熱帯魚用のおすすめクーラー&冷却ファン!水槽の冷却方法まとめ

水面に反射するネオンテトラの涼し気なアクアリウム
reflection / cotaro70s

ゴールデンウィークを過ぎると徐々に日差しも強くなり、本格的に暖かくなってきますよね。それぐらいの時期には水槽からヒーターを取り外し、次のシーズンまでしまっておくという人も多いと思います。そしてしばらくすると、今度は水槽の水温が高くなり過ぎないように冷却することを考え始めますよね。

スポンサーリンク

今回はそろそろ水槽を冷やすことについて考え始める時期だろうということで、水槽の冷却方法についてまとめます。一番お手軽な水槽用の冷却ファン、確実に水温を下げたい人向けの水槽用クーラー、飼育設備が大規模で部屋を丸ごと冷やした方が効率的な人向けのエアコンなど、水槽を冷やすための様々な方法を紹介していきます。

水槽を冷やす目的・理由

まずはじめに、そもそもなぜ水槽を冷やす必要があるのかを簡単に説明しておきます。

アクアリウムで飼育するような熱帯魚は、名前に「熱帯」とついているので暑さには強いと思われる方も多いでしょう。しかしながら実際は、熱帯魚の生息している川の水温は、思っているほど高くはありません。

例えば多くの熱帯魚の原産地として有名な「アマゾン川」の水温は、おおまかに雨季には22℃、乾季には28℃程度と言われています(大きな川ですし当然場所によっても差があります、あくまで一例です)。それに対して日本の屋内にある水槽では、夏の昼間で人がいない時間帯などには水温が35℃近くまで上がる場合もあります。

Amazon fish
Amazon fish / harum.koh

さすがの熱帯魚といえども、35度という高水温には耐えられずに死んでしまいます。これは高水温では魚が呼吸に使うことのできる酸素の量が減ったり、水が汚れやすくなったりしてしまうのが大きな原因です。

このように高水温を原因として、魚やその他の生体が死んだり、弱ってしまったり、病気にかかってしまったりするのを防ぐために、この記事で紹介するような水槽用クーラー・冷却ファンを利用して水温を下げる必要があります。比較的高温には強い熱帯魚ですら日本の夏は厳しいので、水温の低い渓流に住むヤマメやイワナなどの渓流魚や、高水温に弱いビーシュリンプなどのエビ、そして海水魚やサンゴなどの無脊椎動物を飼育している場合には、より一層夏場の高水温には注意する必要があります。

もちろん魚やエビだけでなく、水棲の亀やトカゲといった爬虫類、カエル・イモリ・サンショウウオなどの両生類、その他にもカニや水棲昆虫の飼育においても水温を下げることは重要です。ぜひこの記事を読んで、あなたの水槽の冷却方法を考えてみてください。ただし生体の種類によって適切な温度は異なるので、その点にはよく注意するようにして下さいね。

水槽の冷却方法の種類

水槽を冷やす目的と理由を紹介したところで、次は水槽を冷却する方法にはどんな物があるのか、もう少し詳細に説明していきます。それぞれの特徴を踏まえて自分の環境に最も適した冷却方法を見つけ出して下さい。

水槽用冷却ファン

水槽の冷却方法として最も手軽なため良く利用される方法が、水槽用の冷却ファンを使用する方法です。ファンによって水面に風を吹き付けて水を蒸発させることによって水を冷やしています。水温を下げる仕組みは詳細は冷却ファンの冷却原理と特徴の項目を読んで下さい。

ファン自体は簡単な機械なので、他の方法に比べると非常に安く入手することができるというのが最大のメリットです。その反面、冷却能力では下で紹介するような水槽用クーラーやエアコンを使う方法よりも劣ります。水槽用ファンを使用するだけでは、高温に弱い魚だと水温上昇に耐え切れずに死なせてしまう恐れもあります。

水槽用クーラー

本格的に水槽を冷やしたいのであれば、水槽用クーラーを使用するのがおすすめです。冷却の原理にはいくつかありますが、中でもチラー式という冷媒を利用して水温を下げるタイプのクーラーはかなりの冷却能力を誇ります。

