亀・トカゲなど爬虫類を動物病院へ!血液検査の内容と料金の目安

亀・トカゲなど爬虫類を動物病院へ!血液検査の内容と料金の目安

ペットを飼っている人にとって、いざという時に頼りになるのは獣医さんです。しかし、爬虫類に関して言えば、十分な知識を持っている獣医師が少なく、また飼育者の母数が少ないので、動物病院で何をされるのかもよくわからないことが多いです。

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今回はK-ki(K-ki@AquaTurtlium)の経験に基づき、亀やトカゲなどの爬虫類を動物病院に連れて行った際に実施することのある「血液検査」について説明します。レントゲン検査や寄生虫検査と並び、ペットとして飼育されている爬虫類が受けることの多い検査ですので、中身や料金の目安を把握しておきましょう。

動物病院で爬虫類の血液検査をする目的

血液検査を行うと、血液に含まれる赤血球や様々な栄養素などの量を数字で確認することが出来ます。このような血液に含まれる成分・栄養素などには、爬虫類の種類ごとに適正値が決まっているため、その値と比較することで健康状態の把握や、罹っている病気の推測ができます。

適正値は、例えばこちらの本などで紹介されています。このような血液検査の特徴を活かし、飼育している爬虫類の健康診断や、病気に罹っている可能性がある場合に病気を特定するためなどの目的で、血液検査を行うことが多いです。

特に、健康診断で血液検査をしておけば、数値の変化により飼っているカメやトカゲの体にどんな異変が起こったのか簡単に知ることが出来ます。病気にかかっていなくても、血液検査をしておく価値はありますね。

血液検査の種類

血液検査にも色々な種類があります。爬虫類を動物病院に連れて行ったときに行われることの多い検査は、血液学的検査と生化学検査です。これらの違いを簡単に紹介しておきましょう。

血液学的検査(血液検査)

血液学的検査では、血液に含まれる赤血球や白血球など、血液の代表的な成分を調べます。この検査によって、爬虫類が脱水症状に陥っていないか、なにか炎症を抱えていないかなどが分かります。

生化学検査(血液化学検査)

生化学検査では、血液を遠心分離器にかけて、有形成分(赤血球、白血球、血小板など)や無形成分(血清)とに分離し、血清中の物質を化学的に分析します。これによって、血液中にどのような栄養分や老廃物が含まれているかが分かります。

臓器に異常がないか、病気にかかっていないかなどが分かります。

血液検査の検査項目

以下では、私が飼育しているニホンイシガメを動物病院に連れて行ったときに、血液検査で調べてもらった項目と、それぞれにどんな意味があるのかを簡単に紹介していきます。

肺炎や水カビ等の病気が疑われる亀を動物病院へ-診断・治療法・料金まとめ
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なお、私がカメを動物病院に連れて行くことになった経緯については、こちらのページに詳しく書いてあるので、興味のあるひとは読んでみて下さいね。

なお、上の記事にも書いてあるように、私が動物病院に連れて行った亀は肝臓系の疾患が予想されたたため、検査項目も肝臓関連のものが多くなっている可能性があります。その点はご注意ください。

PCV(赤血球容積比)

検査項目 正式名称 単位 意味
PCV Packed Cell Volume
赤血球容積
% 血液中の赤血球成分の容積割合

PCV(Packed Cell Volume、赤血球容積)は、血液全体に占める赤血球成分の容積割合で、単位は%(パーセント)です。この値が高いと、血液が濃いことを意味するため脱水状態、低いと血液が薄いことを意味するため貧血状態であることを表します。ヘマクリット値(Ht)と呼ばれることもあります。

ニホンイシガメ(水棲亀)の場合は、15~25%あたりが適正値です。

AST

検査項目 正式名称 単位 意味
AST Asparatate Aminotransferase
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
U/l 肝臓や筋肉に含まれる酵素

