最近はブログの移転にかかりっきりで水槽のメンテナンスがちょっとおろそかになっていたからでしょうか、20cmキューブ水槽が厄介なことになってしまいました。アクアリウムの厄介なコケとして名高い藍藻です…。
この20cmキューブ水槽は今年の5月ごろに一度リセットしているのですが、実はその時リセットした理由も藍藻が発生したからなんですね。
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20cm水槽リセット!ショートヘアーグラス草原レイアウトへ
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またしても同じ困難に直面することになるとは…。もう一度リセットするのは面倒で嫌なので、どうにかリセットせずに藍藻を駆除する方法を考えます。
というわけで今回は、アクアリウムの大敵・藍藻が発生した場合の対策と駆除についてまとめてみます。
藍藻とは
まずは藍藻とはどんなものなのかを確認してみます。正しい理解が正しい対策への第一歩ですよ!
藍藻は濃い緑色をしたヘドロ状・膜状のコケで、水草や水槽のガラス面を覆い尽くします。他のコケと比べても増殖スピードがかなり速いのが印象的です。そんな藍藻はいったい何者なのか、Wikipediaで調べてみました。
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藍藻(らんそう)はシアノバクテリア(藍色細菌)とも呼ばれる真正細菌の1群であり、光合成によって酸素を生み出すという特徴を持つ。単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの、糸状に細胞が並んだ構造を持つものなどがある。
- 引用元: Wikipedia
藍藻は植物ではなく細菌の1種なんですね。藍藻は藻類に分類されますが、藻類というのは酸素を発生させる光合成を行う生物から地上性のコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称であり、生物的には全く異なるグループを含んだ総称でしかありません。藻類に分類されるもの同士はみんな仲間というわけではないんですね。
夏場に池などで水が緑色になっているのを一度くらいは見たことがあると思います。このような現象(=アオコの発生)も藍藻(=シアノバクテリア)が原因です。
藍藻による被害
藍藻について簡単に把握したところで、その害についてもまとめてみます。
見た目が汚い
まず大きな被害はコレですね。綺麗な水槽を眺めたくてアクアリウムを趣味にしているのに、藍藻がはびこるとせっかくの水景が台無しです。見た目が悪くなると自分が嫌なだけでなく、家族からも汚いどうにかしろなんて文句を言われちゃうこともありますからさらにストレスが溜まりますね。
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藍藻は水槽の見た目を汚くし、アクアリウムの魅力を損なってしまいます。趣味でストレスが溜まるなんてことにならないためにも、藍藻には消えて頂きたいところです。
臭い
アクアリウムをやっている人なら分かるはずですが、水槽って基本的に臭くないんですよね。近くに行って匂いをかぐとちょっと川のような土のような匂いがするかなっていうくらい。
でも藍藻が発生してしまうとそうも言っていられなくなります。鼻にツンとくるような刺激臭を水槽のそばでなくても感じるようになります。やっぱり迷惑な存在です…。
毒素を発生する
そして極めつけはコレ。見た目・臭いが悪いときて毒まで出してくれます。
藍藻の中にはシアノトキシンという毒素を生産するものもいます。先ほど紹介したアオコ(=藍藻)で汚染された水を飲んだ家畜や人が死亡した例もあるので、水槽内の生体にも必ず小さくはない害があるはずです。見た目が悪いだけなら我慢するという人もいるかもしれませんが、毒を生産して生体に悪影響を与えるとあっては放ってはおけないですよね。
20cmキューブ水槽で発生した藍藻の様子
ここでウチの水槽で発生してしまった藍藻を見てみます。
遠目に見ると普通の水草水槽ですが…。
近くで見るとショートヘアーグラスが藍藻に大分侵食されているのが分かります。藍藻はこうやって水草やガラス面にまとわりつくように増えていきます。
発生・拡大の原因
