水槽の立ち上げ方・濾過の始め方-パイロットフィッシュは必要?

水草と熱帯魚水槽のアクアリウム

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アクアリウムを始めるためには水槽を立ち上げなければいけないわけですが、熱帯魚を死なせずに上手く飼育しようと思うと濾過とか色々と難しい面もあります。

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そこで今回は、主に「濾過」に焦点を当てて水槽の立ち上げ方を紹介します。「水槽を立ち上げる」≒「濾過を立ち上げる」と言ってしまっても過言ではなく、濾過さえ機能していれば何とかなるものです。ではその濾過を失敗なく機能させ、水槽を上手く立ち上げる方法をまとめていきます。

濾過の原理と利用法の確認

水槽を立ち上げる前に、濾過についての最低限度の知識を持っておくことが必要です。このブログでは「濾過の原理と利用法」というカテゴリで、これまでに水槽の立ち上げに必要となる濾過の知識をまとめてきました。

濾過の原理と利用法
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できればこのカテゴリの記事を全部読んでもらうと良いのですが、中々の分量があるので読んでいるうちに「アクアリウムやめとこっかな…」となってしまうかもしれません。アクアリウムの楽しみを知っている身としてはそうなってしまうと悲しいので、この記事内で「濾過の原理と利用法」カテゴリの内容をざっくりと復習してから立ち上げ方法の解説に移ります。

もちろん時間ができたら元の記事の方も読んでみて下さいね。

濾過の原理・種類・方法

熱帯魚を飼育するためには濾過を機能させることが必要だ、ということは既に書きました。濾過にはその仕組みによっていくつかの種類があります。この種類を把握しておくと、濾過の仕組みがより分かりやすくなるので、まずは濾過の種類を説明します。もちろん濾過は熱帯魚だけでなく、エビや貝、亀など水に依存して生きる多くの生き物にとって必要なものです。

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この内容についての詳細は、上のリンク先の記事にまとめられています。

物理濾過

物理濾過とは、水槽の水(飼育水)を目の細かいマットなどに通すことで、エサの食べ残しや大きな糞などを濾し取るタイプの濾過のことを指します。エサの食べ残しや糞が水の中に放置れていると、腐敗菌というバクテリアがそれを腐らせ、水の汚れの原因となる「アンモニア」を発生させてしまいます。

物理濾過を行ってもアンモニアが全く発生しないようにはできませんが、出来る限りアンモニアの発生量を減らし他の種類の濾過に掛かる負担を減らすのが物理濾過の役割です。

化学濾過(吸着濾過)

活性炭ゼオライトのような、化学反応によって水の汚れを吸着する特別な物質を使用して水を綺麗にする濾過方法を「化学濾過(吸着濾過)」と呼びます。ただしどんな物質でも吸着できるわけではないですし、活性炭などの吸着力が持続する期間にも限りがあります。

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生物濾過

アクアリウムで最も重要な濾過方法がこの生物濾過です。濾過バクテリアの働きによりアンモニアを、亜硝酸塩を経由して毒性の低い硝酸塩まで分解します。水槽や濾過を立ち上げるというのは、この生物濾過を行う濾過バクテリアを、水槽内の濾材に定着させるということを指します。

アクア&カメ水槽維持の基本!生物濾過とバクテリアの働き
前回の記事(水槽維持の基本!濾過の種類と原理のまとめ!亀にも効果あり)を書いてからずいぶん時間が経ってしまいました その3までも少し時間がかかるかもしれませんがご容赦ください じっくり解説していきます...

