幼生を産む新種カエル発見&変わった繁殖形態のカエルまとめ

Limnonectes larvaepartus - a fanged frog that gives birth to tadpoles
Limnonectes larvaepartus – a fanged frog that gives birth to tadpoles / JonRichfield

インドネシアでこれまでに確認されていない珍しい生態を持つカエルが確認されました。確認されたカエルには牙があり、卵ではなくオタマジャクシを産むそうです。今回は生物学的にも興味深いと思われるこのカエル「Limnonectes larvaepartus」を紹介します。

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特に、卵ではなくオタマジャクシを産むという生態が珍しいそうです。牙を持つカエルは他にも存在しますが、体内受精してオタマジャクシを産むのは世界でもこのカエルだけだそうです。

インドネシアで世界初のオタマジャクシを産むカエルを発見

"オタマジャクシを産むカエル、インドネシアで世界初の発見"
抜粋

インドネシアの熱帯雨林の奥地で、卵ではなくオタマジャクシを産む新種のカエルを世界で初めて確認したとの研究論文が、12月31日に米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」で発表された。

アジアに生息する「牙を持つカエル」に分類されるこのカエル(学名:Limnonectes larvaepartus)は、インドネシア出身の科学者ジョコ・イスカンダル(Djoko Iskandar)氏によって10年前に初めて発見された。

科学者らは長年、この特異なカエルがオタマジャクシを産んでいる可能性が高いと考えてきたが、交接や出産の様子が直接観察されたことはこれまでなかった。

<-中略->

子孫を生み出すことに関しては、カエルの世界にはこの他にも特異な行動様式が数多く存在する。アフリカに生息し、体内受精を行う一部の種のカエルは、オタマジャクシの段階を経ない子ガエルを産むことが知られている。

カリフォルニア大バークレー校の声明によると、他にも「卵を背中にある袋に入れて運ぶものや、オタマジャクシを鳴嚢(めいのう、鳴き袋)や口の中で育てるもの、背中のくぼみにオタマジャクシを入れて運ぶもの」などがいる。また、すでに絶滅したものの、雌が自らの受精卵をのみ込み、胃の中で育てて口から子ガエルを産むことで知られていたカエルも2種存在したという。

今回確認されたカエルは中国からインドネシアに生息するLimnonectes larvaepartusというカエルです。牙をもつという点も特徴的ですが、さらに特徴的なのは卵ではなくオタマジャクシを直接産むという点です。このような生態を持つカエルが発見されるのは世界初ということなので、その特異性がうかがえますね。

Limnonectes larvaepartus holotype
Limnonectes larvaepartus holotype / KateWishing

Limnonectes larvaepartusはオスで平均37.4 mm、メスだと平均40.2 mmの大きさになるカエルで、背部は茶色がかかった灰色~赤褐色または黄褐色、腹部は黄色~クリーム色をしています。脛の上端部分に暗い斑点がでることも多いそうです。

英語版のWikipediaによれば、メスはおよそ100個の卵を産み、それを体内で孵化させるということなので卵胎生と分類できます。ニュースの元になった論文を少し読んでみたところ、体内受精をするカエルはこれまでにも知られていますが、それらは全て受精卵かカエルにまで成長したものを産むという繁殖形態だそうです。体内受精した上でオタマジャクシで生まれてくるという点が、このLimnonectes larvaepartusが持つ世界唯一の生態ということですね。

考えてみれば卵胎生という親にとっては(少なくとも卵生よりは)負担が大きくなる生態を選択しているにも関わらず、オタマジャクシという成長途中の状態で子供を野に放ってしまうのはなんだか矛盾しているようにも感じます。インドネシアという生物多様性に富んだ土地柄が、そのような生態で生存し続けることをサポートした面もあるのでしょうか。

また、これらの体内受精をするカエルを詳しく調べることで、卵生・卵胎生・胎生などの繁殖形態について新たな知見が得られるのかもしれません。

もっと詳細な情報を知りたい方もおられると思うので、ニュース記事の文中にもある米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に投稿された論文ヘのリンクを張っておきます。私はAbstractしか読んでいませんが、興味のある方はどうぞ。

