イギリスで開発中のセルフクリーニング水槽「Avo」がすごい?

イギリスで開発中のセルフクリーニング水槽「Avo」

クラウドファウンディングって知っていますか? 不特定多数の人がインターネットを通じて、主に個人や小規模な組織に対して金銭面などで協力することです。

この方法でお金を集めてから製品の開発などを行えばリスクが下がりますし、一人ひとりの出資額が少なくてもたくさんの人に協力してもらうことで大きな資金を得ることもできます。ソーシャルメディアの発展により、近頃ホットな資金調達方法です。

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今回はそんなクラウドファウンディングサービスとして有名なKickstarterで注目を集めている、セルフクリーニング機能をもった水槽「Avo」を紹介します。Avoの公式サイトでは、フィルターの掃除も不要!なんて言ってますが本当でしょうか。アクアリストの端くれとして、キッチリ分析していきます。

Avoって何者!?

まずはAvoが一体どんなものなのか、ウェブサイトとKickstarterでの説明を引用しながら紹介していきます。

Avo is a unique self-cleaning fish tank. It requires no filter cleaning or water changes making fish keeping simple and beautiful.

概要

Avo is a self maintaining tropical aquarium. This means no water changes, and no filter cleaning.

Avoはセルフメンテナンス機能を備えた水槽で、水換えもフィルターの掃除も必要ないんだそうです。これが本当だったらすごいですね。

Avo has a natural filter system that doesn’t require carbon or chemicals to remove the harmful toxins from the water.

The technology in Avo helps the filter work as efficiently as possible, the placement of the light and the heater, to the type of LED’s and filter media ensure healthy plants, lots of nitrifying bacteria and constant turnover of water through the filter.

Avoはフィルター、LED照明、ヒーターがひとつになっている、一体型水槽の1種のようです。水草を植えることも考えてあるみたいですね。うーん、経験上あんまり一体型水槽にいいものって無いですが、もうちょっと詳しくみてみます。

濾過フィルター

Avoの濾過の仕組み

Uneaten food, dead plants and fish waste degrade in the water and become ammonia, which is poisonous to fish. Avo’s biological filter is the perfect environment for an abundance of healthy nitrifying bacteria which turn the ammonia into nitrate. Live plants absorb the nitrate as plant food, completing the nitrogen cycle.

食べ残しの餌や枯れた水草が分解されて魚毒性のあるアンモニアとなり、それをフィルター内でバクテリアにより硝酸塩にまで分解、その硝酸塩を水草が栄養分として吸収するという窒素サイクルを実現させ、水換えのいらない水槽を作り上げるという理屈のようです。これは理論上は可能ですし、別に真新しいものでもありません。

バランスドアクアリウムで検索すると、このような窒素サイクルを実現して無換水飼育しようという考え方がヒットします。ちなみに、「窒素サイクルとか硝酸塩とか良く分からん!でも興味はある!」という方は下の記事をみて下さい。アクアリウムにおける濾過の考え方を説明しています。

生物濾過と硝化バクテリアの働きまとめ!アクアリウムや亀水槽の基礎
アクアリウムや水生生物の飼育で非常に重要な「生物ろ過」について解説します。生物濾過とは、バクテリア(細菌)の働きにより、水中の有機物が腐って生じる有毒物質(アンモニア)を毒性の低い物質(硝酸塩)に分解することを指します。これより水換え頻度を減らすことが可能です。
フィルターは投げ込み式と思われる

また、フィルターは画像を見る限り投げ込みフィルターのようです。

水草育成

水草はポットに植えて育てる

Live plants are delivered pre-potted making them easier to use, slotting into place in the aquarium.

水草はポットに植えて育てるんだそうです。ポットがちょっと変わった形になっていて、水槽に敷き詰められるみたいですね。初心者でも簡単に水草を育てられるようにするための工夫だと思われます。

LED照明

Avo’s lighting produces some wavelengths of light that our human eyes can’t even detect. To us they appear as three colors fading on and off automatically at different times of the day – soft red light in the morning, daylight white in the day and cool blue in the evening.