しかし高性能である一方、値段の高さや設置の大変さ、排熱処理の問題など導入に対するハードルが高いため、あまり気軽に使い始められるものではありません。水槽用クーラーを使うということはそれなりにお金を使い覚悟を持ってアクアリウムをやるということでもあるので、これを使い始めたら本格的にアクアリウムをやっていると名乗っても良いかもしれません(笑)。

エアコン

ある程度よりも水槽の数が多くなると、水槽を一つずつ冷やすよりも部屋ごとまとめてエアコンで冷やしてしまった方が効率的になってきます。それも現在のエアコンの性能向上の賜物ですね。ただし部屋の広さや水槽の大きさ・数にもよって、部屋ごと冷やした方が効率が良いか水槽を個別に冷やした方が効率が良いかは変わってきます。そのあたりの見極めは、やってみて電気代をチェックするしか無いのが難しいところですね。

水槽の冷却方法を一通り紹介したところで、次にそれぞれの冷却方法についてより詳しく掘り下げていきます。まずは水槽用のクーラーから紹介していきます。

水槽用クーラー

水槽用クーラーは一般的にはある程度の大きさの箱型の機械で、水槽の水をクーラーの内部に循環させて冷やします。そのため冷却ファンなどと比べると効率よく、安定的に水温を下げることができます。

一方で機能が高度になり構造が複雑化するため、どうしても値段が高くなります。また水槽の水をクーラーの内部に循環させるため、ホースやパイプを使って配管を組まねばならず、クーラーを使うような大規模な水槽システムだと配管も大掛かりになって設置だけで一苦労します(それくらいの規模の水槽を維持している人は配管作業自体が楽しいという人も多いですが)。

さらに水槽の水を冷やす代わりに、この水槽用クーラー自体は熱をもつので(エアコンの室外機を部屋の中に置いているイメージです)、その排熱を上手く処理する必要があります。水槽を冷やしてもクーラーの排熱のせいで部屋自体が暑くなっては本末転倒ですからね。現実的には、サンルームなどの風雨にさらされない屋外スペースがないと使いづらいと感じる人も多いです。

冷却原理と特徴

水槽用のクーラーはその冷却方式からいくつかの種類に分けることができます。

ペルチェ式

ペルチェ式クーラーとは、ペルチェ素子(ペルティエ素子)という電子部品を利用して水槽の水温を下げるクーラーです。ペルチェ素子の概要は以下の通りです。

ペルティエ素子(ペルティエそし、英: Peltier device)とは、電子部品のひとつで、熱電素子の一種である。

<- 中略 ->

2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルティエ効果を利用した板状の半導体素子。直流電流を流すと、一方の面が吸熱し、反対面に発熱が起こる。電流の極性を逆転させると、その関係が反転し高精度の温度制御に適している。また温度制御が可能なばかりでなく、温度差を与えることで電圧を生じさせることもでき、ゼーベック効果という。

引用元: Wikipedia

この方法では、ペルチェ素子そのものが小さいために水槽用クーラーも小さくできるというメリットがあります。その一方で、電流を流すことによってペルチェ素子自体が発熱するために冷却の効率が悪く、ペルチェ素子を冷やすのも大変であるという点があります。基本的には小型水槽向けの、小型の水槽クーラーで利用されている方法です。テトラのクールタワーシリーズが代表的な商品ですね。

ネット上ではこのペルチェ素子を利用した水槽クーラーを自作している方を時々見かけますが、実際に作ってみると水が冷えなかったり市販品を買うより出費がかさんでしまったりと、あまりうまく行かないことが多いようです。

ヒートシンク式

ヒートシンクは放熱のための機械部品で、主に電子部品などの冷却に利用されます。電子部品の熱を、伝熱特性の良い金属でできた下の写真のような「フィン」と呼ばれる放熱板に移動させて冷却します。

Heatsink ヒートシンク (243/365/609)
Heatsink ヒートシンク (243/365/609) / Christopher Hsia

フィンの冷却方法は、発生する熱により生じる空気の対流を利用した自然冷却、ファンによる空冷、水による水冷などが代表的な方法です。

以前は「パティエンジニアリング」という会社が「P-3041」というペルチェ素子とヒートシンクを組み合わせた小型水槽向けのクーラーを販売していましたが、どうやら倒産してしまったようで現在ではほぼ入手不可能です。現時点ではヒートシンクを利用した水槽クーラーは販売されていないと思います。P-3041はなかなか評判が良かったようなので残念ですね。

