爬虫類飼育 生体知識・飼育方法

水っぽい?黄色い?寄生虫?カメの糞から読み取る健康状態!

2014/07/14

亀の糞から健康状態を推測する

カメの健康状態を把握するのは簡単ではなく、昨日まで健康だと思っていたら急に調子を崩しだした、なんてことも少なくありません。調子を崩したカメを治療するのは困難なので、できる限り早期発見・早期治療を心がけなくてはいけません。

そんなカメの異変を早期発見できるポイントの一つがの状態を観察することです。そこで今回は、糞の状態を見てカメの健康状態をしる方法について説明します。

健康な状態の糞

健康な状態の亀の糞

亀は健康な状態であればしっかりした固形の糞を出します。水棲カメならもちろん水中での排泄になるのですが、割としっかりしているので水中でもしばらくは形を保っています。色は基本的に食べたエサの色に近いはずです。

上の写真は、たまたま日光浴中に立派な糞をしてくれたので写真に収めたのですが、一度は捨てようと思って容器を水洗いしました。それでも形を崩すことなくしっかり維持しています。健康な状態であれば基本的にはこんな感じの糞をしてくれるはずです。

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下痢

カメも人間と同じように調子が悪くなると下痢をすることがあります。ただし一時的なストレスで下痢をしていることもあるので、下痢以外に異変が見られないのであれば一度下痢を確認してから2~3日様子を見てみるのもよいかもしれません。

特に水棲亀は水中で排泄するので、どんな健康的でしっかりした糞でも時間の経過で崩れて形がなくなっていきます。従って、固形の糞が見つからないからといって下痢をしていると断定できず、それが発見の遅れに繋がり更なるトラブルを招きやすいです。

普段からできるだけ多くの観察時間を取り、糞の状態を気にしておく他ありません。カメは調子を崩すとにまずは下痢になるともいわれており、糞の状態をつかんでおくことはとても重要です。

下痢の原因として一番多いのが不適切な温度環境、ついで不適切な餌とされています。冬場に消化に十分な温度が得られず、下痢をしてしまうことが多いようです。まずは温度環境を見直し、それまでよりも少し高めに設定してやるといいでしょう。また、食事内容が偏って腸内細菌が減る、エサを大量に与えすぎる、腐ったエサで食中毒を起こすといった原因である場合もあります。水棲カメは配合飼料飼育の場合が多いのでエサが原因であることは少ないと思いますが、配合飼料以外で飼育していたり、古くなった飼料を与えたりした場合は、エサの量や種類を適切に変更しましょう。

これらの対処をしても下痢をしている場合は何か病気にかかっている可能性があるので、症状から病気を特定して治療するか、おとなしく動物病院に連れて行って下さい。

便秘

下痢とは逆に便秘になることもあります。便秘の原因も下痢と同じくストレス・温度環境・エサであることが多いので、まずは上と同じように温度環境やエサを見直します。また、水棲カメではあまりないと思いますが、水分不足である可能性もあります。飼育水が汚いとカメが水を飲めていないこともあるので、水変えの頻度を増やすのもよいと思います。

下痢と異なるのは、便秘が原因で死に至ることもあるという点です。あまりにも便がでないと内臓が腐ってしまうこともあるので対処は迅速に行いましょう。早めに動物病院に連れていくのが一番安全です。

亀の体調不良全般でいえることですが、鼻水や便秘など人間では大したことでないような症状も、亀にとってはとても危険なものであるという認識を持つ必要があります。人間に比べて小型の生き物である亀はその分体力も少ないです。致命的な状態になる前に、動物病院を受診するなど専門家の意見を仰ぐのが得策です。

尿酸

我が家の亀(ニホンイシガメ)が排泄した尿酸

一部のリクガメでは、生息地の都合上水分補給が困難な季節が存在します。そのようなときには、尿の代わりに尿酸という白っぽくてどろっとした排泄物を排出し、少ない水分で体内の毒素や不要なたんぱく質を排泄することができます。

水棲カメはほとんどの場合、十分な水分を得られる環境に生息しているので尿酸を出すことはあまりありません。しかし、上の写真のような黄色い粘膜状のものを排泄しているときは水棲カメでも尿酸を排泄したと考えられます。この原因は主にたんぱく質過多水分不足とされていますが、たまに出す程度なら問題はないらしいです。

上の写真はウチのマル君が排泄した尿酸で、体調不良にともなって隔離したころに出しました。おそらく濾過が効いている環境から毎日換水環境に移した時に、水が合わなかったか汚れていたかで水分不足になり尿酸を出してしまったのだと思います。尿酸の排泄はこの一度しか確認していません。

たまに出す程度なら問題ないとされている尿酸も、毎回出すようなら病気の可能性があります。そのような場合には一般に腎臓の機能低下と考えられますが、断定はできません。あまりひどいようなら、やはり獣医師の判断を仰ぎましょう。

寄生虫

カメの糞から小さなひも状の虫が発見されることがあります。その虫の正体は寄生虫です。

健康なカメにも寄生虫はいるため、普通にしている限りは問題はないのですが、寄生虫に寄生されていると少し状態を崩した時に寄生虫が増殖し、急に容態が悪化することもあります。また、亀を多頭飼育している場合には同居のカメに移ってしまいます。安全を期すなら駆虫してしまう方がよいでしょう。

駆虫を行う際には動物病院に連れていくのが一般的ですが、抗生物質を使って駆虫する方法もあります。以前、メトロニダゾール(フラジール、アスゾール)を使って細菌・寄生虫を駆除する方法を解説する記事を書いたので、そちらを参考に駆虫することもできると思います。しかし、駆虫が完了したのかの見極めが難しいと思うので、やはり信頼できる獣医師のいる動物病院で駆虫してもらう方が確実です。

もし単独飼育などで寄生虫は確認したけど特に対処はしないという場合でも、もし下痢・体重減少・食欲不振などの症状がみられることがあればすぐに駆虫するべきだと思います。

まとめ

今回は亀の糞から健康状態を読み取る方法について説明しました。ただし注意してほしいのは、糞の状態がよいからといって必ずしもカメが健康なわけではないということです。

消化器系の調子は糞の状態に反映されやすいと思いますが、呼吸器系の調子が悪くなれば鼻水がでたり、ビタミンが不足すると目が腫れたりと、カメが調子を崩し始めている兆候はいろいろなところに現れます。どんなところに兆候が現れても見落とさないように、日ごろからしっかりカメの様子を観察するように心がけたいですね。

参考サイト

今回の記事の作成にあたり以下のサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございました。

参考もしかして、病気?!~排泄関係編~ – リクガメネットワーク

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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