生物濾過についての詳細は、上のリンク先の記事にまとめられています。水槽内の生体は生物濾過のおかげで生きていく事ができると言っても過言ではない程重要なもので、ほとんどの場合はこの生物濾過をメインの濾過方法とします。

濾過方式

これはそこまで重要な事ではありませんが、生物濾過を機能させる方法として、ウェット式・ドライ式・ウェットアンドドライ式という3つの濾過方式があります。

ウェット式?ドライ式?水槽維持のための濾過方式とその特徴
アクアリウムの濾過方法として重要な生物ろ過の中でも、ウェット式、ドライ式、ウェット&ドライ式と呼ばれる分類について解説します。多くのろ過フィルターはウェット式ですが、ろ過能力面で勝るのはドライ式という説もあります。それぞれのメリット・デメリットをまとめます。

簡単に言うと濾材が水没しているか空気中に露出しているかの違いなのですが、それぞれの方式にメリット・デメリットがあります。気になる方は確認しておくとよいでしょう。

濾過フィルターと濾材

水槽内で濾過を機能させる場合には、「濾過フィルター」を使用します。濾過フィルターは濾過を簡単に使えるようにしてくれるものですが、このフィルターにも外部フィルター、上部フィルター、底面フィルターなど数多くの種類があります。

濾過器の全てがわかる!水槽用フィルターの種類・選び方
アクアリウムや熱帯魚、亀等の飼育で必要になる水槽用の濾過装置を解説します。外部フィルター、底面フィルターなどのろ過フィルター別の長所・短所・適合水槽に加え、濾過の原理や濾過フィルターの種類、濾材についてもまとめています。

どのような水槽を作るのかによって、適切なフィルターが異なってきます。上のリンク先の記事を参考に、自分の目指す環境とはどの濾過フィルターが相性が良いのか確認して下さい。

また濾過フィルターを遣うためには、濾過バクテリアを定着させるための「濾材」が必要です。

濾過バクテリアの要-水槽用濾過フィルターの濾材の種類・特徴
濾過フィルターを使用する上で欠かせない濾材について解説します。セラミック濾材、スポンジ濾材、バイオボール、活性炭、ウールマットなど、物理濾過・生物濾過・吸着濾過のそれぞれに適した濾材やメンテナンス方法を紹介しています。

この濾材にも色々種類があってややこしいのですが、高いものほど性能が良いとも言い切れないので、特にこだわりがなければ濾材は安いものを使っておくだけで問題はありません。

水槽立ち上げの目標

濾過の基本的な内容について確認したところで、水槽の立ち上げの目標をはっきりさせておきます。ここでの水槽立ち上げの最終的な目標は、「生物濾過の硝化サイクルを確立する」こととします。

生物濾過の硝化サイクル

つまり水槽立ち上げの目標は、水の汚れ・生体への有害物質である「アンモニア」を、ニトロソモナスという濾過バクテリアの働きによって「亜硝酸塩」へ、さらにその亜硝酸塩をニトロスピラというバクテリアによって「硝酸塩」へと分解する、生物濾過の硝化サイクルを水槽内に作り上げるということです。このような硝化を行う濾過バクテリアは空気中に漂っていて、酸素とアンモニアがあれば水槽内にも自然発生します。

バクテリア剤は不要

濾過バクテリアが配合されているというバクテリア剤も市販されていますが、自然発生するので基本的に必要ありません。濾過バクテリアにも様々な種類があり、放っておくとそれぞれの環境に適したバクテリアの勢力関係が構築されます。環境ごとにどの種類の濾過バクテリアが優勢となるかは異なるので、すべての水槽にバクテリア剤を使って同じ濾過バクテリアを加えても、あまり意味がありません。

水槽の立ち上げ方法の種類

水槽を立ち上げるためには、濾過バクテリアを発生させるために「酸素」と「アンモニア」が必要です。酸素は空気からある程度自然に取り込まれますが、アンモニアは何らかの方法で水槽内に発生させる必要があります。

このアンモニアを発生させる方法の違いにより、水槽の立ち上げ方法は大きく以下の2つに分けられます。

  • パイロットフィッシュ法
  • フィッシュレスサイクリング法

パイロットフィッシュ法は、最初に水質変化に強い丈夫な魚を少し導入し、その糞などからアンモニアを発生させる方法です。多くの場合はこのパイロットフィッシュ法により水槽は立ち上げられます。

一方フィッシュレスサイクリング法は、魚のエサ、あさり、マグロの切り身などを腐らせたり、水槽にアンモニア水を添加したりして、魚を使わずに硝化サイクルを作り上げる方法です。