チラー式

チラー式水槽クーラーは、最も代表的な冷却方法のクーラーです。フロンガスなどの冷媒を循環させることによって水温を下げることができ、原理的には冷凍機などに採用されている方式と類似のものです。チラー式のクーラーは冷却能力が高いため、水量の多い大型水槽では主流のクーラーになっています。

チラー式のクーラーでは何と言ってもゼンスイというメーカーの製品が有名です。また、チラー式のクーラーにはサーモスタットの役割を果たしてくれるものも多く、別売りのヒーターを接続することでクーラーとヒーターの両方の役割をさせることもできます。

水槽クーラーのメリット

  • 冷却能力が高い
  • 水温を安定して管理できる
  • 水温を下げるだけでなくヒーターのように上げることのできる製品もある
  • 冷却ファンと比べて水が蒸発しにくい

水槽クーラーのデメリット

  • 値段が高い
  • 冷却ファンよりも電気代が高い
  • 広い設置スペースが必要
  • 排熱の処理が難しい
  • 動作音がうるさい

水槽用クーラーの選び方

水槽用クーラーについてある程度の知識をみにつけたところで、実際に使用する上で大切な「どんなクーラーを選べば良いか」という点について説明してきいます。なかなか高い買い物になるので、必要な能力や使い方をよく考えた上で購入して下さい。

冷却能力の計算式

冷却能力は一般には「冷凍能力」や「冷房能力」などと呼ばれ、「kcal/h」の単位で表現されます。これは「物体から1時間あたりにどれだけの熱量を奪えるか」を表しています。要するに「W/h」なのですが、冷凍能力では慣習的にワットではなくキロカロリーを使用するそうです。アクアリウム用のクーラーもこの慣習に習い、kcal/hで冷却能力が示されています。

それぞれの水槽環境に対して必要な冷却能力は、以下の計算式によって求めることができます。

要求冷却能力 [kcal/h] =
{(全水量 [L]×温度差 [℃]÷稼働時間 [h])+使用電力 [W]×0.86 }×1.2

全水量は水槽と濾過槽やフィルターの水量も含めたすべての水の量、温度差は水槽周囲の温度から設定水温を引いた差、稼働時間は1日のうちでクーラーが実際に稼働する想定時間、使用電力は照明・フィルターなどの水槽周りで電気を使用している機器全ての電力の合計です。使用電力にかかっている「0.86」という数字は、「W/h」から「kcal/h」へと単位を変換するための定数です。

冷却の効率は100%ではないので、これらの合計に1.2を掛けて余裕を持たせたものを必要な冷却能力としています。使用電力も実際には全てが水槽の水を温めるのに使われているわけではありませんが、余裕をもたせるという意味でそのままの数値を利用しています。

このようにこの式で求められる要求冷却能力には少なからず余裕を持たせてありますが、クーラーは一般的にワンランク上のものを使用した方が安心と言われているので、この数値は最低限の値だと思って下さい。

ちなみに水槽の水量がよくわからないという方は、こちらの記事で色々な水槽の水量をまとめて紹介していますので、よかったら読んでみて下さい。

アクアリウム水槽のオススメ・選び方-熱帯魚・金魚・亀・水草に!
ネイチャーアクアリウムのような美しい水草水槽や、熱帯魚・亀・金魚等の飼育に必要な水槽を購入する時のポイントをまとめました。サイズ・設置場所・素材・デザイン・品質・メーカーなど多岐にわたる要点やおすすめの水槽を紹介します。

ではこの数式を利用して、実際にクーラーに必要とされる冷却能力を計算してみます。ここでは水槽環境が、「レッドシーマックス C-130」というハイスペックな水槽セットの構築であるとして計算してみます。

この水槽環境の場合には、計算に必要な数値は以下のようになります。

全水量 130L(飼育槽 103L・濾過槽 27L)
パワーコンパクト蛍光灯 55W×2
アクティニック蛍光灯 55W
循環ポンプ 30W
エアーポンプ 5W
LEDライト 7W×4

