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茶色い水とは永遠にオサラバ!?流木のアク抜き方法まとめ

2013/05/21

茶色い水と永遠にオサラバするための流木のアク抜き方法

皆さんは水槽をレイアウトする際にどんな素材を使いますか? 石、流木、砂利、礫、化粧砂、水草など、色々なものを使いますよね。その中でも私は特に流木が好きです。数本組み合わせて置くだけで雰囲気が出ますし、大きなものは亀のバスキングに必要な陸場にもなります。また石とかに比べると大きさの割に安価な気もします(笑)。

今回はそんな流木を使う際に必須となる「アク抜き」の方法を紹介します。

ちなみに、ここで紹介した方法でアク抜きをした流木を使って見栄えの良い水槽レイアウトを作るためには、ウィローモスなどのモス(苔)を活着させるのが効果的です。

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上のリンク先の記事で流木にモスを活着させる色々なコツを紹介しています。せっかくアク抜きした流木ですから、モスを上手く活着させてキレイなレイアウトに役立てましょう!

流木のアクってなに?

アクアリウムでは流木を水槽に入れる際にはアク抜きが必要といわれていますが、そもそも流木の「アク」とはなんでしょうか?

実は、採取してきたり買ってきたりした流木を水槽に入れると、飼育水が茶色く色づいてしまう場合が多々あります。多くの方は、水槽を設置するからには綺麗にレイアウトして透き通るような透明な水の中を鮮やかな魚たちが泳いでいるという光景を求めています。アクアリウムの魅力とはそういうところにある、という考えはかなり一般的なものでしょう。

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そんな中で水が茶色く色づいてしまうというのはマイナス要素でしかないですよね。流木に含まれていて、観賞面でそのようなマイナス効果を発揮するモノを「アク」と呼んで取り除こうとしているわけです。

実はウチの亀水槽もレイアウトに流木を多く使っているので、水が茶色くなってしまいがちです。やはりこのように茶色い水では、水槽の見栄えはあまり良くないと感じる人が多いです。

流木のあくによって水が茶色くなったカメ水槽

ではもう少し踏み込んで、アクは実際にはどんな物質でどんな効果をもたらすのかを説明していきます。

流木のアクと呼ばれている成分は、主にタンニン・フミン酸・フルボ酸などの「腐植酸」と呼ばれる物質です。この腐植酸は、水質を酸性の軟水に傾ける効果があります。例えばアマゾン川ではこの腐植酸の働きによって水質は弱酸性の軟水となり、色も茶色っぽくなっています。これがいわゆる「ブラックウォーター」というものになります。つまり、水槽の中で起こるのと同じ現象が、実際の自然でも起こっているわけです。

「ん?…アマゾン川と同じ水ってことはもしかして魚には害がないの?」と思った方は、なかなか鋭いです。まさにその通りで実は水を茶色く着色する物質は有害なものではありません。アクなどと呼ばれているのであたかも有害物質のように思われがちですが、一般的には、流木のアクは観賞の邪魔になるだけで生体に害はないとされています。むしろ、ディスカスなどの水質に敏感な魚を飼育する場合は、状態を良くするため好んでブラックウォーターを使う場合もあります

ブラックウォーターについてのさらなる詳細は、以下の別記事にまとめてあるので、興味のある方はぜひこちらのページも読んでみてください。飼育している熱帯魚の種類によっては、あえて流木からあくを出し、ブラックウォーター状態で飼育した方が繁殖などで良い結果につながる場合もあります。

でもやっぱりこのページを読んでいる方の大半は、「害がないのは分かったけどやっぱり茶色い水は嫌だ」と思われるでしょう。そんな方のための、「流木を入れても水が茶色くなってしまわないようにするための前処理」がアク抜きというわけです。

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流木の入手法

具体的にアク抜きの方法を説明する前に、そもそも流木をどうやって入手するかについて説明します。何故かというと、流木の入手法によってどれくらいアクが含まれているか、つまりどの程度アク抜きをする必要があるかが変わってくるからです。

アクアリウム関連のショップで購入

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もっとも一般的かつ無難と思われる方法です。アクアリウムで用いる流木で主に必要とされるのは、主に以下の3つだと思われます。