これら2つの方法について、以下でその特徴や長所・短所などを紹介します。

パイロットフィッシュ法

パイロットフィッシュ法では、水槽の立ち上げ時に「パイロットフィッシュ」と呼ばれる水質変化に強い丈夫な魚を少し導入します。このパイロットフィッシュの排泄物やエサの残りなどから発生するアンモニアを元に、濾過バクテリアを定着させます。

パイロットフィッシュは魚の種類ではなく、このような利用法をする魚のことを指し、「テストフィッシュ」や「スターティングフィッシュ」とも呼ばれます。以前、パイロットフィッシュを「パロットフィッシュ」と間違えてしまい、パイロットフィッシュのつもりで「パロットファイヤー」という種類の魚を買ってしまったという話を見たことがあります。

参考水槽立ち上げに必要だと言われるパロットフィッシュ買ってきたんですけどこいつじゃないとダメだったんですか?

パロットファイヤーは下の写真の魚で、成長すると体長20cmにも達します。

Red Parrot de 5 pulgadas.
Red Parrot de 5 pulgadas. / Figuero32

とてもじゃないですが軽い気持ちで飼える魚ではありません。こんな間違いをしないように注意して下さいね。

メリット

パイロットフィッシュ法のメリットは、大きな失敗をしにくく、飼育したい魚を飼う練習にもなる点です。この方法を取れば最悪の場合でもパイロットフィッシュが死ぬにとどまり、通常のアクアリウムの範囲を超えた失敗は起きません。また飼育したい魚を飼う前に丈夫な魚で練習することで、本番で失敗しにくくなります。

デメリット

パイロットフィッシュ法にはいくつかのデメリットも有ります。ここではそのデメリットについて説明していきます。

パイロットフィッシュを持て余す

最も大きなデメリットは、水槽の立ち上げ後にパイロットフィッシュをどうするのか、という点にあります。丈夫というだけでパイロットフィッシュを選ぶと、どうしても飼育のモチベーションが保てなくなります。できれば水槽立ち上げ後も飼育したいと思えるような魚をパイロットフィッシュにするのが良いでしょう。

もしくは餌金などをパイロットフィッシュにして水槽を立ち上げ、立ち上げ後には飼育生体のエサにするという方法もあります。どちらにしても立ち上げ後にパイロットフィッシュを持て余すことがないように、最初にどうするのか考えておいて下さい。

パイロットフィッシュには厳しい環境になる

丈夫とはいえパイロットフィッシュもあまりにもアンモニアや亜硝酸塩が多い環境では死んでしまいます。きちんと管理すればパイロットフィッシュが死ぬことは少ないですが、生き物をこのように扱うことに抵抗のある人もいると思います。その場合は、パイロットフィッシュを使わないフィッシュレスサイクリング法で水槽を立ち上げるのが良いでしょう。

パイロットフィッシュの条件

パイロットフィッシュにする魚には、以下の特徴があるのが望ましいです。

  • 水質悪化・水質変化に強い
  • 安い値段で販売されている
  • 弱っていたり病気にかかっていたりしない
  • 水槽の立ち上げ後の用途が明白

水槽の立ち上げ期間中は濾過が機能していないため水が汚れやすいので、水質の悪化に強い魚が望ましいです。また「水が汚れやすい=水換え頻度が高くなる」なので、水質変化にも強い必要があります。

2つ目は実は1つ目と同じことです。安い値段で売られている魚は養殖の簡単な丈夫な魚であることが多いので、魚の丈夫さの目安として値段を見るのが有効です。3つ目はまあ当たり前として、4つ目は上にも書きましたが、飼育するなりエサにするなり、立ち上げ後に持て余さないような魚であるのが望ましいです。

飼育したい魚が極端に水質変化に敏感でない場合は、別の魚を使わずに飼育したい魚そのものをパイロットフィッシュにするのも一つの方法です。パイロットフィッシュに丈夫な魚を選ぶのは、管理を失敗した場合に死なないための保険という意味合いが強く、きちんと管理していればパイロットフィッシュにもそこまで大きな負担は掛かりません。

丁寧に管理しさえすれば、ほとんどの魚をパイロットフィッシュにすることができます。最初から飼育したい魚を導入するほうがモチベーションが維持しやすく、後の扱いにも困らないので、私はこの方法をおすすめしています。