循環ポンプ以下は詳細な数値が書いていなかったので同じようなスペックのものの数値を参考に適当に設定しています。温度差は室温32℃の部屋で26℃まで冷やすことを想定して6℃、稼働時間は12時間と想定します。

この場合の要求冷却能力は、{(130×6÷12)+(55×2+55+55+30+5+7×4)×0.86 }×1.2 ≒ 370 [kcal/h]なので、これ以上の冷却能力をもつ水槽用クーラーを使用すれば良いでしょう。

ゼンスイのZR-130Eだと冷却能力が0.47 [kW/h]≒547 [kcal/h]なので、この水槽環境には十分な能力を持ったクーラーであると言えます。ただし西日本と東日本で電源の周波数が違う(50Hz/60Hz)ため、50Hz用の製品と60Hz用の製品で冷却能力に違いがあることには注意して下さい。

冷却能力から水槽用クーラーを選ぶ手順が大体わかって頂けたでしょうか。ちなみにこの計算式などはアクアリウムメーカー・GEXさんのウェブサイトを参考にさせていただきました。こちらのサイトではウェブ上で冷却能力を計算できる計算機もあるので、参考にして下さい。

参考家庭用観賞魚飼育水槽用育 クーラー 水温管理 冷却

冷却可能水量

水槽クーラーには冷却可能な水量の上限があります。例えば上で紹介したZR-130Eだと、室温35℃の部屋で水温を20℃まで下げることができるのは、全水量が175L以下の環境に限られます。

参考クーラー製品比較 | ゼンスイ株式会社

クーラーをどのように使用する予定かも良く考えて、購入時には冷却可能水量にも注意するようにしましょう。冷却可能水量については、アクアメーカーの商品紹介ページなどで調べて下さい。

水を循環させるためのポンプやフィルターも用意する

実は水槽用クーラーは、大多数の商品はクーラー本体だけでは使用することができません。水槽とクーラの間で水を循環させるためのポンプや濾過フィルターが必要になります。

オーバーフロー水槽のように濾過槽がある場合は、濾過槽に水中ポンプや陸用ポンプ(マグネットポンプ)などを接続してクーラーへ排水します。濾過槽がない場合には、外部フィルターから出た水をクーラーを通して水槽に戻したり、水槽から直接陸用ポンプで水を汲み上げたりします。

クーラー毎に使用に必要な流量(水の流れる量)が指定されているので、ポンプはその指示に合ったものを使って下さい。また、中にはクーラーを使用するのに必要なポンプや配管類もセットになった商品もあるので、このような商品を購入するのもひとつの方法です。

水槽用クーラーの使い方

上でも触れたように、クーラーを使用する際には水を循環させるためのポンプや濾過フィルターなどの動力源が必要です。ここではその点についてもう少し詳しく説明し、水槽クーラーの使い方を紹介していきます。

オーバーフロー水槽+水中ポンプ or 陸用ポンプ

オーバーフロー水槽では飼育水槽の下に濾過槽があるので、クーラーは濾過槽から飼育水槽へと戻る配管の途中に繋いで使用するのが一般的です。オーバーフロー水槽ではもともと濾過槽から飼育槽へと戻る配管があり、その途中に繋ぐだけなので簡単に使いはじめることができます。

ポンプには濾過槽の中に水没させて使う水中ポンプと、濾過槽の外において水を汲み上げる陸上ポンプがあります。陸上ポンプを使用する際には基本的には濾過槽に穴を開けることになるので、水中ポンプの方が導入しやすいですが、もともとオーバーフロー水槽で使っていたポンプをそのまま使えば良いでしょう。

陸用ポンプと接続

一般的な水槽にはオーバーフロー水槽のような濾過槽はないため、飼育水槽そのものから水を汲み上げる必要があります。飼育水槽の中に水中ポンプを入れると場所をとって美観も損ねるので、マグネットポンプなどの陸用ポンプを使うことが多いです。

あまり流量の多いポンプを使うと水槽内に強い水流が生まれ、魚が弱ってしまうので気を付けて下さい。

外部フィルターと接続

外部フィルターを使用している場合、外部フィルターにポンプが内蔵されているため、そのポンプの力によってクーラーも稼働させようという考え方です。別にポンプを用意するよりは用具が少なくなって水槽の周りもスッキリしますが、外部フィルターのポンプに十分な力がないと水を適切な流量で循環させられません。

