こんにちはー。アクアリウム歴5年目のK-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。アクアリウム大好きな私ですが、最近密かに興味を持っていた事があります…。それは「テラリウム」です。中でも、「苔テラリウム」にはかなり興味津々でした。
そして先日、遂に念願かなって苔テラリウムを作る事ができました。今回は、そこで得たノウハウにもとづいて、苔テラリウムの作り方を紹介します。アクアリウム経験のある人なら簡単に作れてしまうと思うので、気軽に試してみてはどうでしょうか。もちろんアクアリストではない人も、そんなに難しくないのでぜひチャレンジしてみて下さい!
苔テラリウムとは
陸棲の動植物をガラスやアクリル製の容器に入れて飼育・栽培する技術・方法のことを「テラリウム (Terrarium)」と呼びます。ここではその中でも特に、植物の栽培を行うことを指してテラリウムという言葉を使っています。
苔テラリウムはその名の通り、苔類を主体としたテラリウムのことです。苔は丈夫で育てやすい小型の植物であり、卓上の小型容器でもテラリウムを楽しめることから、苔テラリウムはとても人気です。コケリウムと呼ばれることもあります。
今回お世話になったショップ
今回は、関西圏のアクアリストなら知らない人はいない(?)「アクアテイラーズ」で苔テラリウム作りに必要なものを一式購入しました。園芸店でも良いんでしょうが、私がアクアリストなのでアクアショップで購入した次第です。
営業時間 |
平日:13:00~21:00 土曜:12:00~23:00 日祝:12:00~21:00 |
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定休日 | 火曜日、第2・第3木曜日 |
所在地 |
〒578-0911 東大阪市中新開1丁目15-1 |
TEL | 072-960-7910 |
アクアテイラーズはアクアショップとしての規模が大きく、レイアウト水槽も数多く置いているため、見ているだけでも非常に楽しいショップです。関西圏に住んでいるアクアリストなら一度は訪れてみたいですね!
参考アクアテイラーズ Aqua Tailors 東大阪のアクアリウムプロショップ
用意するもの
まずは今回の苔テラリウム作りの際に用意したものを一通り紹介しておきます。苔テラリウムを作りたいと思ったら、ここで紹介しているもの(もしくはその類似品)を揃えるところからスタートして下さい。
水槽・ボトル
まずは苔テラリウムを作るための容器が必要です。雑貨屋さんを巡ったりして、お気に入りのガラスボトルを探すのも楽しいですが、個人的には小型の水槽や、ボトルアクアリウムに使用されるような円筒型・なみだ型のガラス瓶を使用するのがおすすめです。テラリウムよりも強度が必要なアクアリウム用に作ってあるものは丈夫ですし、中が見えやすいようにガラスの仕上げにも気が遣われています。
本当のところ、私はDo!aquaの「プラントグラス オーバル17」が欲しかったのですが、あいにくアクアテイラーズに在庫がなかったため、GEXのベタリウム ティアーを選びました。オーバル17よりは一回り大きいのですが、薄くて軽い印象です。
2020年現在では、ベタリウム ティアーはほぼどのショップでも取り扱いがなく、おそらく廃盤になっています。後継商品としてグラスアクアリウム ティアーが販売されています。
目立って品質が悪いわけではありませんが、手作りのガラス製品なので現物チェックはしておいたほうが無難でしょう。店頭で見せてもらった限り、物によってはちょっと目立つ位置に気泡が入ってしまっているものもありました。
ソイルなどの底床材
容れ物を用意したら、コケを植え付けるための底床材(土など)が必要です。苔用の培養土を用意するのがベストかと思いますが、熱帯魚・水草飼育用のソイルを使っても問題なく育ちます。私は手軽さから水草用のソイルをベースに底床材を選定しました。以下、私が使用した底床材を紹介します。
アクアソイル
アクアソイルは熱帯魚や水草の飼育に使用される、土を焼き固めた底床材です。焼結することで土が適度な大きさの粒となり、水はけを良くしてくれます。苔というとジメジメしたところに生えているイメージがありますが、あまりにもジメジメしすぎているとカビたり蒸れて枯れたりしてしまうため、水はけの良さは重要です。
色合いも濃い黒系のものが多く、苔の緑を引き立ててくれます。
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アクアリウム水槽の底砂・底床まとめ-ソイルから大磯砂まで網羅!