おすすめのパイロットフィッシュ

パイロットフィッシュにオススメの魚を紹介していきます。ここに挙げた魚でなくても、数に気をつけさえすれば多くの種類がパイロットフィッシュの役割を果たしてくれます。

しかしコリドラスやオトシンなどの水槽の底付近をメインの活動域にする魚は、パイロットフィッシュにはあまり適しません。水槽の立ち上げ時には底砂から色々な物質が溶け出してきて、水槽底部の水質は不安定になりやすいためです。

アカヒレ

アカヒレ
アカヒレ / Figuero32
体長 3~4cm程度
特徴 とにかく丈夫だが見た目は地味
価格 10匹 600円程度

パイロットフィッシュといえばアカヒレ、というほど良くパイロットフィッシュにされるとにかく丈夫なコイ科の魚です。他の熱帯魚と比較すると見た目は地味なので、水槽の立ち上げ後にはやや飼育のモチベーションが保てなくなりがちかも知れません。

大型魚や亀などのエサ用として売られていることも多く、価格もかなり安いです。

カージナルテトラ/ネオンテトラ

cardinal tetra (back) neon tetra (front)
cardinal tetra (back) neon tetra (front) / úlfhams_víkingur
体長 3~4cm程度
特徴 見た目が綺麗で人気も高い
価格 10匹 1000円程度(カージナルテトラ)
10匹 500円程度(ネオンテトラ)

熱帯魚と言われて多くの人がイメージするのが、このカージナルテトラやネオンテトラでしょう。メジャーな種ゆえに供給量も多くて価格が安く、また丈夫な魚でもあります。この魚が飼いたくてアクアリウムを始める人もいる綺麗な魚なので、水槽の立ち上げ後にも楽しく飼育できるはずです。

ちなみに上の写真の奥がカージナルテトラ、手前がネオンテトラです。腹側の赤い部分の範囲が、ネオンテトラよりもカージナルテトラの方が広くなっています。派手で水草水槽にも映えるカージナルテトラの方が人気が高い印象です。

メダカ

メダカ(ニホンメダカ)
体長 3~4cm程度
特徴 日淡水槽に合う、品種が豊富
価格 10匹 500円程度(クロメダカ)

日本に生息していて馴染み深いメダカも、水質の変化や悪化に強くかなり丈夫な魚でパイロットフィッシュに向いています。熱帯魚がメインの水槽では浮いてしまいますが、日本産淡水魚(日淡)水槽ではかなりしっくりくること間違いなしです。また大型魚や亀などのエサ用として安く売られていることも多いです。

最近ではいろいろな品種のメダカが作出されていて、ヒメダカ、クロメダカ、青メダカ、白メダカに始まり、幹之メダカや銀河メダカなどきれいな品種がたくさんいます。このようなメダカのいろいろな品種を楽しむのもおすすめです。

パイロットフィッシュの数・量

パイロットフィッシュは濾過が立ち上がっておらず不安定な水質の水槽へ入れることになるので、当然ながら通常の飼育よりも導入する数はかなり少なめにしておきます。ただしあまり少なすぎてもアンモニアの発生量が少なく濾過バクテリアが定着しにくいです。

上で紹介したような体長3~4cm程度の小型魚だと

  • 60cm規格水槽 … 10匹程度
  • 45cm規格水槽 … 5匹程度
  • 30cm規格水槽 … 3匹程度

くらいの数が目安になります。体長が大きな魚や、メインで飼育しようと思っている魚をパイロットフィッシュにする場合は、上よりも少なめの数にしておいた方が良いです。これ以外のサイズの水槽に対しては、水量から必要なパイロットフィッシュの数を計算して下さい。

アクアリウム水槽のオススメ・選び方-熱帯魚・金魚・亀・水草に!
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水槽には様々なサイズがありますが、こちらの記事でそれぞれの水槽サイズ別の水量をまとめているので参考にして下さい。