小型の水槽で、かなり余裕を持ったサイズの外部フィルターを使用する場合には選択肢となる方法です。ただしこの場合、クーラーを使用しない時期に、外部フィルターをクーラーを経由せず直接水槽に設置すると水流が強くなりすぎてしまう可能性があるので注意して下さい。

水槽とクーラーの接続については、チャームのクーラー特集のページに分かりやすいイラストが載っていたので、良ければそちらも参考にして下さい。

参考安心の水温管理!クーラー&冷却ファン特集 【チャーム ペット・ガーデニング・インテリア雑貨の専門店】

おすすめ・定番の水槽用クーラー

水槽用のクーラーについて、その原理やメリット・デメリット、選び方・使い方などを一通り紹介しました。最後にアクアリウムで使用される定番のクーラーを紹介しておきます。

ゼンスイ ZR-75E

ゼンスイの ZR-75Eは、60cm水槽ならコレ! というような定番のクーラーです。60cm水槽程度の冷却には十分な能力を持っています。また、その冷却能力にはある程度余裕があるので、もしも後々水槽を大型化したとしても90cm水槽くらいならなんとか冷やすことができ、拡張性も高いクーラーです。

ゼンスイのクーラーには、省エネ・静音・高性能なZCシリーズと比較的安価なZRシリーズの2つの主要なラインナップがあります。60cmクラスの水槽に使用するのであれば、価格的にも手の届きやすいZRシリーズの方が人気があるようです。

テトラ クールタワー CR-3 NEW

安価なペルチェ式クーラーなら、テトラのクールタワーシリーズが定番です。ただしペルチェ式クーラーはチラー式と比べると全体的に冷却能力が低いです。この「クールタワー CR-3 NEW」も60cm水槽用とされていますが、実際には60cm水槽で使用するのは少し厳しいので、30cmキューブや45cm水槽での使用がおすすめです。

小さめの水槽には十分な冷却能力がありますし、値段も安いので、小規模にアクアリウムを楽しみたい場合には非常に便利なクーラーと言えます。

Ads by LiveBurst

水槽用冷却ファン

水槽用冷却ファン テトラ CF-60 NEW

水槽用冷却ファンは、扇風機のように風を起こして水温を下げる「空冷」タイプの冷却機器です。PC用の冷却ファンのようにファンが丸見えになっているものもあれば、ファンは内部に組み込まれていてダクトのようなものから風が噴き出してくるようなタイプもあります。

機械としては簡単な構造であるため販売価格が安く、気軽に導入できるのが最大の長所です。水槽のフチにクリップなどで留めておくだけという設置の簡単さも魅力的ですね。アクアリウムを始めたばかりの初心者には水槽用クーラーは高すぎるので、多くの人はまず冷却ファンで水温を下げることに挑戦するでしょう。

ただし冷却能力ではとてもじゃないですがクーラーには敵いません。水温計を時々見ながら、水温がどのくらいになっているかはちょくちょく確認しておいたほうが良いでしょう。あまりにも温度が高くなる場合は部屋のエアコンと併用するとかなり効果があります。

クーラーと比べるとかなり簡単なものなので、PC用の冷却ファンを利用して、水槽用の冷却ファンを自作する人もいます。私もやったことがありますが、本当に手軽に出来てしまいます。自作については自作のススメの項目で紹介します。

冷却原理と特徴

Vaporization
Vaporization / kewl

水槽の水面の付近では、水と水蒸気は蒸発平衡と呼ばれる状態に近くなっています。蒸発平衡とは、水の一部は蒸発して水蒸気になり、また水蒸気の一部は凝縮して水になることで、水と水蒸気の量は変化しないように見える状態のことです。

この蒸発平衡になっている状態の水面に冷却ファンで起こした風を吹き付けると、水面付近の湿った(水蒸気を含んだ)空気が吹き飛ばされ、代わりに乾いた(水蒸気を含まない)空気が水面を覆います。その結果水へと変化する水蒸気が減り、蒸発して水蒸気になる水の量は変化しないので、全体としては蒸発が促進される形になります。