  • 水に沈む
  • 水中で腐りにくい
  • アクが出にくい

アクアショップで売っている流木は、少なくともニッソーやGEX、ADAなどのアクアメーカー製のものであれば、1つ目と2つ目は満たすはずです。そして、そういった流木は事前にアク抜き処理が施してあり、3つ目も満たすことが多いです。ただし、アク抜き済みとは言っても完全なものではないので、万全を期すためには自分で再度あく抜きをした方が良いでしょう。

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アクアリウム用の流木として販売されているものには多くの種類がありますが、中でもADAの「ブランチウッド」という流木は特に人気が高いです。細かく枝分かれしているので、自然な水景を作り出しやすいという特徴があります。

アクアリウム用ではない流木を購入する

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アクアリウム関連の商品は一般的に値段が高いです。アクア用という名前がつくだけで、同じものが2~3倍くらいの値札をつけられることも珍しくありません。流木でもそれは同じで、市販のアクア用の流木はサイズの割に高いものが多いです。

そんな経験を重ねていると、アクアリウム用でなくより安価な爬虫類用やインテリア用の流木を買えば良いという考えが生まれるでしょう。しかし、こと流木に限って言えば、アクアリウム用でない流木は水に沈まなかったり、アクが多く出たりと、不便な特徴を持つ可能性が高いです。

そのような流木を使用する際は、重りをつけて水に沈め、より丁寧にアク抜きをするなどの工夫が必要ですし、それだけ丁寧な処理をしてもやっぱりアクアリウムには使いづらい可能性もあります。結局、コスト・手間・リスクの兼ね合いの問題となるので、自分で納得できるものを買うしかありません。

自分で採取する

流木なんかに金を出すのは馬鹿らしい!と考える方は、採取するのも良いかもしれません。また、ダムなどでは流木を無料配布しているところもあります。ただし気をつけなければならない注意点が幾つかあります。

  • 日本で採取できる流木は軽いものが多く水に沈みにくい。
  • 完全な流木(=特に腐りにくい部分が残った木)になっていないと、水槽中で腐る。
  • そういった木はアクが出やすい。
  • 海辺で採取した流木には塩分が含まれるので除去しなければならない。
  • 流木を採取して良いか、土地の所有者・管理者に確認する。

ちなみに、流木に含まれる塩分は次で紹介するアク抜きと同じ方法で取り除けるので、アク抜きをするのであればそんなに気にする必要はないと思います。しかし日本に生えている木の種類などを考えると、やはりアクアリウムに適する流木を拾ってくることは意外にも難しいようです。

流木を紹介する所さんの番組に写真提供しました(テレビ東京)

テレビ東京の番組「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」にAquaTurtliumが写真を提供しました。流木の特集番組内で、流木を水槽で使用している例としてテレビで私の水槽の写真が放送されてちょっと喜んでいます。

ちなみにこちらは私が流木を紹介するテレビ番組に写真提供をした際に書いた記事ですが、この番組では、流木を流木を拾ってきて販売し、年商数千万円を挙げているという方が紹介されていました。採取にはこんなロマンもあるので、一度くらいやってみるのも良いかもしれません(笑)。

流木のアク抜き法

それでは、いよいよ流木のアク抜き法について説明していきます。基本的には水に漬けておけば良いのですが、容器・水温・薬剤など上手くアク抜きを行うためのいくつかの「コツ」を紹介します。

こすり洗い

まずはどんな流木に対してもこすり洗いが有効です。水槽に何かモノを入れる場合は、表面についた汚れなどを除去しておくのは基本ですよね! 腐ったり剥がれおちたりしやすい流木の表皮も、ある程度取り除いてしまうのが良いでしょう。

水につける

流木が完全につかる程度に水を張った容器に流木を長期間沈めておくだけです。アクが出て水が茶色くなってきたら時々水を入れ替えます。簡単ですがその分非常に時間がかかります。この方法ならば最低でも1ヶ月はアク抜きが必要らしいです。大きなものになると何ヶ月もかかるらしいので、気長に待てる人や特に急いでいない人向けの方法ですね。

