準規格と一致するのかまでは私は理解できていませんが(恐らく、統一基準規格の中の表面温度が400℃以下になるという項目のみを抜粋していると考えています)、最良の安全対策としては、この統一基準規格を満たすヒーターを購入することです。そこで、以下に統一基準規格(SH規格)の内容を説明しておきます。

ヒーター表面温度(接触表面):気中での表面温度を400度以下

ヒーターが空気中に露出した場合にも、その表面温度が400℃を超えないという条件です。400℃という温度は、紙が自然発火しない温度を参考に設定されています。従来のヒーターでは、空気中に露出した際には表面温度が700℃を超える場合もありました。この温度だと、水槽が割れたりして水が溢れてヒーターが空気中に露出した場合、その表面に何かが接触すると容易に白化してしまいます。

統一基準規格(SH規格)では、ヒーターの表面温度を下げることで、ヒーターが原因となる発火のリスクを減らしています。

ヒーターカバーが一体化されている場合は、カバー表面温度が気中で400℃以下にする

ヒーターカバーが一体化されているタイプのヒーターでは、そのカバーの表面温度が400℃を超えないようにと条件付けられています。

ヒーターカバーが気中で溶解し、ヒーター管が露出するような穴が開いた場合はNGとする

ヒーターが空気中に露出した際に、ヒーターカバーが溶け出して内部のヒーター管が露出したりするととても危険ですよね。統一基準規格(SH規格)では、ヒーターカバーが空気中で溶けたりしないような条件も要求されています。

樹脂カバーを使用する場合は「VO材」を使用する

VO材とは、アメリカのUnderwriters Laboratories社が定めた「燃焼性UL94規格」の中の「94V-0」というグレードに分類される材料です。垂直に保持した試料の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させた後も、10秒以上燃焼を続ける試料がないなどの厳しい基準を満たした耐燃性の高い材料です。

参考燃焼性UL94規格

統一安全基準をクリアした商品には、協議会が定める「安全基準適合マーク」を付けることができる

ここまでに紹介したような統一基準規格(SH規格)を満たしているアクアリウム用ヒーターには、観賞魚用ヒーター安全対策協議会が定めた下の画像のような「安全基準適合マーク」を付けることが許されています。

統一基準規格(SH規格)の安全基準適合マーク

水槽用のヒーターを購入する際には安全性のことも考えて、この安全基準適合マークが付いている商品を選ぶことをおすすめします。

注意点:自動復帰機能はない

火災事故を防ぐため、空焚き防止機能がついた熱帯魚水槽用のヒーターは多いです。その中にも、空焚き防止機能が働いた後に再使用ができるものとできないものの2種類があります。

再使用ができるヒーターのほうが使い勝手は良いですが、統一基準規格(SH規格)を満たすヒーターでは安全性を高めるため再使用ができなくなっています。また、空焚き状態になった場合、従来の商品と比較して早い段階で内部のヒューズが断線する構造になっています。

そのため水換えの際などにうっかり空焚きさせてしまうと、すぐにヒーターが断線して使用できなくなってしまいます。こうなってしまうと再使用もできないため、損失が大きいです。使用の際は空焚きをしないように十分に気をつけてください。

安全性を考慮した水槽用ヒーターの例

熱帯魚水槽用のヒーターに設けられる新しい規制の内容と、それに準拠すると思われる統一基準規格について説明してきました。最後に、この統一基準規格を満たすヒーターの例を紹介しておきます。

熱帯魚水槽のヒーター・サーモスタットの選び方とおすすめ

アクアリウムで冬場に水槽水温を維持するため、ヒーターやサーモスタットを使用し水を加熱する際の注意点や、オススメの商品も紹介します。ヒーター・サーモスタットは正しく使わないと事故に繋がるので、安全上の注意点も紹介します。

ちなみに熱帯魚・観賞魚向けヒーターについては、このブログでも上のページで選び方などを詳しく説明しています。今回の発火防止加工の義務化にともなってこちらの記事も修正してあります。水槽用のヒーターに興味のある方は、ぜひこっちの記事も読んでみてくださいね。

セーフティヒーター

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コトブキからは、統一基準規格に対応したヒーターとして「セーフティヒーターSH」というヒーターが販売されています。「ブラック管」という黒いヒーター管を採用しているので、水槽内で目立たない点が特徴です。このヒーターは別売りのサーモスタットに接続して使用するタイプですが、セーフティヒートセットというサーモスタットとのセット商品も販売されています。

コトブキからはこの規格に対応した別の「スリーエスヒーター」というヒーターも販売されていますが、スリーエスヒーターよりもセーフティヒーターの方が新しい商品となっています。また、セーフティヒーターのシリーズ製品として、オートヒーターのセーフティオートSH、サーモスタット一体型ヒーターのセーフティオートMDも販売されています。

コトブキのヒーターは、2020年時点でさらに「セーフティヒーターSP」、オートヒーターは「ツーウェイオートSP」、サーモスタット一体型ヒーターは、「ツーウェイオートMD」へとリニューアルされています。

プロテクトヒーター

ニッソーからは、プロテクトヒーターというシリーズがSH規格に準拠したヒーターとして販売されています。サーモスタット一体型のプロテクト NEO IC オート、単体型ヒーターとサーモスタットのセットタイプのプロテクトプラス、アルミニウム+アルマイトメッキ+ブラックコートでサビを防止するヒーターカバーが付いている上、通電確認が可能なパイロットランプも備えた上位モデルプロテクト PRO ヒーターの3つのバリエーションがあります。

一度空焚き防止機能が働くと再使用できないSH規格のヒーターでは、いかに空焚きをしないかが重要です。プロテクト PRO ヒーターならランプで通電を確認でき、うっかり空だきしてしまうというミスを防げるので、SH規格準拠のヒーターの中でも特におすすめです。

テトラ 26℃セットヒーター

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テトラの26℃セットヒーターは、SH規格に準拠した温度固定のオートヒーターです。オートヒータ-ということで手軽に使えるのと、トラッキング防止プラグを装備していてさらに安全性が向上している点が魅力です。

26℃セットヒーターはリニューアルされ、2020年現在では「26℃セットヒーターJ」が最新のモデルです。

その他

ここで紹介した以外にも、数多くの水槽用ヒーターが統一基準規格を満たしています。メーカーのホームページで調べると、統一基準規格を満たすものは明記されている場合がほとんどなので、ヒーターの購入を考えている方はメーカーのHPも見てみましょう。店頭で直接パッケージを確認しても良いですね。

水槽用ヒーターの火事対策義務化についてまとめ

K-ki

熱帯魚飼育で利用する、アクアリウム用のヒーターに発火防止加工が義務づけられる見込みとなったことと、新基準にも適応できるヒーターを紹介しました。この規制基準の改正によって、少しでも水槽関係の火事が減ると良いのですが…。多くの人に知ってもらいたい内容なので、TwitterやFacebookなどでぜひ共有して知り合いの方にも教えてあげてください。

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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