水などの液体が蒸発するときには「気化熱(蒸発熱)」と呼ばれる熱を周囲から奪います。つまり水がたくさん蒸発すれば、熱を奪われる側の水槽の水は冷えるということになります。これが冷却ファンが水槽を冷やす原理です。

このことを理解すれば当然、冷却ファンで冷やしている水槽の水は通常以上に蒸発するということが分かりますよね。従って冷却ファンを使用する場合には足し水の頻度を増やさなければなりませんし、また水の蒸発で比重の変化してしまう海水水槽にはあまりおすすめできない冷却方法であるとも言えます。

水槽用冷却ファンのメリット

  • 価格が安い
  • 電気代も安い
  • 取り扱いが簡単・手軽
  • 排熱対策が不要

水槽用冷却ファンのデメリット

  • 冷却能力が低い
  • 水の蒸発が早く頻繁な足し水が必要
  • 動作音がうるさい

水槽用冷却ファンの選び方

水槽用冷却ファンの冷却原理やメリット・デメリットをまとめたところで、次は具体的に商品を選ぶ際のポイントを紹介します。

60cm水槽用のファンを選ぶ

冷却ファンには30cm水槽用や60cm水槽用といった対応水槽サイズの指定がありますが、基本的には60cm水槽用のファンを購入することをおすすめします。これはファンの冷却能力は不足することはあっても過剰になることはほぼ無いのと、仮に過剰でも逆サーモで調整できるからです。

実際には60cm水槽を冷やすために60cm用のファンを複数使用するのも普通なので、余裕を持って大きめの水槽用のファンを買っておくことをおすすめします。30cm用も60cm用も値段的にも電気代的にもには大した差はないので、少しでも冷却能力が高いものを買っておくほうが良いでしょう。冷却能力が高いと水槽を大きなものに新調したとしても役に立つのもポイントです。

テトラ製品が無難

私は冷却ファンはテトラ製品が無難だと考えています。理由はテトラのファンは基本的にファンにクリップが付いただけの簡単な構造だからです。構造が簡単な方が風量が確保できて音も静か、故障もしにくいです。デザイン的にもスッキリしていて悪く無いと思います。

温度固定サーモ内蔵タイプは避ける

保温用のヒーターもそうですが、アクアリウム用の水温調整器具には、サーモスタットを内蔵していて、水温をあらかじめ決められた温度(だいたい25~26℃)に自動的に保ってくれるタイプのものがあります。一見便利そうですが、細かい調整が効かないと不便なことが多いです。

例えば真夏の時期で冷却ファンではどれだけ頑張っても25℃まで水温が下がらない時には、水温指定を変更できないと一日中ファンが回りっぱなしでうるさいです。また、生体が病気にかかってしまった場合には水温を高めに保ちたい時もあります。

これらを考慮して温度固定の逆サーモは避け、冷却ファンとファン用サーモスタットが独立しているタイプか、一体型でも温度変更が可能なタイプを購入するのが良いでしょう。

水槽用冷却ファンの使い方

基本的には付属のクリップなどで水槽のフチに固定するだけです。逆サーモを利用する場合は、逆サーモの水温センサー部分が水槽の水から飛び出さないように注意して下さい。ファンやサーモスタットの電源は、水槽の水がこぼれても水が掛からない場所から取るのが賢明です。

水槽用の冷却ファンや逆サーモの使い方や選び方については、以下の記事でより詳しく解説しています。冷却ファンの使用を考えている人はぜひ目を通して下さいね。

水槽用冷却ファン&逆サーモのおすすめの選び方・使い方
アクアリウムの夏を乗り切るための、水槽用冷却ファンと逆サーモスタットの選び方を紹介します。水槽用ファンはテトラのCF-60 NEW、逆サーモはGEXのFE-101がおすすめです。設定温度など使用時のポイントも紹介します。

おすすめ・定番の水槽用冷却ファン

最後におすすめの水槽用冷却ファンを紹介しておきます。個人的な好みもありますが、私は「テトラ クールファン CF-60 NEW」がお気に入りで、自分の水槽でも使用しています。騒音・風量・価格・デザインなど、どれについても高いレベルにあるファンです。

