今回は、前回のチャームのニューイヤーセールで買ったものをまとめた記事でも紹介した、pH無調整ピートモス(長繊維タイプ)の活用法を紹介します!
今回長繊維ピートモスを購入したのは、なかなか調子の上がらない90cm水槽の有茎草に少しでも良い効果を与えようと考えてのことです。ではそもそもなぜ90cm水槽の有茎草は調子が上がらないのか? まずは原因をいくつか考えてみました。
90cm水槽の問題点
今回佗び草を自作することになった理由である、90cm水槽の有茎草の調子が悪いという問題点について、その原因を考えてみます。いくつか思いついた項目をあげていきます。
pHが高い
水草の成長に必要な栄養分の主なものには窒素・リン酸・カリウムの3つが挙げられます。窒素は水槽内では濾過の最終生成物である硝酸塩として存在し、リン酸は餌の残りなどから生じるとされています。
それに対しカリウムは水槽内では不足しやすいといわれているので、私は炭酸カリウム水溶液の添加を行っていました。一般に水草は弱酸性の水質を好むとされていますがこの炭酸カリウム水溶液はアルカリ性で、添加すると飼育水のpHを上昇させます。この添加量が適切でなかった場合、飼育水のpHがアルカリ側に傾いている可能性があります。
さらに、底床に用いている大磯砂は酸処理を行っていますが、それが不十分であったという可能性もあります。
以前まで私は水質調査試薬はテトラ6in1しかもっていませんでした。この試薬でpHは一応測ることができますが、その結果はかなり信頼性が低いといわれています。あくまでも目安程度にしかならないということです。そこで前回の記事で紹介したテトラテスト pHトロピカル試薬を購入し、より正確なpH検査をしてみました。
その結果…
画像だと少しわかりにくいかもしれませんが大体pH7.5付近を指しています。弱アルカリ性ですね…。これでは水草には厳しい環境だと推測できます。pHについては改善する必要がありそうです。
ちなみにここで紹介した、テトラ 6in1とテトラテストpHについては、以下の記事で詳細に解説・レビューを行っています。興味のある方はぜひ読んでみて下さいね。
アクアリウムでの熱帯魚やエビの飼育に重要な水質検査薬「テトラ テスト 6 in 1 試験紙」で検査できる水質項目、精度、使いどころ、使い方、使用感等を詳細にレビューします。多数の水質項目を一度に測定できる便利な商品です。 pHの正確な測定に役立つ、テトラ テスト ペーハートロピカル試薬を解説します。試験紙ではなく試薬タイプなので、精度が高いのが最大の特徴です。テトラ テスト ペーハートロピカル試薬の効果・使い方・レビューなどをまとめます。
精度は?使い方は?テトラ テスト 6 in 1 試験紙を解説!
pH測定を正確に!テトラ テスト ペーハートロピカル試薬
カメの爪等で傷つけられたり噛みちぎられたりする
これは仕方ないですね。亀水槽で管理する以上ある程度は目をつぶらざるをえません。亀水槽で水草を育てること自体が無謀だと思うかもしれませんが、このブログのコンセプトは爬虫類をレイアウト水槽で飼育する方法の確立ですからね。レイアウトを工夫してあまりカメが通らない場所に水草を植えられれば多少マシでしょうか。
うまく根を張れていない
一つ前の項目とも関連してきますが、根がしっかり張る前にカメにひっこ抜かれたりして浮いてきてしまう水草が多いです。そういった場合に差し戻しを繰り返すのも水草にとって負担になっていると思われます。底床が大磯砂なので抜けやすいということもありそうです。
これらを考慮して、水草の調子を上げるヒントになるかもしれないと思ったのはADAの佗び草(侘び草)です。「侘び草 自作」や「侘び草 分解」等のキーワードで検索すると色々な情報がヒットしますが、ADAの佗び草は特許を取得しているので特許情報プラットフォームでその詳細を閲覧することができます。
こちらのサイトの「特許・実用新案番号照会」から、「特許出願番号2006-297156」、または「公開・公表特許公報2008-113567」で検索すると出てくる「特許第4628341号」で特許の内容を閲覧することができます。
簡単に侘び草の利点を挙げると
- 土台の主な材料はピートモス
- →ピートモスにはpHを下げる効果がある
- →大磯砂よりも根付きやすい
- 簡単に移動可能
- →カメの様子を見て蹴られにくい場所に移動させることができる
今私が必要としている要素を完璧に満たしてくれています!これを利用しない手はないでしょう!
…とは言ってもその高価さで名高いADAブランドの商品です。侘び草一つでもモノの割に結構な値段がします(ADAファンの方すみません)。ここは特許も公開されていて作り方もわかることだし自作してみましょう!
