爬虫類飼育 温度管理・計測用品

爬虫類飼育の必需品!タイマーサーモで温度と照明を一元管理

2017/07/15

ジェックス(GEX)エキゾテラ(EXO TERRA)タイマーサーモ

爬虫類を飼育するときに大切なことはなんでしょうか。エサを確保すること?広い飼育容器を用意すること?衛生的な環境を維持するためにこまめに掃除すること?これらももちろん大事ですが、個人的には爬虫類飼育では適切な温度環境を用意することがもっとも重要だと考えています。そしてその次に重要なのが、温度環境とも深く関わりがあることですが、適切な光環境(照明)を用意することだと思います。

爬虫類は変温動物のため、人間よりも周囲の温度環境に強い影響を受けます。また、夜行性など一部の種を除いて、骨や甲羅を強く保つために紫外線を浴びてビタミンD3を合成する必要があります。このあたりの爬虫類特有の注意点を飼育初心者は見落としやすいので、特に意識すべき大切なこと、として挙げました。

今回は、このように爬虫類の飼育において非常に重要な温度環境と光環境(照明)をコントロールするために最適な飼育用品「ジェックス タイマーサーモ」を紹介します。爬虫類飼育者にはほぼ必須とも言える飼育用品なので、持っていない人はまずはこのページを読んで購入を検討することをおすすめします。

サーモスタットとは

サーモスタットとは、温度に応じて保温器具の電源を管理する道具です。接続された温度センサーが、設定以下の温度を検出すると電源をオンにし、設定以上の温度を検出すると電源をオフにします。これにより、温度センサー付近の温度を一定に保つことが可能になります。

上記は保温器具に使われるサーモスタットですが、冷却器具に使われるサーモスタットでは電源のオンとオフが逆(設定以上の温度を検出すると電源をオンにし、温度が設定以下になると電源をオフにする)になっています。俗に、このようなサーモスタットを「逆サーモスタット」と呼ぶこともあります。

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爬虫類用の飼育に求められる温度と照明の条件

爬虫類は、可視光・赤外線・紫外線といった光を利用して、自分自身の健康を保っています。それぞれの光の役割は以下のとおりです。

可視光

可視光は、生物の体内時計である「概日リズム」「概年リズム」の調整や、活動レベル、生理機能の調節に関わります。体温調節や繁殖行動の促進にも関連し、爬虫類が生きていくために必要な、最も基本的な光と言えます。

赤外線

爬虫類は変温動物であるため、自力では体温を維持できません。そこで、赤外線を浴びることで、活動できる範囲まで体温を上昇させています。赤外線は爬虫類が活動を維持するために必要な光と言えます。

紫外線

紫外線は、爬虫類の骨、歯、爪、甲羅などの形成に必要な「カルシウム」を体内に吸収するために必要な、「ビタミンD3」の合成や、脱皮の促進などに必要です。紫外線を十分に浴びられなかった爬虫類は、カルシウム不足に陥ってしまい骨や甲羅が曲がるなど健康に問題が発生します。紫外線は、爬虫類が健康を維持するために必要な光と言えるでしょう。

爬虫類と光/温度-バスキング・紫外線ライトと亀/トカゲの生理機能

亀・トカゲ・ヘビ・ヤモリ等の爬虫類の飼育では、紫外線照射のような光の管理と、赤外線ヒーター等による温度管理が重要ですが、理屈が難しく理解していない飼育者が多いです。爬虫類飼育で重要な光・温度管理の方法を詳細に解説します。

こちらのページでは、爬虫類と光の関係を爬虫類の体の構造なども含めて解説しています。爬虫類を飼う人はぜひとも知っておいてください。

爬虫類飼育で温度を管理するのは赤外線ライト(保温ランプ)やヒーターで、可視光や紫外線は蛍光灯などの照明器具から発されますが、自然界では基本的にどちらも太陽由来のものなので、強い相関があります。

光を利用する傾向の強い爬虫類を飼育するためには、この温度と照明に上手く関係性をもたせながらコントロールする必要があるのです。それを可能にしてくれる商品が、今回紹介するジェックスの「タイマーサーモ」です。