また、私はファンと冷却ファン用サーモスタットは分離しているタイプを推奨しているので、逆サーモのおすすめも紹介しておきます。逆サーモを使用することで、水温が一定まで下がると自動的にファンの電源が切れて水温を下げすぎるのを防いでくれます。

個人的にはGEXの「ファン専用サーモスタット FE-101」が、温度の設定可能な範囲が15℃~35℃広くて価格も安いのでおすすめです。私は上の「テトラ クールファン CF-60 NEW」+「自作のPCファン改造冷却ファン」+「ファン専用サーモスタット FE-101」の組み合わせて使用しています。

エアコン

エアコン
エアコン / sekido

アクアリウム用品ではありませんが、エアコンを使用して水槽の水温を下げるという方法もあります。この方法では水温を下げるというよりも、部屋の気温ごと下げることになります。

エアコンを導入する費用は他の方法と比べるとかなり高価になってしまいますが、冷却能力は当然ながらレベルが違います。また、最近のエアコンは省エネ化が進んでいるので、思っているよりも電気代は高くならないことが多いようです。

エアコンを使用する場合の電気代は、部屋のサイズや日当たり、住んでいる地域や水槽の数、そしてエアコンの能力にもよるので一概にいうことはできません。しかし私がネットで見た情報では、28℃くらいの温度設定で一部屋丸ごと冷やすと、だいたい1ヶ月辺りの電気代が1万~1万5千円程度になったという方が多い印象です。もちろんこの辺りは千差万別なので、鵜呑みにせずあくまで一つの例程度に思って下さい。

ちなみにエアコンを使用して水槽の温度管理をするときは、むやみに電源をオンオフせず、24時間運転にすることをおすすめします。実はエアコンを使っていて一番電気代が掛かるのは、電源を入れて運転を開始する時だそうです。水槽の温度を一定に保つような、長時間の使用が前提になるような場合には、電源をオンオフせずに24時間運転させている方がかえって電気代が安くなります。

エアコンのメリット

  • 飼育規模に対して電気代が安い
  • 水槽のまわりがごちゃごちゃしない・色々な設備を設置する手間が必要ない
  • 騒音が小さく静か
  • 人間も涼しい

エアコンのデメリット

  • 導入コストがかなり高い
  • 基本的に電気代は1万円以上と高い
  • エアコンが苦手な人には辛い

エアコンの冷却原理・選び方

残念ながらこのブログは家電製品を紹介するブログではないので、エアコンの冷却原理や選び方については他のサイトに譲ることにします。水槽用に使うとはいえ、結局は人間の快適性の方が重要ですから、自分の気に入るものを買って下さい(笑)。

強いて言うとすれば、長時間使うことになるので省エネが進んでいて電気代を安く抑えることのできるエアコンや、水槽があるせいで部屋の湿度が高くなりやすいので、除湿能力に優れているエアコンを選ぶのが良いかもしれません。

格安で水槽を冷却したい人に:自作のススメ

アクアリウムの魅力の一つは、色々な飼育用品を自分で作る(自作・DIY)ことができる点にあると私は思っています。水槽の冷却用品も、こういったDIY・アクアリストたちがよく自作にチャレンジするアクアリウム用品の一つです。この項目では水槽用の冷却ファンやクーラーの自作について紹介します。

水槽用冷却ファンの自作方法

水槽用の冷却ファンは、自作の作業が簡単でありながら、自作によって得られる恩恵が大きいので、工作が好きな方は一度作ってみてはいかがでしょうか。市販品よりも安く性能の高い冷却ファンを手に入れることができますよ!

