私が今の90cmカメ水槽を導入したのは去年の7月のことで、それまではアクアリウムもやったことがなく完全に手探りな状態でした。カメ水槽の設置にあたって濾過や亀飼育に関する知識はかなり調べたので性能的には現在でもそこまで問題はないのですが、やっぱり1年も経つと色々納得の行かない部分がでてきます。
特に当時はADAやネイチャーアクアリウムの存在を知らなかったので、水槽のレイアウトという点ではかなり拙いものになってしまっています。アクアリウムをやっていて世界水草レイアウトコンテストに出品されているような作品や、色々なブログを見ていると自分の水槽レイアウトの未熟さが気になり、リセットしてレイアウトし直したい気持ちになってきました。
また、現在の濾過システムはダブルサイフォン式オーバーフロー+底面吹き上げになっていますが、底床にゴミが溜まらないように底面吹き上げにしたのに、そのせいで底床が厚くなりゴミが貯まりやすいのも少し気掛かりです。イシガメのうち1匹が感染症に罹ってしまい、直接の原因ではないと思いますが、底床をもっと好気環境に保つためにもリセットは有効です。
前置きが長くなりましたが、要するに90cm亀水槽をリセットすることにしたので今回はその様子を紹介しながら水槽リセットの方法・手順についてまとめてみます。ちなみに下のリンクで20cmキューブ水槽のリセットの様子も詳しく紹介しているので、興味がある方はそちらも見て下さいね!
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熱帯魚水槽のリセット方法-陰性水草レイアウトができるまで
水槽の状態が悪くなった時の最終手段「水槽リセット」について、私の20cmキューブ水槽での作業を例に、リセットする理由や用意するもの、方法・手順などを紹介します。リセット後の新レイアウトは陰性水草レイアウトにしました。
なぜ水槽をリセットするの?
水槽をリセットする理由は様々ですが、代表的なものをあげてみます。
レイアウトや水槽の中身を大幅に変更したい
今まで使用していた底床が気に入らなくなったので交換したいとか、新しい水槽を立ち上げる時に今使っているレイアウト素材を使いまわしたいから一度水槽を解体したいという理由ですね。今回のリセットの理由はまさにコレです。
ソイルの有効期限が切れた
水草育成に最適な底床といわれるソイルですが、ソイルには有効期限があります。一定期間がたつとソイルに含まれている栄養分や水質調整能力が切れてしまうので水槽をリセットして新しいソイルに交換するのが一般的です。
病気が蔓延している・水質が安定しない
病気が蔓延してどうしようもない場合に、濾過バクテリアもろとも殺菌してしまうためにリセットする場合です。ただしほとんどの病原菌は普段から飼育水や底床中に普通に存在している菌であり、魚などの病気はいわゆる日和見感染といわれる健康ならば発症しないような病気です。
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観賞魚のエロモナス感染症の原因・症状と効果的な治療法
熱帯魚や日淡などの観賞魚飼育・アクアリウムで悩まされることの多い病気「エロモナス(アエロモナス)感染症」の種類・症状・治療法などを紹介します。中でもメトロニダゾールを使った治療法に挑戦してみたので、その結果も紹介します。
従って、本来であれば水換えを増やして水質の向上を目指すなどの対処でよいはずですが、底床にゴミが大量に溜まっていることが原因だったり、水変えを繰り返すより一度ゼロからやり直すほうが早いと判断した場合などはリセットをすることになります。
水槽が崩壊した
水槽崩壊と一口に言ってもその状態は様々です。大雑把にいえば、水槽内の生体が尋常ではない勢いで死んでいってしまう状態、または黒髭苔や藍藻などの除去の難しいコケが大量発生してしまった場合等があると思います。
生体が死んでしまう理由としては、上述の病気だとか不適切なpHや硬度になる、硝酸塩が蓄積しすぎただとか、殺虫剤が溶け込んだ、嫌気性細菌の繁殖により硫化水素が発生したなど様々な要因が考えられます。これらの問題に対し、水換えや濾過槽の掃除等で対処できる範囲を超えたと判断するのであれば、水槽が崩壊したとしてリセットします。
リセット前の水槽
まずは元の水槽の様子です。底床が大磯なのでいまいち自然感がないし分厚いのでゴミが底に溜まりやすいです。石と流木もうまく馴染んでないし右側と左側につながりも感じられないです。凹型水景にするにはいまいちレイアウト素材が足りてない感じもします…。
