• 最終更新日:2015/12/13 約9分

須磨水族館と亀-鉄道用U字溝からミドリガメ問題や人工ヒレまで

Turtles in Atocha
Turtles in Atocha / Jim Whitehead

こんにちはー、K-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。先日読者の方から頂いたメールで気づいたのですが、実はこの「AquaTurtlium」はつい先日の11月27日に3周年を迎えていました。コツコツしたことの苦手な私が、よくぞここまで続けてこられたなーと感慨深い気持ちです。

せっかく3周年なので何か面白い企画でもやればよかったんですが、いかんせん完全に忘れていたので何の準備もできておりません。プレゼント企画とかすれば喜んでもらえるのかもしれませんが、現在手元で水槽を維持していないのでめぼしい物もなく、4周年に期待してもらう方向で行きましょうか…(笑)。

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さて今回は、ここ最近ネット上で話題になっている亀関連の話題をきっかけとして、数ある水族館の中でも特に亀や生態系の保護プロジェクトに力を入れている「須磨水族館」の活動を紹介します。国レベルの対処が上手くいっているとは言い難いアカミミガメ問題などに対しても、独自の活動を行っています。亀の飼育に興味がある人なら、ぜひともこの水族館のことは知っておいて欲しいです。

須磨水族館

営業時間 9時~17時(夜間開園時は20時まで)
休館日 不定期(公式サイト参照)
料金 1300円(大人・18歳以上)
800円(中人・15歳~17歳)
500円(小人・小中学生)
無料(幼児)
所在地 〒654-0049
兵庫県神戸市須磨区若宮町1丁目3−5
TEL 078-731-7301
公式サイト http://sumasui.jp/

神戸市立須磨海浜水族園(こうべしりつすまかいひんすいぞくえん)は、神戸市須磨区の須磨海浜公園内にある水族館。愛称「スマスイ」。

1957年5月10日に神戸市立須磨水族館として開園(1968年までは交通局の所管だった)。1987年、旧施設に代わり現在の建物施設が開業、同時に現在の名称になった。現在の施設は後に多く誕生する大型水族館の嚆矢となった。1987年に記録した年間入場者数240万人は、当時の日本記録である(葛西臨海水族園1990年:355万人、海遊館1991年:450万人)。

2008年1月10日から2月29日の間、サメやウミガメ等が泳ぐ「波の大水槽」の前にこたつ3卓を設置、暖をとりながら鑑賞するという、ユニークなサービスを行った。長崎大学水産学部のある教授の協力により、当水族館でマングローブキリフィッシュ(脊椎動物で唯一自家受精をする魚)を展示している。また、各地から大学生のインターンシップもよく受け入れている。

引用元: Wikipedia

須磨水族館は正式名称を「神戸市立須磨海浜水族園」という、神戸の中心地・三宮から電車と徒歩で20分程度の距離にある水族館です。私もいつか行こうと思いながらまだ行ったことがないのですが、水族館の人気ランキングでは毎年10位以内に入る、国内屈指の人気水族館の1つです。

1200トンの水量を誇る大水槽には世界で初めて造波設備が設置され、数年前にはこたつに入ってこの水槽を鑑賞するというイベントもありました。また、近年は「アクアイルミナージュ」と呼ばれるプロジェクションマッピングのイベントを開催したりと、他の水族館にはないユニークなイベントやサービスが人気の源のようです。

JR西日本と共同で亀による列車輸送障害を防ぐ技術を開発

須磨水族館について軽く説明したところで、冒頭で言及した「ここ最近ネット上で話題になっている亀関連の話題」に触れていきます。ここ数日爬虫類業界では珍しく少し大きなニュースとして取り上げられたのが、こちらの話題です。

"JR西日本と協力してカメによる列車輸送障害を防ぐ技術を開発"
抜粋

JR西日本では毎年夏になるとポイント(分岐器)にカメが挟まり、列車に遅れが生じることが問題になっていました。JR西日本近畿統括本部施設課より相談を受けた当園では、様々な実験と思考を繰り返し、ポイントにカメが挟まらないようにする技術を確立しました。

<-中略->

そこで当園が提案したのは、ポイントにたどり着く前に、U字溝を埋めて、カメをそこに落下させ安全に確保する方法でした。実際に今年4月にカメ救出装置を設置したところ、4月から8月の間に10匹のカメが助けられましたので、おそらく10回の事故が避けられたと考えられます。

列車の遅れを防ぐとともに、カメの事故死を減らす技術を誕生させることができたので、JR西日本と当園、両者ともに、なんとなくさわやかな気持ちになりました。

リンク先の元記事ページに飛んでもらうと、写真付きでより詳しい解説があるので、詳細が気になる方はそちらもご覧ください。一応当サイトの方でも、今回開発されたこの技術を簡単に説明しておきます。