管理のポイント

水槽の立ち上げ時には、パイロットフィッシュにエサを与え過ぎないのがポイントです。魚はアクアリウム初心者が思っているよりも、かなり少ない量の餌で生きていくことができます。

上に紹介した数のパイロットフィッシュを利用する場合、60cm水槽だったとしても1日に与えるエサの量は耳かき1杯もあれば多いくらいです。1日1回、3分以内に食べきれる量を目安に給餌して下さい。

亀を飼育する場合

このブログでは亀の飼育にも濾過を導入することを推奨しています。亀飼育で濾過を立ち上げる場合にはパイロットフィッシュは必要なく、すぐに亀を飼い始めて問題ありません。

亀の飼い方・飼育方法-水槽から紫外線・ろ過まで完全まとめ
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亀は魚とは比べ物にならないほど水の汚れや水質変化に強いため、水槽立ち上げの時の不安定な水質でも生きていくことができます。魚はアンモニアを直接排泄し、亀はそうではないという違いはありますが、亀の排泄物も分解されてアンモニア発生の原因となるので濾過の立ち上げに影響はありません。

ただし本当に直ぐに水が汚れるので、水槽の立ち上げ期間中の水換えはこまめに行なった方が良いです。

フィッシュレスサイクリング法

Pipettes & test Tubes
Pipettes & test Tubes / Goldmund100

フィッシュレスサイクリング法は、魚のエサやマグロの切り身などを腐らせたり、水槽にアンモニア水を加えたりすることで、魚を使わずに硝化サイクルを作り上げる方法です。 この方法には以下のメリット・デメリットがあります。

メリット

フィッシュレスサイクリング法のメリットは、何と言ってもパイロットフィッシュを持て余さないところです。水質変化・悪化に強いという理由だけでパイロットフィッシュを選ぶと、いざ水槽の立ち上げが終わった時に飼育のモチベーションが保てなくなってしまう場合があります。これは人間にとっても魚にとっても不幸なことです。

フィッシュレスサイクリング法を利用すれば、パイロットフィッシュを使わずに飼いたい魚だけを飼うことができるので、このような問題はなくなります。

デメリット

フィッシュレスサイクリング法にももちろんデメリットがあります。代表的なデメリットは以下の2つです。

水カビや悪臭が発生する可能性

アンモニアの発生源として魚のエサやマグロの切り身などを腐らせる方法を取る場合、量を間違えると水カビが発生するなど必要以上に水を汚すことになりかねません。アンモニア水を使用した場合は、入れ過ぎると悪臭の原因にもなります。

このようにパイロットフィッシュ法と比べると、失敗した場合のリスクがやや大きいというのが一つのデメリットです。

空の水槽を1ヶ月近く維持しなくてはならない

もう一つのデメリットは、水槽が立ち上がるまで生体を入れられないという点です。水槽の立ち上げ期間には環境によって幅がありますが、だいたい2週間~1ヶ月程度かかります。

水草がメインの水草水槽ならまだマシですが、生体メインの水槽だと1ヶ月近く空の水槽を眺めることになってしまいます。これだと魚を飼い始める前に飽きてしまってもおかしくはありませんよね。趣味なのに楽しくないというのは大きな問題になります。

パイロットフィッシュ法の方がおすすめ

これらのデメリットを考えると、フィッシュレスサイクリング法よりもパイロットフィッシュ法の方がおすすめです。特に初心者の方には、フィッシュレスサイクリング法はややとっつきにくいと思います。

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水槽立ち上げの流れ

水槽の立ち上げの手順を説明する前に、その大まかな流れを確認しておきます。

  1. 水槽をセッティングし、濾過フィルターを稼働させる
  2. ソイルの場合には2週間程度集中的に水換えをする
  3. パイロットフィッシュを導入する
  4. 水槽内にアンモニアが排出される
  5. アンモニア濃度の測定と水換え
  6. アンモニア濃度が低下し、亜硝酸塩が検出される
  7. 亜硝酸塩濃度の測定と水換え
  8. 亜硝酸塩濃度が低下し、硝酸塩が検出される
  9. 生物濾過の硝化サイクルが完成
  10. 飼育したい生体の本格的な導入
  11. 以後も定期的な水換えを行う