自分で書いてて悲しくなってくるのでこれくらいにしておきますが、これを参考に次のレイアウトは
- 凸型または三角構図
- 底床には砂の薄敷き
- 流木と石の自然な絡み合い
を目指します。
リセット後の水槽レイアウトの構想
目指すものが決まったので新しいレイアウトの構想を練ります。具体的にどんなレイアウトにするか、今あるレイアウト素材をどこに使うか、どんな素材を買い足すか、これらを設計図を書きながら考えます。
設計図はこんな感じになりました。上からと横からの図を書いておくと後々わかりやすいです。今あるレイアウト素材をどこに使うかも自分で分かるようにしておきます。実際にレイアウトを組むときは色々予定と噛み合わないこともあるのであくまでも目安程度に考えておきます。
レイアウト素材の買い足し
設計図が出来たらどんなレイアウト素材が足りないかも大体分かると思うので、それを参考にレイアウト素材を買い足します。私は底床と石をメインに流木も少し足しました。底床は田砂、石は風山石をcharmで、流木はアクアショップ KGで購入しました。
今回は亀に荒らされないようにほぼモスのみのレイアウトにする予定なので、ちょっと気になったサムライモスというモスも購入。屋久島などの国内の南方に生息するシマフクロハイゴケというコケらしく、小ぶりな南米モスのような感じになるらしいです。レイアウトのいいアクセントになってくれることを祈ります。
水槽レイアウト解体
買い物がすんで準備が整ったらいよいよ水槽をリセットしていきます。リセットと言っても90cm水槽の濾過は上手くいっているので濾過槽はいじりません。いじるのは本水槽のみなので半リセットって感じですかね。このサイズの水槽のリセットはかなりの大仕事なのでしっかり時間がとれる休みの日にやるのが吉です。
まずは水槽関連装置の電源を落として邪魔になりそうな照明などを片付けてから、水を抜きつつ生体とレイアウト素材を取り出します。魚やエビは45cm水槽に外掛け式フィルターを設置して退避させ、カメはプラケ、レイアウト素材はモスが活着しているので水を張った衣装ケースに避難させました。
ドジョウが逃げ回って底床に潜るので救い出すのに難儀しました…。飼育水は濾過が完成している水なので、病気などが原因のリセットの場合以外は捨てずにある程度残しておくほうが良いです。
あとはひたすら水と底床を抜いていきます。
抜き出した底床は洗って土嚢袋に詰めます。底床の大磯は20㎏くらいあるのでこれが本当に大仕事です…。
かなり頑張って遂に水槽を空に…!この時点で既に6時間くらい経過…。底に溜まってた汚れはなかなかハンパなかったです。水槽が空になることは滅多にないので隅々まで綺麗に掃除しておきました。
水槽レイアウト再構築
古いレイアウトを解体し終えたら、いよいよ新しい水槽レイアウトを構築していきます。水槽リセットで一番楽しい瞬間ですね。当然ながら新たな水景の出来栄えに直結するので、じっくり時間を掛けて綺麗なレイアウトを目指しましょう。
1日目
水槽をきれいに掃除できたらレイアウトを再構築していきます。水槽のガラスに直接石を置く人も多いみたいですが、私は傷がついたり割れたりするのが怖いので大きめの石は透明の塩ビ板を敷いた上に置いていきます。
水槽の真ん中あたりに敷いてるのが透明塩ビ板ですね。ではレイアウトを組んでいきます。今回のレイアウトのイメージは、設計図のように石組に絡みつく木の根です。流木と石が自然に絡み合うようにレイアウトしていきます。
…とここまでで1日目の作業内容は終了です。1日で終わらせるつもりだったのが、昼から始めたのと途中で疲れてテレビ見てたりしたせいで全然終わりませんでした。特にレイアウト決めはどれだけ事前に練っていてもやっぱり色々迷って時間がかかってしまいます。徹夜でやる元気もなかったのでこの日はこれで就寝…。
作業中は、濾過槽に沈めてある濾材についたバクテリアが酸欠で死んでしまわないようにエアレーションをしていましたが、うるさいのでそれも停止。まあ多分5~6時間くらい大丈夫だろうということで…。流木に巻いたモスは乾燥すると良くないかなと思ったので、濡らしたキッチンペーパーを巻きつけておきました。
2日目
次の日も朝から水槽とにらめっこしてレイアウトを詰めていきます。四苦八苦しながらもとりあえずできた暫定版レイアウトがコレです。
設計図とは形や使う素材が若干違ってますが大まかには同じ感じにできました。亀水槽のリセットなので、せっかくですし亀をレイアウト水槽で飼育する際のレイアウトの作り方にのコツをいくつか紹介しておきます。
- 亀が通れそうで通れないような隙間は作らない(必ず通ろうとしてレイアウトを破壊します)