AST(Asparatate Aminotransferase、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は肝臓や筋肉に含まれる、アミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で働く酵素です。肝臓や筋肉が破壊されると血液中に溶け出してくることから、次に紹介するALPと合わせて肝機能障害の判定等に活用します。

ALP

検査項目 正式名称 単位 意味
ALP Alkaline Phosphatase
アルカリホスファターゼ
U/l 肝臓や副腎に含まれる酵素

ALP(Alkaline Phosphatase、アルカリホスファターゼ)は肝臓や副腎、骨芽細胞に含まれる、アルカリ性の状況下でリン酸化合物を分解する酵素です。これらの臓器が破壊されると血液中に溶け出してくるため、前出のASTと合わせて肝機能障害の判定等に活用されます。

GGT(γGTP)

検査項目 正式名称 単位 意味
GGT
γGTP
γ-glutamyltransferase
ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ
U/l 腎臓や肝臓などに含まれる酵素

GGT(γ-glutamyltransferase、γ-グルタミルトランスフェラーゼ)は、別名γ-グルタミルトランスペプチターゼ(γ-GTP)とも呼ばれ、肝臓機能の一つである解毒機能に関わる酵素の一つです。腎臓や肝臓など幾つかの臓器に存在していて、肝臓及び胆道系の障害で血液中に漏れだすことにより、数値が高くなります。

TBil(総ビリルビン)

検査項目 正式名称 単位 意味
TBil Total Bilirubin
総ビリルビン
mg/dl 肝臓や副腎に含まれる酵素

TBil(Total Bilirubin、総ビリルビン)は血液中の赤血球が破壊されたときなどに作られる黄色い色素である「ビリルビン」の量を表します。ビリルビンが過剰になると眼や皮膚が黄色く染まる「黄疸」という状態になることが知られています。

基本的には肝臓の疾患で数値が上昇します。

TG(トリグリセライド)

検査項目 正式名称 単位 意味
TG Triglyceride
トリグリセライド
mg/dl 血液中に含まれる中性脂肪の主要成分

TG(Triglyceride、トリグリセライド)は、血液中に含まれる中性脂肪のほとんどを占める物質です。メタボリックシンドロームの診断基準にも利用されている、健康診断でもおなじみの項目ですね。TGは、肝臓機能や脂肪代謝に異常があると上昇します。

TCho(総コレステロール)

検査項目 正式名称 単位 意味
TCho Total Cholesterol
総コレステロール
mg/dl 善玉・悪玉含めたコレステロールの総量

TCho(Total Cholesterol、総コレステロール)は、HDLコレステロール(善玉コレステロール)とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の量の合算値です。細胞膜の成分やホルモンとして働きます。

病気になると多くの場合数値が上昇しますが、栄養状態が悪かったり、肝臓の状態が非常に悪い場合には逆に数値が下がります。

NH3(アンモニア)

検査項目 正式名称 単位 意味
NH3 アンモニア µg/dl 善玉・悪玉含めたコレステロールの総量

NH3(アンモニア)は、たんぱく質の代謝の過程で生成される強い毒性を持った物質です。通常、アンモニアは肝臓や腎臓を経由し、分解されて尿中に排出されます。従って、肝臓や腎臓に疾患を抱えている場合に血中の数値が上昇します。

Glu(グルコース)

検査項目 正式名称 単位 意味
Glu Glucose
グルコース
mg/dl エネルギー源であるブドウ糖のこと

Glu(Glucose、グルコース)は、ブドウ糖とも呼ばれる、動植物が活動するためのエネルギー源になる物質の一つです。この数値は、いわゆる血糖値と呼ばれるものを意味します。

検査を受けた生体が糖尿病に罹っていると数値が上昇し、肝臓やその他の病気で数値が下がります。

BUN(血中尿素窒素)

