野生生物保全 国内ニュース

新登録の「エコパーク」でハコネサンショウウオの新種を発見

2014/10/10

両爬ファンの心を踊らせる(一般人にはほとんど興味を持たれない?)ニュースが入ってきました。今年の6月にユネスコの「エコパーク」に登録された福島県の只見町で、新種のサンショウウオが発見されたそうです。エコパークへの登録からすぐに新種が見つかったことで、只見町には更に注目が集まるのではないでしょうか。

発見された新種のサンショウウオは「タダミハコネサンショウウオ」と名付けられました。冒頭の画像はイメージなのでタダミハコネサンショウウオではありません。タダミハコネサンショウウオの画像は引用元のリンク先で確認して下さいね!

福島県只見町でハコネサンショウウオの新種発見

"サンショウウオ、新種発見"
抜粋

福島県只見町のブナセンターは8日、同町内でサンショウウオの新種が見つかったと発表した。新種は隣の新潟県三条市でも見つかり、和名に只見の名前を冠して「タダミハコネサンショウウオ」と名付けられた。発見したのは、国立科学博物館研究員の吉川夏彦さん(32)と京大の研究グループ。

只見町では3種類のサンショウウオが確認されていたが、ハコネサンショウウオに似ているものの形態的に異なる個体があり、吉川さんの調査で新種と分かった。全長14~16センチで、ハコネサンショウウオと比べ、背面の斑紋やストライプがなく、背面全体が暗褐色をしているのが特徴。尾もやや短い。

<-後略->

近年の新種の発見というと、形態的な差異はあまりないけれど遺伝子レベルでの差が大きいので別種と認定された、という例が多い印象ですが、このタダミハコネサンショウウオは形態的にもこれまで同種とされてきたハコネサンショウウオと異なっています。リンク先の画像を見てもらえば分かると思いますが、ハコネサンショウウオが斑紋やストライプなどの模様が目立つのに対し、タダミハコネサンショウウオは柄がなくやや地味な印象ですね。

形態的な違いだけでなく、ハコネサンショウウオの産卵期が夏であるのに対しタダミハコネサンショウウオは冬であるなど生態的にも違いがるようです。何はともあれエコパークに認定されたばかりの只見町にとって話題性のあるニュースでタイミングがよかったですね

飼育データ管理・共有サービス「RIUM」を今すぐ使ってみよう!

エコパークとは

さっきからちらほら出ている「エコパーク」という言葉ですが、エコパークとは何かご存じですか?

エコパークとは生物圏保護区・生物圏保護地域とも呼ばれ、ユネスコの「人間と生物圏計画」というプロジェクトに基づいて定められた国際的な保護区のことです。ユネスコは教育・科学・文化の推進を目指している国連の専門機関で、世界遺産の登録や保護も扱っている期間です。そんなユネスコにエコパークとして登録されているということは、只見町が国際的に重要な生物群集を持ち、その保護への取り組みも評価されているということなんですね。

生き物好きならちょっと行ってみたくなってきませんか?

ハコネサンショウウオは新種の宝庫!?

実はハコネサンショウウオに近縁の新種が見つかったのは今回が初めてではありません。2012年には東北地方の北部に生息する個体群がキタオウシュウサンショウウオに、2013年には筑波山の個体群がツクバハコネサンショウウオ、四中国の一部の個体群がシコクハコネサンショウウオとして独立種登録されています。

以前から地域によって多彩なバリエーションがあると知られていたハコネサンショウウオが、ここ数年で一気に新種として記載されているようです。この流れは今回のタダミハコネサンショウウオで終わりではなく今後も続いていく可能性があるので、ハコネサンショウウオ近辺は今後も要チェックですね!

保護活動も展開予定

新種として登録されるとどうしても注目をあびるので、目新しさから乱獲が起こってしまう可能性もあります。只見町ブナセンターの鈴木和次郎館長は、希少生物の乱獲を防ぎ新種を保護していくため、野生生物保護条例の制定も検討したいとしています。新種の発見から即座に保護に結びつけていくのは、さすがにエコパークとして登録されるだけの意識の高さといえそうですね。

保護活動もうまくいくことを期待しています。

有尾類好きには京都水族館がおすすめ

この記事に興味を持ってくれるようなサンショウウオ好きのあなたには、ぜひとも京都水族館に行ってみることをおすすめします。

京都市の「京都水族館」行ったよ!展示水槽のレイアウトが超綺麗

京都市にある京都水族館の営業時間・休館日、料金・入場料、交通アクセス、割引や駐車場などの情報と、オオサンショウウオやイルカ、ペンギン等の展示内容をまとめます。規模は大きくないですが展示水槽のレイアウトが美しい水族館です。

京都には国の天然記念物であるオオサンショウウオが生息していることもあり、サンショウウオやイモリと言った有尾類の展示が充実しています。あまり活発ではなく見ていて飽きられやすいサンショウウオにここまでの展示スペースを確保している水族館は多くないため、有尾類好きにとってはかなり楽しめる水族館だと思いますよ。

また、三重県の観光地である赤目四十八滝には、サンショウウオとイモリだけにスポットライトを当てた「日本サンショウウオセンター」という施設があります。有尾類好きならこちらもぜひとも行っておきたいスポットですよ!

K-ki

今回は新しく発見されたタダミハコネサンショウウオを軸に、ハコネサンショウウオの近年の再分類やエコパークについての知識も紹介しました。世間で報道されているニュースにちょっと面白さを付け加えられたでしょうか?ちょっとでも面白かった、ためになったという方はいいね!やツイートをお願いします!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

-
-国内ニュース
-,
-

© 2024 AquaTurtlium