佗び草の自作方法
…ということで佗び草を自作してみたので、その方法を紹介していきましょう!
自作侘び草のために用意するもの
まず土台としてピートモスが必要です。今回私が利用したのはこちら。
ピートモスには長繊維タイプと短繊維(粉末)タイプがありますが、今回は長繊維タイプを使います。長繊維の方がまとまりやすく土台を作るのに適していますし、水槽内でも崩れにくいです。短繊維だと崩れて濾過機に詰まったりだとか色々面倒が起こる可能性があります。またpH調整がされているタイプも避けた方が良いでしょう
。石灰などが入っており水槽に悪影響を与える恐れがあります。
ちなみにピートモスには水をブラックウォーターにする効果があるため、飼育水に多少茶色い色がついてしまうことに注意が必要です。茶色い水は嫌だという方も多いかもしれませんが、ブラックウォーターには色々とメリットがあります。
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ブラックウォーターの効果・作り方-熱帯魚水槽の水質調整法
水質を弱酸性の軟水にし、抗菌効果もある「ブラックウォーター」の成分や詳細な効果、作り方等を紹介します。ディスカス・グラミー・ベタ等はブラックウォーターを好むとされています。ブラックウォーター作りに必要な用品も紹介します。
気になる方は上のリンクからブラックウォーターについての解説記事にも目を通してみて下さいね。ピートモスの水茶色くする効果は永久に続くわけではないため、茶色い水が嫌な方も色が出なくなるまで気長に待てるのであれば問題ありません。
上で紹介した商品は、ピートモスで侘び草を自作するための条件を満たしてはいますがけっこう割高です。手と比べてもこのくらいの量しかありません。
もし長繊維ピートモスのみを買いたい場合は園芸ショップなどで買う方が、安くて量も多いです。ただし園芸ショップなどでは1つあたりの量がかなり多く、おそらく使い切れません。すると不要な分まで買うことになって無駄な出費になるので、結局はアクアリウム用のものを購入する方が良さそうです。
特許として公開されている情報では土台は主にピートモスという記述しかありませんが、ADAの侘び草を分解した方によると腐葉土も混ざっているようだ、とのことです。なので腐葉土もあった方がいいかもしれません。その場合もあまり目の細かいものよりは荒いものの方が使いやすいでしょう。私は家にあったSeriaの腐葉土を使いましたが、もう少し目が荒くてもいいんじゃないかと思いました。
佗び草自作の手順
では侘び草の製作に入っていきます。まずピートモスと腐葉土を混ぜたもので小石を包んで団子状にします。小石はおもりの役割をもちます。
次にこの周りをピートモスで覆って再び団子状にします。
それに好みの有茎草、モス、シダ類などを巻いて木綿糸でしっかり縛ります。水草は節(葉や茎が分かれて出てくるところ)を1つ以上含むようにして、1.5cm位の長さに切りました。
これで完成です。思った以上に簡単でしょ?味を占めた私は3つも作っちゃいました!
90cm水槽、30cm水槽に一つずつと水耕栽培風にしているものが一つです。こんな感じになりました。
ADAでは最初は水上葉を展開させるようなので水耕栽培風にしているものがADAのやり方に近いと思います。いきなり沈水させた場合にどうなるかは分かりませんが多分大丈夫でしょう。
今回自作した侘び草の成長の様子はまた記事にしていきます。願わくばうまく成長して欲しいですね。
もしこの記事を参考にして侘び草を作る方がおられる場合は自己責任でお願いします。私はいかなる責任も負いかねますので。
ちなみに今回侘び草の自作に利用した「長繊維ピートモス」の影響で、水が茶色くなってしまうことがどうしても耐えられない人は、活性炭を使ってみると良いと思います。
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アクアリウム用の超高性能活性炭「ブラックホール」を解説します。活性炭は流木のアク等の水の黄ばみや、重金属など生体に有害となる物質を吸着します。ブラックホールが吸着・無害化出来る物質や交換時期の目安、使い方等をまとめます。
中でもこの「ブラックホール」は性能に定評があり、はっきり分かるレベルで水を透明にしてくれます。気になる人は試してみて下さいね。
侘び草の自作方法のまとめ
今回はADAの侘び草を自分で作ってみる方法を紹介しました。役に立ったでしょうか!? このブログ「AquaTurtlium」では、佗び草以外にも様々なアクアリウム用品の自作・DIYにチャレンジしています。
タグ自作・DIY
自作やDIYが好きなアクアリストなら、ぜひこのページもチェックして下さいね。では今回はこの辺で!