アフリカン・ランプアイは青みがかったシルバーの体にライトブルーに光る目が特徴の熱帯魚です。アクアリウムの中では比較的丈夫な種類に分類されていて、初心者でも容易に飼育することができます。
種群泳や異種混泳にも向いており、安価で手に入ることもあってアクアリウムへの入門にはうってつけの種類と言えるでしょう。この記事では、アクアリウムで広く飼育されるアフリカン・ランプアイの飼育方法・繁殖方法や混泳のポイントなどを紹介します。
アフリカン・ランプアイとは
和名・流通名 | アフリカン・ランプアイ |
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学名 | Poropanchax normani (Aplocheilichthys normani) |
英名 | Lampeye Killifish Normans Lampeye |
分類 | カダヤシ目カダヤシ科ポロパンチャクス属 |
原産地 | アフリカ大陸に幅広く分布 特にナイジェリアやカメルーンなど |
飼い易さ | ★★★★★ |
値段(1匹) | 50~100円程度 |
最大体長 | 3.5cm程度 |
寿命 | 2~3年 |
遊泳層 | 上層~中層 |
適合する水質 | 水温:23~27℃ pH:6.5~7.2 |
特徴 | 目の上に青みの掛かった蛍光色のラインが入る |
アフリカン・ランプアイは、眼の上に特徴的な青く光るラインが入った熱帯魚です。分類はやや錯綜しており、以前はアプロケイリクティス属に分類されていましたが、2016年現在ではカダヤシ目カダヤシ科ポロパンチャクス属とされています。
その形状は日本でも馴染みのあるメダカによく似ていますが、実際はメダカがダツ目、アフリカン・ランプアイがカダヤシ目と全くの別種です。形状は少し異なりますが、分類としてはメダカよりもグッピーに近く、アクアリウムにおいて広く親しまれている魚です。原産国は名前の通りアフリカで、ナイジェリアやカメルーンがもともとの生息地として知られています。
形態
形態に関しては前述の通りメダカを想像してもらえればいいと思います。体長は約3センチ、体高は1センチ弱程度です。
本種の最大の特徴とも言えるのが、目の上部に入った青い蛍光色のラインです。ランプアイが群泳していると水槽の中でこのラインがキラキラと輝き、非常に綺麗です。
体色はやや地味ながら透明感のあるシルバーで、状態良く飼育していると少し色が濃くなります。体色が地味な点も、かえって眼のラインを目立たせるため本種の魅力と言えるでしょう。水草水槽や黒のバックスクリーン、照明のやや絞られた環境などで特に目の輝きが強調され、美しさを増します。
生態
性格は温厚で、同種群泳や異種混泳にも向いています。群れる習性があるため、複数で飼育したほうが落ち着きやすいでしょう。やや臆病で、びっくりするとすぐに物陰に隠れようとするので、高めの密度で植えられた水草など、隠れる場所を用意しましょう。基本的には群れて中層付近を泳いでいることが多い熱帯魚です。
アフリカン・ランプアイの飼育方法
アフリカン・ランプアイの飼育難易度は低く、水槽の大きさに対して適正な数であれば、水温管理とろ過フィルターによる水質管理のみで十分に飼育できます。ろ過フィルターについては以下の記事が詳しいので、わからないことがある場合は参考にしてください。
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水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品
熱帯魚、金魚、亀等を飼育するアクアリウムで必要になる水槽用のろ過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルター等のろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽や、ろ過の原理、ろ過フィルターの種類、ろ材についてもまとめます。
また、アクアリウムにおいては総じて環境が変化したときに病気が発症しやすく、アフリカン・ランプアイに関しては寄生虫による白点病や、細菌感染症のカラムナリス症などが発生しやすいことが知られています。特にカラムナリス症は口や尾が腐って最終的には死に至る、非常に危険な病気です。
一度落ち着いてしまえば飼いやすい種類ではあるので、病気を防ぐためにも水槽への導入時の水合わせだけは慎重に行いましょう。
他の注意点としては、アフリカン・ランプアイは中層~上層を泳ぐことが多いため、水槽内の環境に落ち着くまでの期間に水槽から飛び出してしまうことも多いです。導入初期にはガラス蓋で上部を閉じたり、アマゾンフロッグピットなどの水草で目隠しをしたりするなど、飛び出し事故を防ぐ対策を講じておきましょう。
また、前述の通り群れる習性があるため、複数飼育して群れを作らせることで落ち着かせるのも有効です。
水質