以下ではこの流れに沿って立ち上げ方法を説明していきます。

用意するもの

水槽を立ち上げるために必要な物は、水槽・フィルター・底砂などの水槽用品一式と水質検査薬、そして水換え用の道具です。それぞれについて簡単に説明します。

水槽・フィルター・底砂などの水槽用品

まず熱帯魚を飼育するための水槽用品一式が必要です。主なものは水槽水槽台濾過フィルター水温計・底砂・照明あたりです。季節によってこれに冷却ファン・クーラーヒーターなども追加します。あとはCO2の添加装置やプログラムタイマーなどもあると便利です。

アクアリウムの必需品!プログラムタイマーで照明等を自動化
アクアリウムの日常的な管理・メンテナンスを楽にしてくれるプログラムタイマーの用途・使い方・商品例・使用感などを紹介します。水槽周辺の照明や二酸化炭素の添加など、毎日決まった時間にオンオフする器具の管理に非常に役立ちます。

このような水槽用品がまとめられた「水槽セット」もよく販売されていますが、必要ないものを抱き合わせで買わせる商法の場合も多く注意が必要です。上の水槽セットは不要なものはなく割とオススメですが、初心者にはやや本格的すぎるかもしれません。

結局、面倒でも一つ一つの用品を吟味して別々に飼う方が、知識もついて値段的にも得だったりします。

アンモニア・亜硝酸・硝酸用の水質検査薬

水槽の立ち上げ時には、水中のアンモニア・亜硝酸円・硝酸塩の濃度によって硝化サイクルの立ち上がり具合を確認します。そのため、これらの濃度を測定する試薬が必要です。以下の2つの試薬があれば水槽の立ち上げには十分といえるでしょう。

アンモニア試薬は水中のアンモニア濃度を、6in1試験紙はpH(ペーハー)・KH(炭酸塩硬度)・GH(総硬度)・亜硝酸塩・硝酸塩・塩素の6つの要素を測定できます。6in1だけを購入しても水槽を立ち上げられないことはないですが、アンモニアの毒性が一番高いので、やはりアンモニア濃度を計測できるようにアンモニア試薬も購入した方が安心です。

精度は?使い方は?テトラ テスト 6 in 1 試験紙を解説!
アクアリウムでの熱帯魚やエビの飼育に重要な水質検査薬「テトラ テスト 6 in 1 試験紙」で検査できる水質項目、精度、使いどころ、使い方、使用感等を詳細にレビューします。多数の水質項目を一度に測定できる便利な商品です。

テトラ テスト 6in1についてはこちらの記事で解説・レビューもしているので参考にして下さい。

水換え用品

水槽の立ち上げ時だけでなく、アクアリウムを継続するには必ず水換えが必要です。そのためには水槽から水を抜くための排水ホースとバケツが必要になります。排水ホースには色々な商品がありますが、頻繁に使うため使い勝手が良い物を持っておきたいです。

プロホースの使い方-水換え時に水槽を掃除できる排水ホース
水換え・水槽掃除の定番プロホースを紹介します。水換えや掃除は水槽のメンテナンスの中でも最も高い頻度で行う作業なので、ここで使う道具はとても重要です。プロホースの使い方や特徴・構成・種類ごとの違い・レビュー等を紹介します。

私がおすすめするのはプロホースという商品です。これについても解説・レビューをしていますので、上のリンク先を参考にして下さい。

水槽立ち上げの手順・方法

ではいよいよ水槽立ち上げの手順・方法を説明していきます。水槽の立ち上げを始めてから、アンモニア・亜硝酸塩が検出されなくなって硝化サイクルが完成するまでにはだいたい2週間~1ヶ月程度かかるので、焦らず気長に取り組んで下さい。

水槽セッティング・フィルター始動

まずは水槽用品一式をセッティングしてカルキ抜きをした水を張り、フィルターを稼働させます。これについて詳しく描くと記事の長さが倍くらいになってしまうので、興味のある方は以下のまとめを読んで下さい。

