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日本一美しい「イシカワガエル」と青色の色彩変異個体の原理

2014/11/29

日本には亜種を含めて5科43種ものカエルが生息していますが、そのなかでも“日本一美しい”とされる「イシカワガエル」をご存知でしょうか。奄美大島とい沖縄本島の北部にしか生息しない、学術的にもとても貴重なカエルです。

今回はそんな美しくて珍しいイシカワガエルの、さらに珍しい色彩変異個体が発見されました。毒々しいほどの真っ青な色をしています。

イシカワガエルの青色色彩変異個体、発見

"えっイシカワガエル!? 青い個体、国頭で撮影"
抜粋

【国頭】絶滅危惧種のイシカワガエルは緑色が一般的だが、国頭村で青色の個体が見つかった。名護市の大城優喜さん(30)が10月18日、国頭村の山中で見つけ撮影した。青色の個体が見つかるのはまれという。

<-中略->

琉球大学教育学部の富永篤准教授(36)=両生類系統分類学=によると、青色と黄色が重なって緑色になるが、黄色の基になる黄色素胞が欠如すると青色になるという。富永准教授は「これまでにも見つかってはいるがまれ」と話す。

イシカワガエルは沖縄本島と奄美大島の固有種。県の天然記念物で、日本で最も美しいカエルとも呼ばれ体長10~12センチに成長する。

例のごとく著作権の関係で色彩変異個体の画像を載せることはできません。引用元のページで確認して下さいね。

イシカワガエルはもともと日本のカエルの中でもかなり派手な方ですが、今回の色彩変異個体は通常カラーを上回る派手さです。ターコイズブルーから濃紺に渡る深い青色がなんとも美しく、もはやヤドクガエルのような雰囲気を醸し出しています。

この記事を見るまで私はイシカワガエルというカエルのことを知らなかったのですが、日本にも熱帯のカエルのような派手なカエルがいるんですねー。天然記念物らしいので飼育はできませんが、一度くらい直接見てみたいものです。どこか近場の水族館で見れないかなー?

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イシカワガエルとは?

イシカワガエルについて(私も含め)よく知らない方もいると思うので、簡単に情報をまとめておきます。

概要

イシカワガエル(Rana ishikawae)は、アカガエル科ニオイガエル属に分類されるカエル。

日本(奄美大島、沖縄島北部)固有種

体長オス8.8-10.6センチメートル、メス10.5-11.7センチメートル。頭部は大型だが、体型はやや細い。背面の皮膚は円錐形の大型隆起や顆粒状の小型隆起で覆われる。背面の体色は緑色(沖縄島)や黄緑色(奄美大島)で、黒褐色や紫褐色の斑紋が入る。腹面の体色は白く、網目状に黒褐色の斑紋が入る。

指趾の先端は吸盤状で、趾の間には水かきが発達する。

引用元: Wikipedia

体長10cm前後なのでそこそこの大きさがあるカエルですね。画像は通常色の固体ですが、皮膚にはブツブツがあって茶色と緑のまだら模様で覆われています。普通の人からしたらちょっとキモチ悪いカエルかもしれませんが、好きな人からするとすごくキレイに見えるものなんです(笑)。

生態

森林内の渓流域の岩の多い場所を好んで生息しています。昼間は岩の割れ目などで休み、夜になると岩の上にあらわれて木に登ったりもします。他の多くのカエルと同じく卵生で、沖縄本島で1~2月、奄美大島なら4~5月頃に水の溜まった穴や岩の隙間などに1000個程の卵を産みます。

生まれた幼生(オタマジャクシ)は渓流の淀みなどで成長し、8月頃には上陸して子ガエル(幼体)になるそうですが、一部は幼生のまま年を越して翌年の初夏に変態するようです。

鳴き声

YouTubeでイシカワガエルの鳴く様子を撮影した動画を見つけたので紹介します。クオォ!という感じの高めのキレイな声で鳴いています。

保全状況

開発によって生息地が徐々に減少し、もともと個体数が少ないこともあって減少スピードが加速しているそうです。沖縄県・鹿児島県の天然記念物に指定されていて、環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類(EN)に指定されいます。

過去の青色個体発見事例

ニュース記事の引用文中にもあるように、過去にもイシカワガエルの青色個体はみつかっています。

参考日本一よりもっときれい? 青いイシカワガエル発見 – 47NEWS(よんななニュース)(元記事削除済)

上のリンク先の記事では、2010年にイシカワガエルの青色色彩変異個体が見つかったと報じられています。その時には広島大学の住田正幸教授の研究チームが捕獲し、青い体色が子孫に遺伝する形質なのか調べているとしています。遺伝すると確認できれば計画的な繁殖も行うとのことでしたが、どうなったのかな…気になります。

体色が青くなる理由

これらの青色の色彩変異個体が生まれるのは、突然変異によって通常なら持っているはずの色素細胞が欠けていることによります。

具体的には、カエルの皮膚は3層の「色素胞」と呼ばれる色素細胞(黄色素胞、虹色素胞、黒色素胞)で構成されていて、突然変異により黄色の色素を作る黄色素胞を持っていない個体は青っぽい色になるのです。カエルの体色が環境によって変化するのもこれらの細胞が関わっています。

http://blogs.yahoo.co.jp/kozoshoku/45179442.html

上のリンク先ではカエルの体色変化の仕組みについて詳しく解説しているので、興味がある人は読んでみてください。

まとめ

K-ki

イシカワガエルの青色色彩変異個体が見つかったという報道に関連して、イシカワガエルの生態やカエルの体色について紹介しました。それにしても青いイシカワガエル、キレイですね。いつか珍しい色彩変異の生き物を飼育してみたいなーなんて思ってしまいます。

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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