pH6.5~7.0程度の弱酸性の軟水を好み、水温は26度前後が適切とされています。水質の変化に敏感なため、水温・pHなどを安定させることを心がけてください。安定した水質で状態良く飼育することで、体色に深みが増し一層きれいになるので、特に夏場の水温には気を配ることをおすすめします。
エサ
生餌、人工飼料ともによく食べます。中層~上層を泳ぐ種類なので、沈下性の餌よりは浮上性の餌のほうが向きます。沈下性の餌を与える場合には、食べ残しの発生を考慮し、水換えの頻度を多くしたり、食べ残しを処理してくれる生体を投入したりするなど、対策をとるようにしましょう。
ライト・照明
アフリカン・ランプアイは強すぎる照明を嫌うため、水槽用ライトの照明の強さは少し気にかける法が良いでしょう。また、明るくてはっきりした色合いのライトよりも、少し淡い色合いのライトで照らしたほうが、ランプアイのもつ特徴的な目を美しく見せることが出来ます。
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アクアリウム水槽用ライト・照明(蛍光灯・メタハラ・LED)の選び方とおすすめ!熱帯魚・水草への効果も解説
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水槽用のライト・照明を選ぶときは、こちらのページを参考にしてください。
混泳
まず注意するのは小型の種類であるアフリカン・ランプアイが口に入ってしまうような大きな魚を選ばないこと。アクアリウムでは口に入るものは食べられると考えるのが鉄則です。
そして凶暴な種類を選ばないこと。間違ってもエンゼルフィッシュのような肉食性の強い熱帯魚を投入したり、それほど大きくないから大丈夫だろうとベタを投入したりすることは避けましょう。
安定の選択肢としては、カージナルテトラのような小型カラシンの仲間や、オトシンクルス、ミナミヌマエビやヤマトヌマエビが挙がるでしょう。特に生活域の違いから底棲魚との相性はよく、オトシンクルス、ミナミヌマエビ、ヤマトヌマエビはもちろん、デトリタス(生物の死骸や排泄物を起源とする有機物微粒子が沈殿したもの)を食べる小型コリドラスもおすすめです。
ただし、底棲魚だからといってキャット(ナマズの仲間)を選ぶと、食欲旺盛で気が強いものもいるので注意しましょう。ナマズよりはコリドラスを選択したほうが無難です。
アクアリウム水槽での役割
特徴的な輝く目をもっていながらも主張しすぎないアフリカン・ランプアイは、水草水槽で水草を引き立てる名脇役として重宝します。特に色が濃い種類の多い陰性水草を用いた水景では、青い眼が良く目立ち美しいです。水草のみならず、他の熱帯魚を引き立てることもできるので、多くの生体のタンクメイト(サブフィッシュ)にも選ばれます。
また、導入時の水質の変化に気を配れば基本的に丈夫な種類ではあるので、パイロットフィッシュに選ばれることもよくあります。
アフリカン・ランプアイの繁殖方法
アフリカン・ランプアイは初心者でも繁殖が容易です。以下でその方法を紹介します。
産卵環境の整備
繁殖を狙う場合には単独飼育を心がけましょう。他の魚と混泳しているとせっかく産んだ卵が他の魚によって攻撃されてしまうことがあります。産卵の条件をクリアしていても外敵によって孵化の機会が失われないように環境を整えることが重要です。
また、アフリカン・ランプアイは水草やその根元に粘着卵を産み付けるため、繁殖には水草を用意する必要があります。ミクロソリウムやアマゾンソードといった大きくて葉の幅広い水草ではなく、ウィローモスやマツモなどの細い水草での成功率が高いと言われています。
ランプアイのような小型魚の卵は、その卵を産んだ親魚も含め多くの生体にとってエサになるため、産んだ卵を見つけられにくい葉が密になっている水草のほうが成功率が高くなると考えられます。とくにウィローモスは安価で入手しやすく、流木に活着させると管理も楽なため、ランプアイの繁殖に限らず広くおすすめできる水草です。
採卵・隔離と稚魚の育成
産卵し始めたら1~2週間毎にウィローモスごと卵を取り出し、別の水槽へと移します。これは他の生体に、卵や孵化したばかりの稚魚が食べられる可能性を極力減らすためです。
卵や稚魚は水をあまり汚さないので、プラケースにスポンジフィルターを設置しただけの簡易的な飼育方法でも十分に育てることが出来ます。ただしエサのやり過ぎには注意してください。
アフリカン・ランプアイの稚魚は非常に小さく、餌を食べる量も少ないです。エサのやり過ぎは食べ残しを増やし水を汚すだけなので、くれぐれも餌を与えすぎないようにしましょう。
アフリカン・ランプアイの魅力
アフリカン・ランプアイが愛されるのはパイロットフィッシュに選ばれる丈夫さを持ちながら、多数を群泳させてメインフィッシュとして、あるいは他の熱帯魚をより美しく見せるサブフィッシュとしても水槽に存在できる、そんな柔軟性を持っているからに他なりません。
シンプルな中にも華がある美しさ。水槽の環境に応じて様々な姿を見せる多様性。生き物を飼うときの最大の楽しみである次世代の誕生。その全てを兼ね備えている上、初心者でも飼育しやすいことがアフリカン・ランプアイの大きな魅力なのです。