昨日までは元気にエサを食べていた亀が、急にエサを食べなくなることってありますよね。原因は餌に飽きたとかストレスだとかはたまた病気だとか色々とありますが、その追求はとりあえず置いといて、とにかくまずは餌を食べるようになって欲しいですよね。長期間にわたる拒食には本当に不安にさせられます。
そんな時の手段の一つに、嗜好性の高いエサ(カメの好物)を与えてどうにか食べてもらうという方法があります。今回はそんなときに役立つ、嗜好性バツグンの鶏レバーに含まれる栄養素や安全な与え方などを紹介します。亀だけでなく多くの爬虫類のエサとしても使えると思うので参考にしてください!
鶏レバーについて
鶏レバーは鶏肝とも呼ばれ、鶏の肝臓のことを指します。レバーが苦手な人は結構多いと思いますが、亀はどんな個体でもレバーが大好きだと思います。
野生動物は獲物を捕えるとと基本的に内蔵、それも特に肝臓から食べ始めると言われています。それは内臓には骨が混ざっていないので柔らかく、栄養も豊富であるからです。その中でも特に肝臓は栄養を貯蔵する役割を持つ臓器ですから、栄養価が高く野生動物が好むのも頷けます。亀も本来は野生生物ですから、そういった本能のようなものを持ちあわせておりレバーや他の内臓への食付きが良いのだと考えられます。
一般に手に入るレバーには牛・豚・鶏があると思いますが、特にどれを与えても問題はなさそうです。安さとカロリーの低さから私は鶏レバーを選んでいます。
栄養素など
主な成分(重量比率)は以下のようになっています。比較のため一般的な配合飼料であるテトラ レプトミンの成分も示します。なお、鶏レバーのp成分については「カロリー Slism」というサイトを参考にさせていただきました。
参考鶏レバー – カロリー計算/栄養成分 | カロリーSlism
鶏レバー | テトラ レプトミン | ||
---|---|---|---|
蛋白質 | 18.9% | 粗蛋白質 | 39.0%以上 |
脂質 | 3.1% | 粗脂肪 | 4.5%以上 |
食物繊維 | 0.0% | 粗繊維 | 2.0%以下 |
炭水化物 | 0.6% | ー | ー |
灰分 | 1.7% | 粗灰分 | 15.9%以下 |
水分 | 75.7% | 水分 | 9.0%以下 |
レプトミンには炭水化物の含有量が表示されていませんが、爬虫類や両生類のような変温動物は体温を維持するためのエネルギー源となる炭水化物はあまり必要ではないらしいです。従って、レプトミンにはあまり炭水化物が含まれていないと思われます。もしかすると含まれているけど意味が無いから表示していないだけかもしれませんが…。
成分を比較すると、レプトミンのほうがタンパク質や脂肪の割合が高いのが分かりますね。レプトミンの方は粗蛋白質と粗脂肪という荒い数値なので単純に比較はできませんが、多分この数値がレバーより大きく異なることはないと思います。
これはレプトミンが配合飼料なのに対し、レバーが生エサなので水分量が圧倒的に多いことによります。表を良く見ると、タンパク質と脂肪の比で考えるとレバーの方が圧倒的に高いのが分かりますよね。従って、レバーばかり与えていると太ってしまうと考えられます。
また、レバーは鉄や亜鉛などミネラルを多く含む食べ物ではありますが、タンパク質との比で考えてもレプトミンには及びません。やはりレプトミンのような配合飼料は優秀なエサであることが分かります。
ただし、レバーは飼育下で不足しがちなビタミンAを多く含む食べ物なので、そういう点では時々与えることで健康維持に繋がる可能性のあるエサだと言えます。その他のビタミンBなども多く含むということもレバーの長所です。こういった点がレバーを与える意味と言えるでしょう。
注意点
鶏にかぎらず、生肉には細菌やウイルスが付いていることがあります。亀だから大丈夫と思ってしまうかもしれませんが、亀も食あたりを起こすことがあります。安全を期すために、個人的にはレバーは加熱してから与えた方が無難だと考えています。
上の栄養成分のところでも触れましたが、レバーばかり与えていると肥満になってしまいます。レバーはあくまでもエサのバリエーションや、おやつくらいの扱いとし、メインのエサにはしない方が良いと思います。
レバーは嗜好性がとても高いので、レバーばかり与えているとカメが他の餌を食べなくなる可能性があります。舌が肥えてしまうといったところです。これを防ぐためにもレバーはあまり与え過ぎないようにした方が良いでしょう。
2014/08/01 追記
コメントでレバーをゆでて与えると栄養価・ビタミンが失われるのではないかという指摘を頂きました。確かに鉄分などの一部の栄養素やビタミンB・Cといった水溶性のビタミンは茹でることによってある程度は失われてしまうようです。ただしビタミンCでも損失量は2割程度、どれだけ多く見積もっても5割といったところです。
そして、レバーに多く含まれ飼育下の亀に不足しがちなビタミンAは、脂溶性で熱にも強いので茹でてもそこまで大量に失われるわけではありません。ここではレバーはあくまで補助的な餌と位置付けており、レバーによって得られる栄養素よりも食あたりのリスクを避けることを重視しています。もしも栄養成分を重視するのであれば、確かに茹でるより生で与えた方が良いです。
実際にはビタミン補助目的でレバーを与えるのであれば、レバーよりもレプチゾルのような爬虫類用のビタミン補助サプリメントを使用する方がより効果的だと思います。
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レプチゾルは爬虫類用のビタミン剤の中でもかなり有名な商品です。上のページで詳しく解説しているので、興味のある方は読んでみて下さいね。
鶏レバーの与え方
では実際にレバーを与えるまでの前処理の方法を説明します。といってもほとんど茹でるだけですが…。
まずは鶏レバーを買ってきます。夕方~夜にかけてスーパーで安売りすることが多いのでそこを狙いましょう(笑)。
買ってきた鶏レバーの一部を取り出します。当然ながらよほど大量の爬虫類などがいない限りレバーを全部食べさせることなんて出来ません。余った分は自分で食べましょう。
上の写真の状態でも多いので小さくカットした分を使います。脂身や血の塊は避けます。
お湯を沸かします。
75℃のお湯にレバーを投入して1分間茹でると火が通るらしいです。75℃とか良く分からないので適当にやってみます。
火が通ったかなあと思って取り出して切ってみましたが、まだ生煮えのようです。
もう一度茹でます。
火が通ったところを見計らってレバーを取り出し、亀が食べれるサイズまで細かく切ります。
こんな感じに一口サイズにできたら完成です!
完成したレバーを与えるとこんな感じでガツガツ食べてくれます。与える場所は水中ではなく陸上にした方が水が汚れなくて良いでしょう。水中だと結構半端ない水の汚れ方をします。ただしニホンイシガメは陸上でも餌を食べることができますが、ミドリガメやクサガメは水中でないと餌を飲み込めないので、場合によってはエサやり用の水を張った容器を用意するなどして下さい。
今回は亀にレバーを与えるための栄養素等の解説と前処理の方法を紹介しました。こんなことを知らなくてもレバーを与えることはできますが、知識をもって適切な与え方をすると色々と安心ですよね。レバーを与えると亀はものすごい勢いで食いついてきて、見ているほうも癒されるので機会があれば一度与えてみてはどうでしょうか。