では何故藍藻は発生するのでしょうか。対策を考える前に原因を追究してみましょう。
嫌気環境になっている部分がある
藍藻は嫌気的な環境で発生すると言われています。嫌気環境というのは、水の流れが淀んでいたりして十分に酸素の行き渡っていない場所があるということです。水流が弱くて水草がものすごく密生しているとか、底床がとても分厚くて水が通らないという場合には嫌気的な環境が出来上がっている可能性があります。
特にショートヘアーグラスとかグロッソスティグマといった前景草はものすごく密に生やすことが多いですから、トリミングをさぼっていると藍藻が発生する原因になったりします。
水質が悪化している
水質の悪化も藍藻発生の原因となります。藍藻はリン酸塩を栄養素として発生するとも言われており、このリン酸は水槽内ではエサの食べ残しなどから発生するとされています。下の記事でリン酸や濾過についても説明をしています。
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えさの食べ残しなどが多く、水質が悪化していることが藍藻発生の原因となっているかもしれません。夏場も水が傷みやすいので藍藻が発生しやすくなりがちです。
底床がソイル以外
ソイルには藍藻の栄養源となるリン酸を吸着する効果があります。そのため底床がソイルである環境下では藍藻は発生しにくくなります。正確にいえばソイル以外だと藍藻が発生しやすいのではなく、ソイルだと発生しにくいと言うことです。また、ソイルでも藍藻が発生することは当然あります。
水質がアルカリ性寄りである
リン酸は水質が酸性のときよりもアルカリ性の時に、水中に多く溶解状態で存在するそうです。従って、当然栄養分が豊富に存在するアルカリ性の水質の方が藍藻が発生しやすくなりますね。大磯砂なんかは導入初期は水質をアルカリ性に傾ける傾向にあるので、藍藻が発生しやすい可能性があります。
水草の状態が悪い
アクアリウムで問題となるほとんどのコケについて言えることですが、状態の良い水草にはコケは付きにくいものです。コケがついてしまうということは、水草の調子が悪くなっていることを表しています。光量や二酸化炭素など、水草の成長に適切な環境が用意されていない可能性があります。
外部から持ち込んだ
新しい水草や生体を導入したとき、ショップの水や水草などに藍藻が付着していて、自分の水槽に入り込んでしまうという場合もあります。藍藻だけでなくスネールやヒドラのようなアクアリウムの嫌われ者はこういった経路で水槽に紛れ込むことが多いと思います。新しい生体・水草を導入する時にはトリートメント・洗浄を行うなどして十分注意しておきましょう。
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藍藻を駆除する方法
ではいよいよ藍藻を駆除する方法です! できるだけたくさんの候補を挙げてみたので、自分の環境に合う方法を選んでください。
注意すべき点は、藍藻は増殖が非常に速いので見つけ次第なるべく早く手を打つということです。明日でいいやと思って一日放っておくと、ハンパないスピードで増えていますよ!
環境を見直す
基本の対処法です。上で説明した藍藻発生の原因から自分の水槽に当てはまるものを見つけ、改善してみて下さい。薬品を使って藍藻を除去することもできますが、環境が不適切だと結局再度発生してしまいます。
結局のところ環境を見直して原因から絶ってしまうのが一番の対処法です。
- 密になりすぎた水草をトリミングする
- 底床を薄くする
- pHを下げる
これらの対処法が環境を見直す場合の代表的な手段だと思います。
水質を改善する
これも環境を見直すということに近いです。考えられる手段としては、
- エサの量を減らす・生餌をやめる
- 生体の数を減らす
- 水換え頻度を上げる
- フィルターを掃除する
- 底床を掃除する
などがあると思います。底床を掃除する時にはプロホースなんかを使うと便利ですね。
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薬品を使う
最も素早くかつ効果の高い方法です。厄介な藍藻ですが、根絶するための薬があります。薬を使って藍藻を除去しただけで満足していると再発する可能性もあるので、合せて環境の見直しなどもするのが良いと思います。
エクスタミン