ジェックス タイマーサーモとは

ジェックス タイマーサーモは、爬虫類、鳥類、小動物などの温度管理に使用するサーモスタットです。以前は「爬虫類サーモ」という名称で販売されていた人気商品のリメイクに相当する製品です。製品スペックは以下のとおり。

大きさ(200W) 本体部:幅 約78mm×高さ 約153mm×奥行き 約30mm
各コード長 電源コード:約1.3m
センサーコード:約1.5m
サーモ機能コンセントコード:約0.2m
タイマー機能コンセントコード:約0.2m
制御温度範囲 15~40℃
警報温度範囲 5~45℃
許容消費電力 照明器具:300W
保温器具:300W
価格 8000円程度

タイマー機能と設定温度の連動

タイマー(プログラムタイマー)は、以下のページでも説明しているように、一般的に照明の管理に利用されます。

デジタルプログラムタイマーⅡ ホワイトPT50DW
アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化

アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

また、一般的なサーモスタットは温度管理のみを行います。

熱帯魚水槽のヒーター・サーモスタットの選び方とおすすめ

アクアリウムで冬場に水槽水温を維持するため、ヒーターやサーモスタットを使用し水を加熱する際の注意点や、オススメの商品も紹介します。ヒーター・サーモスタットは正しく使わないと事故に繋がるので、安全上の注意点も紹介します。

ジェックス(GEX)のタイマーサーモは、従来このように別々に管理されていた「照明」と「温度」を一元管理できるのが最大の特徴です。さらに、タイマー機能による照明器具の電源状態(ライトが点灯しているか、消灯しているか)に応じて、サーモスタットの目標温度が変化するように設定できるようになっているのです。

これによって次のようなシナジー効果を得ることが可能になりました。

屋外での昼と夜が再現可能

タイマー機能とサーモスタット機能の連動により、照明が点灯している時間帯の目標温度は28℃、照明が消灯している間の目標温度は26℃といった設定が可能になっています。これはつまり、飼育環境下で擬似的に昼夜のサイクルを作り出せるということです。

冒頭でも述べましたが、爬虫類は変温動物のため外気温の影響を受けやすいです。昼間に活動しようと思っても、温度が低ければ活性が上がらず行動が鈍くなります。また、夜間に休もうと思っても温度が高ければ活性が下がらず、落ち着きにくくなるでしょう。

つまり、タイマーによる明るさの管理と、サーモスタットによる温度の管理を連動して行えるタイマーサーモは、爬虫類の活性の管理に非常に有効であることがわかります。

警報機能も搭載

タイマーサーモでは、あらかじめ設定した「上昇警報温度」よりも温度が上がってしまったとき、または、「降下警報温度」よりも温度が下がってしまったときに、異常を知らせる警報ランプを点灯させる機能が備わっています。

上昇警報温度は最大で45度、降下警報温度は最低で5度まで設定可能です。飼育環境に問題が生じたときに、見逃してしまうリスクが減る点は非常に安心できるポイントですね。

タイマーサーモの使い方

爬虫類サーモの役割とその有用性について一通り説明したので、次は具体的な使い方を説明していきます。

本体・温度センサーなどを設置する

まずは本体や温度センサーを設置しましょう。本体は、水がかからず直射日光の当たらない場所にフックなどで吊り下げるのが良いです。本体を固定したら、飼育容器に設置済みの保温器具をサーモ機能用コンセント(赤色のタグが付いています)に、照明器具をタイマー機能用コンセント(タグなし)に接続します。

本体の設置完了後、温度センサーを設置します。温度センサーは、保温器具の熱気が直接当たらず、生体が触ったりし難い場所に設置するのがポイントです。生体にセンサーの場所を移動させられてしまうと、飼育容器内が意図しない高温・低温になってしまう可能性もあるため、温度センサーの設置場所は十分に吟味しましょう。