アクアリウムで使われる底砂・底床は多くの種類があり、それぞれが様々な効果を持っています。ソイルや砂利、セラミック系底床などアクアリウム用底砂の種類ごとに特徴や長所・短所をまとめ、どんな水槽にどんな底砂が適しているかを解説します。
ソイルについてはこちらのページで更に詳しく解説しているので、興味のあるひとは併せて読んでみてくださいね。
軽石
軽石は、ソイルよりも下に敷いて使用する底床材です。ソイルの下にさらに水はけの良い層を作っておくことで、テラリウムの底部にある程度水を貯めておいても、底床が水浸しにならなくなります。これにより、多少管理を怠っても底に溜まった水が吸い上げられてくるため、底床材が乾燥しにくくなります。
軽石を使用する目的は、管理を楽にすることなので、使用は必須ではありません。また、ハイドロボールや小石などでも代用することが出来ます。
超造形君
超造形君は、ビバリウムなどでも使われる造形材です。ヤシガラ系の繊維と土の粉末を混ぜたような造形材で、水を加えて練ると粘着力を持ち、壁面などにくっつけることが出来ます。造形君には植物を植え付けることが可能なため、これを使えば水槽などの壁面からも植物を生やすことができます(ただし水中では形状を維持できないためアクアリウムでの使用は不可能です)。
苔テラリウムではソイルの上、苔の真下に敷いて使用します。造形君を使用することで3次元的な造形がやりやすくなることに加え、ソイルよりも保水性が良いため、湿度を保ちやすくなります。それにより、苔が水切れを起こしにくい安定した環境を作り出すことが出来ます。
石・流木などのレイアウト素材
苔テラリウムにより自然な雰囲気を作り出すため、石や流木などのレイアウト素材を使うこともあります。この辺りの素材は、アクアリウム用として様々なものが販売されているため、それを流用するのがよいでしょう。
私は今回、スドーの昇龍石を買ったはずですが、よくよく見てみると全然特徴が違う気もします。色々な種類の石が販売されていたので、種類がごちゃまぜになっていたのかもしれません。見た感じ、ADAの渓石に雰囲気がよく似ています。
ハサミ・ピンセットなどの道具類
苔テラリウムを作る際には、ハサミや霧吹きなどいくつかの小道具が必要でした。ここでは苔テラリウム作りに必要な道具・工具類と、その用途を紹介しておきます。
ハサミ
多くの場合、苔は購入した時点ではシート状になっており、テラリウム容器の中に植え付ける前にハサミで細かくカットする必要があります。
ピンセット
カットした苔をテラリウムに植え付ける際には、細かい作業のやり易いピンセットを使用します。
バケツ
軽石やレイアウト素材を洗ったり、造形君を使用する際に使います。
霧吹き
苔テラリウムを作る途中、ソイルやコケを湿らせるために使用します。また、苔テラリウムの完成後、日常的な世話をするためにも必要です。
タオル
汚れた手や床などを吹くのに使用します。特に造形君を使用する場合、手が非常に汚れるので、汚れても良いもの(最悪捨ててしまっても良いもの)を用意しましょう。
使用した苔の種類
今回の苔テラリウム作りで私が使ったのは、「ハイゴケ」「ホソバオキナゴケ」「シッポゴケ」の3種類です。それぞれの苔について、簡単に特徴を紹介しておきましょう。
ハイゴケ
ハイゴケ(這い苔)は、苔テラリウムで使用される苔の中でもかなりポピュラーな種類です。アクアリウムでよく使われるウィローモスに似ています。
ハイゴケの長所としては、主に以下の点が挙げられます。
- 丈夫で育てやすい・増えやすい
- 乾燥しても縮れにくい・色が変わりにくい
- 流通量が多く入手しやすい
これらの長所から、苔を使った園芸では幅広く利用されています。私も、まずはメジャーどころを!という気持ちで使用することにしました。
ホソバオキナゴケ
ホソバオキナゴケは、丸く盛り上がった密なコロニーを作る苔で、山苔と呼ばれることもあります。育ったコロニーはふかふかのクッションのようでとても綺麗です。
丈が短く密なコロニーを作るホソバオキナゴケは、テラリウムで使うと草原や丘のような雰囲気を作り出すことができます。
シッポゴケ