参考PLOS ONE: A Novel Reproductive Mode in Frogs: A New Species of Fanged Frog with Internal Fertilization and Birth of Tadpoles
参考PLOS ONE: The Reproductive Biology and Larvae of the First Tadpole-Bearing Frog, Limnonectes larvaepartus

変わった繁殖形態のカエルたち

紹介したニュース記事では、このLimnonectes larvaepartusの他にも特殊な繁殖形態を持つカエルがいるとされていますが、ここでそんな変わり者のカエルたちを紹介してみます。

ピパピパ(コモリガエル)

Surinam toad (DFdB)
Surinam toad (DFdB) / Dein Freund der Baum

ピパピパは変わったカエルとして有名かもしれません。他のカエルとは一線を画した扁平な体が特徴的です。産卵前にはメスの背中の皮膚がやわらかく厚くなり、産卵した卵を一度オスの腹部で受け止めて受精させてから、メスの背中に押し付けて埋めこんでしまいます。

卵はそのままメスの背中で孵化し、オタマジャクシの時期もメスの背中で過ごしてカエルの姿になってからメスの背中から出てきます。この繁殖行動から「コモリガエル」という和名がつけられています。ピパピパは見た目も繁殖行動もインパクトが凄いですね…。

ヤドクガエル

Blue Poison Dart Frogs
Blue Poison Dart Frogs / mcamcamca

その美しい姿から愛好家も非常に多く、ビバリウムという飼育方法も確立されているヤドクガエルですが、その繁殖形態はかなり多様です。オタマジャクシが餌を摂らずにカエルまで成長できたり、メスが産む無精卵を食べて成長したり、親蛙が卵やオタマジャクシを背負って生息に適した水場まで移動するものなど、オタマジャクシを成長させるための様々な工夫が見られます。

上の写真のコバルトヤドクガエルは、親が卵とオタマジャクシの世話をします。卵の湿度を保ったり、オタマジャクシが変態するための小川まで背中に乗せて運んだりととても甲斐甲斐しいです。それにしても綺麗なカエルですよね。

コモチヒキガエル

コモチヒキガエルはアフリカのタンザニアに生息し、最大で3.5cmほどになる小さなカエルです。このカエルの卵はメスの体内にで卵黄の養分によって成長し、子ガエルになってから生まれてきます。

ダーウィンハナガエル

ダーウィンハナガエルはアルゼンチンやチリの森林部の小川に生息するカエルで、チリでこの種を発見したチャールズ・ダーウィンに因んで名付けられました。

オスはメスが産んだ卵を2週間ほど守り、孵化しそうになると卵を飲み込んで鳴嚢(鳴き袋)の部分で保護します。オタマジャクシは鳴嚢の中でオスの皮膚から栄養分を吸収しながら成長し、変態を終えて小ガエルまで成長し切るとオスの口から出ていきます。

ナショナルジオグラフィックの動画が分かりやすくて面白いですね。このカエルのオスは本当に大変そう…。

カモノハシガエル(イブクロコモリガエル)

カモノハシガエルの繁殖はとても特徴的です。メスは産んだ卵が受精すると飲み込んでしまうのですが、すると胃酸の生成が止まり、胃袋が即席の子宮になってしまうんです。卵やオタマジャクシが胃の中でも消化されないのは、卵の保護膜や幼生から分泌されるプロスタグランジンE2が、胃酸の生成や消化活動の働きを妨げているからだそうです。卵は母親の胃の中で孵化・変態し、母親は6-7週間後に孵化・変態した幼体を吐き出します。

リンク先ではカモノハシガエルが子供を口から産む様子を写真で確認できます。

このカエルは1981年以降の自然下での発見例が無く、飼育個体も1983年までに死亡してしまっているので絶滅したと考えられています。絶滅の原因は不明ですが、近年両生類の劇的な減少を引き起こしているカエルツボカビ症が原因だと考えられています。

参考カエルツボカビ症 – Wikipedia

新たに確認されたオタマジャクシを産むカエル「Limnonectes larvaepartus」を紹介し、その他の変わった繁殖形態のカエルも紹介しました。カエルの様々な繁殖形態をまとめてみましたが、Limnonectes larvaepartus意外にも面白い繁殖形態のカエルがたくさんいるんですね。こういうのを知ると、自然の偉大さを感じます。

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