タイマーサーモ 温度センサー設置位置の例

ちなみに私は、こちらの画像のようにセラミックヒーターの直下近くに温度センサーを宙吊りにするような形で設置しています。こうすれば、私の飼育しているニホンイシガメは、センサーを突き回したり出来ないからです。

ただし、この設置場所は前述の「保温器具の熱気が直接当たらない」という項目に違反してしまっています。保温器具の熱気に直接当たると、飼育ケージ内の温度が正確に測れないためこの注意点があるのですが、私の飼育環境ではこの制約を守るのが難しかったんです…。

対策として、タイマーサーモのセットアップ時に、別の温度計により水槽各所の気温を測定し、「セラミックヒーター直下が33度のとき、直下以外の部分は28度程度になる」ということを確認しています。こうすることで、セラミックヒーター直下のホットスポットの温度を基準に、水槽全体の温度を管理するような形にしています。

ただしこの方法は、水棲亀の飼育であり水場という逃げ道があるからこそできる部分もあるので、一般的なセンサーの設置位置としては推奨するものではありません。

電源を確保する

温度センサーの設置後、タイマーサーモ本体から伸びている電源プラグをコンセントに差し込みます。タイマーサーモに電源が通ると、液晶ディスプレイに現在温度が表示されるようになります。これで、コンセントからタイマーサーモを通じて照明器具・保温器具に給電できる状態になりました。

タイマーの時刻を設定する

次は、タイマー機能で照明のオン・オフを切り換える時間を設定します。タイマーサーモ本体の詳しい操作手順は説明書に書いて有るため割愛し、以下では各設定の意味と初期値を紹介します。

タイマー ONの時刻を設定

照明器具の電源をオンにする時刻を設定することが出来ます。初期設定は8:00です。

タイマー OFFの時刻を設定

照明器具の電源をオフにする時刻を設定することが出来ます。初期設定は19:00です。

制御する温度を設定する

タイマーの電源オン・オフの状態に応じて、サーモスタットが目標とする制御温度を設定します。

設定温度1(タイマー ON=昼間)の制御温度を設定

照明器具の電源がオンになっている間の、目標温度を設定することが出来ます。初期設定は28℃です。

設定温度2(タイマー OFF=夜間)の制御温度を設定

照明器具の電源がオフになっている間の、目標温度を設定することが出来ます。初期設定は26℃です。

警報温度を設定する

タイマーサーモでは、温度の上限(上昇警報温度)と下限(降下警報温度)を設定し、温度センサーで感知した温度が子の範囲から外れると、警報ランプを点滅させることが出来ます。初期設定では、上昇警報温度・降下警報温度ともに未設定のため、タイマーサーモの設置後、自分の飼育環境にあった温度を設定するようにしましょう。

上昇警報温度は、設定温度1・2の高い方+2℃以上45℃以下、降下警報温度は設定温度1・2の低い法-2℃から5℃までの範囲で設定できます。設定温度から5℃も誤差が生じているときは、保温器具の故障などによって適切な保温がなされていない状況といえるため、上昇警報温度は設定温度1・2の高い方+5℃、降下警報温度は設定温度1・2の低い法-5℃あたりに設定するのが良いかと思います。

旧機種:爬虫類サーモからの変更点

タイマーサーモの先代である「爬虫類サーモ」は、温度管理と照明の管理を同時に行えるということで、非常に人気の高い商品でした。後継機種である爬虫類サーモも基本的には同じ作りになっていますが、一部仕様の異なる点があります。

これら2機種の相違点をリストアップすると以下のとおりです。爬虫類サーモは既に廃盤で入手はほぼ不可能なので比較にあまり意味はありませんが、以前爬虫類サーモを使用していた人は参考にしてください。

保温用コンセントの数と許容消費電力

新機種のタイマーサーモでは、旧機種の爬虫類サーモよりも保温器具用のコンセント数が減っていますが、照明器具と合わせた全体の許容消費電力は増えています。やや不便だけど性能は上昇したというところでしょうか。保温器具を複数使いたい場合は、分配タップを利用して電源を分岐させましょう。