アクアリウム用浄水器で有名なマーフィードから販売されている藍藻専用の抑制剤です。数種のミネラルから構成されていて水草や生体にも安全だということですが、肥料成分も含んでいるらしく大量に使用する場合は換水前にするのが良さそうです。
付属のピペットで藍藻に直接吹きかけるようにして使用します。やや手間はかかりますがデメリットがあまりないのが嬉しいです。
アンチグリーン
こちらは国内アクアリウム用品メーカーのカミハタから販売されている藻類の抑制・除去用の薬品です。藻類全般に効果があるとされていますが、特に藍藻には大きな効果があるようです。
藍藻に吹きかけたりする必要はなく、水槽に規定量添加すれば効果を発揮してくれます。ただしエクスタミンよりも効果が出るまでに時間が掛かり、藻類意外の水草にも悪影響を及ぼす場合があるようです。また水槽全体への添加になるので濾過を担うバクテリアへの影響も気にかかるところです(濾過バクテリアへの影響はそんなに大きくはないそうですが)。
効果は期待できますがデメリットもやや気になるため、エクスタミンでも手に負えなくなったような場合に利用するようなイメージです。
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こちらの記事でアンチグリーンの使い方や代用品についても紹介しているので、興味のある方は読んでみてください。
木酢液
薬品を使うのにためらいがある方は、木酢液でも藍藻除去に効果があるとされています。藍藻に吹きかける方法と水槽全体に添加する方法があるので、やってみようという方はググってみてください。
木酢液も添加し過ぎると特にエビのような水質に敏感な生体に悪影響を与える場合があるので、大量に使用するときは生体を隔離するなどの処置が必要です。
観パラD・グリーンFゴールド・オキシドール
これらの薬品は藍藻の除去用のものではないですが、藍藻の除去に効果があるそうです。観パラDとグリーンFゴールドの主成分はオキソリン酸で、魚病薬として使われています。オキシドールは過酸化水素水のことですが、アンチグリーンの成分は恐らく過酸化水素水だという情報もあるので、やはり藍藻の駆除に有効なようです。
また、藍藻が水草やガラス面ではなく底床の奥深くで発生している場合には、スポイトなどでエクスタミンを直接吹きかけるようにするのが効果的です。
コケ取り生体を使う
藻類を食べる生体を導入することでコケを撲滅させるという考え方もあります。よく利用されているのがヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビのようなエビと、イシマキガイ、カノコガイのような貝ですね。
アクアリウムで問題になるコケの対策に有効なコケ取り生体を熱帯魚・日淡・エビ・貝から紹介します。各種のコケ取り能力やよく食べるコケ、特徴、価格、体長などをまとめました。またコケの種類別に有効なコケ取り生体もまとめています。 ブラックモーリーは卵胎生メダカの仲間で、モーリーのメラニズム(黒化)個体を固定した品種です。黒一色の美しい姿や、水槽に生える厄介なコケの一種「藍藻」を食べてくれるコケ取り生体としての役割から非常に人気が高い熱帯魚です。本来は汽水域に生息し、卵ではなく稚魚を産む特徴的な魚です。
水槽のコケ対策!おすすめのコケ取り生体の種類と効果まとめ
ブラックモーリーの飼い方と繁殖!アクアリウムの藍藻対策におすすめ
とくに藍藻についてはブラックモーリーという熱帯魚が良く食べると言われていますが、コケ取り生体だけで既に発生した藍藻を除去するのはかなり厳しいんじゃないかと思います。効果がないということはありませんが、日頃の予防くらいの感覚でいた方が良いでしょう。
遮光
藍藻は植物ではなく細菌ですが、光合成をしている以上遮光すれば何らかのダメージを負うはずです。遮光を続けることによって藍藻に光合成ができないようにし、藍藻が死滅するのを待つという作戦です。
注意すべきなのは、遮光は少なからず水草にもダメージを与えますし、遮光中は観察も儘ならず不便です。また効果の程も環境により、遮光によって藍藻を完全に撲滅できたという人もいればあまり効果がなかったという人もいるようです。
遮光をする場合には、期間は4~7日程度とする場合が多いようです。遮光期間中はダンボール等をかぶせて完全に光をシャットアウトしてください。
テデトール
アクアリウムの必殺最終兵器・テデトール…! 遂にコイツに手を出す時がやってきちまったようだ…!