シッポゴケは高さ5cm程度になる大きめの苔で、動物のシッポのような形をしています。大きさ・形から非常に存在感のある苔です。乾燥に比較的強く、育てやすいと言われています。
小さく密なコロニーを作るホソバオキナゴケの中に、アクセント的な存在で使うと面白いと思い利用することにしました。その存在感からテラリウムでの人気も高い苔です。
苔テラリウム 作成方法と手順
ここまでで、苔テラリウムを作るために用意するべきもの、そして利用する苔の例の紹介をしました。それではいよいよ、苔テラリウムを作る方法の紹介に映っていきましょう。以下では、実際に私が行った作業の写真を交えて、苔テラリウムの作り方を解説していきます。
水槽や石を洗って汚れを落とす
まずは、水槽(ガラス瓶)やレイアウト素材、軽石など苔テラリウムに使うものを洗ってきれいにしておきましょう。こういった細やかな作業は苔テラリウムの完成度をあげますし、作り上げてからそれぞれのパーツを洗うことは難しいです。最初に素材は綺麗にしておいてください。
洗ってみると石や軽石は結構汚れていることに気づくと思います。販売までの過程で石同士が擦れて削れた粉がいっぱいついているんですね。洗っておくと色合いもかなり綺麗になりますよ。
このとき注意してほしいのは、「アクアリウム用のソイルは洗わない」という点です。上にも書いたように、ソイルは土を焼き固めたものなので、水で洗うとボロボロに崩れてしまいます。焼結によって得られた団粒構造など様々なメリットが失われてしまうので、絶対に洗わないでください。
軽石を敷き詰める
苔テラリウムに使うものを洗ったら、まずはガラスボトルに軽石を敷きます。厚さは好みですが、私は2~3cmを目安に敷きました、軽石の層が見えるほうが管理しやすそうだと思ったため、ある程度厚めに敷いてあります。
ソイルを敷き詰める
次は軽石の上にソイルを敷き詰めます。ソイルの上には後述する造形君を載せるので、ソイル層はあまり厚くなりすぎないほうが良さそうです。厚敷を防ぐため、マスキングテープなどを使って、ソイルを敷く前に目安の厚みが分かるようにしておくのも良いでしょう。
レイアウト用の石を配置し石組みを作る
ソイルを敷き詰めたら、いよいよ本格的なレイアウト作りの開始です。今回は苔テラリウムのレイアウトに石を使うため、石を配置して石組みを作ります。
そうは言っても小さなテラリウムのボトル内ですので、石組みもこの程度の簡素なものにしかなりません。殺風景にも見えますが、苔を植え込んでいくと見栄えは良くなります。
石の組み方にはいろいろな手法がありますが、簡単で見栄えも良くなる方法は、主役となる大きめの石1つと、それに添える小さめの石を1~2個使う組み方です。メインの石をど真ん中から少し外した位置に配置し、少し離して小さめの石を添えると、簡単にそれらしい雰囲気を作れます。
造形君を練る
次は苔を植える下準備として、超造形君を用意します。造形くんは水で練って使うため、バケツ等にあけて水を加えてください。加える水の量は造形君の体積の3分の1程度が目安です。
そのまま練っていくと、徐々に造形君と水が混ざって粘着力を持ったヘドロ状になってきます。手がかなり汚れるので、周りのものを汚さないように気をつけてください。
水がしっかり馴染んだら、手で握って不要な水分を切ります。写真のような感じで軽く握り、水が滴らなくなるくらいを目安にします。
造形君を敷き詰め、空間を作りこむ
次に、水を切った造形君をソイルの上に貼り付けるように載せていきます。この造形君が、苔を植え付けるための土台になるので、ソイル上を隙間なく覆うようにします。
また、テラリウムの底床に傾斜をつけ、3次元的なレイアウトを作り込む場合には、ソイルではなくこの時に造形君の盛り付けで実現するようにします。これはソイルよりも造形君のほうが保水性が高く、苔の育成に必要な湿度を保ちやすくなるためです。
私が苔テラリウムを作って気づいたのは、この時のイメージと苔を植え付けた後のイメージが、少しずれやすい、という点です。私は植え付ける苔自体の厚みを考慮していなかったので、ちょっと石が埋もれがちになってしまったり、底床がやや厚くなりすぎてしまいました。
造形君を盛り付けるときには、その後に植え込む苔の厚みまで考慮しておいたほうが良いですよ!