タイマーサーモ 爬虫類サーモ
コンセント数:1つ
許容消費電力:保温・照明コンセントそれぞれ300Wまで(合計600W)
コンセント数:2つ
許容消費電力:保温コンセント×2+照明コンセント×1で合計400Wまで

温度異常時の警報

爬虫類サーモには搭載されていた音声警報機能が、タイマーサーモでは廃止されています。警報音は飼育生体を驚かせてしまう可能性はありますが、オン・オフ可能だったわけですし機能としては残しておいてほしかったですね…。

タイマーサーモ 爬虫類サーモ
コントローラーの警報ランプが点滅。警報音機能はなし。 コントローラーの警報ランプが点滅。警報音のオン・オフ選択可能。

温度などの表示部分

温度表示部分はタイマーサーモと爬虫類サーモで大きく仕様が異なります。好みの問題もありますが、爬虫類サーモのほうが遠目でも見やすかったという意見も…。

タイマーサーモ 爬虫類サーモ
モノクロ液晶のデジタル数字表示 赤色LEDのデジタル数字表示

制御温度範囲

サーモスタットで制御可能な温度範囲は、タイマーサーモのほうが爬虫類サーモよりも性能向上しています。

タイマーサーモ 爬虫類サーモ
15~40℃ 15~35℃

警報温度範囲

制御温度範囲の拡大を受け、警報を設定できる温度範囲も拡大しています。

タイマーサーモ 爬虫類サーモ
15~45℃ 15~40℃

タイマーサーモの使用感とレビュー

ジェックス タイマーサーモを設置した水棲亀(ニホンイシガメ)の飼育環境

最後に、K-kiが実際にタイマーサーモを使用して感じたこと、それに基づいたレビューをまとめておきます。ちなみに、私が使用したのは上の写真のような水棲亀の飼育環境であることを併記しておきます。トカゲやヘビ、ヤモリ等の飼育時には、また違った観点があるかもしれません。

昼と夜の温度変化を設定して自然な昼夜を再現できるのが良い

タイマーサーモの最大の特徴である「タイマーによる明るさの管理と、サーモスタットによる温度の管理を連動して行える」という点が、やはり最高に使いやすいです。爬虫類の生活環境を考えれば、本来明るさと温度は不可分なものですから、それを連動して設定し、擬似的な昼夜を設定できるタイマーサーモは非常に優れた製品と言えます。

この優位点があるだけで、タイマーサーモを使わないという選択は考えられないと言えるほど、個人的には評価が高いです。

電気代の削減にも有効

夜間に温度を下げることのできるタイマーサーモは、爬虫類の概日リズムの調整にとても有効ですが、電気代という観点からも優位性があります。爬虫類の活動しない時間に温度を高く保つことに意味は無いですから、夜間の設定温度が高いのは電気代の無駄以外の何物でもありません。

他のサーモスタットに比べると価格が高く初期投資は必要ですが、長期間の使用を考えると、高い買い物と考えることもないんじゃないかな、と思います。

多系統のタイマーコントロールに対応するとさらに嬉しい

タイマーサーモで設定可能なタイマーは1系統です。つまり、電源のオンとオフは1通りしか設定できません。

今のままでも十分な機能性を持っていますが、欲を言えば多系統のタイマー設定も可能にしてほしいです。例えば、2系統のタイマーが設定可能なら、メインの照明の点灯前後に色温度の低いライトを点灯する時間帯を作り、朝焼けや夕焼けまで再現したより現実的な光環境の再現が可能になります。

高望みの気もしますが、対応してくれると嬉しいですね。

ジェックス タイマーサーモのまとめ

K-ki

今回は、爬虫類の飼育には必須とも言えるジェックス(GEX)のタイマーサーモを紹介しました。レビューの項目にも書いたように、K-kiのお気に入り飼育用品でもあり、当然ながら現在もタイマーサーモを継続使用しています。生息環境の再現は生物飼育の第一歩です。ぜひともタイマーサーモを使って、自然環境の再現にチャレンジしてみてください!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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