小型水草水槽立ち上げ記録
20cmキューブ水槽で小型水草水槽を立ち上げた記事のまとめです。簡単にアクアリウムを始められるように、水槽の選び方から実際に水を入れ濾過を立ち上げるところまで詳しく説明してあります。アクアリウムを始めてみたい方におすすめのまとめです。

ここでは水草水槽の立ち上げ方法を紹介していますが、金魚などの場合も大した違いはありません。また機会があればもっと詳しく水槽のセッティング方法をまとめた記事を書いてみようと思います。

ソイルでは初期集中換水が必要

水槽の底砂として「ソイル」を使用する場合、最初の2週間程度は集中的に水換えを行う必要があります。これはソイルに含まれている様々な成分が溶け出すので、水質が非常に不安定になりパイロットフィッシュにも厳しい環境となるからです。

ただしこの2週間は全くの無駄な時間というわけではありません。ソイルから様々な物質が溶け出ることでアンモニアも発生してくるので、この集中換水期間にも濾過バクテリアは定着していきます。水換えをしながら試薬でアンモニア濃度を測り、変化の様子を確認しておくと良いでしょう。

パイロットフィッシュを導入

水槽のセッティングが終わったら(ソイルの場合は集中換水が終わったら)パイロットフィッシュを導入します。魚を購入してきたショップの水質と家の水槽の水質には違いがあり、場合によってはそれが原因で魚にダメージを与えてしまうことがあります。

生体導入!熱帯魚やエビの水合わせ&トリートメントの方法
熱帯魚やエビの水槽への導入を安全・慎重に行うための鍵になる「水合わせ」と「トリートメント」について解説します。水合わせは環境の変化で生体にダメージを与えないために、トリートメントは病気の蔓延を防ぐために、とても重要です。

こちらの記事で説明している「水合わせ」という方法で魚を水槽に入れてやると、ダメージ無く導入することができます。水合わせをよく知らないという方は目を通して下さい。

アンモニアが発生

パイロットフィッシュを導入すると、排泄物や餌の食べ残しからアンモニアが発生してきます。フィッシュレスサイクリング法では魚が存在しないので、アンモニア水を使うなどして水槽内にアンモニアを添加してやる必要があります。

フィッシュレスサイクル法で添加するアンモニア水の量は、水槽の水のアンモニア濃度が3~5 mg/Lとなる量を目安にします。フィッシュレスサイクルを試してみた方のサイトを紹介しておくので、こちらも参考にして下さい。

参考フィッシュレスサイクリングを試す(FishlessCycling)
参考アンモニア水式:フィッシュレスサイクリング法のまとめ|経験値0からのミドリフグ飼育&子育て日記

アンモニア濃度の測定と水換え

水槽の立ち上げ直後は、濾過を行ってくれるバクテリアが十分に繁殖していないので、アンモニア濃度がどんどん高くなります。アンモニアは毒性が強く生体にダメージを与えるため、濃度が高くなってきたら水換えをします。

アンモニア濃度と水換えのタイミング

水素の立ち上げから少なくとも1週間は、アンモニア試薬を利用して1日に1回アンモニア濃度(NH3/NH4)を測定します。この測定結果でアンモニア濃度が0.25 mg/Lを超えると、魚やその他の生物に有害となり、病気や死の原因となってしまいます。

従って、この0.25 mg/Lを目安に水槽の水換えを行って下さい。この時交換する水の量は全体の3分の1~半分程度とし、全換水はしないようにして下さい(バクテリアやパイロットフィッシュへのダメージになります)。もし1週間に一度もこの濃度を超えなかったとしても、1週間が経過したら一度水換えをしておくとよいでしょう。

立ち上げ直後の水の白濁

水槽の立ち上げ時には、水槽の水が白く濁ることがあります。これはフィルターで取りきれない細かいゴミや、濾過バクテリアが定着するまでの過程で死んだバクテリアの死骸が原因です。

基本的には大きな害のあるものではなく、すぐに水質が落ち着いて透明になるのであまり気にしなくて良いです。もし水が白濁しても、まずは様子を見るのが良いでしょう。

亜硝酸塩の測定と水換え

立ち上げ開始から1週間程度が経過すると、急にアンモニア濃度が低下しだします。この様子が見られる、または立ち上げから1週間が経過したら、亜硝酸塩も測定してみましょう。アンモニア濃度が低下するのは、アンモニアを亜硝酸塩に分解する「ニトロソモナス」というバクテリアが繁殖してきたためなので、亜硝酸塩が検出されるはずです。