造形君の上に苔を載せていく
ここまで準備ができたらいよいよ苔を植え付けていきます。敷き詰めた造形君の上に苔を載せて軽く指で押さえつけ、造形君に貼り付けるようにして苔を植えてください。
隙間ができそうな細かい部分は、苔をハサミで小さく切り分け、ピンセットを使って植え込むのが良いでしょう。
最後に霧吹きをして完成!
苔を植え付け終えたら、霧吹きをしておきましょう。ソイルが湿るくらいまで濡らすのが目安です。最後に容器の壁面についた造形君などの汚れを拭き取って完成です!
自画自賛ですが、初めてにしては上手くできたんじゃないでしょうか。
苔テラリウムの日常管理方法
コケリウムは作って終わりではありません。作った苔テラリウムを上手く管理し、長期的に維持して苔をより綺麗に育てることも面白さの一つです。
苔テラリウムを上手く維持するために、以下の3つに気をつけて日常的な世話をしてあげましょう。
直射日光の当たらない明るい日陰に置く
苔類は直射日光を嫌うものが多いですが、植物なので光合成は行います。つまり、真っ暗なところにおいてしまうと光合成が出来ず上手く成長できないのです。また、直射日光が当たると小さなガラス瓶の中は高温多湿の群れた状態になり、苔が枯れる原因になってしまいます。
また、必要とする光量が少ないので、太陽光ではなく蛍光灯やLEDで育てることも可能です。今回作成した苔テラリウムくらいのサイズだと、10W程度の光が目安になると思います。
霧吹きで週に1回程度水分補給
苔の成長には湿度が必要なため、定期的に霧吹きで水分補給を行う必要があります。今回のようなフタがなくオープンになっているテラリウムなら週に1回程度、フタで密閉されていて湿度が保てる容器なら2~3週間に1回程度霧吹きをしてあげましょう。
霧吹きは、苔の内部まで水分が行き渡る程度は行いましょう。ただし、水が貯まるほど与えてしまうのは水のやり過ぎです。
ちなみに、苔は乾燥に弱いイメージがあると思いますが、乾燥で枯れてしまうことはあまり多くありません。乾燥してカラカラに干からびているように見えても、水を与えればもとの青々とした姿に戻ってくれる場合が多いです。
また、苔は極微量の肥料分しか要求しないので、意識して施肥する必要はほとんどありません。
夏場の蒸れに注意
苔の仲間は冬の寒さには滅法強いですが、夏の暑さには弱いです。苔が生息しているジメジメした森林のような場所の気候を考えれば当然ですよね。
小型の容器内を高湿度に保つテラリウムの環境は、気温が上がるととても蒸れやすいです。高温になる夏場は水やりを少し控えめにしたり、フタを外して管理するなど、蒸れを防ぐ工夫をしてください。
今回は苔テラリウムの作り方を紹介しました。作ってみた感想は、作るのも世話をするのもとても簡単だなーというものです。とても綺麗ですし、予算的にも安価で始めることができるので、興味が湧いた人はぜひ一度作ってみてくださいね!