詳細についてはこちらの記事で紹介しています。

水槽用冷却ファンの自作!アクアの関門“夏”を乗り切る方法
アクアリウムで夏に水槽の水温を安価に下げるための、冷却ファンの作り方を解説します。冷却ファン自作の長所・短所や自作の手順、ACアダプタ・PCファン・DCジャック・DCプラグなどのパーツの選び方・おすすめなども紹介します。

ただでさえ安く入手できる水槽用の冷却ファンですが、自作することによってもっと安くなります。また、自作の際には市販のPCファンを改造することになるのですが、PCファンは回転数やサイズなどのスペックを細かく表記してくれているため、自分の求めている冷却能力のファンを作ることができるという長所もあります。

水槽クーラーの自作はやめておいた方が賢明

冷却ファンの自作は簡単な一方、クーラーの自作は非常に難しいです。水槽クーラーの冷却原理の項目では色々な種類のクーラーを紹介しましたが、この中でも「ペルチェ式」のクーラーは比較的自作しやすいため、これまでに何人ものアクアリストがの自作にチャレンジしてきました。

しかしいざ完成したクーラーを使ってみても、十分な冷却能力が得られることは稀なようです。クーラーは自作するのにもかなりお金がかかってしまい、場合によっては市販品を買った方が安く済んだ、ということもあるようです。そこまでして作ったクーラーが役に立たなかったとしたら、精神的にも経済的にもかなりのダメージであることは間違いありません。

よほどの工作好きでクーラーを作ること自体が楽しいという方以外は、クーラーの自作はやめておいた方が賢明でしょう。

電気代を安くするために

熱帯魚やエビなどを飼育しているときの夏の高水温への対処方法として、水槽クーラーや冷却ファンを使用することを考えてきましたが、これらの方法では水温を下げるために電気代が掛かります。飼育している熱帯魚の数が多く水槽を何本も持っている方にとっては、水槽の冷却に掛かるお金も馬鹿になりません。

どうにかしてこの電気代を安く抑えることができないものか、その方法を考えてみます。

設定温度を上げる

最も簡単な方法は、設定温度を上げることです。水温を26℃設定にしていたところを、28℃設定にまで上げれば電気代も少なからず抑えることができます。大体の熱害魚ならこの程度の水温には耐えてくれるので、電気代が気になる方は検討してみてください。

もちろん飼育している生体の種類によっては、水温が28℃まで上昇すると致命的なダメージを追ってしまうものもいます。自分の飼育している熱帯魚やエビが、どの程度の水温までなら問題なく飼育できるのか、その点をよく確認してから実践して下さい。

断熱材を使う

水槽の周りを断熱材で覆うことで、水温の変化が起こりにくくなる保冷効果を狙う方法です。上のような水槽用の断熱材として販売されているものを使っても良いですし、発泡スチロール等身近にある断熱材を利用するのも良いでしょう。

水槽用クーラーのような水槽の水を直接暖めることができる冷却方法と組み合わせて利用すると、より高価を発揮してくれるはずです。一方でエアコンのように外気を経由して水槽を冷却する場合には、断熱材の効果はを感じにくいかもしれません。

井戸水を利用する

地中では一年を通じて温度変化が小さいので、地下を流れる井戸水もまた年間を通じた温度変化が少ないです。つまり、井戸水は夏は冷たくて冬は温かいとても便利な水ということです!

アクアリストの中には、庭から井戸水を汲み上げて少しずつ水槽に足し、足した分の水を少しずつ水槽から捨てるという、井戸水を利用した「全自動換水システム」を構築している人もいます。これなら水換えの手間も省けて水温も適切に保たれる、まさに夢の様なシステムです。

もちろんこのようなシステムはとても大掛かりで、普通の人には中々導入できるようなものではありません。それでも井戸水を利用できる環境にある方は、一考の価値はある理想的なシステムだと思いますよ!

高温に強い生体を飼育する

ある意味究極の方法ですが、高温に強い生体を飼育すれば夏場に高水温を気にする必要もありません。例えばメダカは、水温が35℃くらいなら平気で泳いでいます。あとは亀などの爬虫類も高水温には強いです。このような生体を飼うのであれば、頑張って水温を下げる必要もないかもしれません。

ただしここまで高水温に強い魚はあまり多くないので、飼育できる生き物が制限されてしまうという問題があります。飼い始める前にその魚にはどれくらいの水温が適しているのか、よく調べておくようにして下さい。

今回は水槽用のクーラー、冷却ファン、あるいはエアコン等を使って、夏に水槽の水温を下げる方法について紹介しました。本格的に暑くなる前に、水槽の夏場の冷却方法をよく考えておくのが良いですよ! アクアリウムにとって夏は最も危険な季節なので、油断せずにしっかり対策しておいて下さいね。

Yes No