亜硝酸濃度と水換えのタイミング

亜硝酸塩を分解するバクテリアの増殖は、アンモニアを分解するバクテリアの増殖に比べてゆっくりなことも多いので、毎日ではなく2日に1回程度の測定でも構いません。その時の測定結果で亜硝酸塩の濃度が0.8 mg/Lを超えると、魚やその他の生体に害を及ぼします。従ってこの0.8 mg/Lを目安に水槽の水換えを行います。

上で紹介したテトラ 6in1という試験紙では、亜硝酸塩の検出は1 mg/Lからしかできませんが、それくらいの誤差なら大した問題でもないので、1 mg/Lを超える亜硝酸塩が検出されたら水換え(3分の1~半分程度)をして下さい。

亀で濾過を立ち上げるともっと大量の亜硝酸塩が検出されることも良くあります。亀は水の汚れにもかなり強いので心配はいりませんが、汚い水で良いことはないので水換えで対応して下さい。

亜硝酸塩の減少と硝酸塩の検出

亜硝酸塩が検出されるようになってから1週間~1ヶ月程度経つと、亜硝酸塩が検出されなくなってきます。これは亜硝酸塩を硝酸塩に分解する「ニトロスピラ」というバクテリアが定着したためで、水質検査をすると硝酸塩が検出されるようになっているはずです。

ここまでくれば水槽はとりあえず立ち上がった状態です。アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩への硝化サイクルが完成しています。

硝化サイクルの完成と維持

硝化サイクルが完成しても気を抜いてはいけません。とりあえず熱帯魚が育てられる環境は整いましたが、本当に安定した水質になるにはさらに時間が必要です。

また、硝化サイクルによって生成される硝酸塩も無毒ではないので、定期的な水換えが必要です。基本的には「1週間に1回・全水量の3分の1」を目安に、継続的な水換えを行って下さい。

種水・使用済み濾材を利用して時間短縮

上で紹介した水槽立ち上げの手順において、既に立ち上がった水槽の飼育水(種水)や、そのような水槽で使用されていた濾材(使用済み濾材)を使うと、水槽の立ち上げに掛かる時間を大幅に短縮できます。

種水や使用済み濾材には、濾過バクテリアが既にたくさん含まれています。水槽の立ち上げと同時にこれを入れてしまえば、濾過バクテリアが定着しやすくなるというわけです。

使用する種水や濾材の量にもよりますが、これらを使うと2~3日で水槽が立ち上がることもあります。新しく立ち上げる水槽の濾材と水を全て既存の水槽から持ってこれるなら、立ち上げと同時に飼育する魚を入れてしまっても大丈夫だと思います。2個目以降の水槽を立ち上げる時には、この種水と使用済み濾材を利用した時間短縮がかなりおすすめです!

水槽立ち上げの具体的な作業手順

今回の記事では、アクアリウムを立ち上げる際の濾過を中心に解説しました。実際に水槽を立ち上げる際の作業手順にもっと近い内容は、以下の記事で紹介しています。

熱帯魚水槽のリセット方法-陰性水草レイアウトができるまで
水槽の状態が悪くなった時の最終手段「水槽リセット」について、私の20cmキューブ水槽での作業を例に、リセットする理由や用意するもの、方法・手順などを紹介します。リセット後の新レイアウトは陰性水草レイアウトにしました。

この記事は水槽リセットについての内容となっていますが、立ち上げと違うのは既にレイアウトされた水槽を片付ける手順があるかどうか程度です。参考になると思うので、ぜひ目を通して下さいね。

長文記事を読んでいただきありがとうございました。これだけの内容を理解していれば、水槽の立ち上げも成功すること間違いなしです! あとは理想の水槽を目指し、レイアウトに凝ったり色んな魚を飼育したり、アクアライフを存分に楽しんで下さいね!