はい。
テデトール=手で取るです。初心者が薬か何かだと思ってお店で「テデトールありませんか?」と訊いて赤っ恥をかいてしまうという代物です。
アクアリウムに何にでも効く特効薬なんてものはないのです。地道なメンテナンスこそが重要という先人の教えですね。藍藻は水草などにくっつく力は弱く簡単に取り除くことができるので、初期であれば手作業で取り除くのも対処法の一つと言えるでしょう。
完全リセット
ここまでかなり多くの対処法を紹介してきましたが、そのどれでも効果がなかったという時には諦めてリセットしましょう。その際には水槽の消毒・全ての水草の廃棄までやれると安心ですね。
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熱帯魚水槽のリセット方法-陰性水草レイアウトができるまで
水槽の状態が悪くなった時の最終手段「水槽リセット」について、私の20cmキューブ水槽での作業を例に、リセットする理由や用意するもの、方法・手順などを紹介します。リセット後の新レイアウトは陰性水草レイアウトにしました。
実際には水草を全部捨てるなんてことはできないということもあると思います。そんな時は最低限木酢液などで洗浄・消毒してからリセット後の水槽で使用するようにすれば少しは安心です。
藍藻を駆除してみた
では上の方で紹介した、20cmキューブ水槽に発生した藍藻を除去してみます。今回行うのは環境を見直すという考えに基づいた方法です。
ウチの20cmキューブ水槽では古くなって枯れかけのショートヘアーグラスに藍藻だけでなく色んなコケがくっついている状態でした。トリミングしようとは思っていたんですが、なかなか面倒で手が出ず…。藍藻まで出てしまったので重い腰を上げトリミングをしたというのが今回の対処です。
ショートヘアーグラスはトリミングした切れ端の葉がそこら中に散らばるのでちょっと手間がかかります。
すったもんだの末にトリミングが終わり、切れ端もだいたい回収し終わった状態がこちら。だいぶスッキリしちゃいました。スカスカで寂しいですが、新しい芽がどんどんでて育ってくれることに期待です。
ちなみにショートヘアーグラスのトリミングは中途半端にやるよりも根本からガッツリいってしまった方が良いです。ヘアーグラス系はカットされた後の葉が成長することはないので、枯れてコケの温床になるだけだからです。
そして、トリミングもしたしもう大丈夫!と思って出かけて帰宅した時の様子がこちらです。半日程度でもう藍藻が回復しつつあります。こいつももう一度カットして今度こそ完了です。
もう生えてこないことを祈るばかり…。今回は薬品などに頼らずトリミングによって藍藻を除去するという方法を取りましたが、もしこれでも改善されないようなら薬を使うことも検討するつもりです。
2014/10/16 追記
どうやら藍藻発生の原因が枯れた水草だけではなく、20cmキューブ水槽で使用していた生物濾過仕様に改造した外掛け式フィルターにもあったようです。以下の記事でさらなる原因の考察と対策を書いているので、気になる方はそちらもご覧ください。
薬品を使った除去
上で紹介した方法では結局完全な駆除には至らなかったので、薬品を使った除去を行いました。使ったのはアンチグリーンの代用品として知られるオキシドールです。
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藍藻駆除!アンチグリーンの使い方とオキシドールでの代用法
アンチグリーンと代用品 オキシドールを解説します。成分やコケ駆除の仕組み、毒性、使い方等を紹介します。また実際に使用した様子もまとめています。アンチグリーンやオキシドール以外にエクスタミン等の藍藻除去薬も紹介しています。
こちらの記事でオキシドール・アンチグリーンの使い方や、実際に使ってみた様子・結果を紹介しているので、よければ読んで下さいね。
移転早々過去最長級の長文記事となってしまいました。ここまで詳しくかけば藍藻のことはこの記事だけでバッチリなはずです! 藍藻を撲滅して楽しいアクアライフを取り戻しましょう!