検査項目 正式名称 単位 意味
BUN Blood Urea Nitrogen
血中尿素窒素
mg/dl アンモニアが腎臓で分解された物質

BUN(Blood Urea Nitrogen、血中尿素窒素)は、血液中に含まれる尿素窒素の量を示します。栄養素の一つであるタンパク質は、分解されると上述のように毒性の強いアンモニアへと変化します。アンモニアは、肝臓の代謝機能によって無毒な尿素に変化し、腎臓へ移動して尿中に排泄されます。

従って、BUNの数値が高くなるのは腎臓に問題がある場合です。

P(リン)

検査項目 正式名称 単位 意味
P リン mg/dl カルシウムと並ぶ骨の重要な構成成分

P(リン)は、カルシウムと並ぶ骨の重要な構成成分です。血液中のに含まれるリンは少量ですが、腎臓で調整されて一定の濃度を保っています。腎臓に異常があると尿への排泄量が減り、血液中のリンが増加します。

爬虫類では、特にカルシウムとの比率が重要視されます。ニホンイシガメ(水棲亀)の場合は5~8mg/dlあたりの量が適切と言われます。

Ca(カルシウム)

検査項目 正式名称 単位 意味
Ca カルシウム mg/dl 骨や歯、甲羅の主要成分でリンとの比率が重要

Ca(カルシウム)のほとんどは、骨や歯、甲羅の形態で体内に貯蔵されています。血液中に存在するカルシウムはリンと同様に微量ですが、心筋収縮や血液の凝固などに深い関係します。血液検査の際には内分泌疾患、骨代謝異常などの検査に利用されます。

カルシウムの基準値は、リンと強い相関があり、ニホンイシガメ(水棲亀)の場合はリン1に対してカルシウム3程度、数値にすると15~16mg/dl付近の値が適正とされています。

測定値が基準値から外れている場合には、腎不全、副甲状腺機能の低下、ビタミンD3の不足などが原因と考えられます。

Na(ナトリウム)

検査項目 正式名称 単位 意味
Na ナトリウム mmol/dl 体内の水分量を調節する電解質

Na(ナトリウム)は、以下で紹介するカリウムやクロール(塩素)などと同様に、「電解質」に分類される検査項目です。電解質は、体内の水分量やpHを一定に保ったり、神経の伝達や心臓、筋肉を動かすことに深く関わる物質であり、その中でもナトリウムは、特に身体の水分量を調節する働きがあります。

また、電解質は脱水、嘔吐、下痢などで変化します。点滴を行う際には、血液中の電解質の量を把握しておくことが重要です。

K(カリウム)

検査項目 正式名称 単位 意味
K カリウム mmol/dl 神経や筋肉の働きを調節する電解質

K(カリウム)は、上述のナトリウムと同じ電解質の一種です。カリウムには、神経や筋肉の働きを調節する役割があり、検出量が低い場合には神経が麻痺する可能性もあります。

カリウムが高い場合、その原因には腎不全や糖尿病が考えられ、低い場合には、嘔吐や下痢の影響が考えられます。

Cl(クロール)

検査項目 正式名称 単位 意味
Cl クロール、塩素 mmol/dl 体内の水分量やpHの調節を行う電解質

Cl(クロール、塩素)は、上述のナトリウムやカリウムと同じ電解質の一種です。主に食塩(NaCl)の形で体内に取り入れられ、ナトリウムイオン(Na+)を中和する陰イオンとして存在しています。

クロールの役割は、体内の水分量やpHの調節が主です。

UA(尿酸)

検査項目 正式名称 単位 意味
UA Uric Acid
尿酸
mg/dl 爬虫類の窒素代謝の最終生成物

UA(Uric Acid、尿酸)は、代謝に利用されたタンパク質の老廃物です。特に爬虫類の多くの種では、尿酸は窒素代謝の最終生成物であり、この場合は固体の尿として排泄されます。

