乳鉢と乳棒といえばどんなイメージを持ちますか? 普通の人なら理科の実験くらいでしか使わないですよね。女性は化粧品を手作りしたりするのに使うそうですが、化粧品を手作りしてる人って一体全体の何割いるのでしょうか…。少なくとも大体の人にとってはあまり馴染み深くはない道具だと思います。
そんな乳鉢&乳棒ですが、アクアリウムをやるなら1つ持っていると意外に活躍してくれます。今回はこの乳鉢に焦点を当てて、使いどころと使い方を紹介していきます。
乳鉢・乳棒
乳鉢のことなんて説明しなくてもわかるかもしれませんが、一応確認してみましょう。乳鉢は固形物を粉末化したり、混ぜたりするのに使う道具です。古くは食品を粉砕するのにも使われていましたが、現代の日本では食品にはすり鉢を使い、乳鉢は主に調剤や実験用などの用途に用いられます。
乳鉢とすり鉢の違い
これもわざわざ説明するようなことではないかもしれませんが、すり鉢は内側に「櫛目」という溝が付いているので効率よく粉砕できます。逆にその櫛目のせいである程度よりも細かい粉末を作ることには向きません。乳鉢で使う粉砕用の棒は乳棒といいますが、すり鉢ではすりこぎと呼びます。乳鉢と乳棒は同じ素材であることが多いですが、すり鉢が陶製のものが主流なのに対してすりこぎは基本的に朴や山椒などの木材が使われます。
アクアリウム用品として使うのであれば、より細かい粉末を作ることのできる乳鉢のほうがおすすめですね。
乳鉢の種類
乳鉢は磁製、ガラス製、ステンレス製、瑪瑙製、アランダム製などの種類に分かれます。磁製・ガラス製のものは内側の面が荒くなっていて、比較的柔らかい試料をこするようにして粉砕します。対してステンレス・瑪瑙・アランダムなどでできた乳鉢は面が滑らかになっていて、鉱物のような硬い試料を打ち付けるようにして粉砕します。瑪瑙製の乳鉢なんかは高級品でとても高価です。
アクアリウム用なら磁製の乳鉢あたりで十分です。
乳鉢の入手法・おすすめ
ネット上では100円均一ショップで売っているなんて記述をよく目にしますが、私は100円均一で乳鉢が売っているのを見たことがありません。基本的にすり鉢しかおいてないです。ホームセンターなんかに行くと売っているのかもしれませんが、amazonのようなネット通販で入手するのが一番安くなると思います。
おすすめは磁製の乳鉢で直径が90mm程度の大きさのものです。これよりも小さくなると使いにくいですし、あんまり大きくても邪魔になります(飼育規模が大きくい場合はもう少し大きなサイズでも良いかもしれません)。こういったタイプの乳鉢なら600~800円位であるので値段もあまり気にならないでしょう。
乳鉢・乳棒の使いどころ
乳鉢があるとこんなときに役立ちます! どれもまさにかゆいところに手が届くという感じですね。
稚魚・小型魚用のエサをつくる
熱帯魚やエビなど、飼育している生体を繁殖させることはアクアリウムの楽しさの一つです。卵から育てた魚はやっぱり思い入れが違いますよね。
でも稚魚が生まれたからといって稚魚用のエサを買ってもどうせ使い切れないし、ブラインシュリンプやらイフゾリアやらの生き餌は管理がかなり面倒です。そんな時は親魚に与えているエサを乳鉢ですり潰して与えれば大丈夫!よほど小さな稚魚でなければ食べられるサイズまで粉砕できるので、大体の種類の魚の稚魚を育てられます。口が小さくて手元にある餌では食べられないような小型魚にもこの方法は有効です。
オリジナルのエサで餌付け
亀のような爬虫類や両生類などを飼っていると、たまに市販の配合飼料を食べてくれない偏食傾向の個体に出会うことがあります。そういうヤツは乾燥エビだけしか食べないなんてこともままあります。
そういった時の餌付け方法として、市販の配合飼料と乾燥エビなどを混ぜて一つのエサにしてしまい、少しずつ食べさせて慣れさせるなんて方法があります。配合飼料の粉末と乾燥エビを固めて一つにしてしまうわけです。
混ぜるのは乾燥エビだけでなくレバーなど色々と考えられますし、もちろん亀だけでなくディスカスやエンゼルフィッシュ、ポリプテルスなどの大型魚の餌付けにも有効な方法なのではないかと思います。以下のリンクでそういったオリジナル餌を作っている方の様子が見られます。
投薬のために薬を粉末化
以前に投稿したカメの病気を治したい!カメに飲み薬を飲ませてあげる方法という記事では、亀に投薬する際に錠剤タイプの薬を乳鉢で粉末化して飲ませています。亀ではなく魚に投薬する方法は観賞魚のエロモナス感染症の原因・症状と効果的な治療法で紹介していますが、こちらでもやはり乳鉢を使って粉末化しています。亀や魚に限らずペットに薬を与えるときには乳鉢を使うことがとても多いです。いざというときに持っていると便利ですね。
スパイス・胡椒などの粉末化
アクアリウムなどに使った乳鉢を食品等にも使うのは衛生的にも精神的にも拒絶反応がある人が多いと思いますが、気にならない人はこういった用途にも使えます。スパイスの粉砕に乳鉢を使っている人なんかは多いみたいです。
私は気持ち的に嫌だしそもそも料理しないので使いませんが…。
乳鉢・乳棒の使い方(小型魚用のエサ作り)
20cmキューブ水槽で飼育しているミクロラスボラ・ハナビのための餌を作る様子を例に、乳鉢と乳棒の使い方を紹介します。
今回粉末化するのはこちらの餌「エーハイム リッチフレーク」です。以前charmで水槽を購入したことがあったんですが、その時にガラス水槽のフタが割れて届きました。そのお詫びということで交換のフタと一緒にもらったものです。
粉末化する餌を乳鉢に適量入れます。これはだいぶ少ないですが一度にもっとたくさん粉砕できます。私の環境だと粉末化した餌はハナビにしか使わず、なかなか無くならないので一度に粉末化するのはこれくらいにしています。
本当は乳鉢は机の上には直接置かず、ゴムシートなどの滑りにくいものの上に置くのが良いのですが、ちょうど良いものがなかったので直接置いています。大した力も掛からないですし、アクアリウムで使用する際はこれで十分です。
乳棒を回転させてエサをすりつぶします。8の字を描くように動かすと良くすり潰せるらしいです。
余談ですが粉砕ではなく混合を目的とする場合は、乳棒ではなく乳鉢の方を動かすと良く混ざるそうです。
これ以上細かくならないなと思ったところでやめます。私はこんな感じになりました。
粉末化したエサは小さめのジップロックなどに入れて保管しておくと便利です。私はボルトか何かが入っていたジップロック袋に入れて保管しています。
アクアリウムでの乳鉢・乳棒の使い方まとめ
今回はアクアリウムにも役立つ乳鉢の使いどころや使い方を紹介しました。意外にもあると結構便利な道具だということが分かってもらえたでしょうか。紹介した使いどころで一つでもグッと来るものがあれば、一度買ってみるのも良いと思います!