- 亀が壁面伝いに水槽内を一周まわれるようにする(壁面伝いに移動することが多いため)
- 流木は簡単に動かないように石などで必ず固定する(力が強いので固定しないと動かされます)
- 亀の爪などにも耐えられる水草は現状モス類のみ(試した種類が少ないので他にもあるかもしれませんが、ロタラやミクロソリウムはボロボロにされました)
以上の点に気をつければ、亀がいても破壊されにくいレイアウトができると思います。
使いまわしたレイアウト素材の中には黒髭コケが酷いものもあったので、そういうやつは食酢を使って処理しておきました。詳しくは、別記事:厄介な黒髭コケの落とし方を見てください(まだ別記事を書いてません、もう少し待って下さい!)。水槽を解体するときに出たウィローモスの余りと、サムライモスもこのときに流木などに巻きつけておきます。
大体のレイアウトが固まったので次は田砂を敷いていきます。ついでに自然観を出すため、粒サイズの風山石を大きめの石のそばをメインにばら撒きます。
田砂は10kgを1袋だけ購入したので90cm水槽にはやや少ないかなーと思っていましたが、実際に敷いてみたら4分の1くらい余りました。石とかがいっぱいあったのと薄敷きだったので大して量がいらなかったみたいです。
本来ならば田砂は洗ってから入れたほうがいいんでしょうが、時間も気力もなかったので諦めてそのまま敷いてます。同じ理由で風山石の酸処理もしていませんが、リセットから2週間以上たった今時点で特にpHが上昇したりしていないので問題なかったみたいです。
田砂が敷けたら水を入れていきます。取り置きしておいた飼育水を注ぎ、足りない分はカルキ抜きした水道水で補います。田砂を洗ってないので水はビニール袋などを浮かせながらなるべくそっと注ぐようにします。
やっぱり水を注いでしばらくは白濁してしまいますが、それも2~3日で収まりました。
こんな感じでレイアウトが完成して水を入れ終わったのは2日目のお昼でした。ほぼ丸一日掛っちゃってます。照明を設置し直してモーターのスイッチを入れたときの写真がこちら。
自画自賛ですが元のレイアウトよりはかなり良くなったんじゃないかと思います。化粧砂が明るい雰囲気を作ってくれて全体的に爽やかになりました。日淡メインの水槽らしくていいんじゃないでしょうか。
この後は亀を水槽に戻し、魚やエビは一応水合わせをしてから水槽に入れて完成です。亀が動き回ってもレイアウトが破壊されないか、カメが挟まって動けなくなるようなことがないか注意深く観察し、問題があれば適宜修正します。
新レイアウトでのカゼトゲタナゴ。新しい水槽に戸惑っているのか流木や石の陰で群れて隠れています。早く慣れて新レイアウトを悠々と泳ぐ姿を見せてほしいですね。
約2週間後
寝るときにエアレーションを止めたのでバクテリアにダメージがないか心配していましたが杞憂だったようです。水質に特に問題はなく経過は順調です。バスキング用に水上に突き出た大きな流木よりも左側のレイアウトが、いまいち気に入らなかったので2週間の間に修正しました。修正後はこんな感じの水景になりました。
より流木が石に絡みつくような感じになったでしょうか?左側に奥行感がイマイチ感じられないような気もします…。いろんな方のアドバイス期待しているのでぜひコメントをお願いします!
水槽のリセット方法まとめ
今回は90cmカメ水槽のリセットを例に、水槽リセットの手順をまとめてみました。このレイアウトはモスのみで水草を植えませんでしたが、水草を植える場合には底床を敷いて、底床が浸るくらい水を入れてから植栽するのが一般的なようです。
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亀とアクアリウムの融合!レイアウト水槽で魚との混泳飼育!
アクアリウムの濾過やレイアウト技術を取り入れ、亀の水槽を出来る限り綺麗にレイアウトしてみました。ニホンイシガメ・カゼトゲタナゴ・シマドジョウが混泳しており、底砂は田砂、水草はウィローモスが中心の爽やかな陰性レイアウトです。
こちらの記事では、この水槽リセットから9ヶ月程度が経過した後の水槽の様子を紹介しています。リセット直後よりも水草が成長したり、亀の動きやすいように流木の配置が変更されたり(というより亀に動かされた)しているので、実際に亀をレイアウト水槽で飼育するとどうなるかが分かると思います。ぜひ読んでみて下さいね。
今回の記事は参考になったでしょうか。水槽リセットからの新レイアウトは全体が一新できて満足のいくものが作りやすいと思います。リセットしようか悩んでいる方は思い切ってやってみるのも良いのでは!?