血液中に含まれる尿酸値を測定することで、腎機能の正常性を確認します。

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血液検査で分かる病気と結果の例

ここまで、私の経験に基づいて血液検査の項目例を紹介しました。次は、私の飼育している亀の検査結果と、そのときの診断結果を合わせて解説していきます。

ニホンイシガメの血液検査結果

血液学的検査
検査項目 検査結果 単位 備考
OCV 26.0 %
生化学検査
検査項目 検査結果 単位 備考
AST 500 U/l
ALP 48 U/l
GGT(γGTP) 0.0 U/l
TBil <0.1 mg/dl 測定範囲外
TG >375 mg/dl 測定範囲外
TCho 192 mg/dl
NH3 106 µg/dl
Glu 197 mg/dl
BUN 27.0 mg/dl
P 3.4 mg/dl
Ca 11.1 mg/dl
Na 142 mmol/l
K 4.3 mmol/l
Cl 109 mmol/l
UA 0.9

PCV・AST・ALPの値が高い

今回の検査結果では、PCV、AST、ALPの値が高く、適正値の上限ギリギリでした。この結果から、脱水や肝機能障害を引き起こしている可能性が高い、との診断結果でした。

TGが非常に高い

検査結果ではTGが測定可能範囲を上回っており、非常に高い値でした。肝機能に障害がある可能性があるとこのことです。

TG、Ca、Kは発情で上昇する

TG、Ca、Kは、発情で高くなることが知られています。前述のようにTGがかなり高いのが気になるが、今回の検査結果からは発情の可能性も捨てきれないそうです。しかし、Caは少なめ、Kは適正範囲であることを考慮すると、発情よりは肝機能障害の可能性のほうが高く、脂肪肝の可能性などが考えられるそうです。

リンとカルシウムの比率は1:3が適正

水棲カメの場合には、P(リン)とCa(カルシウム)は1:2~3程度の比率になるのが適切とされています。今回の検査結果では、P:Caはおおよそ1:3で比率には問題がありませんでした。しかし、適正量と比較すると絶対量が低めの結果でした。

この血液検査結果と、併せて行ったレントゲン検査により、骨代謝性疾患(MBD:Metabolic Bone Disease)であると診断されました。

適正範囲内だった項目

Na・K・Clなどの電解質やコレステロールは適正範囲内にありました。また、黄疸の程度を測るTBil(総ビリルビン)の測定結果は、測定限界を下回っていますが、低い分には問題ないとのことでした。

血液検査の料金の目安

最後に、私の飼っている亀が、ここまでに紹介した血液検査を動物病院で実施してもらった際の料金を参考までに紹介しておきます。あくまで私の個人的な経験に基づいたデータなので、他の動物病院で血液検査をしてもらった場合の料金は分かりません。

内容 数量 単価(円) 料金(円)
採血料(小動物) 1 5,400 5,400
血液検査料(小動物) 14 600 8,400
小計(内税額) 13,800

上記のように、私の場合は14項目の血液検査で13800円でした。やはり動物病院の診療費は高いですね…。なお、参考までに、ネットで発見した他の人の例も紹介しておきます。

爬虫類の健康診断にはどんな種類があるのか、どれくらいの費用がかかるのかをご紹介します。

リンク先のページによると、この方の場合は血液検査にかかった料金は7000円だったそうです。私の半額くらいじゃないですか!

おそらく、動物病院の得意とする生物の種類によっても、値段は変わってくると思われる(爬虫類の診療を得意とする病院は安い等)ので、近場に爬虫類の血液検査を実施してくれる動物病院が複数ある場合は、値段を比較してみるのも良いでしょう。

まとめ

今回は爬虫類の血液検査をする場合に、検査してもらえる項目とその意味や目的、料金の目安などを紹介しました。最後に料金が高かったことも紹介しましたが、料金が高いというのはある意味贅沢な悩みで、まず爬虫類にこういった血液検査をしてくれる動物病院自体が少ないと思います。

いざという時に慌てないように、また初動が遅れて手遅れにならないように、爬虫類を飼育する際には出来る限りかかりつけの獣医師さんを決めておくと良いですね。

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