この技術で想定されているのは、踏切などから線路の2本のレールの間に亀が落ちてしまった場合です。亀のサイズにもよりますが、線路を乗り越えられない場合、亀は線路に沿って歩くしかなくなり、いつか線路の分岐器の可動部分に挟まってしまいます。すると線路が切り替わる際に亀は潰されてしまい、また電車も停止してしまうという問題が起こります。

この問題に対し須磨水族館は、線路の下にU字溝を埋め、亀を一時的にU字溝に落下させておいて後で救出するという方法です。4月から8月の間に10匹の落下した亀を救出したとのことなので、10件の鉄道事故を未然に防いだんですね。中々凄いことだと思います。電車通勤の私としても、電車が遅れることが減り遅刻の不安が少なくなるのは素直に嬉しいです(笑)。

元記事のまとめの一文に「なんとなくさわやかな気持ちになりました。」なんて書いてあるところも、肩肘張らない感じで何だか親しみやすい印象を受けます。きっと地域に根ざした、多くの人に愛される水族館なんでしょうね。

須磨水族館の取り組みはこれだけじゃない!

…なんて薄っぺらい感想で、せっかく注目を浴びた今回の件を終わらせたくない、というのが今回の記事を書くことにした理由です。須磨水族館はこのU字溝以外にも、様々な活動を行っています。ぜひとも鉄道U字溝以外の活動も知ってください。

亀楽園とアカミミガメ・パスポート

須磨水族館が行っている特徴的な活動の一つに、淡水ガメ保護研究施設「亀楽園(きらくえん)」の運営と、期間限定でアカミミガメ(ミドリガメ)持参で入園無料になる「アカミミガメ・パスポート」の実施があります。この取組は、現在の日本におけるアカミミガメ問題への対応策の中でもかなり規模の大きなものです。

近年、遺棄(捨てること)などによって野生化してしまったミドリガメが日本の生態系を破壊していることが問題視されています。これを受けて環境省はミドリガメを特定外来生物に指定することを決定し、2020年をめどに輸入・販売・飼育が原則禁止となります。

しかしこの問題はあまりに根深く、特定外来生物へ指定しただけで解決することはありません。既に野生化してしまったミドリガメを自然環境から取り除く差魚が必要なのです。

こういった背景もあって、須磨水族館では2010年から6年間継続して、毎年6月頃にアカミミガメ(ミドリガメ)持参で入園無料となる「アカミミガメ・パスポート」を発行しています。この際に持ち込まれた亀は、亀楽園で飼育されるという仕組みです。

参考神戸市:”須磨海浜水族園” 「アカミミガメ・パスポート」を実施します!! 

当初の狙いは入園料代わりにお客さんが野生のミドリガメを捕まえてきてくれることだったのですが、なんと実際には飼いきれなくなったペットのミドリガメの持ち込みが多いそうです。何とも悲しい話ですが、ミドリガメの遺棄防止に一役も二役も買っていることは間違いありません。

悠ちゃんプロジェクト(ウミガメ用の人工ヒレ開発プロジェクト)

Loggerhead Turtle
Loggerhead Turtle / Damien du Toit

淡水悽亀だけでなく、須磨水族館はウミガメの保護プロジェクトにも携わっています。

須磨水族館や日本ウミガメ協議会 が主導する「悠ちゃんプロジェクト」は、サメに両前脚を食いちぎられたアカウミガメ「悠」を何とか元気に泳げるようにしてあげたい!というプロジェクトです。以前海水族館のイルカにつけた人工ヒレを参考に、義肢メーカーや獣医師ら専門家をメンバーに加え、亀用の人工ヒレの開発を行っています。

参考悠ちゃんプロジェクト

生態系を守るという亀楽園とアカミミガメ・パスポートとはまたベクトルの異なる活動ですが、こういった活動こそが多くの人の注目を浴び、野生動物に起こっている問題へ目を向けるきっかけにもなります。須磨水族館の幅広い活動が今後も楽しみですね。

今回はネットで話題になった「亀による列車輸送障害を防ぐ技術開発」をきっかけに、須磨水族館が行っている亀に関する野生動物保護の取り組みを紹介しました。この手の問題には、環境省などの対応が遅くなりがちな国の機関だけでなく、自治体・市民団体・個人などの貢献も必要とされています。須磨水族館は今後、そういった活動を牽引していく存在となっていくのではないかと思います。一度足を運んで、亀楽園の様子くらいはしっかり見ておきたいですね。

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著者:K-ki
K8ki・けーきはK-kiのシノニム。
AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。

生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。
好きなことはとことん追求するタイプ。

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