鍋などで煮沸する

水ではなくお湯を使ってアク抜きをする方法です。鍋に流木がつかる程度に水を張り、沸騰させて煮込みます。水が茶色くなったら水を換え、再び煮込みます。これを水が茶色く色づかなくなるまで繰り返します。

この方法のメリットは、水に漬けておくよりも早くアクが抜けることです。逆にデメリットは、鍋に入るサイズの流木にしか使えない、煮沸にかかる時間が結構長い、鍋が汚れる、(煮沸する時間にも寄りますが)光熱費がかかる、などでしょうか。スタンダードな方法ですが、面倒な方法でもあります。

またADAのオールドブラックウッドなどは、流木内に含まれる樹脂(タール)が加熱するで溶け出してしまうそうです。このタールは生体にとって有害なので、このような種類の流木をアク抜きする際には煮沸以外の方法を利用して下さい。

断熱容器にお湯を入れてつける

上の方法と同じくお湯をつかってアク抜きをする方法ですが、断熱容器を使って高温を長時間保ち、煮込まずに済ませようというものです。断熱容器としては発泡スチロール箱やお風呂の湯船(+フタ)等を用います。

この方法は鍋に入らないような大きめの流木にも使えますし、光熱費も節約できておすすめです。私はこの方法で流木のあく抜きを行うことが多いです。

断熱容器にお湯を入れてつけることで流木のあく抜きをする

こんな感じで発泡スチロール箱にお湯と流木を入れて蓋して一日半ほど置いておくと…

断熱容器にお湯を入れてつけることで流木のあく抜きができて水が茶色くなった

このようにかなりアクが抜け出てきます。

湯船をつかう場合は家族からクレームがきそうなのがデメリットでしょうか。

アク抜き剤や重曹を使う

水やお湯に流木をつける際に、市販されている流木のアク抜き剤を使うと、より早くアクを抜くことができます。しかしながら、流木のアク抜き剤の成分はほぼ重曹ということが分かっているので、わざわざアク抜き剤を買わなくても安価な重曹で代用が可能です。

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1リットルあたり重曹5g程度が目安らしいですが、大きめの流木をアク抜きするときにその割合で重曹を入れると、結構な量が必要になります。重曹は水質をアルカリに傾けるので、アク抜き後はしっかり流木を洗うようにして下さい。

ブラックホールなどの活性炭を使う

この方法はざっくり言えば、飼育水槽でアク抜きをするということです。流木から水槽へと溶け出てくる腐植酸を、活性炭などの吸着物質をつかって取り除きます。アクア用の活性炭には色々な商品がありますが、中でもキョーリンのブラックホールが高性能です。

この方法ならアク抜きをせずすぐに流木を水槽に入れられますし、活性炭のパックをろ過フィルターの内部に入れておくだけなので面倒な作業もありません。デメリットは、活性炭が他の方法で使うものに比べて少し高価で、効果も2~3ヶ月で切れるので交換が必要となってコストが高くなることと、活性炭により水質がややアルカリに傾く場合があることです。

ブラックホールについては、効果や使い方などの詳細を紹介した別の記事があるので、使ってみようという方はこちらの記事も読んでみてください。個人的には値段分の効果はある優良な製品だと思っています。

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まとめ

今回は流木のアク抜き方法をまとめてみましたが、いかがでしたか?たかが流木のアク抜きですが、意外にも色々な方法がありますね。私がおすすめする方法は、発泡スチロールにお湯を入れて漬け込む方法と、あく抜きせずに水槽に入れてしまってブラックホールに頼る方法です。作業が楽なのが一番ですよ!

今回紹介したのは流木を水槽に入れるための前処理の方法でしたが、同じく水槽のレイアウト素材として用いられる「石」にも前処理が必要な場合があります。

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石からは様々な成分が水に溶けだすため、酸処理という作業で溶け出す成分をあらかじめ取り除きます。興味のある方はぜひ上のリンクから読んでみて下さいね。

また、ここで紹介した方法によってあく抜きした流木を使って水槽のレイアウトを作っていく様子を以下の記事でまとめています。

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流木のあく抜きも、結局は綺麗なレイアウトを作るための一つの手段にすぎません。美しいレイアウトを作り、アクアリウムをもっと楽しむためにも、こちらの記事を読んで水景作りのイメージを膨らませてみてくださいね!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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