水草の成長には光のなかでも特定の波長、簡単に言うと赤色と青色の光が必要なのですが、Avoではそのような水草の必要とする波長の光を意識的に供給しようとしているようです。これは純粋に面白い試みだと思います。こういう方法で上手くいくのかは興味があるのでぜひ結果を知りたいです。

ヒーター

The heating is taken care of too, a temperature of 27°C (80.6°F) is automatically maintained. This is the perfect temperature for most tropical fish. The heating elements are also cleverly positioned to create convection currents, helping the nutrients get efficiently to the roots of the plants.

ヒーターは水温を27℃に維持してくれるオートヒーターで、水槽内に対流を起こすように配置されているそうです。でもこの水槽のフィルターがエアレーションを使うタイプなんですが…。ヒーターの対流なんかよりエアレーションの起こす流れのほうが絶対強いですよね…。

これまでのアクアリウムと比べると…

ではこの水槽「Avo」がすごいのか、それともすごくないのか、これまでのアクアリウムと比較して考えてみます。

真新しい技術はほとんどない

アクアリウムにある程度詳しい方ならわかると思いますが、ここまで見てきたAvoのシステムは別に真新しいものではなく、至って普通のものです。現在のアクアリウムでも普通に用いられている方法です。LEDの照明はちょっとおもしろいと思いましたが、これも誰かが試しているような気がします。

じゃあ既存の方法ばかりで構成されたAvoに無換水・無掃除の環境なんて作れるんでしょうか?

Avoの欠点

Avoにはいくつか欠点があります。まず第一が、コケの発生を全く考慮していないことです。

どれだけ濾過が効いていて水が綺麗でも、コケを全く発生させないなんてそう簡単にできることではありません。コケを発生させないためには、自分なりにコケの発生原因を特定し、対策を打てるようにならなければなりません。それは飼育システムでどうこうできることではなくて、飼育者の経験がモノを言うところです。

そして第二が、上で書いたことにも関係してきますが、飼育者依存の要素を考えていないことです。

どういうことかというと、水草の成長に必要な硝酸塩と生体の排泄物などから出る硝酸塩を釣り合わせるのがバランスドアクアリウムの基本的な考え方ですが、そんなこと初心者にはできません。生体の数と水草の量を調整して、給餌量や肥料のことも考えて、というのはよっぽど知識と経験がないと不可能です。

こういった飼育者の技術に頼らなくてはならない部分があることを考慮できていないように感じますね。

以上のような理由から、K-kiとしてはAvoを使っても水換えも掃除もしなくてイイなんてことにはならないと考えます。

K-kiのおすすめ

Avoに対して否定的なことを書きましたが、それでもこんな球形の水槽みたいなちょっと変わった水槽が欲しい!という人は、既に似たようなものが販売されているのでそちらを使ってみたらどうでしょうか。

こんなのとか、

こんなのとかがありますよ。デザイン的にはAvoと比べるとちょっと残念ですし、そもそも使いにくい&観察しにくいので私は絶対使いませんが、好みの部分でもあるので気に入った方には検討の余地ありだと思います。

クラウドファウンディングですので、いっそのことAvoに出資して購入するというのももちろんアリですね。もしかしたら完成する頃にはもっといいものになっているかもしれません。

こういう独創的な水槽といえば、私は加藤水槽さんの水槽がとても好きですね。

水と生き物だけのシンプルな水槽で、様々な種類の水生生物の育成を可能にしたい。そんな考えから様々なシステムを考え、水槽を制作しています。

水槽から配管類を徹底的に排除した、デザイン性と機能を兼ね備えた水槽を作っておられます。写真を見ただけではどうなっているのか全然分かりませんが、それでもとても面白いので一見の価値ありです!

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まとめ

クラウドファウンディングでアクアリウム用品を作るというのはかなり面白そうなのですが、このAvoは色々と無茶な部分があるので私は出資しようとは思わないですね…。クラウドファウンディングではないですが、当ブログでも現在(現実的な)アクアリウム用品を開発中です!製品情報のページで開発状況などを紹介しているので、ぜひ見ていって下さい!

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